第3章 禍龍(かりゅう)編

61話 飛び級

北支部に戻った俺達は、悪特隊北支部のメンバー及び、ニム・


アノル博士と料理人のルフーン・アノルさん達と別れ、北支部


に借りている、チームハウスに戻って、丁度晋国から戻って来た


トムさんと、カザード国(ドワーフの国)から戻っていたカイゼ


ルさんに今までの報告をする。


 特に、カイゼルさんには、スカイバリアンに備え付けたミニ


ガンの報告をし、威力性能には問題なかったが、連射による銃身


の焼き付けを報告すると、


「わかった、そこは改良してみる」


と言ってくれて、小槌からスカイバリアンを出し、カイゼルさん


に預けた。


 因みに俺から預かったスカイバリアンを自身の小槌に仕舞う。


(本当、便利だよね)


 次の日、トムさんを北支部のチームハウスに残し、俺と三毛猫オトア


にシェリーさんとタミーさんは北支部にあるギルド会館に、


クエストの報酬と、魔物の素材の換金に、また、カイゼルさんは、


レツさん、ダイさんを伴い馬車で、カザード国(ドワーフの国)


へと向かう。


今回の俺の報酬はと言うと……。


≪クエスト代≫(遺跡調査)


75万タム(約1千500万円)=75万クリスタル(約1千


500万円)で、例によってギルド手数料とチーム手数料が引


かれそして、報酬を俺と、シェリーさんとタミーさんと3人で


分けるので、俺の取り分は、


42万クリスタル÷3=14万クリスタル(280万円)。


で、次に≪悪魔退治≫の報酬は、



・レッサーデーモン×10(@5万クリスタル)(100万)


=50万クリスタル(1千万円)


・ベビルデーモン(セクス)×1=20万クリスタル(400


万円)


・レッサーデーモン×10(@5万クリスタル)(100万)


=50万クリスタル(1千万円)


・ベビルデーモン(クインクゥエ)×1=30万クリスタル


(600万円)


÷2=15万クリスタル(300万円)


・レッサーデーモン×10(@5万クリスタル)(100万)


=50万クリスタル(1千万円)


・ベビルデーモン(クァトゥオル)×1=30万クリスタル


(600万円)


・ベビルデーモン(トリア)×1=30万クリスタル(60


0万円)÷2=15万クリスタル(300万円)


・レッサーデーモン×10(@5万クリスタル)(100万)


=50万クリスタル(1千万円)


・ベビルデーモン(ウーヌム)×1=30万クリスタル(60


0万円)


・レッサーデーモン×1(@5万クリスタル)(100万)


=5万クリスタル(100万)


・レッサーデーモン×5(@5万クリスタル)(100万)


=25万クリスタル(500万円)


・アークデーモン(バンバ)×1(@60万クリスタル)


(1千2百万円)=60万クリスタル(1千2百万円))


ベビルデーモンは、レベルによって微妙に値段が変わるみたい


で、アークデーモンもレベルによって微妙に値段変わるらしい


が、それはあくまで教会が決めた基準らしい。


これに加えて、


≪素材代金≫素材代金


ミノタウロス角1対10体分で50万クリスタル(1千万円)


ヒュドラの毒袋が、これは1個しかないけど、400万クリス


タル(8千万円)が俺の手に入った。


 したがってトータル688万クリスタル(1億3千760万円)


と俺にとってはまたもや天文学的な金額だが……。


とは言え、スカイバリアンやスーツに莫大なお金がかかっている


ので、この数字が多すぎる金額……とは言い切れない。


 隣に居る、シェリーさんとタミーさんも、今回のクエストの報酬


に加え、アルミラージや、ガーゴイルなどの魔物の素材の報酬を受


けて、”ほくほく”な笑顔である。


「テンタ君レベル上がった?」


と突然シェリーさんが俺に聞くが、


「レベル?、ああ、まだ見てないです」


と答えると、タミーさんが、笑顔で俺に言う。


「私達は、レベル4→5に上がったのw」


とタミーさんの言葉に続けて、シェリーさんが言う。


「テンタ君だったら2つぐらい上がってるんじゃない?」


と言うので、俺も冒険者レベルを見ようと、換金所の壁にある小


槌をはめ込む壁へと向かおうとした時、換金所の受付のおねえさん


に呼び止められ、


「ギルマス(支部長)が、お待ちです」


と言われたので、


「あっ、はい」


と答え、正面の受付まで戻り、受付のお姉さんに名前を名乗り、


右横の扉を開けてもらい、通路を通り例の奥の部屋(社長室風)


の部屋に案内され、中に入る。


「失礼します」


\ガチャ/


と、いきなり部屋のソファー座っていたピンクの髪の猫人のミン


スさんが俺に声を掛ける。


「久しぶりだね~テンタ君w」


「あっ、はい無事クエストを終え……」


と言いかけたところで、ミンスさんの視線は俺の肩に載る三毛猫オトア


に向けられ、


「オトアちゃ~ん、元気だった~」


と笑顔で言いながら、ソファーから立ち上がり俺に駆け寄り、俺


の肩に載る三毛猫オトアの頭を撫でていた。


(相変わらずだね……この人)


そこで、俺は恐る恐る聞いてみた。


「あの~、今回はどんな用件ですか?」


と、すると三毛猫オトアの頭を撫でていたミンスさんが、


「んっ?」


と首を傾げ、


「なんだたっけ?」


と俺に聞いてくるので、俺ははっきり、


「わかりません!」


って言い返すと、人差し指を顎に当て、少し考えてから、


「ああっ、そうそう、まず、テンタ君は今回の件で、冒険者


レベルが20つまり、A級になりましたぁ~」


\パチ/、\パチ/、\パチ/


と言いながら拍手をするミンスさんに、俺はポカーンとして


ただ、


「はぁ……」


と言うと、俺の背中を叩きながら言う。


「すごいねぇ~、いきなりA級だよ、A級」


って言って……多分褒めてくれてるんだろうけど……。


そんな俺の様子を見て、ミンスさんが説明してくれた。


 大まかな基準ではあるが、冒険者試験に合格すると


冒険者レベル1をもらえる。


これは大体ゴブリン10体を倒せる力があるとみなされる


らしく、以後、ゴブリン20体もしくはオーク1体相当が


レベル2になるらしい。


で、レベル1~9がC級冒険者と呼ばれ、レベル10~


B級冒険者、そしてレベル20~がA級となり、レベル


30以上が、トムさんやガイゼルさんが嘗て持っていた


S級となるそうだ。


 因みに現在トムさんと、ガイゼルさんは、S級だった


が、一回引退しているので、現在は暫定A級なんだそうだ。


そして、このA級からはギルドに払うクエストの手数料が


3割→1割に引き下げられるそうだ。


その理由として、A級以上になると、受けるクエストの


単価がC級、B級とは1桁も2桁も違うらしい。


で、なんで俺がいきなり2階級も上になったかについては、


今まで、悪魔討伐が多いうえ、結構大物の魔物を倒して、


ギルドの手数料的に貢献したから……らしい。













 一通り説明を聞いて、俺は部屋を、退出しようとして、


「では、失礼……」


と言いかけたらいきなり、


「ああっ、!」


て、何かを思い出したのか叫び、


「肝心なこと言い忘れてるじゃない!」


と言って、俺の背中を


\バシッ/


と叩き言う。


「えーと、明日ね、聖クリスタル国で、式典があるんだけど


それにテンタ君招待されてるから、すぐに本国に戻って!」


それを聞いて、俺は驚き、


「えっ、明日ですか?、そんな急に言われても……」


と言い返すと、


「ほれ」


って、一枚の紙を渡された。


そこには、俺に分かるように日本語で書かれていた。


      【 招 待 状 】


クリスタル歴 98年7月14日


冒険者名 バルバン殿


聖クリスタル国


感謝状贈呈式のご案内


 このたび、アークデーモンを倒したご功労に敬意を表し、下記


の通り、感謝状贈呈式を行います。


 万障お繰り合わせのうえ、ご参加ください。


         記


 日時 クリスタル歴 98年7月15日(水)午前10時から

 


 会場 聖クリスタル国 クリスタル教会本部地下3階元老院議


    会室


「ああ、書いてある……」


と俺が文章を読んでそう言うと、


「でしょw」


と笑顔で返すミンスさんに俺は、


「でも、今日の明日なんてぇ~」


って文句を言うと、


「そんなこと私に言われてもぅ……」


ってあっさり返された。


「兎に角、案内状は渡したからね」


とそれだけ言うと、そのまま奥の部屋へと入って行った。


(なんなんだよ!)















 俺はギルマス(支部長)の部屋を出て、受付の前の戻ると、


受付前で、俺を待っていてくれたシェリーさんとタミーさん


と合流する。


「なんだったの?ギルマスの呼び出しって」


と聞くシェリーさんに、俺は、


「明日、本国の式典に出ろって言われました」


と答えると、


「「えっ、明日~って!?」」


ってシェリーさんとタミーさんが驚き言う。


そして、続けてタミーさんが、


「えっ、ひょっとして呼び出し!?」


「私なんかしたかな……、クリスタル柱とかサファイヤ柱に」


と1人早合点して悩むタミーさんに、俺が、


「いえいえ、タミーさんは関係ないと思います、呼び出しは


俺ですし」


と答え、案内状を2人に見せるが、


案内状を見たシェリーさんとタミーさんは、


「「これ私達、読めないよ~」」


って言われてしまった。


(確かに……)















 北支部のギルド会館から、北支部にある自分達のチームハウス


に戻る途中、俺はふとタミーさんが言った冒険者レベルのことを


思い出し、シェリーさんとタミーさんに言う。


「そういえば俺、冒険者レベルが上がったそうです」


と言うと、


「いくつになったの?」


とシェリーさんが聞き、続けてタミーさんが、


「6から7になった?それとも8?」


と聞いてくるので、


「いえ、レベル20で、A級になったそうです」


と答えると、


「「え――――っ、14も上がったの~!!」」


と2人して驚かれた。


そして、シェリーさんが続けて、


「テンタ君!テンタ君ってB級飛び越えて行きなりA級なの!」


と言うので、俺は


「あっ、はい、らしいです」


と答えると、タミーさんが感心したように、


「やっぱり、パパ達と同じ異世界の人ってすごいんだねぇ~」


と言うのだった。


(いやいや、俺自身は何もすごくないと思いますが……)


タミーさんの言葉に俺は心でそう呟くのだった。













\ガチャ/


”カランコロンカラン”


「「ただいまぁ~w」」


「「ただいまです」」


タミーさんを先頭に、シェリーさん、俺と俺の肩に載る三毛猫オトア


が続き店に入る。


「おお、お帰り~、どうだったんだ?」


とチームハウスの居間で寛ぐトムさんが俺達に声を掛ける。


するとシェリーさんが、トムさんに、


「私とタミーは、レベル4→5に上がったんだけどねw」


と少し嬉しそうに言うと、トムさんが、


「さすが我が娘達だ、着実にレベルが上がってるじゃないか、


この分だとあと数ヶ月でB級も夢じゃないぞ」


とシェリーさんを褒めると、その言葉にタミーさんが、


「誰かさんは、そのB級を飛び越えていきなりA級になったんだ


よ~パパw」


それを聞いてトムさんが、笑いながら言う。


「タミー、それは”ないない”俺達転生者でもそれはないぞ」


その言葉に、シェリーさんとタミーさんが俺の顔を”チラッ”


と見た。


その動きに笑っていたトムさんの笑いが止まり、


「えっ、まさか」


って俺を指さすと、シェリーさんとタミーさんに俺と三毛猫オトア


まで頷くのを見て、


「なんじゃそりゃ!!」


と大声で叫び固まるのだった。


そして、驚き固まるトムさんに、さらにシェリーさんが言う。


「そんなことより、パパ、明日本国(聖クリスタル国)の


式典にテンタ君が出なきゃいけないんだって」


シェリーさんの言葉と同時に、俺は受け取った案内状をトムさん


に見せると……。


「おいおい、急だな……」


言いながら、俺が見せた案内状を読み……。


「なんだ~、本当に明日だな!」


と言うと真顔になり、


「よし、急いで戻るぞ!」


とみんなに号令をかけた。


トムさんの号令のもと、全員で急いで出発の用意をして、すぐさま


北支部の転移魔法円の所まで走って行くのだった。


 2時間後、俺達は本国(聖クリスタル国)の転移魔法円に着いた。


そして、トムさんは着くや否や、この転移魔法円の付近に居る車屋


(犬力車)を2台呼び止め、それにそれぞれ、シェリーさんとタミー


さん、俺とトムさんに分かれ犬力車(犬人が引く人力車)に乗る。


三毛猫オトアは、俺の膝の上。


 皆が乗車したのを確認したトムさんは、車夫(犬人)に言う。


「喫茶 ゴンまでやってくれ」


「「へい」」


犬力車車夫(犬人)達は、トムさんの指示にそう返事を返すと、


犬力車をゆっくりと走らせて行く。













\ガチャ/


”カランコロンカラン”


「今、帰った」


「「ただいま~w」」


「ただいま帰りました」


「ただいまです」


とトムさんを先頭に、シェリーさん、たみーさんに、俺と俺の


肩に載る三毛猫(オトア)が、順に店(喫茶ゴン)に入り声を


掛けると、店の中に居た、ミリーさん、アナさん、ヴィクセンさん


が、こちらに振り返り、


「「「おかえり~」」」


と声を掛け、洗い物をしていたミリーさんが、トムさんの所まで来


て、


「あら、どうしたの?」


ってトムさんに聞いてくる。


「いや、明日テンタが教会本部に行かなくてはならなくなってな」


と言葉を交わしている間に、アナさんが俺の所までやって来て、


俺の肩に載る三毛猫オトアを俺の肩から抱きかかえ言う。


「あっれ、オトアちゃんの声めんこいな~、話せるようになったと


聞いていたんだけんども、こないめんこい声だとは思わなかったべ」


と急いで帰って来た理由も聞かず、三毛猫オトアを撫でることに


夢中になるアナさん。


そんな、アナさんを置いといて、トムさんとミリーさんの話は続く、


「教会本部って、また急に……なんかあったの?」


と問うミリーさんに、トムさんが、


「いや、何もないさ、ただ、テンタの功績を称えるとかで、テンタに


教会から感謝状がでるらしい」


その言葉に、ミリーさんが、少し驚いた顔で、


「あら、それは良いことだけど、教会本部の偉い人の前に出るんだった


ら礼服とか用意しないといけないんじゃないの?」


「そうなんだよ」


とミリーさんの言葉にトムさんが困った顔をする。


「今から、洋服の仕立てって言っても間に合わないわよ」


困った顔をするトムさんにミリーさんがそう言うと、トムさんが、


「俺の礼服直せないか?」


と聞くが、少し考えたミリーさんが、


「うーん、今から徹夜して、間に合うかしら……」


とトムさん同様困り顔をしてるミリーさんに、アナさんに抱きかかえられ、


頭を撫でられている三毛猫オトアが言う。


「テンタ君の持ってる制服ではだめですか?」


その言葉を聞いて、トムさんとミリーさんは、2人顔を見合わせて、


「「その手があった」」


と2人して声をそろえて言うのだった。

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