62話 リハーサル
アナさんに抱きかかえられ、頭を撫でられている
言う。
「テンタ君の持ってる制服ではだめですか?」
その言葉を聞いて、トムさんとミリーさんは、2人顔を見合わせて、
「「その手があった」」
と2人して声をそろえて言うトムさんと、ミリーさんに俺が言う。
「しかし、色が黒じゃないですし、礼服と比べて大分雰囲気が違い
ますけど、いいんでしょうか?」
と俺が聞き返すと、
「大丈夫、大丈夫、ネクタイ締めてりゃ、ちゃんとしてるって思うだ
ろうよ」
とトムさんが楽観的に言うが、俺は今一つ納得がいかず、
「でも、こちらの世界の正装とは……」
と俺が言いかけると、手をヒラヒラさせてトムさんが、
「こっちの本当の正装ってテンタ、あれだぞ……カボチャパンツに
タイツ姿だぞ」
っと言われ、俺は少し想像して……首をブルブルと横に振る。
それを見て、トムさんがニヤリと笑って言う。
「なぁ、俺達転生者の俺達はそれを嫌って、わざわざ前の世界の
礼服やスーツを着てるんだよ、だから、こっちの連中にしたら、
そもそも俺達の服装って、変なんだよ、ネクタイさえしてりゃ
異世界の礼服だと思うから大丈夫だ」
その自信ありげな態度に俺は、
「そうですか……ならそれでいいです」
と俺が納得したところで、トムさんが、ミリーさんアナさん達
に言う。
「腹が減った、何んせ急いで帰って来たから、みんな昼飯食べ
てないんだ、ミリー、アナ、何でもいいからみんなに昼飯食わ
せてやってくれ」
その言葉に、ミリーさんアナさんが笑顔で、
「はいw」
「あいよ~w」
と答えてくれるのだった。
◇
「ふぅ~、喰った喰った」
とお腹を押さえて言うトムさん。
で、みんなで、
「「「「「ごちぞうさまでした」」」」」
と手を合わせて言う。
因みに、お昼は喫茶ゴンの軽食をいただいた。
トムさんは、カレーライスを大盛にし、それにカツサンド用のカツ
を乗せカツカレーにしたものを食べ、シェリーさんとタミーさんは、
共に、ナポリタンスパゲッティーとミックスサンドを俺はカレーの
大盛で、
食後、飲み物を飲みながら、少し明日の感謝状贈呈式の話にを
する。
因みに、トムさんと、俺はアイスコーヒーを飲み、シェリー
さん、タミーさんと
飲みながらである。
「ねぇねぇ、パパ、明日のテンタ君の感謝状贈呈式って、感謝状
以外に金一封とか、副賞とかでないのかなぁ~」
と興味津々で聞くシェリーさんに、アイスコーヒーを一口飲んで、
トムさんが
「んっ、そうだな……どうだろうな」
と返すと、横からタミーさんが、
「そりゃ、出るんじゃない、こんなに急に呼び出しといて、紙きれ
1枚だけじゃ~ぁ割が合わないんじゃないの?パパ」
とトムさんに聞くと、トムさんは少し考えて、
「どうだろう、テンタは冒険者だ、冒険者が魔物や悪魔を倒すのは
当たり前って言うか、それが仕事ってこともあるからなぁ~」
その言葉に、シェリーさんが、少し嫌な顔をして、
「えぇ――っ」
って言うと、トムさんがさも当たり前のようにシェリーさんに言う。
「シェリーお前だって、この前レッサーデーモンを倒した時、報酬
をもらっただろう?」
その言葉に、シェリーさんは、
「まぁ、そうだけど……」
と少し不満げにトムさんの言葉に言ううが……。
それを見たトムさんがシェリーさんに少し考えてから、
「しかし、まぁ、わざわざ教会本部まで呼びつけるわてだから、
何もないってのも、考えにくいんじゃないかな」
と答えると、シェリーさんは、途端に
「そうでしょ、そうでしょ」
と喰い気味に言う。
そんなシェリーさんに、トムさんは一言、
「まぁ、いずれにしても、明日になればわかることさ」
と言いながら、飲み終わったアイスコーヒーのコップを、キッチン
に居るミリーさんに渡し、急に俺の方に振り向いて、
「テンタ、明日朝俺も教会まで一緒に行くから、8時30分くらい
には、用意して外で待っていてくれ」
と俺に声を掛けてくれた。
「はい」
と俺が返事を返すと
さらに続けて、
「今日は疲れたろうから、夕食まで部屋でオトアと休んでいろ」
と言ってくれたので、俺と
「「はい、そうさせていただきます」」
と声をそろえて言うのだった。
◇
トムさんに言われ、チームハウス2階にある自分達の部屋に
入る。
うーん、なんか久しぶりの我が家って言うう感じ、まだ、
こっちに来て2か月くらいだと言うのに、なんか不思議な気持
ちになる。
「なんか、久しぶりに帰って来た感じだねテンタ君w」
と
「ああ、そうだな」
と答え、部屋のベッドに座り、俺の肩に載る
のに座る俺の横に下す。
そして、
ただ、
、俺も
何時間寝ていたのだろうか、
\コンコン/
と俺達の部屋の扉をノックする音で目覚めた。
「あっ、はい」
「テンタ君、オトアちゃん、夕食の用意が出来たから降りてきて」
とマネージャーのビクセンさんの言葉に、
「あっ、はい、今行きます」
と返事をし、俺は、
◇
俺と
やソーセージ、『フリテ―レン』と言う一種のカツレツ、ポトフ
みたいなものや、カマンベール、ロックフォールなどの沢山の
チーズ類や、『シュペッツレ』と言うパスタのような料理も並び、
かなり豪華だった。
これは、アナさんが作る『カザード国』(ドワーフの国)の
料理。
まるで歓迎会の時と同じだ。
アナさんによると、
「明日、表彰式なんだべ、なら今日は前祝だよw」
とのことだった。
それぞれ、大人達はみんなエール(ビール)で、シェリーさん、
タミーさんは、レモネード。
俺は、レモネードソーダで、
をそれぞれ手の持ち、トムさんが、
「テンタのA級昇進と明日の感謝状贈呈式に!」
「カンパ~イw」×7
そして、みんなで
「いただきます」
と手を合わせ食事が始まった。
豪華な料理を食べながら、北支部での出来事の話に、花が咲く。
特に、シェリーさんと、タミーさんは、北支部で他の冒険者に
絡まれ、撃退した話やデーモンゴリズリーとの戦った話やら、
はたまた、『カザード国』(ドワーフの国)の鉱山での戦いでの
話やら、手振り身振りを踏まえて、みんなに話す。
その2人の話をトムさん、ミリーさんが目を細めて楽しそうに
聞いているのを見て、俺はふとえも言われぬ寂しさが沸いて来た。
(今頃、父さんと母さんはどうしてるのかな……)
と心でそんなことを思うが、
(でも、俺にはオトアがいるんだから)
と俺の側に居る
だった。
◇
翌朝、5時に起床し、少しだけ喫茶ゴンの仕込みをお手伝い。
で、喫茶ゴンの名物モーニングサービス(コーヒーにトーストと
ゆで卵)をいただき、朝8時には自室に戻り、学生服に着替える。
で、教会本部には、武器が持ち込めないので銃と手裏剣は外し、
コンバットスーツ着用用の楕円のバックル付ベルトはして行く。
この辺がよくわからないが、これは、たぶん転生者がブラン
チに変身できる能力と同じに考えているのかもしれない。
着替えを終え、側に居た
「これで、大丈夫かな?」
俺の言葉に、俺の姿をまじまじと見た
「うん、OKだよw」
と言ってくれたので、
出て階段を降り、チームハウス1階の正面玄関から外に出
る。
しばらくして、空を見上げると、空に銀色に光る物体が、
俺の方に向かってきて、俺の目の前に滑るように着陸し
た。
「おはようテンタ」
「おはようございます」
「おはようございます」
トム(バルジャン)さんと俺と
交わすと、トム(バルジャン)さんが、
「後ろに乗れ」
と自身が跨るバーバリアン(飛行バイク)の後ろを刺し
言う。
「はい」
俺はそう言葉を返して、バーバリアン(飛行バイク)の
トム(バルジャン)さんの後ろの席に跨り、
ないように俺のお腹にしがみ付かせ、俺も左手で
「テンタ、オトア、出してもいいか?」
とトム(バルジャン)さんの言葉に、俺と
「「お願いします」」
と答えると、バーバリアン(飛行バイク)は、”キュイーン”
って感じで空に舞い上がり、クリスタル教会本部を目指した。
◇
教会の前の大通り、早朝とは言えあたりには行きかう人達が
いる中、トム(バルジャン)さんは、バーバリアン(飛行バイ
ク)を教会の目の前に着陸させる。
教会の前を通る人達は、それを”チラッ”とは見るが、殆ど
の人は気にしないで、そのまま普通に歩いている。
バーバリアン(飛行バイク)から、まず
抱きかかえながら、俺が降り、継いでトム(バルジャン)さん
が、バーバリアン(飛行バイク)から降り離れると、バーバリ
アン(飛行バイク)は、自動的に姿を消す。
そして、トム(バルジャン)さんは、
「リバース」
と叫び、宇宙シェリフバルジャンの姿からトムさんの姿に戻る
と、
「じゃぁ、行こうか」
と俺と
「「はい」」
と返事をし、3人で教会正面から教会の中に入って行った。
入り口を入って左手に受付のような所があり、そこのシスター
風の衣装を着た女性に、トムさんが声を掛け、俺をその人の前に
立たせると、
「こちらが冒険者、コードネーム バルバンで、俺はその付き添
いの冒険者、コードネーム バルジャンだ」
と言い、俺に目配せをして、小槌を出させ、自分も小槌をそのシ
スターの前に出す。
「はい、少々お待ちください」
と、スター風の女性は、俺とトムさんから受け取った小槌を何か
機械のようなものに置く。
\ピー/
「冒険者 バルバン様、バルジャン様、確認いたしました」
と言いながら、小槌を俺とトムさんにそれぞれ返し、
「少々ここでお待ちくださいと言って、受付の後ろの廊下に向
かう。
しばらくして、受付の女性が戻って来た。
「お待たせいたしました、どうぞこちらへw」
と受付をすり抜け、受付の後ろの廊下へと案内される。
通路の突き当りに来た時、案内の受付の女性が、
「こちらへ」
と通路右側の扉を開け、転移魔法円のある部屋へと案内さ
する。
そして、転移魔法円を作動させ、俺とトムさんに俺の肩に
載る
る元老院議会室がある地下3階へと向かったのである。
感謝状贈呈式の会場である元老院議会室へ向かう途中に
は、小さな小部屋がいくつもあり、その中の部屋の1つの
前で、案内のシスターが足を止めると、
「しばらく、こちらでお待ちください」
と告げられた。
俺と俺の肩に載る
見ると、日本語で、【バルバン様 控室】と書かれていた。
(わざわざ、日本語で書いてくれたのねw)
◇
控え室に入ると、そこには2人掛けのソファーが向かい合
わせに2脚置いており、その間に低いテーブルが一つ置いて
ある。
俺と
その向かい側にトムさんが座った。
そいて、給仕係のシスターが、お茶(紅茶)を入れてくれ
その給仕係のシスターがさがってしばらくすると、
\コンコン/
とドアをノックする音と共に、
「失礼します!」
と声を掛け、
\ガチャ/
っと扉を開け入って来る、神父さん風の男性。
部屋に入って俺と目が合うと、
「バルバン様、お手数ですが、今から感謝状贈呈式のリハー
サルを行いますので、会場にお越し願えますか?」
と言ってくるので、
「はい、わかりました」
と言って、席を立ち、目の前に座るトムさんに、
上げ渡し、
「では、行ってまいります」
と声を掛けると、トムさんは
「ああ、行ってこい」
と言うトムさんの言葉に、俺は軽く頭を下げ、神父さん風の男性
の後を着いて部屋を出た。
◇
小部屋が並ぶ通路を通り抜け、通路の突き当りにある大きな扉
があるが、その前に警備の人が……ってあれは、CG隊(クリスタルガード)マギアー隊員
じゃないかな?って思っていたら、向こうから、
「ああ、テンタ君、この度はおめでとうございます」
って頭を下げるので、俺も頭を下げ、
「ありがとうございます」
って挨拶をして、部屋に入る。
元老院議会室は、思っていたより小さいって言うか、よく
テレビで見る国会や地方の議会の会議場に比べたらかなり小さい。
おおよそだが、教室2個分を合わせたくらいの部屋。
入り口を入ると、左右豪華な敷布が敷いてある長机が1づつ置いてあり、
正面は舞台になっていて、その真ん中に長机1つ、この机にも敷布が、
敷いてあるのだが、先ほどの敷布よりことらの方がかなり豪華だった。
そして、舞台上にある机の後ろには、五芒星らしきマークがあしらわ
れた国旗らしきものが壁に掛けてある。
そして、左右の机に広くスペースを取った所の中央にポツンと置か
れた椅子が置いてあり、その背もたれには『バルバン様』って紙が
貼り付けてあるので、たぶんそこが俺の席なんだろう。
ここで、俺は、俺をここに案内してきた神父さん風の男性に、
感謝状贈呈式での、俺の動きをレクチャーしてもらうのだった。
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