54話 帝王バンバと悪魔男爵バンバ
「壁の向こうに空洞があります」
悪特隊(北支部)のロークエン隊員の報告に、悪特隊(北支部)の
キャップ(隊長)メギルさんにハル隊員とニム・アノル博士それに
トランプをしていた、俺、
それに料理人のルフーン・アノルさんまでのが、ロークエン
隊員が示す壁の前に集まっていた。
この部屋の壁は、入り口正面奥に俺も見たオトアに似た女神の
絵が掘られていて、その右側の壁はには、人々の生活の様子が
彫られていた。
そして、ロークエン隊員が示す左の壁には、玉座に座る王らし
き絵と、それに使える従者らしき人々の絵が彫られている。
そして、王の絵の上には例のコブラの文様があった。
それらの壁の絵を丹念に見るニム・アノル博士……。
と、おもむろにコブラの文様に触れ……その文様を左に回した。
すると……。
\ズズズズズズッ/
と壁が上に上がて行く。
壁が上に上がると、壁の向こうに部屋があった。
「おお!」×3
それを見た悪特隊の3人は声を上げると同時に、シェリーさん、
タミーさんが、
「お宝w」
「お宝w」
と言いながら誰よりも早く部屋に入って行く……が、
部屋には、棺が1つあるだけで、お宝らしきものが何もない
のを見て、
「な~にもない」×2
と肩をガックリと落とした。
2人に次いで、ニム・アノル博士、悪特隊3人に続き俺と
10畳ぐらいの部屋に大きな棺が1つ。
周りの壁には、楔形文字のような文字がびっしり書かれてい
た。
部屋に入ったニム・アノル博士は、まず、棺に書かれた楔形
文字を読む。
「……ルガル帝国……帝王バ・ン・バ」
その言葉を聞いて、悪特隊のキャップ(隊長)メギルさんが言
う。
「バンバって……」
その言葉にニム・アノル博士は、
「はい、悪魔男爵バンバと同じ名前ですね」
と答えるが続けて、
「しかし、名前が同じと言うだけで、同一かどうかはわかりません」
と答えた。
この部屋を詳しく調べるのに、俺や
シェリーさんやタミーさんは邪魔だろうと思い、自らこの部屋を出て、
再び元の場所に戻り、料理人のルフーン・アノルを含めた5人でトラ
ンプの続きを楽しむのだった。
◇
一通り、部屋の調査を終えたので、夕食を取ることになった。
因みに今日の夕食のメニューは、前菜にはきのこがたっぷり入る
フラン(洋風の茶碗蒸し)冷たい茶碗蒸しって感じだった。
次にスープは、カボチャの冷製スープ。
暖かいスープではなく、冷たく冷やしたスープで、甘くておいしい。
そして、メインは、白身魚のエスコフィエ(フランスのポワレ
に近い)これは、表面を適量の油でカリッと焼き、中はふっくら
とした感じで、冷えてからなら
た。
そして、デザートは、バーント・クリーム。
ルフーン・アノルさんに聞くと、俺達の世界でフランスのデザ
ートのクレームブリュレって言って、カスタードの上面には、
砂糖をグリルやバーナーで焦がしたのと同じものだと言っていた。
「なにこれw」
「パリ、とろ~w」
「おいし~いw」
今回のデザートもシェリーさん、タミーさん
女性陣には大変好評のようだ。
ところで、夕食中にニム・アノル博士から聞いたんだが、ここは、
今から8千年前にあった古代の4大文明の1つ、ルガル帝国の帝王
バンバの墓だそうだ。
ルガル帝国はその8千年前に起こった大地震で人口の3分の1の
人口を失い、その後衰退し滅んだ古代文明だそうだ。
棺を調べた時、悪特隊のキャップ(隊長)メギルさんが、ニム・
アノル博士に聞いた『悪魔男爵バンバ』と名前は同じだが同一人物
かどうかと言うことは、今の所不明とのことだった。
それを聞いた俺も、
(同じ名前だけど、悪魔男爵と古代の帝王が同じだとは思えない)
と思った。
食後、ここではテントを張らず、各自寝袋で就寝することとな
った。
当然、俺の寝袋には
「おやすみ、オトア」
「おやすみ、テンタ君」
◇
------(第三者視点)------☆
テンタ達が1日の遺跡の調査を終え、深い眠りに着いた頃。
テンタ達の居る大陸とは別の大陸の地下深く岩でできた地下城から
、地上に出たダリウス(オトアの体)と悪魔伯爵シャッキー(頭を
覆いつくす蛇の髪、目玉が一つで、体を赤いマントで覆っている
男)が、シャーキーの配下のベビルデーモンであるモルス(死神風
で顔の半分骸骨の男)とアーマー(赤いフルプレートアーマーで、
顔を覆いつくした兜の男)が捕まえてきた、ドラゴンと巨獣達、
それに同じくシャーキーの配下のゾル(ロビンフット風の男)と
ヘル(エジプトファラオ風の男)が捕まえてきた巨人達と、
さらに、同じくシャーキーの配下のファング(マンモスの頭蓋
骨の兜にインディアン風衣装の男)に命じて捉えてきた人間を
すでに融合させていた。
「う……」
「何だこの姿は!」
「いや~!助けて~」
「もとに戻してくれ~!」
それぞれ自身の姿を見て驚き、狼狽え、嘆く人々。
それらの11体を前に、ダリウス(オトアの体)が呪文を唱えだした。
「無の具現たる深淵よ 世界を束ねる古の契約よ 我が名に
従いて悪魔公爵ヤブーとその配下メフィレス、ゼット、 コース、
バルカン、ピッポリト、メドロン、ベダン、カッツ、ダックル、
バットを呼び寄せたまえ~」
すると、
”\\\ゴー///”
と言う音と共に、大地が揺れ地響きが鳴り出す。
次の瞬間!
ドラゴンや巨獣、巨人と同化させられた人々の頭上に、黒い煙と
共に悪魔公爵とその配下のアストラル体(精神体)が現れ、
降りてくる。
そして、一瞬、あたりが静かになったその時、ヤブーと、
その配下のアストラル体(精神体)は、それらと融合した。
全員がダリウス(オトアの体)の前に膝まづくと、その中の1人
の男(ミノカサゴの頭で体は蟹の甲羅状で覆われた男の姿)が顔を
上げ言う。
「お召しにより、只今参上いたしました」
その言葉にダリウス(オトアの体)が言う。
「よくぞ、復活致したヤブーよ」
「ははっ、これよりはダリウス(オトアの体)様の恩ため
、働かせていただきまする」
「うん、頼むぞヤブー」
そう言って、ダリウス(オトアの体)は地下の城に戻って
行った。
それを、悪魔伯爵シャッキーと復活した悪魔公爵ヤブーとその
配下の巨人達が見送ると、悪魔公爵ヤブーに向かって、悪魔伯爵
シャッキー言う。
「ヤブー殿ご復活おめでとうございます」
その言葉に、
「シャッキー殿の御配慮、いたみ入ります」
と頭を下げる悪魔公爵ヤブーに、
「なんのなんの、悪魔公爵ヤブー殿が無事、ご復活なされたのだ、
これで、この私もバンバ殿やゴースン殿同様に、人間界に出れると
言うもの、後はお任せいたす、シャッキー殿」
と声を掛け、さらに
「すでに我が配下にこの魔大陸と彼の大陸を繋ぐ通路を探し出さ
せて居りますゆえ、ダリウス様の護衛と共に彼の大陸に配下の配置
をなされるとよいでしょう」
と告げる。
それを聞いた悪魔公爵ヤブーは、
「おお、それはかたじけない」
と悪魔伯爵シャッキーに頭を下げるのだった。
それを見た悪魔伯爵シャッキーは、
「では、私はこれより彼の大陸に向かいますゆえ」
と言って、\ボワ/っと悪魔公爵ヤブーの前から消えるのであった。
◇
深夜12時を回ったころ。
テンタ達が居るマラフトの森の近くのジグラット地下。
のちにテンタ達の調査で、古代ルガル帝国の帝王バンバの墓と
判明した場所の地下の最下層の部屋。
テンタをはじめ、
団長であるニム・アノル博士、その弟の料理人のルフーン・
アノル、それに、悪特隊(北支部)キャップ(隊長)のメギルや、
隊員のロークエンがぐっすり寝入っている中、唯一見張りのために
起きていた悪特隊の隊員ハルが、持っていた魔法の杖を抱き、ウト
ウト仕掛けていた時だった。
テンタ達が居る部屋の壁の一部がゆがみだした。
”モワ~ン”
すると、ゆがみだした壁から1羽のみみずくが姿を現したかと思うと、
そのみみずくは、徐に羽を広げ羽音1つ立てずに、地下の部屋から
部屋の外へ、そして地下道を上がり地上へと飛びだって行った。
◇
一方、テンタ達が居る古代ルガル帝国の帝王バンバの墓からさら
に北東に行ったところにある、悪魔男爵バンバの新しい拠点では、
「すべての配置が完了いたしました、バンバ様」
「うむ」
悪魔男爵バンバ配下のウーヌム(クレオパトラ風の女)の報告に
頷く悪魔男爵バンバ。
そこへ、悪魔男爵バンバが偵察に使っているみみずくが、バンバの
元へと飛んできて、バンバの右腕に止まった。
そして、バンバの耳元で何かを報告した。
その報告を受けバンバは静かに頷くと、座っていた玉座から立ち
上がり、
「かかったか!」
と一言告げ、
着ているマントを翻し、側に居たウーヌム(クレオパトラ風の女)
に、
「出かけてくる、ウーヌムよ」
と告げる。
「どちらへ……」
と聞く、ウーヌム(クレオパトラ風の女)に、振り返り言う。
「小僧と、あの猫を迎えにじゃ」
とニコリと笑い告げ、そのまま音も立てづに消えた行った。
◇
”ズリズリズリ”
昼間、ニム・アノル博士や、悪特隊(北支部)の面々が調べた
後、蓋を閉め直した空の棺の蓋がずれ開く。
そして、空だった棺から黒い影が出てくる。
その影は、見る見る人の形になり現れる。
現れたのは……悪魔男爵バンバだった。
テンタ達仲間が寝入っている中、唯一見張りのため、起きて
いる悪特隊の隊員ハルも少しうとうととしていた。
悪魔男爵バンバは、その悪特隊の隊員ハルに向け、すかさず
魔法の呪文を唱える。
「我 汝に安息を与え 一時の夢に誘わん……スリープ」
\コトン/
すると、ウトウトしていた悪特隊の隊員ハルも深い眠りへと落ち
る。
ZZzzzz。
悪特隊の隊員ハルが寝入ったのを見た、悪魔男爵バンバは、棺の
部屋を抜け、テンタと
自分の着ていたマントを脱ぎ、テンタと
いる寝袋にそっと掛けた。
すると、マントを掛けられたテンタと
消えたのと同時に、マントを掛けた悪魔男爵バンの姿も
消えるのだった。
◇
テンタ達が居る古代ルガル帝国の帝王バンバの墓からさら
に北東に行ったところにある、悪魔男爵バンバの地下の拠点
の1番最下層の一面岩を削って作っただけの簡素な間(部屋)。
大きさは、大体体育館ほどあろうか……。
その床に、
\ドスン/
とマントにくるまれたであろう人の塊が落ちてきた。
と、同時に、坊主頭に青色い顔つきで、顔に無数のひび割れが
入った容姿の悪魔男爵バンバが同時に現れた。
そこにバンバ配下のクインクゥエ(フルプレートアーマーの騎
士風の男)とセクス(白シャツ吊りバンドの半ズボン姿の男の
子)が、バンバの姿を見て駆け寄る。
「バンバ様」
「バンバさま」
そして、クインクゥエ(フルプレートアーマーの騎士風の男)
が聞く。
「これは……」
クインクゥエの言葉にバンバは答えた。
「例の小僧と猫だ」
その言葉に、クインクゥエとセクスは、そのマントに包まれた
塊をじっと見つめ、セクスの方が、
「あれれ~セプテン達があれだけ苦労してもダメだったのに~
こうもあっさりとぅ~」
言うと、クインクゥエが、
「さすがは、バンバ様です」
とバンバに敬意を払って言う。
しかし、セクスの方がバンバに向かって言う。
「じゃ、ここの仕掛けは要らない……てことですか?」
その言葉に少し笑みを浮かべながら、バンバは、
「まぁ、そうなるな~」
そのバンバの言葉に
「え、えっ、えー―――っ」
と少し驚き、セクスが、
「デーダラの体集めるのに物凄~く苦労したんだよ」
とすねながら言うと、
「これ、セクス、バンバ様に何と言う口の利き方をする!」
とクインクゥエがたしなめるが、
「だって、だって」
とさらに駄々をこねるセクスに、バンバが笑いながら言う。
「はっはっはぁ、確かに無駄と言えば無駄じゃが……、なぁ
にあのデイダラは、もし、クリスタルマン達が小僧達と居た
らと思って用意してもらったまでじゃが……、今回は使わん
としても、今後、ダリウス様がこの世界を統べるには、奴等
(クリスタルマン達)が邪魔になるのは必定なのだ、決して
無駄にはならぬよ、セクス」
そのバンバの宥める言葉にセクスは、
「まぁ、いいけど」
と今だすねた態度で言う。
「これ、セクス!」
それを見てクインクゥエがとがめるが、それをバンバが
「まぁ、よいではないかクインクゥエ」
とセクスをとがめるクインクゥエをたしなめた。
そして、おもむろにマントに近づき、
「では小僧から、猫を剥がすとするか」
とマントに包まれた塊から、マントを剥がそうとする。
その時、不意にセクスがバンバに声を掛ける。
「バンバ様~、小僧の方は……」
その言葉にマントを剥がそうとした手を止め、セクスの方に
振り返り言う。
「ああ、お前の好きにするがよい」
その言葉にセクスは、
「やった~w」
と喜んだ時だった。
マントが包んでいる塊が赤く光ったと思ったら、マントから
急に飛び出し、バンバを突き飛ばした。
\バコッ/
「グァァァッ!」
赤い光に突き飛ばされ、倒れながら叫ぶバンバ。
「なっ!」
「えっ!」
その様子に驚くクインクゥエとセクス。
そして、バンバを突き飛ばした赤い光の玉は、”ヒュー”と
空中に舞い上がったと思ったら、一旦空中に制止し、そして、
バンバ、クインクゥエ、セクスの間にゆっくりと降り立った。
そして、赤い光が消えるとそこには……。
赤いコンバットスーツ姿のテンタが立っていた。
そしてテンタは、
「宇宙シェリフバルバン!」
と叫びながら、ポーズを決めるのだった。
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