35話 悪魔達の次の手




------(第三者視点)------☆





 テンタ達が居る大陸とは別の大陸の地下深く岩でできた、


小さな謁見の間の様作りの部屋を拡張し大広間となった部


屋で、玉座に座る悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)。


その向かって右に、玉座に次ぐ椅子に座る悪魔子爵ゴースン


(腕や下半身には岩のようなものが覆う女の姿)と、向かって


左の玉座に次ぐ椅子に座る悪魔男爵バンバ(坊主頭に、青白


い顔つきの男)が居た。


そして、悪魔子爵ゴースンと悪魔男爵バンバの前には、


ゴースンの配下の幹部9人と、悪魔男爵バンバの配下


幹部1人が膝まづいている。


するとバンバが、


「オクトーとノウェムが倒されてしまったか……」


残念そうに言う。


その言葉に、慰めるように


「ノウェムの方は仕方あるまい、クリスタルマンエメラルド


が出張って来たのだからのう」


と悪魔子爵ゴースンが言った。


「クリスタルマン達が、出張って来るとは思っておったが、


まさか奴等が、巨大化せずに戦えるとはのう」


と悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)も悪魔子爵ゴースンの


言葉に同意するように言った。


そして、悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)の言葉を受け、


悪魔子爵ゴースンが続ける。


「それに、今一歩のところであの小僧(テンタ)をオクトー


が追い詰めておきながら、あのような転生者達が現れるとは


……」


悪魔子爵ゴースンの言葉に、


「100年の間に我らに対抗できるだけの力を人間達がつけた


……と言うより、この100年の間に我らに抗うだけの力を


持った転生者達が現れたと言うことじゃな」


と、悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)が言う。


それを聞いた悪魔男爵バンバが、悪魔皇帝ダリウス(オトア


の体)の元に駆け寄り土下座して、


「申し訳ございませんダリウス様、あの時わたくし目だけが、


生き残らせていただいたと言うのに……」


と謝る悪魔男爵バンバに、悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)


が言う。


「もうよい、貴様だけのせいではあるまい」


「はっ、」


悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)の言葉に頭を下げたまま


返事をする悪魔男爵バンバに、


「そうですぞ、バンバ殿もこの100年、自身の配下の復活


と、ダリウス様復活のための仕掛けをしておられたのだ、


あまりご自分を責められぬようにな」


と悪魔子爵ゴースンが、諫めるように言う。


「ゴースン殿~かやじけない」


と悪魔子爵ゴースンの言葉に涙ぐみながら、言う悪魔男爵


バンバだった。













「それにしても、100年前とは今のこの世界の事情が変わっ


ておる、これをどのようにしたものか……」


と考える悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)に、悪魔子爵


ゴースンが言う。


「ならば、我の配下にその役目をお言いつけ下さりませ」


その言葉に、


「しかし……」


と、悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)が言いかけると、


「いえ、シャッキー殿の復活の素材集めの次いで……と


、言ってはなんですが人間どもの情報収集も致せばと


思っております」


「なるほどな……」


悪魔子爵ゴースンの話に顎を手でさすりながら言う悪魔


皇帝ダリウス(オトアの体)。


「申し訳ございません、ダリウス様、ゴースン殿、我の


配下が、もっと早くに”あれ”を見つけ出せていれば、


そのお役目わたくしの配下にさせようものを……」


と畏まりながら、悪魔皇帝ダリウス(オトアの体)と


悪魔子爵ゴースンに言う悪魔男爵バンバに、


「いや、あと一歩ですべてが見つかりまするよバンバ殿」


と、悪魔子爵ゴースンの言葉に、それを聞いた悪魔男爵


バンバが驚き言う。


「何と!」


驚く悪魔男爵バンバに、悪魔子爵ゴースンは言葉を続ける。


「配下のオメガの報告では、あと”あれ”の頭を見つければ


揃うと言うておりましたし、それもほぼ見当がついたとの


事ですぞ」


その言葉に悪魔男爵バンバは、少し声を荒げ言う。


「何と言うことだ、そんな大事なことを報告せんとは、ウー


ヌム達はいったい何を考えておるのだ!」


そんな悪魔男爵バンバを見て、皇帝ダリウス(オトアの体)


が諫めるように言う。


「まぁ、よいではないか、ただ、”あれ”を復活させても


使いようを考えねばのう」


皇帝ダリウス(オトアの体)の言葉に悪魔男爵バンバが、


勢いよく言う。


「ならばわたくしに考えがありまする、それはわたくし目


にお任せくださいませ!」


その勢いに押され、皇帝ダリウス(オトアの体)は、


「では、帥にまかそうかの」


と悪魔男爵バンバに言うと、バンバは嬉しそうに


「お任せ下さいませダリウス様!」


と言うなり、皇帝ダリウス(オトアの体)に一礼して、


\ボワ/っと姿を消し去った。


「やれやれ、そう焦らづとも……」


とぼやく、皇帝ダリウス(オトアの体)に


「では、先ほどの件はわたくしの配下に……」


と皇帝ダリウス(オトアの体)に一礼して、言う悪魔


子爵ゴースンに、


「うむっ」


と頷く皇帝ダリウス(オトアの体)。


皇帝ダリウス(オトアの体)が頷くのを待って、悪魔


子爵ゴースンは、振り返り、自身の前に膝まづく配下


に向かって言う。


「オミクロン、パイよこれへ」


「「はっ」」


2人は悪魔子爵ゴースンに呼び出され、1歩前に進み


そこで再び跪き首をたれる。


 悪魔子爵ゴースンに、オミクロンと呼ばれた男は、頭が


コブラに人間の体と言ういで立ちで、パイと呼ばれた男は、


トカゲの頭に人間の体と言ういで立ちをしていた。


「オミクロンよ、帥は、このリストにある魔獣を生け捕り


にしてまいれ」


と言って1枚の石板をオミクロンに渡す」


それを恭しく受け取ったオミクロンは、頭を再び下げ、


「ははっ」と言う。


次にパイの方に悪魔子爵ゴースンは目を向け、


「パイよ、帥は、素体となる人間を捉えよ」


と言い、続けて、


「ついでに人間どもの情報を集めてまいれ」


と言うと、パイもオミクロン同様に頭を再び下げ、


「ははっ」と言う。


そして、2人そろって、


「「では早速に!!」」


と言うや否やその場で一礼して、\ボワ/っと姿


を消し去った。













 

 一方、テンタ達が居る大陸の東にある北晋王国、晋王国、


南晋王国の3つの国があるが、これは元々晋帝国だったもの


が、初代皇帝が3人の息子に国を相続させるにあたり、3つ


に分割したのが始まりの国々ではある。


 その一番北の北晋王国から、さらに北に数百キロ進んだ、


誰も人がすまない不毛地帯に悪魔男爵バンバの配下のウー


ヌム、ドゥオ、トリア、クァトゥオル、クインクゥエ、


セクス の6人の悪魔達が、集まっていた。


この6人の悪魔の風貌はと言うと、


1『ウーヌム』   クレオパトラ風の女の姿。

2『ドゥオ』    ギリシャ風の男の姿(ヘラクレス風)。

3『トリア』    中国の皇帝風の男の姿。

4『クァトゥオル』 ヨーロッパの王妃風の女の姿。


          (マリーアントアネット風)

5『クインクゥエ』 フルプレートアーマーの騎士風の男の姿。

6『セクス』    白シャツ吊りバンドの半ズボン姿の子供風。


である。


 時刻は、深夜3時。


 6人の悪魔のうちの一人、ウーヌムが言う。


「後は、頭だけですねぇ」


「そうだな」


と隣に居たドゥオが答える。


「でもさ~、こんだけ探しても見つかんないって、もうないん


じゃない」


とセクスが不満そうに言う。


「そうだな、セクスの言う通りかもな、この大陸の隅々まで探


して……」


とクインクゥエが言いかけた時、一陣の風が吹きそこに\ボワ/


と、現れるオメガ(セミの頭に人間の体の男)。


そして言う。


「いえ、"デイダラー"の頭部はございますよ」


と冷静に言う。


「おお、オメガ殿!」


驚くクインクゥエ。


「どこへ行ったかと思えば、いきなり現れ、何を言うのですか」


とウーヌムが、語気を強めて言う。


その言葉に、落ち着き払って言い返すオメガ。


「どこへと申されても、わたくしは、ただ、ゴースン様やバンバ様


の御命令を忠実に守っただけですよ」


その言葉に、ウーヌムが少し嫌味っぽく言う。


「あ~ら、わたくし、あなたはてっきり、ゴースン様の命令で、


わたくしたちの監視で付いてきてると思っていましたわぁ~」


その嫌味に軽くニヤ付きながら、オメガは、


「滅相もございませんよ、ウーヌム殿」


と言い返した。


そこへ、セクスが割って入る。


「ねぇねぇ、どうでもいいけど、頭、見つかったんでしょ」


「はい」


とセクスの言葉ににこやかに返事するオメガ。


「本当なんじゃなオメガ殿!」


トリアが、オメガに念押しに聞くと、オメガは右手を上げ、


「アピアー!」


と叫ぶと、突然、オメガの頭上に巨大な巨人の頭が現れた。


「「「「「「おお!」」」」」」


突然、目の前に現れた巨大な頭に、一同驚愕する。


そして、セクスが嬉しそうに言う。


「じゃ、これで帰れるねw」


 その時、\ボワ/と黒煙と共に現れる悪魔男爵バンバ。


「「「「「「おお!、バンバ様~」」」」」」


突然、現れた悪魔男爵バンバにバンバ配下の悪魔達が驚き、


すぐに、その場に膝まづいた。


 バンバ配下の悪魔達がすぐさま膝まづいたのを見て、


オメガはゆっくり膝まづき言う。


「これはこれは、バンバ様w」


それを見た、悪魔男爵バンバは軽く頷き、


「ご苦労だったオメガ」


と声を掛けた。


その言葉に、


「お役に立てて、光栄ですバンバ様」


と言いながらオメガが再び頭を下げた。


そこへ、セクスが無邪気に言う。


「ねぇねぇ、バンバ様、全部そろったんだから帰りましょうよ」


その言葉に、


「いや、セクスまだじゃ」


と答える悪魔男爵バンバに、


「えー――っ」


と不満を口にするセクスに、クインクゥエが諫める。


「これ、セクス!バンバ様に何という口の利き方をする」


クインクゥエに諫められたセクスは少しふくれっ面で、


「ふぁ~い」


と返事を返した。


そこへ、ゴースン配下のオメガが聞く。


「まだ……と申しますとバンバ様」


その言葉に悪魔男爵バンバが言う。


「このデイダラーを完全に復活するには、後、人間の魂が千必要


じゃ」


するとオメガはすぐさま、悪魔男爵バンバに言う。


「では、わたくしがすぐさまそろえて参りましょう」


その言葉に、悪魔男爵バンバは、


「いや、帥はここまでで結構じゃよ」


と言うと、オメガは驚いたように悪魔男爵バンバに言う。


「何と!」


その驚くオメガに、悪魔男爵バンバは、ねぎらうように言う。


「いや、帥の助は要らぬと言う意味ではないのだオメガ」


「はぁ、」


悪魔男爵バンバの言葉に、腑に落ちないと言う感じで返事を


返すオメガに、


「いや、帥は十分役立った、我の配下が見つけえぬ奴の頭部


を見つけてくれたのだ、オメガ感謝するぞ」


と言うと、オメガは下げた頭を上げ、


「ならば!」


と少し強めに悪魔男爵バンバに言い返すが、


「いや、帥は元々ゴースン殿配下、そのゴースン殿は今、


ダリウス様の護衛と悪魔伯爵シャッキー殿の復活に加え人間


どもの情勢を探ると言うご下命をダリウス様から承っておる、


それゆえ、人手がお入りじゃろうて」


と諭すようにオメガに説明する。


そして、


「帥のこの度の働き、悪魔男爵バンバ心から感謝する」


と言葉を続けると、オメガは、


「ははっ、もったいないお言葉」


と頭を深々と下げた。


それを見て、悪魔男爵バンバは軽く頷くと、


「では、早うゴースン殿の元に戻られよ」


オメガに言葉を掛けた。


それを聞いてオメガは、


「では、お言葉に甘えて……」


と言って、\ボワ/と消えた。


 オメガが消え去ったのを見届けた悪魔男爵バンバは、


「では、クインクゥエ!」


とクインクゥエを呼び、悪魔男爵バンバの前に1歩進


んだクインクゥエに言う。


「帥は、今より人間どもの所に行き、千人狩ってまいれ!」


「ははっ」


クインクゥエは悪魔男爵バンバの命令に、頭を下げすぐさま


\ボワ/と消えた。


そして、続けて言う。


「デイダラーと今手持ちの魔物だけでは、心もとないのう


……そうじゃドゥオ!」


悪魔男爵バンバの指名に、すぐさま反応したドゥオがバンバの


前に進む。


「帥は、ヒュドラを生きたまま捉えてまいれ」


「ははっ」


ドゥオは悪魔男爵バンバの命令に、頭を下げすぐさま


\ボワ/と消えた。


そして、悪魔男爵バンバは残った配下に命じた。


「残ったものは、ここに罠を作るを手伝え!」


「「「「ははっ!」」」」


その場に残った4人の配下たちは膝まづいたまま


返事をするのだった。





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