39話 いくら宇宙シェリフだからって






 次の日、朝早くに起きてオートミールで簡単な朝食を済


ませ、ここの北支部を離れ、本国の聖クリスタル国に向


かう。


 ここの本国に帰ると言っても、すぐまたここに戻るので、


北支部のでのチームハウスは、借りたままにすると、トム


さんが言っていた。


 転送魔法円で本国、聖クリスタル国に着いたのは午前9


時ごろか、そこで一旦、ホームのチームハウスに戻る。


\ガチャ/


”カランコロン”


「「ただいま~w」」


元気よく喫茶ゴンの扉を開け言うシェリーさんとタミーさん。


続いて、トムさんとガイゼルさんが続き、


「今帰ったw」


「戻ったよぞ」


と声を掛ける。


「「お帰り~w」」


明るく出迎えるミリー(トム妻)さんと、アナ(ガイゼル妻)さん。


そこへ、俺が三毛猫オトアを肩乗せ店に入り、


「ただいまもどりました」


「ただいまですw」


と声を掛けると、ミリーさんは真っ先に跳んできて、俺を”ギュ”っと


抱きしめ言う。


「無事だった~、よかった~」


俺はミリーさんに抱きしめられ、


(なんか俺の、かーさんと同じ匂いがする)


と思っていると、ミリーさんは俺の肩に載る三毛猫オトアを俺の肩


から抱きあげ同じように抱きしめた。


そして、


「オトアちゃんも無事でよかったわw]


三毛猫オトアの頭を撫でながら言う。


その間に、ミリーさんが俺から離れたのを見たアナさんが、俺をミリー


さんと同じように抱きしめ言う。


「心配してたべ」


(うーん、ミリーさんと同じ行動だが、見た目小学生のアナさんだと


……抱きしめてもらってると言うより、俺にしがみついてるって感じ)


って俺は思うのだった。













 トムさんが、ミリーさんとアリーさんに俺と三毛猫オトア救出の


経緯やその後のことについて、説明するため、2階のトムさんの執務室


にミリーさんとアリーさんを連れて向かう。


 その間、ガイゼルさん、シェリーさんにタミーさんが店番をする。


 俺と三毛猫オトアはと言うと、その間に聖クリスタル教会の本部


に向かうのだが……。


 協会に向かおうと店を出たところで、ケンタウロスのレツさんに呼び


止められる。


「兄ぃ~、ねーさんどちらへ?」


「えっ、ああ、教会に」


と俺が言うと、


「それじゃ、送って行くぜ、背中に載ってw」


と、おっしゃるが……。


「いいですよ、歩いて行きますから」


と断ると、


「何を言ってんだい、俺と兄ぃの中じゃないか載ってくれ」


と言われ、


「じゃ、まぁ、遠慮なく」


と言って、レツさんの背中に載り、聖クリスタル教会の本部


に向かう。


 このレツさんの言葉遣い、気にはなるんだが……これ、例の


魔法アイテムをレツさんやダイさんにあげてから始まった。


レツさんだけでなくダイさんまでも同じ呼び方になった。


俺のことは、テンタ、三毛猫オトアのとはオトアって


今までのように呼んでくれっていくら言っても聞いてくれ


ない。


 確かに2人にあげた魔法の剣と弓は、時価相場で5千クリスタル


(1千万円)はくだらないらしいが……。


俺としては自分達(俺とオトア)が使えないから、トムさんに


お願いして、たまたまトムさんが2人にあげた……


だけなんだけどな。













教会の地下にある悪特隊本部の向かいの部屋に入る。


前回同様、そこには、白衣を着たエルフが3人。


その1人の黒髪のエルフの女性に、俺は、声を掛ける。


「ディア教授、お久しぶりですw」


「あら、テンタ君wお久しぶりと言うか、2人とも


大丈夫だった?」


とディア教授の言葉に俺と三毛猫オトアは、


「はい、おかげさまで」


「大丈夫だったです」


と言葉を返した。


すると、何やらレポートを出し、


「えーと、オトアちゃんエードラム様と合体してからその後は


何か変化ある?」


三毛猫オトアに聞いてきた。


それに三毛猫オトアが、元気よく答える。


「はい、なにもw」


その言葉に、ディア教授は俺の肩に載る三毛猫オトア


おでこに手を当て、


「熱はない?、体調は?」


と聞いてきたので、それに対しても三毛猫オトアは、


元気よく、


「はい、大丈夫ですw」


と答えた。


三毛猫オトアの元気な返事を聞いたディア教授は、


「そう」


とレポートを見ながら答え、


「じゃ、念のためもう一度、数値を計りましょうねぇ」


そう言って、俺の肩から三毛猫オトアを抱き上げ、 


前回同様、テーブルの上にある小さな丸い台に載せる。


\ガチャガチャ/


機械音が聞こえ……。


モニターらしきスーチを見てディア教授が、俺達に向か


って言う。


「そうね、北支部で測った数値とおんなじねぇ」


と言うや俺を見て”そこに立って”って目線を送って


来る。


俺は、黙ってこれまた前回同様、人1人が、かろうじて


載れる丸い台の上に載る。


\ガチャガチャ/


再び機械音が聞こえ……。


俺の数値が出たみたい。


見せてもらうと、


【テンタ】テンタ


HP     90

 

MP      35


運動性 40


攻撃力   45+700(手裏剣等)


防御力 45+300(魔革)


命中     75


回避 45



(うーん、魔力その他の数値が微妙だが上がって


いるのかな?)












「「ありがとうございました」」


2人でディア教授にお礼を言う。


すると教授はにっこり笑って、俺達に言う。


「なんか体に変化があったらここに来なさいよ~」


その言葉に俺と三毛猫オトアは元気よく、


「「はーいw」」


と返事をして部屋を出た。


 教会本部の正面玄関を出ると、


「兄ぃ~、ねーさん!」


とレツさんに声に掛けられる


(えっ、ひょっとして待っててくれたのか?)


(あれほど帰りは歩いて帰るって言ってた


のに……)


「どうぞぅ~w」


と自身の背を指し言うレツさん。


(本当は、オトアとどっかでお昼食べようと思ってたのに)


と思いながらも、満面の笑みでこちを見るレツさん。


仕方ないので、


「お言葉に甘えて」


と俺がレツさんの背に乗り……ガンブレイブのチーム


ハウスに戻るのだった。













\ガチャ/


”カランコロン”


「ただいまもどりました」


「ただいまですw」


俺と三毛猫オトアがそう言うと、


「おかえり~」


アナさんが忙しそうに動いている中、俺達に返事を返して


くれた。


それに少し遅れて、フライパンを持ったままで、厨房から顔を


出し、


「あら、早かったわね~」


とミリーさんが顔を出し言う。


「はいw、レツさんが送り迎えしてくれて~」


と、三毛猫オトアが言うと、


「あら、よかったじゃないw」


とミリーさんは言うが、俺は少し困り顔で、


「何とかなりませんか、ミリーさん」


と言うと、


「何がだねぇ~」


とアナさんが聞いてくるので、


「いや~、僕のこと兄い~って呼ぶし、オトアのことは、


ねーさんて呼ぶし、何よりもすごく僕達に気を使って


くっれて~」


と言うと、アナさんは真顔で、


「ええでないかい」


と返してくるが、俺がさらに


「いや、元々僕達はここの居候の身ですし、何よりレツさんダイ


さんって僕達より年上ですしねぇ~」


言うと、ミリーさんが”クスクス”と笑い、


「まぁ、まぁ、アナの言う通りいいじゃなぁい……あの子達、


テンタ君からもらった魔法の武器がよほどうれしかったのよ~」


と言われ、さらにアナさんが、


「そーだべ、魔法の武器なんて一流の冒険者でないと手に入る物


じゃねーべしな」


と言われて、俺は半ばあきらめ気味に言う。


「そーですか……」


そんな俺にミリーさんが言う。


「そんなことより、テンタ君、オトアちゃん、お昼まだだったん


なら何かここで食べて行きなさいよ……って言ってもご飯ものは


作れないけどねぇ~」


その言葉に三毛猫オトアが驚きミリーさんに聞く。


「えっ、もうご飯売り切れ~ですか!」


「だって、まだお昼を少し回った時間んですよ~」


三毛猫オトアの言葉に、ミリーさんが少し困り顔で、


「そうなのよ……」


と言って、アナさんと2人で、店の中央に4人掛けのテーブル


に1人”ドッカ”と座る緑髪に髭のドワーフを見た。


「「えっ!」」


俺と三毛猫オトアが、そのドワーフの風貌を見て驚いたの


ではなく……。


そのドワーフの前に置かれたものに驚いたのだった。


「あっ、あれって……」


と俺が口に仕掛けた時、アナさんが言う。


「あれは、グランライジャー専用の特製ギガ盛カレーだべ」


「「ギガ盛~!!」」


アナさんの言葉に、目を見開き言う俺と三毛猫オトア


 俺達が見たものは、テーブルに置かれた大皿……と言うより、


タライ!?の中に山のように積みあがったご飯に、海のように


そそがれたカレーだった。


 これには訳があって、元々ここは冒険者チーム


『ゴライジャー』のチームハウス。


 当然この喫茶『ゴン』も『ゴライジャー』チームの物だった。


丁度、シェリーさんとタミーさんが、冒険者になるにあたり、


新しいチームハウスをトムさんが探してたおり、そのタイミング


で、冒険者チーム『ゴライジャー』の面々が東支部のギルマスに


なることになり、ここを手放すことになったんだが、この喫茶


『ゴン』を続けると言う条件で、このチームハウスを手に入れ


たそうだ。


 そして、ここ喫茶『ゴン』のメニューのほとんどのレシピは、


『ゴライジャー』のメンバーでもあるグランライジャーが考え


たもの。


レシピをそのまま引き継ぐに当たり、グランライジャーさんが


出した条件って言うのが、このグランライジャー専用の特製


ギガ盛カレーを、グランライジャーが訪れた時に出すってのが


条件だったらしい。


(それは仕方ないな)


なので、俺と三毛猫オトアは、ミートスパゲティを注文し、


厨房前のカウンターでそれを食べた。












 夜、喫茶『ゴン』閉店後、ケンタウロスのレツさんダイさん


を含めたガンブレイブ全員集まり、閉店後の喫茶『ゴン』で、


アナさんの手料理(カザード国の家庭料理)をみんなで


いただいた。


その時、チームリーダーのトムさんが言う。


「みんな、食べながらでいいから聞いてくれ」


それぞれ口に料理を運びながら、トムさんの言葉に頷く。


「以前、今後のスケジュールについて話していたと思うが、


今日、具体的なスケジュールと一部変更があったんで、


みんなに報告する」


と前置きをして、


「えー、まず具体的な日程として、2日後、テンタ!」


と俺の名前を呼ぶので返事する。


「ふぁ~い(はい)」


丁度大きめのソーセージを口に入れたタイミングで言われ


たので、変な返事になった。


”ゴクリ”


無理やりソーセージを飲み込み、改めて返事する。


「はい、何でしょうトムさん」


その俺の返事を待ってトムさんが言う。


「今日、アノル博士にあって言われたんだが、2日後、


アノル博士が、お前に例のナイフを返しに来る」


(えっ、あの人アルセダイン王国の古代文明研究所所長


なのになぜこの聖クリスタル国に居るんだろう?)


と疑問に思いつつも、


「あっ、はい」


と答えた。


「あっ、それとその次の日……だから3日後だな、


バンダムチームのアロムが、テンタのコンバットスーツ


のことで訪ねてくるから、テンタはもとより、ガイゼル、


オトアも体を開けておけ」


その言葉にガイゼルさんは黙って頷き、俺は


「はい」


と答えたが、


「えッ、私も~ですか」


と驚き三毛猫オトアがトムさんに聞き直すが、


トムさんは”当たり前だろう”って顔で言う。


「オトア、お前の体にはエードラム様が宿ってるんだ。


そして、エードラム様と話せるのはお前とテンタだけだし、


それもお前がテンタの側に居てこそだろう」


と理由を聞かされ、納得したように三毛猫オトアは、


「ああ、そうでした」


と言う。


そして、


「ガイゼル、アロムのコンバットスーツの設計の日程を


聞いて、設計ができる前に、先にカザード国に言って、


製作の下準備を頼む」


とガイゼルさんに言うと、ガイゼルさんは、一言。


「わかったw」


と言って手をあげる。


そして今度は、ケンタウロスのレツさんダイさんに


向かって言う。


「レツ、ダイは、ガイゼルと同行してカザード国へ行って


くれ、そして、ガイゼルをカザード国に送り届けたら、


すぐに北支部のチームハウスに戻り待機、のちにテンタ達が、


設計図を持って、北支部に着いたら、テンタ達を連れてもう


一度カザード国に送り届けてくれ」


トムさんの話に頷き


「「わかりやした」」


と答えるレツさんとダイさん。


そこへ、タミーさんが聞く。


「お父さん~私達は?」


その言葉にトムさんは、


「もちろん、シェリーとタミーはテンタとオトアに同行し


てもらうが……」


と言いかけると、シェリーさんが聞く。


「もらうが……何よ、お父さん」


そのシェリーさんにトムさんが言う。


「ただ、北支部からカザード国に向かう道中、俺が居ない


からな~」


と言うトムさんに、シェリーさんでなくミリー(トムの妻)


さんが聞く、


「あなた、いないってどういうことですぅ~」


ミリーさんに言われ、少し言いにくそうに言う。


「実はな、俺は明日、東支部に行かねばならなくなった」


その言葉を聞いたミリーさんが驚きトムさんに聞き返す。


「まぁ!急にどう言うことです?」


疑問に思うミリーさんにトムさんは、


「実はな……今日、ギルドマスター会議があるからアロム


に会えるだろうと思って、会議が終わったころを見計らい、


ギルド会館に言ったら、チーム『ゴライジャー』のリーダー 


サンライジャーに呼び止められ、頼まれちまったんだよ~」


その言葉にミリーさんが聞き返す、


「なにをです」


ミリーさんの問いにトムさんは、


「最近、東の晋王国、北晋王国、南晋王国で、大量の人間が


神隠しと言うか、行方不明になる事件が発生しててな、その


捜査を手伝ってほしいって……俺でなきゃできないとまで言


われてなぁ~」


と言うとタミーさんが聞く、


「行方不明事件に何でお父さんが?」


そのタミーさんの問いにトムさんは一言。


「俺のブランチが宇宙シェリフ……つまり宇宙保安官だから、


捜査に適任だって」


「「「え――っ!!」」


驚くミリーさん、シェリーさんそしてタミーさん。


(わかるわかる、そんな理由でって俺も思う)


と俺は思いながらも何も言わなかった。


 結局、トムさんがシェリーさんとタミーさんに言いたかった


ことは、自分が居ないので、北支部からカザード国道中や、


万が一ダンジョンに入ることにもなりかねないので、俺と


三毛猫オトアが空いている時に、4人で連携の練習をして


おけって事だった。


そのため後で、マネージャーのヴィクセンさんに冒険者学院の


闘技場を学院が使わない時間借りれるよう交渉を指示していた。

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