56話 召喚魔法





「レッドバスター!」


”ビシューン”

 

\ズキュン/


見事、セクスの胸の悪魔核を撃ち抜いた。


\バタン/


頭の再生中のセクスは、その場に倒れた。


 ヘルメット内の左モニターに映るエードラム様が俺に言う。


『倒したわよテンタ君』


その言葉を聞いて、俺は”ほっ”とした。


「サーチャースコープ」


念のため、あたりをサーチしたが、敵はいないようだ。


そんな時、ふとヘルメット内の左モニターに映るエードラム


様が俺に再び言う。


『ここは、地下3階の様ね……』


その言葉に俺がエードラム様に尋ねる。


『それはどういう意味ですか?』


すると、ヘルメット内の左モニターに映るエードラム様が、


『うーんとねぇ、ここが一番下で、地上に上がるには


そこの階段で昇ればいいんだけど……ただ』


その言葉に、ヘルメット内の右モニターに映るオトアが聞く。


『ただ、何ですか?』


『ただね、その階段は各階のフロアを通り抜けないと最上階


には昇れないみたいだね……』


オトアの質問にエードラム様がそう答える。


それを聞いた俺は、


『ってことは……そこに魔物や悪魔が待ち構えてるって事です


か?』


とエードラム様聞くと、


『そうでしょうね』


と答えるエードラム様。


その答えに、ヘルメット内の右モニターに映るオトアが聞く、


『転送魔法で、一気に地上に出ることは……』


するとヘルメット内の左モニターに映るエードラム様が、


『ここで転送魔法は使えない』


と答えた。


その言葉に俺が、エードラム様に


「ここで転送魔法は使えないってどういうことですか?」


と聞くと、


『転送阻害魔法が掛けられてるから』


と答えるエードラム様。


それに対して、ヘルメット内の右モニターに映るオトアが


再度聞く、


『えっ、だってあのバンバとか言うアークデーモンが使って


たんじゃありませんか』


その言葉に、


『それはこの転送阻害魔法をかけたのがバンバ本人だから、


自身が転送するときは術(魔法)を一旦解除したんじゃな


いかな?……でも今はまた転送阻害魔法がかかってるから


私達が外に一気に転送で出ることはできないの』


と俺のヘルメット内で、3人で討論していたら、


\ガシャ/、\ガシャ/、\ガシャ/


と金属がすれる音を鳴らしながらこのフロアから上に昇る


ための階段から、降りてくるフルプレートアーマーの騎士


達。


\ピキピキ/


【デーモングラッヂアーマー】



HP     630+180


MP     320+ 60


運動性   80+ 90


攻撃力   680+140


防御力   900+ 80


命中      85+ 5


回避 70+ 10


×10



 このデーモングラッヂアーマーってのは、元々無念の死を遂げた


フルプレートの騎士の怨念が鎧に乗り移った魔物アンデント


ベビルデーモンが憑依した者らしい。


 因みに、俺のスーツのセンサーは、基本バルジャン(トム)さん


のブランチ能力を模した物なので、魔物や人に憑依した悪魔の能力


は表示されるが、悪魔自身の能力は検知できない。


 また、データーに表示される+の表示は魔物(人)の基本能力値


に悪魔が憑依し、その魔物(人)の基本能力値をブーストさせた能


力であって、悪魔の数値を現しいるわけではない。


 フルプレートアーマーの騎士風の10体の魔物アンデント


引きつれた、先ほど倒したセクスと呼ばれたベビルデーモンに


クインクゥエと呼ばれたフルプレートアーマーの騎士風の男が


階段を下りてきた。


 クインクゥエと呼ばれるベビルデーモンは、俺を見つけるなり、


「遅かったか!」


と悔しがる。


そして、すぐさま自身の前にデーモングラッヂアーマー10体を


整列させると、


「やれ!」


とデーモングラッヂアーマー10体に命令をする。


デーモングラッヂアーマー10体はその命令に右手に剣を持ち


左手に盾を構えて俺目掛けて突進してきた。


「レッドバスター!」


俺は右の太腿装甲版を開きビームガンを取り出し、迫って来る


10体のデーモングラッヂアーマーの1体めがけて撃つ。


”ビシューン”


\パッカーン/


俺の放つビームは見事、1体のデーモングラッヂアーマーの


頭(兜)を撃ち抜き、頭(兜)を吹っ飛ばすが……。


\カンカラカン/


俺に吹っ飛ばされた頭(兜)は地面に転がるが、それでも


デーモングラッヂアーマーは、頭なしの状態で俺に突っ込ん


で来る。


「えっ!」


驚く俺に、ヘルメット内の左モニターに映るエードラム様


が、


『テンタ君、元々グラッヂアーマーは、人の怨念が鎧に憑


依したものなの、だから、鎧の中は空洞よ』


と俺に忠告する。


すると、俺のヘルメット内の右モニターに映るオトアが聞


く、


『じゃ、どうやって……』


その言葉にヘルメット内の左モニターに映るエードラム様


は冷静に俺とオトアに言う。


『どうやってって、よく見て2人とも、デーモングラッヂ


アーマーの胸を!』


俺はそうエードラム様に言われ、俺目掛けて突っ込んで来


る10体のデーモングラッヂアーマーを見る。


「ああ!」


『ああ!』


と俺とオトアが同時に声をあげると、へルメット内の左モニタ


ーに映るエードラム様が、


『そう、胸に山羊の顔が付いているでしょ、そこよそこに悪魔


核があるから』


(兎に角奴らを何とかしないと)


俺は、そう思い、俺に突っ込んで来る10体のデーモングラッ


ヂアーマー達に、


「バルバンパンチ!」


\ドスッ/


「スパークソバット!」


\ドゴッ/


パンチやキックをお見舞いするが、10体のデーモングラッヂ


アーマー達は胸を攻撃されまいと、俺のパンチやキックを持っ


ている盾で防ぐが、俺のパンチやキックで体勢を崩し、


よろける。


 それを見て俺はすぐさま左腕のガントレットから突き出して


いるナイフの柄を掴み、剣をイメージしてすぐさま抜く。


\カーン/、\カキーン/、\カーン/、\カキーン/


俺は.、その剣で10体のデーモングラッヂアーマーに対し、


懸命に切りつけようとするが、10体のデーモングラッヂ


アーマーも持っている剣や盾でそれを受け止め俺の攻撃を


防ぐ。


その時、俺のヘルメット内の右モニターに映るオトアが


言う。


『テンタ君ソーラーブレイド!』


その言葉に俺はすぐさま反応し、


「ソーラーブレイド!」


と叫び、右手に持っていた両刃の剣の刃を左手で、根元


から剣先にかけて撫でるように這わすと、剣の刃が眩い


くらい光りだす。


 そして、一番身近にいた頭のないデーモングラッヂ


アーマーに


「バルバンクラッシュ!」


と叫び袈裟切りで切りつけた。


\\ズバン!//


俺に切りつけられた頭のないデーモングラッヂアーマー


は、上半身と下半身が切り離され、その場に崩れる。


\ドサ/


その様子を見て、他のデーモングラッヂアーマー達は、


一瞬、たじろぐが、持っていた盾でしっかりガードを


硬め再び俺に向かってくるが……。


「バルバンクラッシュ!」


\\ズバン!//


\ドサ/


「バルバンクラッシュ!」


\\ズバン!//


\ドサ/


と袈裟切り、逆傘切り、縦一文字切りと、次々とデー


モングラッヂアーマーを葬る俺。


 あっという間に10体のデーモングラッヂアーマー


倒した俺を見て、驚くクインクゥエ(フルプレート


アーマーの騎士風の男)。


「い・いつの間にこんな力を……」


 しかし、すぐに気を取り直し、


「すごい力だが、俺の無敵アーマーは切れん!」


と言うや否や腰の剣を抜き構える。


 そして、お互い駆け寄り剣を交える。


\カーン/、\カキーン/、\カーン/、\カキーン/


 お互い一進一退の攻防。


時折、俺ボディーにクインクゥエの剣が入るが、


\カキーン/


俺のコンバットスーツが、奴の剣を弾く。


「おのれ~、我と同じ能力か!」


俺に自身の剣が入ったにもかかわらず、弾かれたことに


憤りを感じるクインクゥエ。


 しかし、すぐさまニヤリと笑い言う。


「同じ能力で、互角……なら!」


そう言うと、


「漆黒よりも暗きもの 死と運命を統べる王 汝の暗き


祝福で 我の魂を解放したまえ リィバァレェィシャヌ!」


剣を胸の前に構え呪文を唱える。


すると、”ビヨ~ン”って感じでクインクゥエが二重に見え


たかと思ったら、


\ピッカッ/ 


と光……。


何と2人に増えた。


「えっ!」


驚き一瞬固まる俺。


そんな俺の一瞬の隙を突き、2人のクインクゥエのうちの


1人が俺の後ろに回り、


「「死ね~!」」


2人同時に俺を攻撃してきた。


\カーン/、\カキーン/、\カーン/、\カキーン/


俺も必死でソーラーブレイドで応戦するも、元々剣術を知ら


ない俺、しかも2人同時攻撃をされては、かなりの劣勢


……。


俺のソーラーブレイドでの攻撃はことごとく2人のクインク


ゥエ達の剣に弾かれ、そして、奴等の剣での攻撃を俺は防ぐ


ことが出来ない。


\カーン/、\カーン/


奴らの剣が何度も俺のコンバットスーツを捉える……が、


奴らの剣は決して俺のコーンバットスーツにダメージを


与えることが出来ないでいた。


(……んっ?これってどうなんだ)


って劣勢でありながら思う俺。


そんな時、俺の正面のクインクゥエの突きが俺の腹部に


入る。


\ズン/


\スパンッ/


「ぐぅぅ…」


決して奴の剣が、俺のコンバットスーツを貫いたのわけでは


ないが……。


奴の突きの衝撃が、スーツ内の俺の体に

               

\ズシン/ 


と伝わり、俺は思わず、


”カランカラン”


持っていた剣を地面に落とし蹲る。


そんな俺を見下す様に2人のクインクゥエは言う。


「「おいおい、これからだって言うのに、もう根を上げる


のか?」」


そして、さらに同時に突きの攻撃を俺に浴びせるが……。


\カッキーン/


オトアが俺の周りにバリアーを張りそれを弾いた。


「「なっ、なに!」」


驚く2人のクインクゥエ達。


 しかし、すぐに気を取り直した2人のクインクゥエ達は、


「「これでどうだ!!」」


と言って、すぐさま呪文を唱えだす。


「「無の具現たる深淵よ 闇の炎よ 盟約に従い地獄の炎と


なりて 我が手にある剣に宿り敵を撃て、ヘルフレイム


ソード!!」


すると。2人クインクゥエ達の持つ剣に黒い炎が宿る。


\ボー/


その時、ヘルメット内の左モニターに映るエードラム様


が叫ぶ。


『そうはさせない!』


って言ったかと思うと、俺の体のコントロールを奪い、俺


を立たせたかと思うと、俺の正面と後ろに立つクインクゥ


エ達に向け、掌をかざし、


『ソーラフラッシャー!』


と叫んだ。


すると、


\パシュッ/


眩いばかりの光のフラッシュが放たれ、俺の正面と後ろ


に立つ2人クインクゥエ達に光のフラッシュを浴びせる。


「「なっ、何ぃ~」」


 しかし、光のフラッシュを浴びた俺の正面と後ろに立


つ、クインクゥエ達は、そのまま平然と立っていた。


「「ふんっ、こけおどしが!!」」


 ただ、2人クインクゥエ達が着ていた鏡のように光


っていたフルプレートアーマーが、光沢をなくし、剣


に宿っていた黒い炎も消えていた。


『テンタ君今よ!』


エードラム様が、そう叫び俺の体のコントロールを俺


に戻して叫ぶ。

 

その言葉に、俺はすぐさま地面に落ちていた自身の剣


を拾い


「ソーラーブレイド!」


と叫び、光が消えていた剣の刃を左手で、根元から剣先


にかけて撫でるように這わすと、再び剣の刃が眩い光り


で満たされた。


「チョー」


俺はジャンプ一番、正面のクインクゥエに飛び掛かり、


「バルバンクラッシュ!」


\\ズバン!//


と袈裟切りにする。


「ドブァッ、……っ!」


\ドサ/


俺に切られて倒れるクインクゥエ。


「おのれ!」


と叫びながら、俺の後ろのクインクゥエが、俺に切りかか


るが、俺は正面のクインクゥエを袈裟切りにした低い体制


のまま振り返り、


「バルバンクラッシュ!」


\\ズバン!//


と逆袈裟切りで俺の後ろから切り掛かったクインクゥエを


切り捨てた。


「かはっ…、ば・か・な……」


\ドサ/


俺の後ろから切り掛かったクインクゥエも地面に倒れる。


 倒れた2人のクインクゥエ達は、やがて、体中から黒い


煙を吐き消えて行った。


 2人のクインクゥエ達を倒し俺は、 


「ふ~う」


と一息ついたのだった。















 クインクゥエ達を倒し、手にビームガンを持ち、上につなが


る階段を下から見上げる俺。


すると、ヘルメット内の左モニターに映るエードラム様が言う。


『ん……っ、体長20mの魔物に憑依したレッサーデーモンが


10体に、人間大の魔物に憑依したレッサーデーモンが10体、


それと……ベビルデーモンが2体いるわねぇ~』


と言う。


それを聞いて、ヘルメット内の右モニターに映るオトアが驚き


言う。


『そ・そんなにたくさん!』


 俺も不安になり、エードラム様に聞く。


「倒せるでしょうか……」


俺の問いにエードラム様は、即答で返す。


『無理ね』


その言葉に俺とオトアが驚き、


『「えぇ――っ!?」』


と言うと、ヘルメット内の左モニターに映るエードラムは、


涼しい顔で答える。


『今のテンタ君だと無理っぽいので、応援を呼びますw』


その言葉に、俺とオトアが同時に聞く。


『「どうやって!?」』


俺とオトアの質問に、エードラム様は、


『エッヘン』


と咳払いの真似をして言うと、


『聖なる癒しのその御手よ 我の庇護を受けし者達よ 


我の願いを受けい入れて 我の元へまいれ サモン』


と呪文を唱えると……。


 俺の目の前が明るくなり、やがて2つの光が現れる。


そして、その光がゆっくりと消えると、2人の人が現れ


た。


それも、俺とオトアがよく知る人物……。


1人は、古代文明研究所所長ニム・アノル博士で、


もう1人は、料理人のルフーン・アノルさんだった。


「えっ、何で!?」


『えっ、どうして!?』


俺とオトアは、2人を見て驚くのだった。

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