53話 本当に、その悪魔はオバカさんですねぇ~w




 俺は、ポイザネスマシュルーム(毒キノコ)の時と同じように


左腕のガントレットから突き出した魔法のナイフの柄を掴み、


引き抜くと同時に、イメージする。


\ピッカ/


すると抜いたナイフが光りながらある物に変化と同時に


俺の背中も光った。


 光が消えると、俺の背中には大きなボンベが2つで、


手には、高圧洗浄機のノズルが握られたいた。


ポイザネスマシュルーム(毒キノコ)の時と同じように


火炎放射器を出して、


「ファイア!」


\ゴー/


と叫びながら、今度は備え付けのトリガーをきちんと引いて、


炎を出した。


 ノズルの先から、細長い炎が出て、次々と、洞窟に潜む


スライム達を焼いて行く。


”キュー”


\ポン/


”キュー”


\ポン/


破裂音と共に、次々と弾けるスライム達。


 このザコキャラを俺1人で倒しには訳が2つある。


1つは、他の悪隊を含む俺以外のメンバーの魔力には限りがある。


では、俺はどうかと言うと……。


【テンタ+オトア+エードラム】(バルバン)



HP   16,500

 

MP     ∞


運動性     600


攻撃力   5,600


防御力   4,000


命中        92


回避 93



そう、今の俺のMP(魔力)は無限なのだ。


他の人と違って、俺はMP(魔力)の消費を気にしなくて良い


って訳。


そして2つ目としては、別にシェリーさんとタミーさんに言わ


れたわけではないが、魔物の素材を換金してからと言うもの、


襲てきた魔物がお金になるかならないかで、2人のやる気が


全然違うのを側にいて感じていた。


なので、空気を読める俺としては、お金にならない魔物を俺が


率先して倒してると言う訳だ。


 通路と言うか洞窟に現れたすべてのスライムを俺が焼き


払い、先を急いだ。














 しばらく、洞窟を進むと、大岩が洞窟を塞いでいる所に出てきた。


「バルバン・パンチ!」


思い切り右ストレートを岩に打ってみた。


\\バッキーン//


”バラバラバラ”


1発で岩が砕ける。


「す・すごい」


「テンタ君すごい」


と俺の後ろに居たシェリーさんとタミーさんが、1発で大岩を砕いた


俺を見て言う。


 だが、シェリーさんとタミーさんの後ろから付いて来た悪特隊の3


人と、ニム・アノル博士や、料理人のルフーン・アノルさんは、何が


起こったのかわからず、少し混乱していたが、俺の代わりにシェリー


さんが、後ろの悪特隊やニム・アノル博士達に説明し、納得したよう


だ。


そして、大岩を排除した俺達は先に進んだ。


『テンタ君、この辺じゃない?』


と俺のヘルメット内の右モニターに映るオトアが言う。


『ああ、この辺りだったな』


と返事してから、後方に居る他のメンバーに言う。


「俺とオトアが転送された場所はこの辺りです」


その言葉に、悪特隊(北支部)メンバーを押しのけ、ニム・アノル


博士が、


「ほう~この辺りに転送されたんですか……」


と言いながら、ライトの魔法で光らせた人差し指の光で、その場所


の地面や、壁、天井を照らして、あたりを観察したが……。


「何の形跡もないですね……」


と一言おっしゃった。


「なんの形跡もない……ですか?」


とニム・アノル博士に聞く悪特隊(北支部)のキャップ(隊長)


メギルさんが聞くと、


「はい」


と返事をするニム・アノル博士に、今度は悪特隊(北支部)の


ロークエン隊員が聞く、


「何の形跡もない転送魔法なんて……」


その言葉にニム・アノル博士が言う。


「確かに何の形跡も残らない転送魔法は、普通では考えられません


が、できないことはありませんよ」


と冷静に言う。


「できないことはない……と言いますと」


と再び悪特隊(北支部)のメギルキャップ(隊長)が聞くと、ニム


・アノル博士がそれに対して、


「自分以外の他の者を……と言うのは私も初めてですが、自分自


身の転送になら、私も聞いたことはありますよ」


と言うニム・アノル博士の言葉に、今度は、悪特隊(北支部)の


ロークエン隊員が驚き聞く、


「自身の転送で!?」


「はい、あなた方も知るクリスタル教の柱達(神々)が使うテレポ


ートの魔法がそれに当たります……、なんでも柱達(神々)が使う


テレポートと言う魔法は、自身がイメージした場所にどこでも瞬間


移動できる魔法と聞いています、まぁ、逆にイメージできない所には


行けないって魔法でもあるらしいですが……」


その言葉に悪特隊の3人は驚いているが、俺や三毛猫オトアは、魔法円


を使っての転移とテレポートの違いにピンと来ていなかったし、


シェリーさん、タミーさんに至っては、まるで理解できないっ


て顔をしていた。


「それで、今回テンタ君やオトアちゃんの転移もそのテレポート


だと……」


と聞き返す悪特隊(北支部)のキャップ(隊長)メギルさんに、


少し考えてから、


「……んっ、そのようですね、出ないと説明が付きませよ」


と答えた。


 大人達が真剣に話をしている中、タミーさんが言う。


「お話中すみませんが……、そろそろ先へ進みませんか?」


その言葉に、ニム・アノル博士が、”はっ”として、


「そうですね、先を急ぎましょう~」


とにこやかに言うのであった。


 俺達は、再び俺を先頭に洞窟内を下って行くのだった。












\ピキピキ/と言う警告音と共に、サーチしたデーターが


映し出された。



【ガーゴイル】


HP    200


MP    150


運動性 100


攻撃力   200


防御力   200


命中      80


回避 60


×1




【ブラット・バット】


HP    150


MP    120


運動性   80


攻撃力   100


防御力   75


命中      80


回避 75


×5


と同時に俺を押しのけて、後方のシェリーさんとタミーさんが


、ガーゴイル達が居る部屋に飛び込んだ。


「「ダブルバスター」」


”ビシューン”


シェリーさんとタミーさんが同時にビームガンを撃つ。


\\ドッカーン//


2本のビームは、ガーゴイルの頭に命中し、ガーゴイルの頭を


吹き飛ばす……。


と同時にタミーさんが叫ぶ。


「みんな耳塞いで~」


その言葉を聞き俺とシェリーさんは、遮音モードに切り替え、他の


悪特隊の3人やニム・アノル博士達は耳を塞ぐ。


天井に向けタミーさんは、左太腿の装甲を開き、デザートイーグルを


左手でさっと抜くや否や発砲した。


\\バキュン//


(((ワ~ン、ワ~ン、ワ~ン)))


(俺達は遮音や耳を防いでいるので反響音は聞こえていない)


”パラパラパラ”


\ボト/、\ボト/、\ボト/、\ボト/、\ボト/


 頭をなくしたガーゴイルの側に気絶したブラット・バットが、


5匹落ちてきた。


それを見たシェリーさんとタミーさんは、素早く


「「リーバース」」


とコンバットスーツを解除し、持っていた小槌からナイフを取り出し、


”ブス”、”ブス”とブラット・バットの心臓にナイフを突き刺し、


止めを刺す。


「「やり~w」」


2人で手をタッチして喜んでいた。


そして、俺の後ろから部屋に入り、シェリーさんとタミーさんに、


「もう、いいでしょうか?」


とニム・アノル博士が聞くと、シェリーさんさんが振り返り、


「あっ、もう少し待ってください、すぐに小槌に収納しますから」


と嬉しそうに答えるのだった。


その様子に俺は、


(本当、2人はお金がかかるとすごいね)


と思うのだった。











紫着しちゃく!」


黄着おうちゃく!」


シェリーさんとタミーさん達が作業を終え、コンバットスーツ姿


になり、この部屋を出た。


 ガーゴイルを倒した広場を過ぎ10分程度歩いた所で、


また、大きな広場に出る。


「ここには魔物はいなかったはず……」


と口にして言うものの、念のため俺は、


「サーチャースコープ!」


広場の隅々までサーチしたが、またもや魔物が全くいない。


「以前と同じく、魔物はいません」


と俺の後ろをついてくる悪特隊(北支部)とニム・アノル博士達


に俺が声を掛けると、悪特隊のハル隊員が、かぶっていた尖がり


帽子を脱ぎ、くるっと裏返し、帽子の中から丸い……バレーボー


ルぐらいの球体をだして、


「皆さん一旦この部屋から出てください」


と言うので、みんなで、通路まで下がった。


 ハル隊員が、みんなが部屋を出たのを確認すると、その球体を


部屋の真ん中へと……。


「えっ、浮かんだよ!」


ハル隊員が手を離すと、その球体は”プカプカ”と空中に浮いた。


そして、ハル隊員が急いで俺達のいる通路まで走って来て、振り


向き、その球体に言う。


「サーチ!」


すると、”ピー”って感じでその球体から四方八方光が出て、


部屋をスキャンした。


 しばらくして、球体からの光が消えると、またハル隊員が急い


で、その球体まで走って行き、球体の表面に出てる文字を読んだ。


「えーっ、ここには、ゾンビ100体と、ミイラ30体が居たよ


うです」


 それを聞いて、俺は、


「それって……」


と俺が言いかけると、ニム・アノル博士が笑顔で言う。


「はい、あの森でテンタ君とオトアちゃんを襲ったゾンビや


ミイラは、ここに居た奴って事ですw」


「でも、何で外に出したんでしょう~」


とにこやかに言うニム・アノル博士に俺が聞き返すと、


博士はこう言う。


「おそらく、ここでゾンビ100体と、ミイラ30体で、テンタ君


を襲っても、次の部屋へ行かず、魔力回復に努めるでしょう~、


だから、各部屋の魔物を魔力回復させながら各個撃破されるより、


ボス戦で消耗させ、転移したところで、襲う方が、あなたの油断を


誘えますしねぇ」


と答えたが、そこに、シェリーさんが口を挟んできた。


「でも、テンタ君のスーツは魔晶石交換型なのにですか?」


そのシェリーさんの問いにニム・アノル博士は、


「知らなかったんですね……悪魔はw」


とさらりと言う。


「でも、あの時、早々に予備の魔晶石交換していたから、


俺の手元にはもう魔晶石が残ったなかった……もし、連続で


戦っていたら、ボス部屋に行く前にスーツは使えなくなってた」


と俺が呟くと、ニム・アノル博士が俺にニコリと笑いかけ、


「本当に、その悪魔はオバカさんですねぇ~w」


と言うのだった。


その言葉に、悪特隊のキャップ(隊長)メギルさんが聞く、


「じゃ、次の部屋には……」


「おそらく、スケルトンナイト、リッチにワイトキングって


事になりますね」


とメギルキャップ(隊長)にニム・アノル博士が答えるのだった。













 俺達は、次の部屋に向かう。


次の部屋でも、悪特隊(北支部)のハル隊員が球体サーチボールを出して、


部屋のサーチを行ったが……。


結果は予想通りで、この部屋には、スケルトンナイト3体、


リッチ2体、ワイトキング1体が、ここに元々いたと言う


結果になった。


 ここで、料理人のルフーン・アノルさんが言う。


「ここらで、お昼にしましょうよ」


(ああ、もうそんな時間なんだ)


料理人のルフーン・アノルさんの言葉にみんな同意して、


ここで、お昼を食べることになった。


「フェードアウト」


「リバース!」×3


俺は、三毛猫オトアと分離と同時に、シェリーさんと


タミーさんと共にコンバットスーツを解除した。


 今日のお昼は”ピンサ”……って要はピザなんだけどね。


トマトソースにアンチョビ、マッシュルーム、タマネギ、


オリーブ、野菜、、ハムが載った具だくさんのピザだった。


 お昼を食べた後、少し休憩してから、再び下へと向かう。


紫着しちゃく!」


黄着おうちゃく!」


赤着せきちゃく!」


そして、


「フェードイン」


 先ほどの広場から洞窟を下ること20分。


洞窟の突き当りに着く。


 洞窟の突き当りには、大きなまるでお城の門のような鉄の


扉があったが、扉は開いたままになっている。


 まず、念のため俺が先に部屋に入り、


「サーチャースコープ!」


部屋の隅々までサーチし、魔物はいないのを確認してから、


皆に部屋に入るように声を掛けた。


俺の


「大丈夫」


と言う言葉を聞いて、シェリーさん、タミーさんに、悪特隊


(北支部)の3人と、ニム・アノル博士に最後は、料理人の


ルフーン・アノルさんが順に部屋に入って来た。


 

 部屋に入ると、早速、悪特隊(北支部)のキャップ(隊長)


メギルさんや、ロークエン隊員にハル隊員は、自身が被って


いる尖がり帽子を脱ぎ、それを逆さまにして、魔法のランタ


ンをだし、部屋のあちらこちらに設置して、部屋を明るくす


ると同時に、そこからいろいろな機械を出していた。


中でもメギルキャップ(隊長)が持つ四角い箱のような機


械は……恐らく写真機、明治時代の箱型でレンズの蓋の開け


閉めで写真を撮るやつのようだ。


 ニム・アノル博士の指示で、壁に描かれている壁画を撮


っていた。


 俺達は暇なので、コンバットスーツを解除し、シェリー


さんが持ってきたトランプをして遊ぶことになった。


 転生者である父親のトムさんや、その仲間のガイゼルさ


んにルールを教わったそうで、「ババ抜き」や「7ならべ」


に「ページワン」などのルールはわかるそうだ。


 因みに、転生者が多く住む聖クリスタル国では、トランプ


は、普通に手に入るんだって。


俺と三毛猫オトアはペアーで、まず、ババ抜きをしたのだ


が……。


三毛猫オトアに宿るエードラム様が、三毛猫オトアを通じて、


念話でババの位置を教えてくれるものだから、3回やって、


3回とも俺と三毛猫オトアが、1抜けをする。


 悔しがるタミーさん……。


 そんな時、料理人のルフーン・アノルさんが、俺達


が楽しそうにトランプをやっているのを見て、自分も


入りたいと言ってきた。


「ルールわかります?」


と俺が尋ねると、


「わかるよ、子供のころから遊んでるから」


と言う。


(何でエルフが子供のころからトランプ知ってんだよ)


っと心では突っ込みを入れるが、声には出さなかった。


 カードを配り終え、”さぁ、これから始めよう”と


した時だった。


 部屋の壁側で機械を操作していた悪特隊(北支部)の


ロークエン隊員が、


「壁の向こうに空洞があります」


と、悪特隊のキャップメギル(隊長)さんに報告すると、それ


を聞いてメギル(隊長)さんと共にニム・アノル博士が、ローク


エン隊員の元に駆け付け、ロークエン隊員が示す壁をじっと見


る。


 俺達も、トランプをやめ、ニム・アノル博士が見つめる壁へ


と駆け寄った。



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