60話 ソーラージャベリン




「おのれ~!」


ニム・アノル博士と、ルフーン・アノルさんの変身を見て、


唸るように言うバンバデイダラー。


そして、自身の頭上に召喚したレッサーデーモンに言う。


「お前たちはあの小僧をやれ」


その言葉を聞いた100体のレッサーデーモン達は、一斉に


俺に襲い掛かかろうと、地上に居る俺目掛けて降下する。


「「そうはさせん!」」


それを見たクリスタルマン(ニム博士)とクリスタルマン


サファイア(ルフーンさん)は、 降下する100体のレッサ


ーデーモンに向け、それぞれ、必殺のクリスタルフラッシュと


サファイア光線で30体のレッサーデーモンを瞬殺する。


それを見たバンバデイダラーは、


「お前らの相手は我だ!」


と言いながら、クリスタルマン(ニム博士)に右パンチを放つ。


\ドスッ/


ズシンとくるバンバデイダラーのパンチを両手をクロスさせ防


御するクリスタルマン(ニム博士)だったが、パンチの勢いに


負け、後ろの壁にぶち当たる。


\ズバーン/


「グホッ」


と思わず声が漏れるクリスタルマン(ニム博士)。


そして、クリスタルマン(ニム博士)の横で必殺のサファイア


光線の構えをするクリスタルマンサファイア(ルフーンさん)


に対し目から光線を放つ。


『危ない!』


俺のヘルメット内の右モニターに映るオトアが叫ぶと同時に、


オトアは自身がコントロールするリフレクターソーサーを


クリスタルマンサファイア(ルフーンさん)とバンバデイ


ダラーの間に割り込ませ、


\ピカッ/


とバンバデイダラーの目から放たれた光線をそのまま跳ね


返す。


 リフレクターソーサーで跳ね返した光線はバンバデイ


ダラーの左腕に当たる。


\ビシャー/ 


と見る見るバンバデイダラーの左腕の肘から先が石化して


行く。


「ぬっ、オノレ~!」


自身の左腕を石化され激怒するバンバデイダラーだが、


すぐさま、自身の右手で左腕を掴み


「ぬぅお~!!」


と叫び、


\ズボッ/


と左腕の肘から先を引っこ抜く。


\ズンッ/


 引っこ抜かれた左腕の肘から先がすぐさま再生する。


そして、大きく息を吸ったかと思うと、


”ふ~彡”


とガスのようなものを吐きだした。















「レッドバスター!」


”ビシューン”、”ビシューン”、”ビシューン”


\ズキュン/、\ズキュン/、\ズキュン/


”ビシューン”、\ピカッ/、\ズキュン/


地上から上空のレッサーデーモン達に直接または、


リフレクターソーサーに反射させてレッサーデー


モンの死角を突いて攻撃を仕掛ける俺だが……。


レッサーデーモンの中には持っている魔法攻撃無効


の盾で防ぐ者も居たり……ってか、数が多すぎる。


 今だ、5体のレッサーデーモンを倒すのがやっと


と言うところだった。


そんな時、


\ピキピキ/


と警戒音が俺のヘルメット内に鳴り響く。


【ポイズンガス】


(えっ?毒ガス)


って思った瞬間俺のコンバットスーツの自動防御


システムが働き、内部に入る空気を遮断し、コンバッ


トスーツ内で、自動酸素供給機が作動した。


 バンバデイダラーの口から吐き出された毒ガスが、


地下の俺達の居るフロアに充満したようだ。


 コンコンと咳き込むそぶりを見せ、目の光が点滅する


クリスタルマン(ニム博士)と、クリスタルマンサファ


イア(ルフーンさん)だったが、お互い目を合わせたか


と思ったら、おもむろに、2人は互いの必殺光線である


クリスタルフラッシュと、サファイア光線を放つが、


”ピシュー”


\ドッカーン/


\ガラガラ/


2人の放つ光線は、バンバデイダラーではなく、天井の


岩を吹っ飛ばした。


「ふっ、どこを狙っているw」


クリスタルマン(ニム博士)と、クリスタルマンサファ


イア(ルフーンさん)が、放った光線が自身とは関係な


い天井の岩を砕いたことに、失笑するバンバデイダラー


だったが……。


\\ギャー//


\\グァァァッ//


空中に居るレッサーデーモン達の悲鳴が聞こえる。


「な・なんだ!」


レッサーデーモン達の悲鳴に、バンバデイダラーは、


その悲鳴が聞える自身の頭上を見上げた。


すると、天井には大きな穴が開いており、そこから


うっすらではあるが、日の光が差してきた。


「何っ!」


それを見て驚くバンバデイダラーに、クリスタルマン


(ニム博士)が言う。


「バンバ、俺達を倒すのに時間を掛け過ぎたようだな」


その言葉に、


「くぅっ……」


苦虫をかみしめたような顔で、クリスタルマン(ニム


博士)を睨みつけるバンバデイダラー。


 その間にも、65体のレッサーデーモン達は次々と


日の光を浴びて姿を消していった。


クリスタルマン(ニム博士)は、その様子を見て、


バンバデイダラーを睨みつつ、その場で高速で回転をし


始める。


((((((((((((グルグルグル)))))))))))))


すると竜巻が起こり、俺達の居るフロア内に充満して


いた毒ガスを一気に天井に開いた大きな穴へと排出す


る。



「おのれ~!!」


バンバデイダラーは狂ったように暴れだし、クリスタ


ルマン(ニム博士)とクリスタルマンサファイア(ル


フーンさん)にパンチキックを浴びせるが、2人はそ


れを華麗に回避しながら、必殺の光線技を駆使して、


バンバデイダラーに攻撃を仕掛けるが、2人の光線


で損傷してもすぐさま、損傷個所を修復してしまう


バンバデイダラー。


どちらの攻撃も、相手を倒す決め手とは成らず、戦


いは膠着状態だった。


それに、体長120mのバンバデイダラーと身長


40mのクリスタルマン(ニム博士)とクリスタルマ


ンサファイア(ルフーンさん)が、この岩だらけの


地下施設を暴れまわるので、グラグラと地震のように


地面が揺れる。


(このまま、床が抜けるのでは……)


って俺が心配していると、俺のヘルメット内の右モニタ


ーに映るオトアがポツリと言う。


『なぁ~んか、私達忘れられてる?』


その言葉にヘルメット内の左モニターに映るエードラム


様が、


『そうみたいね、じゃ、この間に回復魔法を』


と言って、俺に回復魔法を掛けてくれた。


(うん、全身の痛みが消え、体が楽になった)













 相変わらず、バンバデイダラーとクリスタルマン(ニム


博士)とクリスタルマンサファイア(ルフーンさん)達の


攻防が続いているが……。


俺のヘルメット内の左モニターに映るエードラム様が、


『さて、どうやってあれを倒そうか』


とポツリと言うと、俺のヘルメット内の右モニターに映る


オトアが、


『でっかい大砲で撃ち抜くのはどうかしらw』


と提案してくるが、


「でっかい大砲って言っても、ここの限られた地下空間に


体長120mのバンバデイダラーを一撃で消し飛ばせるほ


どの大砲を出せる場所がないだろう」


と俺がオトアの提案に異議を唱えると、それを受けエード


ラム様が、


『そうねぇ……でも、たぶんバンバデイダラーの体全体を


消し飛ばさなくても、頭だけ消し飛ばせば、倒せると思う


わよ』


と言ってくるので、俺は


「どうしてですか?、バンバの悪魔核を壊せてもデイダラー


の魔核がある限り、デイダラーは体を再生し続けるのでは


無いですか?」


と聞き返すと、


『いいえ、どうやら、バンバがデイダラーに憑依し同化して


るみたいで、バンバの悪魔核とデイダラーの魔核はすでに


融合してるようよ』


その言葉に、オトアが、


『じゃ、頭だけ吹っ飛ばすだけなら……』


と言いかけたオトアに俺が、


「オトア、あれを見て照準が着けられると思う?」


とクリスタルマン(ニム博士)とクリスタルマンサファイア


(ルフーンさん)相手に、飛んだり跳ねたり動き回るバンバ


デイダラーを指さし言うと、


『確かに……だけど、かと言ってあんなに動き回るバンバデ


イダラーの近くまで行って頭を吹っ飛ばすなんて……』


とオトアが俺に言うが、そのオトアに俺は、


「吹っ飛ばす必要はないだろう、悪魔核と魔核はあのバン


バデイダラーの額にあるバンバの顔だろうし……」


と俺が説明しかけると、オトアが、


『って言っても、あれだけ激しく動いてるバンバがデイダ


ラーの頭を吹っ飛ばすのが難しいって、言ってるのにさら


に的が小さい額だけ狙うなんて尚更じゃない?』


と俺に言うので、俺はニヤリと笑いオトアに言う。


「あるよ、奴より素早く動ける方法が……」


『えっ?』


俺の言葉に驚くオトアとは対象的に、エードラム様はすで


に分かったわって表情をする。


『えっ、え?』


と今だ意味が分からないオトアを放置して、俺は左腕のガ


ントレットから突き出しているナイフの柄を掴み、剣では


なく槍をイメージしてすぐさま抜く。


そしてその三俣の槍の柄を両手で持ったまま、


「ソーラージャベリン!」


と叫ぶと、槍の穂先が眩いくらいの光で覆われた。


そして俺は、エードラム様お願いします。


と言って、自身の体のコントロールを手放した。













 俺の体は赤い光に包まれ、地面を蹴る。


そして、光の速さで戦闘を繰り広げるバンバデイダラー


とクリスタルマン(ニム博士)とクリスタルマンサフ


ァイア(ルフーンさん)達の間に割り込み、さらにバン


バデイダラーの顔の前に居た。


「なっ、何じゃ!」


突然、自身の目の前に現れた赤い光の玉に驚く、バン


バデイダラー。


『テンタ君!行くよ』


俺のヘルメット内の左モニターに映るエードラム様が、


そう言うと、俺の体のコントロールを俺に戻す、エー


ドラム様。


 体を包む光が消え、俺に体のコントロールが戻った


瞬間、俺は持っていたソーラージャベリンをバンバデ


イダラーの額にあるバンバの顔に突き立てた。


\\ぐっ、ギャーッ//


顔にジャベリンを突きたてられたバンバの顔が叫ぶ。


(っぐ、浅い)


と俺が思ったのと同時に、俺は落下し始めた。


その時、俺のヘルメット内の左モニターに映るエー


ドラム様が、クリスタルマン(ニム博士)とクリス


タルマンサファイア(ルフーンさん)に言う。


『ニム、ルフーン!あの槍を撃ちなさい』


その言葉を聞いた2人は、すぐさま自分達の必殺の


光線であるクリスタルフラッシュとサファイア光線


を放つ。


”ビシューン”


2人の放った光線は、ジャベリンの柄を通じて、バ


ンバの顔深くにあるバンバの悪魔核とデイダラーの


魔核が融合した核へと流れ込み……。


\\ドッカーン//


バンバデイダラーの頭を吹っ飛ばした。













\ストッ/


俺は地面に着地する。


"ボロボロボロ”


\\ズズズズズ//


頭(バンバ)を無くしたデイダラーの体が崩れて行く。


「おっと」


俺は慌てて、その場を離れた。


「いてててて」


体のあちこちが痛む。


それを見てエードラム様が、俺にもう一度回復魔法を掛


けてくれた。


そして、オトアがフェードアウトし、俺もコンバットス


ーツをリーバースして、元の姿に戻る。


そこへ、リーバース(変身を解いた)ニム・アノル博士と


ルフーン・アノルさんがやって来て、デイダラーの体が崩


れて行くのを見てルフーン・アノルさんが言う。


「なんせ100年前は、俺達5人がかりでも奴を倒すことが


出来ずに、体をバラバラにして封印するのがやっとだったん


だ、なんせ奴は、魔核をも再生してしまうからな」


「えっ、なのに今回倒せたのは……」


俺の疑問に、ニム・アノル博士が言う。


「おそらく、バンバが憑依し、同化したことによって、バ


ンバの悪魔核とデイダラー魔核が融合し、肉体の再生スピ


ードが上がりましたが、その代わり本来のデイダラーの魔


核の再生能力が消えていたのでしょう」


と言うのだった。


(バンバの思惑が外れた……ってことかな)













 ルフーン・アノルさんが、ミノタウロス角一対で5万


クリスタル(100万円)なので、10体分で50万ク


リスタル(1千万円)それにヒュドラの毒袋が、これは


1個しかないけど、400万クリスタル(8千万円)で、


ギルドが引き取ってくれると教えてもらったので、それ


らを回収中だ。


 残念ながら、アポリソマザウルスは、1体350万


クリスタル(7千万円)で、10体分で3千500ク


リスタル(7億円)と、かなり高額でおいしかったん


だけどねぇ~バンバの野郎が天井ぶち抜いて現れて


なけりゃ、それだけの儲けになっていたのに……。


岩の下敷きになって粉々で、回収をあきらめざる負え


ない。


すべての回収を終えた俺は、エードラム様の力により


、みんなの居る遺跡に転送してもらった。


 因みに、ニム・アノル博士とルフーン・アノルさん


は自身のもつ能力により自力で転送し、元の遺跡に戻る。













 俺と三毛猫オトアさらわれて、さぞ、大騒ぎしてる


と思いきや、みんな落ち着き払っていた。


って言うのも、元々悪特隊北支部の隊員たちは、ニム・


アノル博士と料理人のルフーン・アノルさんの正体を


元々知っており、2人がエードラム様に召喚された時点


で、大方のことは察しているようだった。


 なんせ、メギルキャップ曰く、クリスタル教の神2人


が出向いたのだから、俺や三毛猫オトアは大丈夫だろうと


思っていたそうで、俺と三毛猫オトアが予想通り無事


帰って来たことに納得している様子。


(いや~結構、危なかったんだけどな)


 まぁ、悪特隊はいいとして、わがガンブレイブのチー


ムメイトのシェリーさんとタミーさんこの2人はと言う


と、俺と三毛猫オトアが攫われたって事より、ニム・アノル


博士と料理人のルフーン・アノルさんの正体が、あの


クリスタルマンと、クリスタルマンサファイアだと知って、


\キャッキャ、キャッキャ/


と大騒ぎし、今2人にサインをおねだりしている所だ。


(まぁ、いいんだけどね)


で、この後、もう1日だけここの遺跡を調査し、地上に


戻って、この遺跡の入り口を頑丈に封印し、来た道を


3日かけ、北支部に戻るのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る