39話 いくら宇宙シェリフだからって
次の日、朝早くに起きてオートミールで簡単な朝食を済
ませ、ここの北支部を離れ、本国の聖クリスタル国に向
かう。
ここの本国に帰ると言っても、すぐまたここに戻るので、
北支部のでのチームハウスは、借りたままにすると、トム
さんが言っていた。
転送魔法円で本国、聖クリスタル国に着いたのは午前9
時ごろか、そこで一旦、ホームのチームハウスに戻る。
\ガチャ/
”カランコロン”
「「ただいま~w」」
元気よく喫茶ゴンの扉を開け言うシェリーさんとタミーさん。
続いて、トムさんとガイゼルさんが続き、
「今帰ったw」
「戻ったよぞ」
と声を掛ける。
「「お帰り~w」」
明るく出迎えるミリー(トム妻)さんと、アナ(ガイゼル妻)さん。
そこへ、俺が
「ただいまもどりました」
「ただいまですw」
と声を掛けると、ミリーさんは真っ先に跳んできて、俺を”ギュ”っと
抱きしめ言う。
「無事だった~、よかった~」
俺はミリーさんに抱きしめられ、
(なんか俺の、かーさんと同じ匂いがする)
と思っていると、ミリーさんは俺の肩に載る
から抱きあげ同じように抱きしめた。
そして、
「オトアちゃんも無事でよかったわw]
その間に、ミリーさんが俺から離れたのを見たアナさんが、俺をミリー
さんと同じように抱きしめ言う。
「心配してたべ」
(うーん、ミリーさんと同じ行動だが、見た目小学生のアナさんだと
……抱きしめてもらってると言うより、俺にしがみついてるって感じ)
って俺は思うのだった。
◇
トムさんが、ミリーさんとアリーさんに俺と
経緯やその後のことについて、説明するため、2階のトムさんの執務室
にミリーさんとアリーさんを連れて向かう。
その間、ガイゼルさん、シェリーさんにタミーさんが店番をする。
俺と
に向かうのだが……。
協会に向かおうと店を出たところで、ケンタウロスのレツさんに呼び
止められる。
「兄ぃ~、ねーさんどちらへ?」
「えっ、ああ、教会に」
と俺が言うと、
「それじゃ、送って行くぜ、背中に載ってw」
と、おっしゃるが……。
「いいですよ、歩いて行きますから」
と断ると、
「何を言ってんだい、俺と兄ぃの中じゃないか載ってくれ」
と言われ、
「じゃ、まぁ、遠慮なく」
と言って、レツさんの背中に載り、聖クリスタル教会の本部
に向かう。
このレツさんの言葉遣い、気にはなるんだが……これ、例の
魔法アイテムをレツさんやダイさんにあげてから始まった。
レツさんだけでなくダイさんまでも同じ呼び方になった。
俺のことは、テンタ、
今までのように呼んでくれっていくら言っても聞いてくれ
ない。
確かに2人にあげた魔法の剣と弓は、時価相場で5千クリスタル
(1千万円)はくだらないらしいが……。
俺としては自分達(俺とオトア)が使えないから、トムさんに
お願いして、たまたまトムさんが2人にあげた……
だけなんだけどな。
◇
教会の地下にある悪特隊本部の向かいの部屋に入る。
前回同様、そこには、白衣を着たエルフが3人。
その1人の黒髪のエルフの女性に、俺は、声を掛ける。
「ディア教授、お久しぶりですw」
「あら、テンタ君wお久しぶりと言うか、2人とも
大丈夫だった?」
とディア教授の言葉に俺と
「はい、おかげさまで」
「大丈夫だったです」
と言葉を返した。
すると、何やらレポートを出し、
「えーと、オトアちゃんエードラム様と合体してからその後は
何か変化ある?」
と
それに
「はい、なにもw」
その言葉に、ディア教授は俺の肩に載る
おでこに手を当て、
「熱はない?、体調は?」
と聞いてきたので、それに対しても
元気よく、
「はい、大丈夫ですw」
と答えた。
「そう」
とレポートを見ながら答え、
「じゃ、念のためもう一度、数値を計りましょうねぇ」
そう言って、俺の肩から
前回同様、テーブルの上にある小さな丸い台に載せる。
\ガチャガチャ/
機械音が聞こえ……。
モニターらしきスーチを見てディア教授が、俺達に向か
って言う。
「そうね、北支部で測った数値とおんなじねぇ」
と言うや俺を見て”そこに立って”って目線を送って
来る。
俺は、黙ってこれまた前回同様、人1人が、かろうじて
載れる丸い台の上に載る。
\ガチャガチャ/
再び機械音が聞こえ……。
俺の数値が出たみたい。
見せてもらうと、
【テンタ】テンタ
HP 90
MP 35
運動性 40
攻撃力 45+700(手裏剣等)
防御力 45+300(魔革)
命中 75
回避 45
(うーん、魔力その他の数値が微妙だが上がって
いるのかな?)
◇
「「ありがとうございました」」
2人でディア教授にお礼を言う。
すると教授はにっこり笑って、俺達に言う。
「なんか体に変化があったらここに来なさいよ~」
その言葉に俺と
「「はーいw」」
と返事をして部屋を出た。
教会本部の正面玄関を出ると、
「兄ぃ~、ねーさん!」
とレツさんに声に掛けられる
(えっ、ひょっとして待っててくれたのか?)
(あれほど帰りは歩いて帰るって言ってた
のに……)
「どうぞぅ~w」
と自身の背を指し言うレツさん。
(本当は、オトアとどっかでお昼食べようと思ってたのに)
と思いながらも、満面の笑みでこちを見るレツさん。
仕方ないので、
「お言葉に甘えて」
と俺がレツさんの背に乗り……ガンブレイブのチーム
ハウスに戻るのだった。
◇
\ガチャ/
”カランコロン”
「ただいまもどりました」
「ただいまですw」
俺と
「おかえり~」
アナさんが忙しそうに動いている中、俺達に返事を返して
くれた。
それに少し遅れて、フライパンを持ったままで、厨房から顔を
出し、
「あら、早かったわね~」
とミリーさんが顔を出し言う。
「はいw、レツさんが送り迎えしてくれて~」
と、
「あら、よかったじゃないw」
とミリーさんは言うが、俺は少し困り顔で、
「何とかなりませんか、ミリーさん」
と言うと、
「何がだねぇ~」
とアナさんが聞いてくるので、
「いや~、僕のこと兄い~って呼ぶし、オトアのことは、
ねーさんて呼ぶし、何よりもすごく僕達に気を使って
くっれて~」
と言うと、アナさんは真顔で、
「ええでないかい」
と返してくるが、俺がさらに
「いや、元々僕達はここの居候の身ですし、何よりレツさんダイ
さんって僕達より年上ですしねぇ~」
言うと、ミリーさんが”クスクス”と笑い、
「まぁ、まぁ、アナの言う通りいいじゃなぁい……あの子達、
テンタ君からもらった魔法の武器がよほどうれしかったのよ~」
と言われ、さらにアナさんが、
「そーだべ、魔法の武器なんて一流の冒険者でないと手に入る物
じゃねーべしな」
と言われて、俺は半ばあきらめ気味に言う。
「そーですか……」
そんな俺にミリーさんが言う。
「そんなことより、テンタ君、オトアちゃん、お昼まだだったん
なら何かここで食べて行きなさいよ……って言ってもご飯ものは
作れないけどねぇ~」
その言葉に
「えっ、もうご飯売り切れ~ですか!」
「だって、まだお昼を少し回った時間んですよ~」
「そうなのよ……」
と言って、アナさんと2人で、店の中央に4人掛けのテーブル
に1人”ドッカ”と座る緑髪に髭のドワーフを見た。
「「えっ!」」
俺と
ではなく……。
そのドワーフの前に置かれたものに驚いたのだった。
「あっ、あれって……」
と俺が口に仕掛けた時、アナさんが言う。
「あれは、グランライジャー専用の特製ギガ盛カレーだべ」
「「ギガ盛~!!」」
アナさんの言葉に、目を見開き言う俺と
俺達が見たものは、テーブルに置かれた大皿……と言うより、
タライ!?の中に山のように積みあがったご飯に、海のように
そそがれたカレーだった。
これには訳があって、元々ここは冒険者チーム
『ゴライジャー』のチームハウス。
当然この喫茶『ゴン』も『ゴライジャー』チームの物だった。
丁度、シェリーさんとタミーさんが、冒険者になるにあたり、
新しいチームハウスをトムさんが探してたおり、そのタイミング
で、冒険者チーム『ゴライジャー』の面々が東支部のギルマスに
なることになり、ここを手放すことになったんだが、この喫茶
『ゴン』を続けると言う条件で、このチームハウスを手に入れ
たそうだ。
そして、ここ喫茶『ゴン』のメニューのほとんどのレシピは、
『ゴライジャー』のメンバーでもあるグランライジャーが考え
たもの。
レシピをそのまま引き継ぐに当たり、グランライジャーさんが
出した条件って言うのが、このグランライジャー専用の特製
ギガ盛カレーを、グランライジャーが訪れた時に出すってのが
条件だったらしい。
(それは仕方ないな)
なので、俺と
厨房前のカウンターでそれを食べた。
◇
夜、喫茶『ゴン』閉店後、ケンタウロスのレツさんダイさん
を含めたガンブレイブ全員集まり、閉店後の喫茶『ゴン』で、
アナさんの手料理(カザード国の家庭料理)をみんなで
いただいた。
その時、チームリーダーのトムさんが言う。
「みんな、食べながらでいいから聞いてくれ」
それぞれ口に料理を運びながら、トムさんの言葉に頷く。
「以前、今後のスケジュールについて話していたと思うが、
今日、具体的なスケジュールと一部変更があったんで、
みんなに報告する」
と前置きをして、
「えー、まず具体的な日程として、2日後、テンタ!」
と俺の名前を呼ぶので返事する。
「ふぁ~い(はい)」
丁度大きめのソーセージを口に入れたタイミングで言われ
たので、変な返事になった。
”ゴクリ”
無理やりソーセージを飲み込み、改めて返事する。
「はい、何でしょうトムさん」
その俺の返事を待ってトムさんが言う。
「今日、アノル博士にあって言われたんだが、2日後、
アノル博士が、お前に例のナイフを返しに来る」
(えっ、あの人アルセダイン王国の古代文明研究所所長
なのになぜこの聖クリスタル国に居るんだろう?)
と疑問に思いつつも、
「あっ、はい」
と答えた。
「あっ、それとその次の日……だから3日後だな、
バンダムチームのアロムが、テンタのコンバットスーツ
のことで訪ねてくるから、テンタはもとより、ガイゼル、
オトアも体を開けておけ」
その言葉にガイゼルさんは黙って頷き、俺は
「はい」
と答えたが、
「えッ、私も~ですか」
と驚き
トムさんは”当たり前だろう”って顔で言う。
「オトア、お前の体にはエードラム様が宿ってるんだ。
そして、エードラム様と話せるのはお前とテンタだけだし、
それもお前がテンタの側に居てこそだろう」
と理由を聞かされ、納得したように
「ああ、そうでした」
と言う。
そして、
「ガイゼル、アロムのコンバットスーツの設計の日程を
聞いて、設計ができる前に、先にカザード国に言って、
製作の下準備を頼む」
とガイゼルさんに言うと、ガイゼルさんは、一言。
「わかったw」
と言って手をあげる。
そして今度は、ケンタウロスのレツさんダイさんに
向かって言う。
「レツ、ダイは、ガイゼルと同行してカザード国へ行って
くれ、そして、ガイゼルをカザード国に送り届けたら、
すぐに北支部のチームハウスに戻り待機、のちにテンタ達が、
設計図を持って、北支部に着いたら、テンタ達を連れてもう
一度カザード国に送り届けてくれ」
トムさんの話に頷き
「「わかりやした」」
と答えるレツさんとダイさん。
そこへ、タミーさんが聞く。
「お父さん~私達は?」
その言葉にトムさんは、
「もちろん、シェリーとタミーはテンタとオトアに同行し
てもらうが……」
と言いかけると、シェリーさんが聞く。
「もらうが……何よ、お父さん」
そのシェリーさんにトムさんが言う。
「ただ、北支部からカザード国に向かう道中、俺が居ない
からな~」
と言うトムさんに、シェリーさんでなくミリー(トムの妻)
さんが聞く、
「あなた、いないってどういうことですぅ~」
ミリーさんに言われ、少し言いにくそうに言う。
「実はな、俺は明日、東支部に行かねばならなくなった」
その言葉を聞いたミリーさんが驚きトムさんに聞き返す。
「まぁ!急にどう言うことです?」
疑問に思うミリーさんにトムさんは、
「実はな……今日、ギルドマスター会議があるからアロム
に会えるだろうと思って、会議が終わったころを見計らい、
ギルド会館に言ったら、チーム『ゴライジャー』のリーダー
サンライジャーに呼び止められ、頼まれちまったんだよ~」
その言葉にミリーさんが聞き返す、
「なにをです」
ミリーさんの問いにトムさんは、
「最近、東の晋王国、北晋王国、南晋王国で、大量の人間が
神隠しと言うか、行方不明になる事件が発生しててな、その
捜査を手伝ってほしいって……俺でなきゃできないとまで言
われてなぁ~」
と言うとタミーさんが聞く、
「行方不明事件に何でお父さんが?」
そのタミーさんの問いにトムさんは一言。
「俺のブランチが宇宙シェリフ……つまり宇宙保安官だから、
捜査に適任だって」
「「「え――っ!!」」
驚くミリーさん、シェリーさんそしてタミーさん。
(わかるわかる、そんな理由でって俺も思う)
と俺は思いながらも何も言わなかった。
結局、トムさんがシェリーさんとタミーさんに言いたかった
ことは、自分が居ないので、北支部からカザード国道中や、
万が一ダンジョンに入ることにもなりかねないので、俺と
おけって事だった。
そのため後で、マネージャーのヴィクセンさんに冒険者学院の
闘技場を学院が使わない時間借りれるよう交渉を指示していた。
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