41話  必殺、オトアちゃんボディーアタック!




------(テンタ視点))------☆



 アロムさんと打ち合わせ後、3日が経った。


 再びアロムさんが、ガンブレイブのチームハウス


を訪れ、3枚の設計図と小さなチップを俺は受け取った。


で、代わりに設計料を支払う。


 金額何と!150万クリスタル(3千万円)。


 普通なら、驚く金額だが……今の俺には、それほど驚きはな


かった。


(やはり、大金を手にした余裕か……なw)


 因みに、設計図と共に受け取ったチップは、新しいコンバッ


トスーツのヘルメットにセットしろとアロムさんに言われた。


 その翌日、三毛猫オトア、シェリーさん、タミーさんを


伴い北支部に出発する。


 北支部へは、転送魔法円での移動なので、お昼前には北支部


に到着。


そのまま、北支部にある、仮のチームハウスへ向かい、そこで


俺達が来るのを待っていたケンタウロスのレツさん、ダイさん


と合流するが、一旦その日はチームハウスに泊り、翌日の朝、


早くにカザード国へ向け、馬車で出発した。


 今回は、カザード国なので、北支部の南門からの出発になる。











------(第三者視点))------☆




 テンタ達を聖クリスタル国の外から監視していたセプテン


(ゴスロリ風の姿の女)は、テンタ達が聖クリスタウ国を出国


し、この北支部に入るのを見届けてから、この北支部周辺で


ずっと監視していた。


そして、テンタ達が北支部からカザード国に向け出発するのを


見て、これは好機だと思った。


「出てきた、出てきた、これはチャンスねw」


とほくそ笑み。


「一緒に居るのは、ケンタウロス2匹と、女2人か……、


なら楽勝ジャンw」


「先回りして、あの場所で始末するとしましょう」


”ウフフ”と笑みを浮かべ、物陰からテンタ達を見ていた


セプテンは、\ボワ/と消えるのだった。













------(テンタ視点))------☆



 

6月に入ると言うのに、今日は晴天だった。


 俺と三毛猫(オトア)が元居た日本同様このイデア世界でも


6月は梅雨の時期らしいが、晴天に恵まれカザード国への旅は


順調に進む。


 このままのペースで行けば、夕方にはカザード国は入れる


見込みだったが……。


 2時間ごとの休憩で、丁度お昼の休憩になり、軽く食事を


とり、さぁ、出発しようとした時だった。


 人気のないあたり一面の草原だったが、その遠くに小さく


見える人影……その人影の右側に4つ足の動物?5匹と


その左側には大きな猿人を1匹従えて近づいてくる。


 その人影がどんどん、俺達にと近づいてくる。


 どうやら、真ん中に居るのは、女性の様だ。


「どうしたんだろう~こんな所に女性が1人なんて?」


と俺が口にすると、シェリーさん、タミーさん、レツさん


にダイさん、それに三毛猫オトアもこちらに歩いて


くる女性を見た……。


 その時だった。


≪あれは、悪魔よ、テンタ君警戒して!≫


とエードラム様から言われ、俺は慌ててみんなに叫ぶ。


「みんなぁ~悪魔だ警戒して!」


その言葉を聞いて、レツさん、ダイさんを馬車に繋ごうと


していたシェリーさんは、慌てて、レツさん、ダイさんを


馬車に繋ぐ金具を外し、


紫着しちゃく!」


と言って、コンバットスーツ姿に変身する。


黄着おうちゃく!」


それを見たタミーさんも慌ててコンバットスーツ姿に変身


した。


レツさんは、魔法の剣を抜き、ダイさんは魔法の弓を構える。


そして、俺は、


赤着せきちゃく!」


変身ポーズをとり、べルトバックルに取りつけた、楕円の


金属板が光る。


と同時に俺の体が赤い光に包まれ、俺は、赤いコンバット


スーツ姿になるとすぐに、


「宇宙シェリフバルバン!」


と再びポーズを決めるのだった。


 全員が戦闘態勢をとる中、エードラム様から、俺に


指示が飛ぶ。


≪ケンタウロス2人はあの右の狼5体を迎撃、


シェリー、タミーは、左側の獣1体を迎撃、そして、


テンタ君、オトアちゃんと私は真ん中のベビル


デーモンをやるわよ!≫


「はい!」


俺はそうエードラム様に返事をし、エードラム様の指令


をみんなに伝えると。


「「わかりやした、兄い!」」


とレツさん、ダイさんが返事をし、


「うん、了解テンタ君」


「うんわかった」


シェリーさんとタミーさんも頷きながら了承の返事を


くれた。


それを確認した俺は、


「オトア、俺達も行くぞ!」


と声を掛けると、それに三毛猫オトアも頷き、


「チョー!」


「ニャー!」


一緒にジャンプし、真ん中のベビルデーモンの所まで


向かうが……。


(あれ?オトア、ジャンプ力……俺と同じになったの!)


と俺と同じ高さ距離で、俺の横を跳ぶ三毛猫オトアを見て


驚く俺だった。














------(第三者視点))------☆




 ケンタウロスのレツとダイは、ケンタウロスお得意の


ダッシュ力で、セプテンの右側に居る狼らしい魔獣の


右に回り込み横から攻める。


 レツとダイが今まさに戦おうとする魔獣は、本来、


ガルムと言う4つ目で体長2mの大狼なのだが、それ


にセプテンが配下のレッサーデーモンを宿らせ、デーモン


ガルムに姿を変えた魔物だった。


 顔は山羊で、体が狼と言う姿。


 本来のガルムの攻撃は、噛みつき、爪による引き裂き等だが、


レッサーデーモンを宿らせたことにより、これに魔法攻撃が


加わっている。


 距離を取るレツとダイに、距離を詰めようと走り出すデーモ


ンガルム達。


 しかし、それを冷静に見て取ったダイは魔法の弓を構え、


弓の弦を引く、


”ギリギリギリ”


と、魔法効果により氷の矢が形成される。


「フリーザーアロウ―!」


と叫ぶダイは、弦から手を放し、


”ピシュン”


矢を放つ。


その矢が、レツとダイに迫って来るデーモンガルム5体のうちの


真ん中のデーモンガルムの脳天に命中する。


\ズボッ/


 矢が命中すると、


\パキパキパキ/


とデーモンガルムが凍り付いた。


それを見た他のデーモンガルム達は、慌てて左右に散会する。


 凍り付いたデーモンガルム目掛けレツが突進し、持っている


炎をまとった剣で、


\シュパッ/


デーモンガルムの首を刎ねた。


 2手に分かれたデーモンガルムを追って、レツとダイも2手


に分かれる。


 ダイは、デーモンガルム2匹を追いかけながら、魔法の弓を


構える。


 しかし、それに気づいたのか1匹のデーモンガルムが足を


止め振り向き、山羊の角から電撃を放つ。


\\バリバリバリ~//


と次の瞬間、ダイは弓を構えたまま、華麗に自身に放たれ


た、電撃を右に避け、そのまま氷の矢を放つ。


「フリーザーアロウ―!」


”ピシュ”


\ズボッ/


\キャイン/


ダイが放った氷の矢は見事、デーモンガルムの脳天に刺


さった。


\パキパキパキ/


矢を脳天に刺されたデーモンガルムはたちまち凍り付く。


そして、凍り付いたデーモンガルムに追いついたダイはその


まま華麗にジャンプし、着地と同時にデーモンガルムの頭を


後ろ足で蹴り飛ばし、デーモンガルムの頭をもぎ取った。


\\バッキーン//


そしてすぐさま、もう1匹のデーモンガルムを追いかけるダイ。


ダイに追いつかれそうになった、もう1匹のデーモンガルムは、


逃げるのをやめ、その場でくるりと向きを変えると、ダイに向


け口から炎を吐く。


\ボー/


 しかし、ダイはそれをジャンプでかわし、炎を吐くデーモン


ガルムを飛び越えると、くるりと反転し、デーモンガルムに向


け氷の矢を放つ。


「フリーザーアロウ―!」


”ピシュ”


\ズボッ/


\キャイン/


ダイの放った氷の矢は、見事デーモンガルムの肩口に命中し、


デーモンガルムは、\パキパキパキ/と凍り付いた。


それを見たダイが素早く近づき、先ほど同様にくるりと体を


反転させ、デーモンガルムの頭を後ろ足で蹴り飛ばし、


デーモンガルムの頭をもぎ取った。


\\バッキーン//


 一方、レツの方は、2匹のデーモンガルムを追いかけながら、


炎をまとった剣を思い切り振りぬく。


「ファイヤーブレード!」


\ボー/


剣から放たれた炎の刃は、逃げるデーモンガルムの1匹を捉え真っ


二つに切り裂いた。


\シュパ/


真っ二つになるデーモンガルム。


するともう1匹のデーモンガルムがくるりと向きを変え、口から


炎を吐きながらレツの方に突進してくるが……。


炎を口から吐くデーモンガルムの炎を魔法の剣でからめとり、


「そーら、これはお返しだ~ファイヤーボルト!」


と叫んで、そのまま剣を振り切り、火柱にしてデーモンガルム


に向け放った。


\ボー/


\キャイン/


レツの放った火柱は、こんがりとデーモンガルムを焦がすの


だった。












 そのころ、シェリーとタミーは、大きな猿人と対峙していた。


この猿人……そもそも、顔が熊で体がゴリラと言ういで立ちの


魔物ゴリズリーと言うのだが、これもガルム同様、セプテンが


配下のレッサーデーモンを宿らせ、デーモンゴリズリーに姿を


変えた魔物だった。


 本来のゴリズリーと言う魔物の攻撃は、噛みつきと鋭い爪に


よる引き裂き……


それに加え、ドラミングと言って胸を叩いての音波攻撃があるが、


レッサーデーモンを宿らせたことにより、魔法攻撃も加わる。


 本来、頭が熊なのだが、今はレッサーデーモンが、宿っており、


頭が山羊になっている。


「あれはゴートモンキーかな?」


とタミーがシェリー聞くが、シェリーは真顔でそれを否定する。


「何言ってるの?、そんな魔物はいないわよ」


「なら、あれは何なのよ」


とシェリーに聞くタミーに


「わかんないわよ、とにかく攻撃よタミー」


とタミーに言うと2人はお互いのビームガンを抜き、


「「W(ダブル)バスター!」」


”ビシュー”


と2人同時にデーモンゴリズリーの左胸の1点にビームを集中させ


撃つが、


\\ビッシャ//


とビームが跳ね返される。


「「えっ、跳ね返した~!!」」


それを見て驚くシェリーとタミー。


\\ウホー//


デーモンゴリズリーは、そんな攻撃は聞かないと言わんばかりに


雄たけびを上げ、胸を叩き始める。


\\ウホ、ウホ、ウホ//


\\ドンドンドン//


「「キャー!!」」


超音波攻撃を受け、2人は耳を塞ぎ蹲る。


\ペキペキペキ/


蹲りながらも、シェリーはタミーに言う。


「このままじゃ、コンバットスーツが壊れる~!」


「うーっそんなこと言ってもこの音何とかしないとお姉ちゃん」


シェリーの言葉にタミーがそう言い返すと、


「あっ、……遮音よ遮音、タミー」


とシェリーがタミーに言う。


「んっ、えっ……っーあ、そうか!」


そうタミーが言うと、2人はコンバットスーツの聴覚を遮断した。


そして、今の攻撃でシェリーは気づく。


「こいつ、ゴリズリーよタミー」


「えっ、何ゴズリー!?こいつが」


と聞き返すタミーに、


「この攻撃はゴズリーしかいないわ」


そのシェリーの言葉を受けタミーが、


「確かにこの攻撃はゴズリーかも」


そう言うと、2人はお互いの顔を見合わせ、ジャンプする。


「「ヤー!!」」


ジャンプして、デーモンゴリズリーのドラミングの範囲の外に出


た2人。


そして、シェリーは、自身のビームガンをタミーに手渡し、右の


腰の装甲版から、ビームのムチの柄を取り出し、


「パープルウイップ!」


紫色に光る光のムチをだす。


そして、その光のムチで、デーモンゴリズリーの左足にビームの


鞭を絡めると思い切り鞭を引っ張った。


急に左足を引っ張られたデーモンゴリズリーは、バランスを崩し、


その場に倒れた。


\\ドスン//


そこをすかさず、タミーが両手に持ったビームガンで、デーモン


ゴリズリーの右足の裏の1点を攻撃する。


”ビシュー”


\ズキュン/


2本の黄色と紫色のビームは、デーモンゴリズリーの右足の裏から


貫通し、デーモンゴリズリーの心臓近くにある悪魔核を破壊した。


\\グギャ!//


デーモンゴリズリーの目、鼻、口とあらゆる穴から黒い煙が黙々と


立ち上り、やがてデーモンゴリズリーは動かなくなった。














------(テンタ視点))------☆




 そのころ俺と三毛猫オトアは、ベビルデーモンの


セプテン(ゴスロリ風の姿の女)と戦っていた。


 セプテン(ゴスロリ風の姿の女)は、呪文を唱える。


「漆黒よりも暗きもの汝の暗き祝福で 日の光を覆い


尽くせダーククラウド」


すると黒い雲が上空を覆いつくし、あたりが暗くなっ


てきた。


 これは、以前のデケムと言うベビルデーモンが使っ


た”ダーククラウド”と言う技で、人間やその他の魔


物などに受体した悪魔は日の光を浴びても、平気だが、


アストラル体(精神体)であるレッサーデーモンは、


日の光に弱いため、それを防ぐために、一時的に日の


光を遮る黒雲を発生さる。


 空が黒雲に覆われあたりが暗くなってくる。


 さらに、セプテンが指を、


\パチン/


と鳴らすと、セプテンの周りに4体のレッサーデーモンが


現れる。


俺は即座にビームガンを抜くと、連続で、


「レッドバスター!」


”ビシュー”、”ビシュー”、”ビシュー”、


”ビシュー”


\ズキュン/、\ズキュン/、\ズキュン/、


\ズキュン/


\\\グァァァッ///


俺が放つ赤い光線が次々とレッサーデーモン達を瞬殺する。


それを見たセプテンが俺に言う。


「中々やるじゃないw」


と言いながら、両手から黒いリボン状のものを出し、


\ピシャーン/


\バシ/、\バシ/


セプテンが両手から出した黒いリボンが俺を弾く。


「ぐぅぅ…]


俺は倒れそうになるも、何とかその場に踏ん張った。


そして、再び、


「レッドバスター!」


”ビシュー”


と赤い光線をビームガンから放つが、それをセプテンは、


再び手から出した黒いリボンで


\\バシャン//


と弾く、セプテン。


「ふんっ」


そして俺の攻撃を鼻で笑うセプテン。


「なら、」


そう言って俺は、ビームガンを仕舞い、代わりに腰の装甲版


から、ビームソードを取り出し、セプテンに切りつけるも、


\\ビシッ//


と、それをまた、黒いリボンで受け止めるセプテン。


それを見た俺は、


「くそっ!」


と言葉を吐き、


「リーバース」


コンバットスーツを解除するや否や、脇のホルスターから銃を


抜き撃つ。


\\バキュン//、\\バキュン//、\\バキュン//


 しかし、それもセプテンが体中から出す黒いリボンに俺の


打った弾はすべて絡み取られ防がれてしまう。


\\カッキーン//、\\カッキーン//、\\カッキーン//


それを見るや俺は素早く自身の体制を低くして、セプテン


の短いスカートから見える白い生足に向け、赤い☆手裏剣を


2つ投げるが……。


その狙った生足から黒いリボンが生えてきて、手裏剣を


受け止めてしまった。


\バシ/


「なっ、何!」


驚く俺に、セプテンは微笑みながら言う。


「ホーホホッ、あなたの攻撃はすでにすべてお見通しよw


日向天太!」


「おとなしく、愛しの猫ちゃんの前で無残に死にな」


と悪魔らしい顔で、凄みのある声で言うセプテン。


その時、三毛猫オトアの中に居るエードラム様から、


≪テンタ君、もう一度、赤着してあれに攻撃を≫


と念話が入る。


≪しかし……≫


と俺がためらうも、


≪いいからいいから、このエーちゃんにお任せあれw≫


とすっごーい軽いタッチで言うエードラム様。


「なら、」


俺は1言そう言うと、再びコンバットスーツ姿に変身する。


赤着せきちゃく!」


変身ポーズをとり、べルトバックルに取りつけた、楕円の


金属板が光る。


と同時に俺の体が赤い光に包まれ、俺は、赤いコンバット


スーツ姿になるとすぐに、


「宇宙シェリフバルバン!」


と再びポーズを決める。


それを見た、セプテンは、笑いながら言う。


「ホーホホッ、あなたって本当、懲りない子ねw」


その言葉を聞いて俺はすぐさま、ビームガンを取り出し、



「レッドバスター!」


”ビシュー”


\\ビッシャ//


「レッドバスター!」


”ビシュー”


\\ビッシャ//


「レッドバスター!」


”ビシュー”


\\ビッシャ//


と何度もセプテン(ゴスロリ風の姿の女)に攻撃を加えるが、


すべて、黒いリボンに防がれ……挙句、その無数のリボンに


腕や足を捉えられ、身動きできなくなってしまった。


その様子に、セプテンは再び笑い、


「ホーホホッ、このままねじ切ってくれるわ!」


と笑顔から悪魔の形相に変わり言う。


 その時だった。


三毛猫オトアの体が急に光に包まれる。


そして、光に包まれた三毛猫オトアが、セプテン目掛け


ダイブする。


「必殺、オトアちゃんボディーアタック!」


\\ボスッ//


光に包まれた、三毛猫オトアの体はセプテンの背中を突


き破り、腹を突き抜ける。


「かはっ…」


セプテンは口から黒い血を吐き言う。


「そ・そんなぁ……あの猫にこんな能力があるなんて……」


\\ドサ//


その場に崩れ去るセプテン。


やがて、体中の穴から黒い煙を吐き、セプテンは消えて行った。


 セプテンが消えると同時に、空の黒い雲が消え、もとの青空


に変わった。

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