38話 魔法アイテム
「ズバリ、5千万クリスタルでどうでしょw」
と言ってきた。
(んっ?5千万クリスタル……)
とちょっと考えたが、
「え――――っ10億円!」
と驚き、思わず立ち上がり叫ぶ俺だった。
驚く俺を見たアノル博士は、
「えっ、安過ぎましたか?」
と不安げに尋ねてくるので、
俺と
「「いえいえ、十分ですw」」
2人そろって言うのだった。
「なら、よかった」
と安堵した様子のアノル博士。
「では、契約成立でいいかしら博士w」
とミンスさん《ギルマス》が言うと、アノル博士が、
「その前に、あの宝物には、何点かの魔法アイテムがあったのですが、
それらは、恐らく他の宝物と時代が違うと言うか、ここ100年くら
いの物だと思われますので、それはテンタさんにお返しした方がよい
と思うのですよ」
と言い出した。
それを聞いて、ミンスさん《ギルマス》が、
「それでは、5千万クリスタルからそれらを差し引いて……」
と言いかけたところで、アノル博士が言葉を重ねる。
「いえいえ、5千万クリスタルと言う金額はそれらを除いた
金額です」
「そうでしたか」
とミンスさん《ギルマス》が言う。
そして、今度は俺の方に向かって、
「それでいい?テンタ君」
「はいw」
と俺が緊張の面持ちで返事をすると、再びアノル博士が、
「ただ、お返しする魔法アイテムの中で、1つだけ……」
と言うので、俺に変わりミンスさん《ギルマス》が聞き返す。
「1つだけなんです博士?」
「いや、あのナイフ状のアイテム」
とアノル博士の言葉に、
(ナイフ状のアイテム……?)
と思っていると、それを察したのか、博士が言葉を続ける。
「ほら、握ると剣に変わる……」
(剣にかわ……ああ、ヴァジェト(白コブラ)を倒した時
使ったやつねw)
博士の言葉にやっと思い出す俺。
「ああ、はい」
俺が思い出したって顔で返事をすると、博士はこう言った。
「あれは、かなりユニークなアイテムですので、しばらく
お貸しいただけないでしょうか、いろいろ調べたいもので……」
その言葉に、ミンスさん《ギルマス》は顔でそれでいい?って感じ
で俺を見つめるので、
「はいw」
明るく答えると、ミンスさん《ギルマス》は安心したような顔で、
「では、契約成立でよろしいな」
その言葉に俺と博士が答える。
「はいw」
「ええ」
俺と博士の返事を聞いて、ミンスさん《ギルマス》が改めて、
「では、譲渡契約は整理すしました、両人ともここにサイン
をお願いします」
と言って契約書の用紙を出してきて、それに俺と博士が
サインしたのだった。
◇
俺と
「何だったの?」
シェリーさんが聞いてくるが……。
「ここでは……ねw」
ってウインクをシェリーさんに返すと、
「ああ」
何かを察してくれたのか、それだけ言うシェリーさん。
その横で、これも恐らく察したであろうタミーさんが、
ニコニコしていた。
受付から、換金所に向かい、俺の小槌に博士が返してくれた
魔法アイテムを戻す。
そして、俺と俺の肩に載った
タミーさんと4人で、この北支部に仮で借りているチームハウス
に戻る。
チームハウスに戻る道すがら、タミーさんが愚痴るように言う。
「あ~あ、私もダンジョンに行きたいなぁ~」
その言葉にシェリーさんが、
「ダメよ、私達のレベルでは」
言うが、すかさず、タミーさんが言い返す。
「だって、レベル1にもなってなかったテンタ君が、ダンジョン
クリアしたじゃん」
と言い返すが、
「テンタ君は異世界人なのよ~、私達とは違うわよ」
と冷めたように言い返すシェリーさん。
「でもさ、でも、テンタ君が異世界人って言っても、ブランチ
持ってないし」
とさらに食い下がるが……。
そんなタミーさんにシェリーさんが諭すように言う。
「そりゃ~ね、私だってせっかく冒険者になれたんだから、
ダンジョンに行ってバンバン稼ぎたいわよ~」
その言葉にタミーさんは、
「でしょ、でしょw」
と笑顔で言うが、
「うちの父さんが許すと思うタミー、冒険者になるんだって、
どんだけ反対してたか」
の一言で、肩を落として、しょんぼりって感じで、
「ああ……あの頑固おやじ」
と言うタミーさん。
その2人会話を歩きながらただ、黙って聞く俺と
だった。
◇
チームハウス(コテージ風)に着き、俺はトムさん、ガイゼルさんに
今までのことを報告した。
俺の報告に目を丸くするトムさん。
そんなトムさんの横で同じように俺の報告を聞いていたガイゼルさんが、
笑いながらトムさんに、
「正直、初めはお荷物だと思っていたこの
このチーム一の稼ぎ頭になるとはなw~トム」
「ああw」
2人で、顔を見合わせ笑顔で話すのだった。
夕食後、緊急の会議を行う。
因みに、夕食は、骨付きラムステーキにマッシュポテトに、野菜入り
のコンソメの簡単なスープ。
まぁ、男所帯だから仕方ないのかも。
緊急会議には、ケンタウロスのレツさんダイさんも参加する。
入り口が狭いので、レツさんダイさんはかなり入り難そうだったが
……。
リビングに全員そろった状態で、
「では、今から会議を始める」
チームリーダーのトムさんが会議の宣言をすると、隣に居たガイゼル
さんが、
「会議の概要を説明する」
と言いながら説明に入った。
それを全員で黙って聞く。
会議の概要は以下の通り
1.テンタが正式に冒険者になったのでチームメンバーとしても正式に
迎い入れること
2.テンタのコンバットスーツの強化について
3.魔法アイテムの分配について
次に、ガイゼルさんの説明に続きトムさんがその内容について
1つづつ順番にみんなに説明をする。
「えー、まずは1番目について……日向天太は、冒険者試験に合格し、
正式に冒険者になった」
それを聞いて、シェリーさん、タミーさんにケンタウロスのレツさん
ダイさんも、拍手をしてくれる。
\\\パチパチパチ///
その拍手が鳴りやむのを待ってトムさんが話を続ける。
「しかもだ!いきなり冒険者レベル5だ!」
その言葉に、それを知らなかったケンタウロスのレツさん、ダイさん
が驚きの声をあげる。
「なっ!…」
「レベル5……いきなり!?」
俺を見る2人の目つきが変わる。
「で、正式にチームの一員となるわけだが、一応、冒険者名はバルバン
で登録してはいるが、チーム内では今まで通りファーストネームでテンタ
と呼ぶことにする」
\\\パチパチパチ///
トムさんの言葉にみんなが拍手してくれた。
そして、ガイゼルさんが俺を立たせ。
「テンタ、今更だが、決まりだみんなに挨拶しろ」
と俺に言う。
その言葉に俺は、
「ああ、はい」
と答え次に、メンバーに向かって挨拶する。
「えー、不束者ですが、オトア共々これからよろしくお願いしますw」
と頭を下げると、ケンタウロスのレツさんが笑いながら言う。
「テンタ、それって花嫁が言うやつじゃないか?w」
\\\ワハッハー///
メンバーの笑いが起こる。
そして一息ついてから、再びトムさんが話し出した。
「えー次に2番目の項目なんだが……、テンタの急激な成長にテンタ
のスーツの能力が追い付かなくなったので、これを強化す路こと
にした」
とおっしゃった。
(ん?オトアと精霊様のことはレツさんダイさんには、内緒なの
かな?)
トムさんの言葉にそう思いながら、トムさんの話を聞く。
「そこで、スーツの設計の見直しと、その強化にアダマイトが
必要になって来る」
みんなフムフムと聞く。
「設計の見直しについては、冒険者チームバンダムのリーダーの
アロムの協力が必要だが……、幸い明日ちょうど本国(聖クリスタ
ル国)でギルマス会議があるので、それに合わせ俺達も明日帰国
して、アロムの協力を要請することにした」
これも、みんなフムフムと聞く。
「設計の見直しが出来たら、次にスーツ強化に必要なアダマイト
入手と新スーツ製作のためカザード国に向かう……ここでアダ
マイトが直接手に入れば問題はないが、もしできなかった場合は、
俺達がカザード国のアダマイトの鉱山に直接採取に向かうことが
あるので、その辺は心得といてくれ」
この説明を聞いて、タミーさんが、”えっ”って顔で、トムさん
に聞き返した。
「えっ、お父さん!アダマイトの鉱山に直接採取って、あそこ
ダンジョンだよ……いいの?」
タミーさんの質問にトムさんは、ニッコリ笑って
「ああ、いいよタミーw」
返事を返す。
「やったぁ~w」
右腕を天井に向け突き出し喜ぶタミーさん。
今度は、それを見たシェリーさんが聞く、
「え――っ、ダンジョンだよお父さん!」
「うん、いいよシェリーw」
その返事に困惑するシェリーさんだったが、そんなシェリーさんの
肩を掴んで”まぁ、まぁ”って感じでニッコリ笑うガイゼルさん。
俺の目の前で、はしゃぐ、タミーさんに困惑するシェリーの図式
が展開される。
そこに、レツさんがトムさんに質問する。
「これからの予定はわかりやしたけど……最後の魔法アイテムの
分配ってなんでやす?」
レツさんの質問にトムさんは”いい質問だね”って顔で、
「この魔法アイテムの分配と言うのは、先ほどテンタが謎の
ダンジョンで、手に入れたものがあるんだが……」
と言いながら、俺の顔を見るので、俺は小槌からそれらアイテムを
リビングのテーブルの上に出した。
\\ドサ//
テーブルの上に俺が置いた魔法アイテムは指輪6つに剣が1つ
に弓が1つ。
みんながテーブルの上のアイテムに注目する中、ガイゼルさんが
皆に説明する。
まず、手に取ったのは指輪。
6つある1つを手に取り、
「これは、身代わりの指輪だ」
「これは、瀕死の攻撃を受けた時、持ち主に変わってその攻撃を
受けてくれると言うものだ」
「この指輪が壊れることにより攻撃を回避できる……
ただ、受けれるのは1回だけだが……」
と説明すると、トムさんが言う。
「俺とガイゼルはブランチで戦うから、そういうのは持ってても
あまり意味がないんだ」
「だから、これを、テンタ、オトア、シェリー、タミーそして、
レツ、ダイが着けろ」
とトムさんがそれぞれに渡す。
受け取った、俺をはじめみんなが指輪をはめる中、
それを咥えたまま困っていると、
「ああ、オトアは後で、ガイゼルがサイズ調整するから」
とトムさんが困っている
すると、ケンタウロスのレツさんが、
「これは大変ありがたい、ありがたい、けど、
俺達は冒険者じゃねーですぜ、こんな貴重なものを俺達にまで
……」
とトムさんに尋ねると、トムさんは笑いながら言う。
「何を言ってんだレツwお前もダイも立派なガイブレイブのメンバー
じゃないか」
その言葉に、
「
と少し涙ぐむレツさん。
そんなレツさんにガイゼルさんは優しく言う。
「レツ、ダイそれだけじゃないぞ」
と取り出したのは、まずは剣。
「これは、ファイアー・ブレード、炎を出せる魔法の剣だ」
ガイゼルさんの説明の後、ガイゼルさんから炎の剣を受け取った
トムさんがそれをレツさんに渡し言う。
「これはお前が使ってくれ」
「えっ、あっしに……こんな貴重なものを!?」
驚くレツさんに、トムさんは当たり前だろうって顔で言う。
「俺達は、それぞれ強力な武器を持ってるからな、それは
お前が使ってくれ」
トムさんがそう言いながら剣をレツさんに渡すと、
「
トムさんから炎の剣を恭しく受け取るレツさん。
そこにガイゼルさんが1言付け加えた。
「良いかレツ、こいつは剣を握った奴の魔力を吸うことに
よって炎を作り出すんだ、その辺を考えて使えよ、あまり
使いすぎるとお前の魔力を全部吸い取ってしまうからな、
気をつけろよレツ」
とレツさんの肩を叩きながら諭すように説明した。
「はい!」
貰った剣を恭しく持ち上げ、頭を下げながら返事をする
レツさんだった。
そして、ダイさんの方を見てガイゼルさんが言う。
「次に、この弓はフリーザーボウ(氷結の弓)だ、
これは、弦を引くと氷結の矢が形成され放てる弓だ」
ガイゼルさんの説明の後、ガイゼルさんから氷結の弓を受け
取ったトムさんがそれをダイさんに渡し言う。
「これはお前が使ってくれダイ」
するとダイさんんはジェスチャーで、”俺?”って感じで自身を
指で刺し言う。
「良いんですか
それを聞いてトムさんが黙って頷き、弓をダイさんに手渡すと、
ダイさんもレツさん同様それを恭しく受け取り言う。
「
その言葉を聞いたトムさんが言う。
「礼を言うなら、テンタに言ってやってくれ、これはすべて
テンタがダンジョンで手に入れたものだから」
それを聞いたレツさんとダイさんは、俺の所に来て、無理やり
俺の手を握ってお礼を言う。
「テンタ、テンタさん、ありがとうございます」
「ありがとうございますテンタ様~」
一生懸命お辞儀する2人に俺は少し困った顔をして言う。
「いえいえい、僕なんかにそんなお礼なんて……」
そんな俺にますます2人は握手する手に力を入れて……。
(いたい、痛いよレツさんダイさん)
思わず俺は、
「痛いです」
って小声で言うと、2人は慌てて俺から手を放し、頭を一生懸命
下げながら、
「ごめんなさい」
「ごめんなさい」
と謝るのだった。
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