59話 クリスタルマンとサファイア死す
「ふぅ~、間一髪」
1体のデーモンミノタウロスからの攻撃をからくも、逃れた
俺は空中で胸を撫でおろす。
ふと下を見下ろすと、クリスタルマン(ニム博士)は、
自身の身長40mに対し相手のバンバデイダラーは120m
と自分の3倍の大きさを相手にするため、主に光線技を駆使
して戦っている。
そして、クリスタルマンサファイア(ルフーンさん)は、
必殺のサファイア光線で、デーモンヒュドラの側に居た
デーモンメネアを瞬殺し、光線技で、ギリシャ風の男の
ベビルデーモンを牽制しつつ、デーモンヒュドラ相手に
肉弾戦で戦っている所だ。
「よし、俺も」
俺は、クリスタルマンサファイア(ルフーンさん)と
クリスタルマンサファイア(ルフーンさん)の戦いを
見て、自身を奮い立たせる。
そして、ビームガンを抜き、
「リフレクターソーサー!」
\プシュン/、\プシュン/
と叫んで、2枚の円盤リフレクターソーサーを出すと、
そのコントロールをオトアに任せる。
オトアは、リフレクターソーサーを巧みに操作し、
俺は、オトアが操るリフレクターソーサーを目掛け、
ひたすらビームガンを撃ちまくった。
「レッドバスター!」
”ビシューン”、”ビシューン”、”ビシューン”
俺が放つビームがそれぞれの円盤に当たる寸前、オトア
は円盤の角度を変え,
\ピシャ/、\ピシャ/、\ピシャ/
リフレクターソーサーにビームが反射され、
\ズキュン/、\ズキュン/、\ズキュン/
次々に倒れて行く、デーモンミノタウロス。
中には、自身が持つバトルアックス(両刃大斧)で、
胸を防御しようとするデーモンミノタウロスもいた
ようだが、俺の放つビームは容赦なくバトルアックス
(両刃大斧)ごとデーモンミノタウロスの胸を貫いた。
\\グモーッ//
しかし、デーモンミノタウロスの側に居たクレオパ
トラ風のベビルデーモンは、リフレクターソーサーに
反射して飛んでくるビームを、まるで瞬間移動するか
のようにビームが当たる寸前、サッと消え別の所に
移動する。
『あーん、なかなかあたんない』
と俺のヘルメット内の右モニターに映るオトアが悔し
がる。
デーモンミノタウロス10体を全滅させるものの
今だクレオパトラ風のベビルデーモンには、攻撃を
当てることが出来ないでいた。
そして、地上に居たクレオパトラ風のベビルデーモン
は、言う。
「ふんっ、悪魔男爵バンバ様配下No1のウーヌム
にこんな子供だましの攻撃など通用しませんわよ」
と言うや否や”サッ”と姿が消える。
(んっ?)
と俺がクレオパトラ風のベビルデーモンが姿を消した
のを見て思った次の瞬間。
”シュッ”て感じで、空中でスカイバリアンに跨る
俺の目の前に現れ、持っていたシャムシール(半月刀)
で、俺の頭を切りつける。
\ガッキーン/
「えっ!」
俺は驚いたものの咄嗟に持っていたビームガンを撃と
うとすると、”サッ”と姿が消える。
そして消えたかと思ったら、次の瞬間、また”シュッ”
て感じで、今度は俺の右側に現れ、持っていたシャム
シール(半月刀)で、俺の右から切りつける。
\ガッキーン/
「うっ、このー!」
俺は、今度こそと思いビームガンを構えるが、すでに
ウーヌムと言うクレオパトラ風のベビルデーモンの姿
はそこにはない。
「っくそー」
そして、次は左側、その次は後ろと次々と現れては消え
を繰り返し、そのたびに
\ガッキーン/
とウーヌムの手に持つシャムシール(半月刀)で切り付け
られる俺。
確かに、俺自身のダメージはないとは言うものの、
この攻撃を繰り返されては、コンバットスーツの装甲
が持たない。
って考えていると、俺のヘルメット内の左モニターに
映るエードラム様が言う。
『テンタ君、君の負担になるのはわかっているんだけ
ど……』
と俺に言いかけるが、エードラム様が何をしようとして
いるかを悟った俺は、遠慮気味に言おうとするエードラ
ム様の言葉を遮り言う。
「大丈夫です、エードラム様、体のコントロールを今
お渡しします」
俺の言葉を聞き、
『えっ、そう~お、わかった』
そう俺に返事をすると、俺が手放した俺の体のコント
ロールを受け取ったエードラム様。
一応俺に
『行くよ、テンタ君!』
と声を掛けるので、俺は
「はい」
と返事をした直後、俺は赤い光に包まれる。
俺は赤い光の玉となって、スカイバリアンを飛び出す。
俺が飛び出すと同時に、スカイバリアンが静かに地面に
着陸する。
因みに、トム(バルジャン)さんのバーバーリアンのよ
うに離れると消える仕組みはない。
バーバーリアンの場合トム(バルジャン)さんのブランチ
能力で出しているため、いる時に出し、いらない時は消す
仕組みになっているのだが、スカイバリアンは、ブランチ
能力で、出している訳ではないので、俺が離れた時の安全
装置として、アロムさんがそう言う仕組みを組み込んでく
れている訳だ。
赤い光の玉となり、光速で移動する俺。
その光速で移動する俺の目に、ウーヌムと言うクレオパトラ
風のベビルデーモンの姿が止まっているように見えた。
『思った通り、超加速の能力だったようね』
と、俺のヘルメット内の左モニターに映るエードラム様が
言う。
その言葉にヘルメット内の右モニターに映るオトアが聞く。
『超加速の能力って何ですか?』
その問いに、エードラム様が、
『人間の目には見えないくらい早く移動する能力よ』
と答えると、
『えっ、じゃあ、あのアニメの加速装置のようなもの
ですか?』
と再び聞くオトアだったが、
『うーん、オトアちゃんの言うアニメってのが私には
わかんないんだけど』
と言われ、
『そうですか……』
と言葉に詰まるオトアに対し、
『まぁ、いずれにしてもすごい速さで移動できる
能力ってことよw」
と言い、
『でもね、光の速さよりは遅いって事ね、ほら、
テンタ君止まって見えるでしょ』
とエードラム様が、俺に言うので、
「確かに止まって見えます」
と答えると、エードラム様は、
『一度やってみたかったのよ』
と言うと、
俺の左腕のガントレットから突き出したナイフの柄を
掴み引き出し、剣に変えると、
『ソーラーブレード』
と叫び、右手に持っていた両刃の剣の刃を左手で、根元
から剣先にかけて撫でるように這わすと、剣の刃が眩い
くらい光りだす。
そして、止まって見えるウーヌム向かって
『バルバンクラッシュ!』
と叫び横一文字に切りつけた。
◇
地面に俺は着地すると同時に、俺の体から赤い光は消え、
体のコントロールが戻る。
「うっ……いてててぇ」
体全体がきしむように痛む。
「うっ、何ぃ~!!」
と同時にウーヌムが叫ぶので、俺はさっきまでいた上空を
見上げた。
俺に体を横一文字に切りつけられ、”超加速の能力”
をなくしたウーヌムが、俺に切られたことにやっと気が付
くが、その時にはもう遅く、気が付いた瞬間絶命する。
俺に真っ二つに切られたウーヌム体が、地面へと落ちる。
\ボト/、\ボト/
ウーヌムの体は地面に落ちると同時に、黒い煙を吐きな
がら、やがて消えて行った。
「ふぅ~、やったか……」
俺は、いたむ体を引きづるように、歩き自身の前方を見る
と、そこには、ヘラクレス風の男のベビルデーモンを倒し、
デーモンヒュドラの9本の首のうち、8本まで倒し、力尽
きて倒れるルフーン・アノルさんの姿があった。
「ルフーンさん!」
と俺は叫び、ルフーン・アノルさんに駆け寄ろうとするも、
それを阻むデーモンヒュドラ。
\ピッシャー/
\ジュウ~/
デーモンヒュドラが吐く毒液が俺の足元手前の地面を熔か
していく。
その時、ヘルメット内の右モニターに映るオトアが俺に
言う。
『あのデーモンヒュドラの残った本体の首って、魔法攻
撃無効だったんじゃない』
の言葉を受け、俺はルフーン・アノルさんに駆け寄る
事をやめ、反対側に着陸していたスカイバリアンの方
に走……りたいのは山々だが、体中の筋肉が痛くて、
走れない。
「いててててぇ」
しかし、ここは痛みをこらえて何とか、スカイバリ
アンまで辿り着く。
スカイバリアンに跨った俺はすぐさま上昇し、スカ
イバリアンのフロント部分を左右に開くと、中にある
ミニガンを露出させる。
そして、スカイバリアンの機首をデーモンヒュドラの
方に向ける。
すると、デーモンヒュドラが大きく口を開け、毒液を
俺に向かって吐きかける。
\ピッシャー/
しかし、すぐさまオトアがバリアーを張り、それを防
いだ。
\バッシャー/
その時、オトアが何か気が付いたのか俺に
『次の毒液吐くまで15秒あるよテンタ君』
とアドバイスをしてくれた。
「わかった」
俺は、オトアのアドバイスを受け、慎重にミニガンの
照準をデーモンヒュドラの首元にある山羊の顔に合わ
せる。
『後、10秒・9・8・7』
とオトアが、デーモンヒュドラが次の毒を吐くタイミ
ングをカウントダウンする。
『4・3……』
「軸線に載った!」
俺はオトアがカウントダウンする中そう叫び、ミニガ
ンのトリガーを引く。
”キュイーンキュルキュルキュル”
スピンアップ(空回り)の後、
\\バリバリバリバリ//
\\ズコズコズコズコ//
ミニガンの1500発の弾を全弾デーモンヒュドラの
首元にある山羊の顔にぶち込んだ。
”キュイーンキュルキュルキュル”
スピンダウン(空回り)の後、銃身から煙がでる。
1度に全弾を撃ち尽くしたので、オーバーヒート
したようだ。
だが、幸いデーモンヒュドラの首元の山羊の顔の
所に大穴が開いて、そこから黒い煙が噴き出していた。
やがて、デーモンヒュドラは地面に倒れ消えて行く。
俺はすぐさま、倒れているルフーン・アノルさんの
側にスカイバリアンを着陸させ、ルフーン・アノルさ
んに駆け寄る。
「ルフーンさん、ルフーンさんしっかり」
と叫びながら、ルフーン・アノルさんの体を揺さぶって
いる時だった。
\ピー/
バンバデイダラーと戦っていたクリスタルマン(ニム博士)
が、バンバデイダラーの目から出た光線を浴び、
\ピカッ/
一瞬でクリスタルマン(ニム博士)は石となった。
「ニム博士ぇ~!」
その光景に俺は思わず叫ぶのだった。
◇
「100年前の恨みだ!」
とバンバデイダラーが言うなり、石化したクリスタルマン
(ニム博士)を蹴り飛ばす。
\バキッ~ン/
蹴り飛ばされた石化したクリスタルマン(ニム博士)は、
壁にぶち当たり、
\ドン/
\バラバラバラ/
粉々に砕けた。
「あっ、ニム博士ぇ~!」
と俺は叫んだが、よく見ると砕けた石の残骸から、倒れた
ニム・アノル博士が見えた。
(そうか、やられたのはブランチだもんな)
俺がそう思い、胸を撫でおろしていると、バンバデイダラー
が俺に気づき、
「んっ、猫はどうした」
と聞いてくる。
俺は、そんなバンバデイダラーに、
「お前に言う必要はないだろう」
と突き放す様に言うと、バンバデイダラーは俺をしばらく
見つめ言う。
「ほ~う、その鎧の中に居るのかw」
とにやけた顔で俺に言うが、すぐに顔の表情を変え、
「なっ、何ぃ~エードラム、貴様までそこにぃ!」
と驚き叫ぶ。
そのバンバデイダラーに対し、
『あ~ら、ここに私が居て、何が悪いの~、バンバ』
と言い返すエードラム様。
その言葉に、バンバデイダラーは激高して、
「ええぇ~い!なら貴様もろともこの小僧を消して
やるわい」
と言うバンバデイダラーに対して、
『やれるもんなら、やってみなさいよ』
と強がるエードラム様だった。
◇
「出でよ亡者ども~!」
バンバデイダラーがそう叫ぶと、アストラル体(精神体)の
100体のレッサーデーモンを自身の頭上に召喚する。
「何っ!」
驚く俺に、バンバデイダラーは不敵な笑みで言う。
「俺とこの100体のレッサーデーモンとお前1人で
どう戦う?小僧」
と言うと、俺のヘルメット内の左モニターに映るエードラム
様が言う。
『テンタ君は1人じゃないわ』
と叫ぶ。
その言葉を聞いたバンバデイダラーが少し馬鹿にしたように
言う。
「ほう、肉体を持たぬ、貴様(エードラム)と猫がどうやって
この場切り抜けられると言うのだぁ~」
と、その言葉を聞いて、
「おいおい、俺達が居るのを忘れてないかバンバ」
と声がした。
(ん?)
バンバも俺もその声のする方を見ると、そこには、先ほどまで
倒れていたニム・アノル博士だった。
それを見て、バンバデイダラーが皮肉めいた言葉で、
「先ほど俺に歯が立たなかった貴様が増えたところで、この
状況はかわらんだろう」
とバンバデイダラーの言葉に、俺の目の前で倒れていたルフ
ーン・アノルさんが立ち上がり言う。
「俺も居るのを忘れてないか?」
それを見たバンバデイダラーは、一瞬、顔を引きつらせるも
「たった、3人で何ができると言うのだ!」
少し怒ったように言うと、ニム・アノル博士と、ルフーン
・アノルさんはニヤリと笑い再び変身する。
\ピカッ/
\ディユーン/
◇
何故、ニム・アノル博士と、ルフーン・アノルさんが
無事で、再び変身できるかって言うのは、以前、ディア
教授から受けた説明をもう一度思い出すと、この転生者
が持つブランチ能力(アバターに変身)は、ブランチレ
ベルと言うのがあって、ブランチでの戦闘を経験するこ
とにより、経験値が溜まりればるが上がる仕組みになっ
ていて、レベルによって使えるブランチの数が増えるの
だ。
つまりゲームのライフ(残機)システムのと同じで、
【ブランチレベル】
1~3 ライフ1
4~6 ライフ2
7~9 ライフ3
10Max ライフ5
と使えるライフ(残機)が増える仕組みになっている。
因みに、ニム・アノル博士と、ルフーン・アノルさん
は、ブランチレベル10MAXなのでライフ5と言う
事になる。
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