64話 『高松百貨店』
全員が『
俺と
口々に”ピン”と来ていない俺と
説明する。
あまりに、いっぺんに3人が説明するので、俺と
混乱するが、要はこういうことだった。
『
闘技場(冒険者と魔物の戦闘を見せる)、歌謡ショー、温泉、などの
施設があり、高級リゾート施設だと言うことだった。
最低でも宿泊が、1泊5万クリスタル(100万円)はするらしい。
(なるほど……それはすごい施設だわ、そこに招待されるって訳だから、
そりゃ、喜ぶのも無理はないな)
ただ、問題はお店を閉めなけらばならないって事だが……。
「一生に一回あるかどうかのチャンスなんだから、おーぼん休みっ
てことにすれば、1週間ぐらい店を休んでもいいんじゃない?」
とミリーさんは、『
のだった。
トムさんも、その情熱に圧倒され、
「まぁ、ミリーがそう言うなら……」
と反対はしなかった。
◇
次の日、昨日の話し合いの時にアナさんが、ガイゼルさんに念話で
いつ帰ってこれるか聞いてくれて、ガイゼルさんは3日後に、こちら
に帰って来るとのことなので、『
後の出発と言うことになった。
なので、それまでに、各自が『
備をすることとなったが……。
何を準備したら良いかわからない俺と
さんとタミーさんがレクチャーしてくれることとなった。
喫茶ゴンで、
それにヴィクセンさん達と買い物に出る。
◇
早速、シェリーさんタミーさんそしてヴィクセン(マネージャー)さん
達とお買い物に出る。
聖クリスタル国の中央区、ここは、教会関係と商業の街。
以前お買い物をした北区にも、お店はあるが、それはあくまでも冒険
者向けのお店。
この中央区の商業地域のお店には、この世界のあらゆる品物を扱う
お店が立ち並ぶ。
その中でも一際大きな5階建ての建物『高松百貨店』。
表記も漢字で『高松百貨店』って書いてある。
(これって、日本人にしか読めないだろう)
って思っていたら、漢字の上にこの世界の文字でフリガナが打って
あった。
(なるほどね)
その3階にある『異世界衣料売り場』に向かう。
ここは、要は、元の世界の服なんかが置いてあるんだが、置いてある
と言っても、殆どがオーダーメードなので、お金もかかるが時間もかか
る。
だが今回俺達が購入するのは……水着。
水着はなぜか既製品であるらしい。
(布が少ないからかな?)
みんなで、『高松百貨店』に入り階段で3階の売り場まで上がる。
(エレベーターやエスカレーターがないのはイタイところ)
売り場に着くと、早速……と思ったが、どこにも水着らしいものは
ない。
見本として
……。
(おやおや)
って思っていると、シェリーさんが近くに居た店員に声を掛ける。
「あの~水着を買いに来たのですが……」
と言うと、店員さんはにこやかに
「それでしたらこちらです」
って案内してくれた。
◇
店員さんに案内されたのは、売り場?ってよりバックルーム?的な場所。
真ん中に大きなテーブルがあり……。
「では……」
と言って、奥から出してきた水着をそのテーブルに並べる。
女性用10点と男性用5点。
水着はこれだけしかないようだ。
1点、1点、慎重に品定めをするシェリーさんに、すぐにお気に入りを見
つけ、近くの試着室に飛び込むタミーさんに、ビキニタイプを避け、ワンピ
ースタイプを選ぶヴィクセンさん。
俺も男性用を見てはいるが……、2点は所謂ブリーフと言うかブーメラン
タイプの水着なので却下。
となると……って考えていたら、試着した水着のままタミーさんが試着室から
出てきて、悩んでいる俺に”ほい”って男性用水着を渡してきた。
「!?」
急に水着を渡され驚く俺に、
「テンタ君は、やっぱこの色でしょw」
とにこやかに言うタミーさん。
タミーさんが俺に渡した水着は、サープパンツタイプの赤で黄色の炎の模様が
入っているもの
(何で!?)
って思って、ふとタミーさんを見てみると、黄色いビキニ姿。
(なるほど、コンバットスーツの色ね)
結局、俺はタミーさんの選んだ水着を買わされた……ってか、全員の水着を
俺が買わされたんだけどね。
女性3人に”ウルウル”した目で見つめられ、買わざる負えなかったって
のが、正直なところ。
(心なしかオトアの視線が怖い)
因みに、シェリーさんが選んだのも紫のビキニタイプなんだが……パンツ部
分が、ティーバック型の物だった。
(多分、これだとお尻丸見えじゃないかな?)
で、ビクセンさんが選んだのは、紺色の所謂ワンピース型のもので、お尻の部分
をその場で加工してもらい尻尾を出せるよにしてもらった。
(なんだが、学校のスクール水着っぽいデザインに俺には見えるが……)
それは兎も角、俺の水着の分を入れて4点、それと、3人(シェリー、タミー、
ビクセン)は、泳ぎが得意ではないってことで、浮き輪3個と、それにみんな
で遊ぶようにビーチボール1個も購入。
因みにこの浮き輪とビーチボールの素材は、魔物のオークの膀胱を加工した
ものだとか、触り心地は、ごわごわしたゴムっぽい感じだった。
以上の品すべて合わせて3万クリスタル(60万円)。
(高っけーな!)
◇
買い物が終わり、この建物の最上階の5階に向かう。
この『高松百貨店』ってのは恐らく俺の想像だが、昭和40年ごろの百貨店を
模しているのだと思う。
今から俺達が向かう所も、そんな昭和な百貨店の定番の『大食堂』なのだ。
食堂の入り口脇にある、ディスプレーやメニュー表から、好きなメニューを
選び、食堂入り口に居る店員さんに注文と同時にお金を払うと、『食券』を
発行してくれるので、それをもって食堂内のテーブルに着くと、店のウエイ
トレスさんが、テーブルにサーっと現れ、テーブルに置いた食券を器用に
半分に千切って持って行く。
そして、料理が出来ると、その料理が書いてある残りの半券があるテー
ブルまで運んでくれると言うシステムになっている。
俺達も入り口の店員さんに注文して『食券』を発行してもらうのだが、
ここでもまた、女性3人に”ウルウル”した目で見つめられ……、3人の
分のお金を俺が払うことに……。
(なんか”はぁ”ってオトアのため息が聞こえたような気が……)
で、食券をもってみんなでテーブルに座ると同時に、ウエイトレスさんが、
サーっと現れ、テーブルに置いた食券を器用に半分に千切って持って行っ
た。
そして待つこと数十分、みんなの注文した料理が来た。
俺は、ハンバーグステーキにライスを頼み、
定食。
そして、シェリーさん、タミーさん、ヴィクセンさんの3人が注文したの
は、何んと!『お子様ランチ』。
(ん……それっておこちゃま用だよね)
って心ではツッコみを入れるが、言葉にはしない俺。
因みに3人が注文した『お子様ランチ』の内容は、チキンライスが山形
に盛られ、その上に爪楊枝と紙で作られた国旗が立てられいて、ハンバー
グやエビフライそれにナポリタン、おまけに、ミカンジュースとデザート
にプリンまでが、それぞれワンプレートに乗ったもの。
(まぁ~お得感はあるのかな~?)
◇
買い物と食事を終え、冒険者ギルドや、道具屋に寄ってから、みんなで
家路につく。
この2日後、ガイゼルさんが、聖クリスタル国に着き。
いよいよみんなお待ちかねの『
なる。
出発の前日、まるで、小学生の時の『遠足』の前日のように俺も
も”ワクワク”で、少し寝付けなかったのだった。
◇
『
ールで朝食を取りチームハウスを出る。
前日、いつもなら、自宅からこのチームハウスに通っているミリーさんや
アナさんも、今回はチームハウスに泊り、みんなで、このチームハウスから
の出発となった。
チームハウスの戸締りと、喫茶ゴンの戸締り並びに、『夏季休暇』の張り
紙をしたミリーさんとアナさんが馬車に乗り込むのを見て、トムさんが
「では、出発!」
と号令をかける。
元々うちの馬車は6人乗り。
で、今回は、いつも馬車に乗らない、ミリーさんやアナさんにマネージャ
ーのヴィクセンさんまで乗るので、2人はみ出る(オトアはノーカウント)
ってことで、トムさんと俺は『銀着』と『赤着』し、トムさんは、『バー
バリアン』に俺は『スカイバリアン』に跨り、馬車の前で先導する。
20分ほどで、同じ北区にある冒険者用の転移魔法円に着く。
ここの転移魔法円からまずは東支部の転移魔法円へと跳ぶ。
\ピカッ/
一瞬、床面が光、”ふわ”としたやわらかい風が下から吹いたと思ったら
、俺達は、晋王国の西側にある聖クリスタル国の東支部へと転送された。
◇
この東支部から、『
聖クリスタル国の転移魔法円へ向かう時と同じく、トムさんは、『バー
バリアン』に俺は『スカイバリアン』に跨り、他のメンバーは馬車での
移動。
1時間ほどで、うわさに聞く『
立派な石の門をくぐり、『
馬車を引くレツさん、ダイさんは驚いた。
「うぉ~!」×4(男性陣)
そこに見えたのは、白い大理石で作られたヨーロッパ調の5階建ての
大きな建物の正面玄関。
この『天堂(ティエンタン)』の建物がある晋国は、俺と
が元居た世界の中国に似た国だと聞いていたので、かなりの異質感
がある。
俺達が到着するやいなや、すぐに『
が数人近づいてきて、レツさん、ダイさんを馬車とつなぐ金具を外し、
「馬車はこちらでお預かりいたします」
と言って来たので、馬車に乗るメンバーに、
「みんな着いたぞ、降りろ!」
とトムさんが声を掛ける。
すると、シェリーさん、タミーさんにヴィクセンさんが次々と降り、
次いで、アナさん、ミリーさん、そして最後はガイゼルさんが馬車を
降りる。
「うわぁ~」
「こ・ここがティエンタン!?」
とシェリーさん、タミーさんが驚きながら言い、
「す・すごいですねぇ~」
と感心しながら建物を見るヴィクセンさん。
そして、アナさん、ミリーさんも、
「まんず、すごいなぁ~!」
「さすがティエンタンねぇ~」
と口々に驚きや関心を口にしている。
その間に、
そして、俺と、トムさんにも
「お乗り物をお預かりいたします」
って言って来たので、俺とトムさんは、
「いや、大丈夫だ」
「大丈夫ですよ」
と
って顔をするので、
「リバース!」
「フェードアウト&リバース!」
と言ってゴンバットスーツ姿を解除すると、トムさんのバーバリアン
が”ぱっ”と消える。
それに、
と叫んだ瞬間に、三毛猫が飛び出したのには、数人いる
のうち2人ほどが、腰を抜かせて驚いていた。
(ごめんね、驚かせて)
って思いながら、小槌を出して俺はスカイバリアンを収納する。
その一部始終を別の場所で見ていた
近づいてきて、俺達の周りに居る
「お荷物をお預かりして」
と声を掛ける。
すると、慌てて
「お荷物をお預かりいたします」
と言って来たのだが、俺もトムさんの小槌があるので荷物は持って
いないのに、気づいたのか、
「失礼いたしました」
と言ったかと思うとヴィクセンさんに近づき、
「背中のお荷物をお荷物をお預かりいたします」
ヴィクセンさんからバックパックを預かる。
同様に、レツさん、ダイさんからも背中(馬の背中部分)に載せて
ある鞍状のカバンを外して、預かっていた。
他のシェリーさん、タミーさんは、もとより、ミリーさんやアナ
さんも元冒険者なので俺やトムさん同様の小槌を携帯しているので、
預ける荷物がないのだった。
「どうぞ、こちらへ」
と先ほどの
へと案内してくれるのだった。
◇
2階までの吹き抜けで、正面には全面ガラス張りで、目の前の
海がまじかに見える。
正面に広がる景色を見て、トムさんガイゼルさんが
「おお」×2
と声をあげ、
「なんと!」×2
とレツさん、ダイさんが驚きの声をあげる。
そして、
「すごい」
「きれい~」
と俺と
「うわぁ~!」×3
シェリーさん、タミーさんが声をあげる。
最後に、
「すごい景色ね」
「見たことない景色だべ」
とミリーさん、アナさんが声をあげる中、俺達は、
に続き、入り口から左の真ん中あたりにあるフロントへと足を進める。
俺が、フロントで、例のチケットを見せると、フロントの係の人が、
「
と聞いてくるので、
「はい」
と俺が答えると、そのまま、荷物を持った
「どうぞ、あのもの達がご案内いたしますので」
と言い、その荷物を持った
「どうぞこちらへ」
と俺達に声を掛ける。
俺達は、荷物を持った
だった。
入り口から見て、正面はガラス張りで、海が見え、左側には真ん中にフロント
があり、フロントの入り口側には、階段、そして、奥側には、各フロアに上がれ
る転移魔法円がある、その反対右側もフロント以外は同じ作りになっている。
また、左側地下には、カジノ施設があり、右側地下には、劇場が備え付け
られていて、その他の階は宿泊のための部屋になっている。
俺達は、
5階にあるスイートルームへと上がった。
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