124話 先手



------(テンタ視点)------☆




 夜、俺と三毛猫オトアの誕生会が終わり、巻貝の建物の


中にある、自室のベットで、寝ころびながら、


「なぁ、オトア誕生日にプレゼント渡せなくてごめんな~」


と俺が、側に居る三毛猫オトアにボソッと言うと、


「ううん、私だってテンタ君にプレゼントしてないじゃない」


と首を振りながら言う三毛猫オトア


それを聞いた俺が、


「でもさ……俺、昔から……ってかオトアのことを好きになっ


た時から、もし付き合えたら、オトアのお誕生日にはプレゼン


ト渡したいってすーと思ってたんだ」


と俺が言うと、三毛猫オトアもすぐさま


「私もよw」


ってすぐに言葉を返す。


「今はちょっと無理だけど、落ち着いたらなんかプレゼントす


るから、なんかほしい物なぁ~い?オトア」


と俺が聞くと、三毛猫オトアは再び首を横に振り、


「プレゼントは要らない……だって、私はテンタ君にプレゼント


を買ってあげられるお金もないし……それに、このカラダじゃ、


ミリーさんのようにテンタ君にマフラーすら編んであげれないし


……、ホント、情けない」


と言いながらしょげる三毛猫オトアに俺は、


「な・何を言うんだオトア、俺達は2人で1人なんだ、俺の持っ


ているお金は”俺の”じゃなく、2人のお金なんだよ」


と俺がしょげる三毛猫オトアに言うと、


「うん、ありがとう……でもね、私本当にプレゼントなんか要ら


ない……私はこうしてテンタ君の側にずーといられるだけで幸せw


なの」


その三毛猫オトアの言葉を聞き俺がすかさず、三毛猫オトアを見つめながら、


「俺もさ、俺もオトアが側に居てくれるだけで十分さw」


と言うが……自分の吐いたセリフで顔を赤くする俺。


その俺を見てさらに顔を赤くする三毛猫オトア


しばらくお互い顔を赤くし、もじもじしていると、三毛猫オトア


が、何かを思いついたようにポツっと言う。


「私、テンタ君とデートしたいw」


「うん!?デート?」


俺は三毛猫オトアの言葉にそう返すと、


「うん、2人きりでw」


と満面の笑みを浮かべる三毛猫オトア


俺は、少し考えてから


「じゃぁ、聖クリスタル国に帰ったら、一番高級なレストランで


食事をしようw」


と提案するが……、三毛猫オトアは、俺の提案に首を横に振り、


「ううん、そんなんじゃなくて……」


と少し考えてから、


「私がしたいのは、テンタ君と2人っきりで、街をぶらぶらして、


時にはカフェでお茶したりとか……そういうのがしたいのw」


と少し俺に甘え気味に言う三毛猫オトアに俺は、優しく微笑み


「わかったw」


と答えるのだった。


そして、そんな会話の後、俺達はそのまま就寝する。


「おやすみテンタ君w」


「おやすみオトアw」












------(第三者視点)------☆





 一方、ネシア王国の島の東側沖合の海底深くに悪魔伯爵


シャッキー達がいるアジトでは……。


「うっ、うー……」


クリスタルマンルビーにの攻撃から辛くも脱出するが、頭だけに


なったシャッキーが、その自身の体をやっとのこと再生し、側に


居たラ・モール大魔導士(死神風顔の半分骸骨)から、新しいマ


ントを受取ると、


「くっ……忌々しいクリスタルマンルビーめ!」


と悔しがった。


すると、ヘル大将軍(エジプトファラオ風の男)が、悪魔伯爵


シャッキー(髪の毛が無数の蛇で目玉が一つの男)の前に進み出


て傅き、


「どうか私めに、クリスタルマンルビーの討伐と、あの猫の魂の


奪還をご命令くださいませ」


と言うが、それを側で聞いていたアルミュール元帥(赤いフルプレ


ートアーマーで、顔を覆いつくした兜の男)が、シャッキーの前で


傅くヘル大将軍(エジプトファラオ風の男)に聞く。


「ほう、何か策でもあるのか?ヘル大将軍」


と聞くと、一瞬、首を横に振り、


「いえ、策などはありません、ありませんが、このわたくしヘル


大将軍、の力を持ってすれば、にっくきクリスタルマンルビーを


蹴散らし、必ずやあの猫の魂をもって帰ってまいりまする」


と自信気に言うが、そんなヘル大将軍(エジプトファラオ風の男)


に少し呆れ気味に、アルミュール元帥(赤いフルプレートアーマー


で、顔を覆いつくした兜の男)が、


「ほう、お前より力も知恵もあるシャッキー様が、すんでのところ


まで追い込まれたのだぞ、お前はこのシャッキー様より実力がある


と……そう言いたいのか?」


と手を挙げ、攻め立てるように威圧すると、慌ててヘル大将軍


(エジプトファラオ風の男)は、


「いえ、そのようなことは……」


悪魔伯爵シャッキーの前でひれ伏すヘル大将軍(エジプトファラオ


風の男)に、悪魔伯爵シャッキー(髪の毛が無数の蛇で目玉が一


つの男)は、


「まぁ、よい」


とヘル大将軍(エジプトファラオ風の男)を責めるアルミュール


元帥(赤いフルプレートアーマーで、顔を覆いつくした兜の男)


に言うと、顎に手を当て、少し考えるように、


「しかし、ブランチキャンセラーを破壊された今、あの猫の魂を


どうやって……」


すると、悪魔伯爵シャッキー(髪の毛が無数の蛇で目玉が一つ


の男)の隣に居たラ・モール大魔導士(死神風顔の半分骸骨)が、


「方法はあるかもしれません」


と呟いた。


その呟きに悪魔伯爵シャッキー(髪の毛が無数の蛇で目玉が一


つの男)とアルミュール元帥(赤いフルプレートアーマーで、顔


を覆いつくした兜の男)が、そう呟くラ・モール大魔導士(死


神風顔の半分骸骨)の方に目をやり、アルミュール元帥(赤い


フルプレートアーマーで、顔を覆いつくした兜の男)が聞く。


「ほう、その方法とは?」


すると聞かれたラ・モール大魔導士(死神風顔の半分骸骨)は、


少し考えてから、


「確証があるわけではありませんが……」


と前置きをしたうえで、


「先のラブーでの戦いの時、ダーク大団長が、小僧の鎧を締め


上げ、小僧の鎧が機能不全に陥った時、光の精霊エードラムの


反応が消えた……、いや、存在は確認できるが、エネルギーを


感じなかった・と申しましょうか……」


と慎重に言葉を探しながら言い、さらに


「で、これはあくまでもわたくしの推測ではございますが、小


僧の鎧にあの猫が、猫に憑依したエードラムと共に一体化した


状態で、小僧の鎧を機能停止に追い込めば、エードラムの力を


封じ、あの猫の魂を容易に取り出せるのでは……」


恐る恐る自身の説を言うラ・モール大魔導士(死神風顔の半分


骸骨)の言葉を聞いていた悪魔伯爵シャッキー(髪の毛が無


数の蛇で目玉が一つの男)は、”なるほど”と言う顔をして、


「うむ、確かにその推論が成り立つやもしれんなぁ」


と納得するのであった。














------(テンタ視点)------☆




 俺と三毛猫(オトア)の誕生会から3日ほどたった。


今日も朝食後、チーム『ポテンツァ』のリーダーであり


剣士のレオン(獅子族)さんに相手をししてもらっての


剣術の稽古。


\バチッ/、\ビシッ/、\バキ/


相変わらずレオン(獅子族)さんの本気の打ち込みで、


せっかくもらった防具が壊れるが……。


「はい、これと交換してください」


と壊れた防具の代わりに新しい防具を出してくるチーム


『ポテンツァ』のジョージ(虎族)さん。


(えっ、予備の防具を用意してるの!)


と驚きながらもそれを受取り、壊れた防具と取り換える。


同じくチーム『ポテンツァ』の魔法師のチャッピー(キャ


ットピープル)さんの話だと、俺が誕生日にもらったレオン


(獅子族)とジョージ(虎族)さんが手作りした防具は、


10セット分あるそうだ。


(いや~そんなに作らなくても……)


と思いながら、剣術の稽古が続く。


お昼になり、巻貝の建物に戻りみんなでお昼ご飯を食べる。


 今日のお昼ご飯は”サンドイッチ”……なんだが、


俺がサンドイッチをぱくついていると、チーム『ポテンツァ』


のジョージ(虎族)さんが、俺の耳元で言う。


「昼からは私がお相手しますからねw」


(え――っ、昼からも~)


3日も続く剣術の稽古に俺は少々嫌気がさしていたが……。


「はい、よろしくお願いしますw」


と満面の笑みで答えてしまう俺だった。


そんな時、急に食堂の窓が赤く光ったって思ったら、しばら


くして、カラン(クリスタルマンルビー)さんが入って来た。


食堂に入って来るなり、カラン(クリスタルマンルビー)さん


が言う。


「食事が終わり次第、みんなに話がある」


その言葉にみんなで、


「はい」×9


と返事をし頷くのだった。


(話……って何だろう?)













 食事が終わったので、皆で食堂に座ったままカラン(クリスタル


マンルビー)さんの話を聞く。


「まずは報告……」


と言って、あの後、悪魔達の空中砦を改造し、壊れた南支部の


ギルドと教会の建物に改造するとのことだった。


ただ、悪魔達の空中砦は、下部が尖がった岩の集合体なので、その


まま以前ギルドや教会の建物があった場所には地下施設が残されて


いるので、そこにそのまま設置できないと言うことで、少し北に


外れた場所に大きな穴を掘り、そこにそのまま設置し、教会と


ギルドの地下施設とは転移魔法円でつなぐことになっているとの


事だった。


そして、悪魔しかコントロールできなかったコントロール装置は


現在、建物の中の改造と共にニム博士(クリスタルマン)が、通


常の人間でも扱えるようにしているとのことだった。


「次に、ここからが本題だが……」


とカラン(クリスタルマンルビー)さんが前置きしてから、


「ブランチキャンセラを悪魔達が持っていたため、これまでは、


悪魔対応が後手後手にまわっていたのだが、それをテンタ君が


破壊してくれたので、これからは奴らの先手を打とうと思う」


と言う言葉を聞いたシェリーさんが、カラン(クリスタルマン


ルビー)さんに手を挙げ質問する。


「ルビー柱(はしら)先手を打つとは?」


その言葉にカラン(クリスタルマンルビー)さんが、


「悪魔伯爵シャッキーの本拠地をこちらから急襲する!」


ときっぱりと言うと……。


俺達全員が、


「え―――っ!」×9


と驚きの声をあげる。


「メンバーは、チーム『デビライザー』の4人に、チーム


『ナル』のマカナ(マリーナ)、ナイア(トリン)にテンタ君


、オトアちゃんに私……それと禍龍かりゅうの合計10名


だ」


禍龍かりゅういいですね」


禍龍かりゅうの方を見ててカラン(クリスタルマンルビー)


さんが言うと、禍龍かりゅうはそれに対し\ワン/と吠える。


カラン(クリスタルマンルビー)さんのメンバー発表を聞き、


「えっ、私達が入ってませんけど!?」


と自分達がメンバーに入っていないことを講義するシェリーさん


隣のタミーさんも、


「そうよ、私達だったテンタ君達と悪魔を倒してきたんだから!」


と、カラン(クリスタルマンルビー)さんに抗議するのだが、それ


を聞いたカラン(クリスタルマンルビー)さんが言う。


「いや、今まではブランチキャンセラーの脅威から転生者を守る


……と言う意味で、チーム『ポテンツァ』や、チーム『シエロ』


などのイデア出身の冒険者にも協力してもらっていたが、その


ブランチキャンセラーの脅威がなくなった今、やはりここは戦闘力


の高い冒険者に悪魔退治の協力をしてもらうのが一番だと考えた


訳だ。決して、シェリーちゃんやタミーちゃんの戦闘力が低いと


言う訳ではないが、今までの悪魔男爵、悪魔子爵級と違い、悪魔


伯爵級ともなれば、その配下のベビルデーモン達が使役するレッ


サーデーモンの数が1,000を超え、桁が違い過ぎるって言う


のと、何よりトム(バルジャン)が、心配するだろうと言うのも


あるがね」


とシェリーさん、タミーさんに笑顔で答えるカラン(クリスタル


マンルビー)さんだが、それでも納得いかない顔の2人に、


「トム(バルジャン)は、体力気力とも低下しているんだ、そんな


時に君達に何かあったと聞いたら、トム(バルジャン)は生きる


力を失うかもしれないよ」


と優しく語り掛け、


「トム(バルジャン)が、元気に復帰出来たら考えるから、今回


2人は大人しく留守番って事にしていてくれ」


と続けて、シェリーさん、タミーさんに語り掛けると、2人は


渋々。


「はい」×2


と答えた。


その返事を確認したカラン(クリスタルマンルビー)さんは、


シェリーさんとタミーさんから目線を外し、目線をチーム


『ナル』のマカナ(マリーナ)さん、ナイア(トリン)さん


に向け、


「悪魔を急襲すると言っても情報がほとんどない、クリスタルマンさん


の話だと、恐らく悪魔伯爵シャッキーのアジトは、恐らく


ネシア王国付近の海底にあるだろうとは言っていたが、それ


以上の情報がない……そこで2人にお願いなのだが、


君達のブランチ能力を駆使して、奴等のアジトがある


場所を特定し得くれないか?」


とお願いすると、をチーム『ナル』のマカナ(マリーナ)さん、


ナイア(トリン)さんはその依頼に笑顔で、


「喜んでw」×2


と笑顔で返事を返すのだった。













をチーム『ナル』のマカナ(マリーナ)さん、ナイア(トリン)さん


が今から調査に出かけると言うことで、皆で一緒に浜辺まで移動して


「じゃ、クリスタルマンルビーにみんな行ってきます」


とのマカナ(マリーナ)さんが言うと、カラン(クリスタルマンル


ビー)さんが、


「気を付けてな」


と声を掛ける。


「はいw」


その言葉にマカナ(マリーナ)さん、ナイア(トリン)さんが笑顔


で答え、


「マリーナ!」


「トライデント!」


とブランチ姿に変身する。


マカナさんは、ピンクのウエットスーツ姿になり、ナイアは、


人魚姿に変わり、


\\ザッブーン//


と2人共海の中に飛び込んでいた。


2人の泳ぐ後ろ姿に、


「気を付けて、行ってらしゃ~い」×8


とみんなで手を振り、見送るのだった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る