第2章 光の精霊編
33話 精霊の神殿
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「しらなぁ~い」
その答えに、
≪「えっ!」≫
と絶句する俺と
ここで、この
おくと……。
この
と言う存在を信じている……信じているが、”神”と言う存在が、
あまりにも漠然としすぎて、”神”を信仰の対象とする人はほとん
どいないらしい。
漠然とした”神”を信仰するよりも、存在する精霊……実際に
奇跡を実態として体現できる精霊のような存在を強く信仰する傾向
なのだそうで、聖クリスタル国の柱と言われる5人『クリスタル
マン』も同様に、目の前で人々が奇跡を体現する存在でないと、
信仰の対象とならないらしい。
つまり、簡単に言うと、ご利益がないものは信じないってこと
らしい。
(その辺は何か俺達日本人ぽいかも……)
で、この
8柱あり、光の精霊エードラム、闇の精霊ドラハダス、火の精霊
チニャ、風の精霊ギィー、水の精霊イシュカ、冷気の精霊シュナ
ーフタ、土の精霊イハル、雷の精霊トールナッハ。
俺はこれらの精霊の名前を聞いて、
(俺の知る精霊とは違う……)
って、思たんだけど、これら、この世界の最上位精霊らしく。
俺が知るイフリートやシルフ、ウンディーネと言う精霊も上位
精霊としているにはいるらしい。
因みに、俺も最初にシスタームーンさんから聞いた時一瞬思
ったんだけど、彼女ら猫人族が信仰する”闇の精霊”って悪魔
みたいな存在なのかな?って思ったんだけど、シスタームーン
さんによると、”闇”→”夜”つまり、睡眠の精霊で、睡眠は
人々に安らぎを与え、体調を整えたりすることから、回復、
治療などをつかさどるらしい。
なので、悪魔のように人々に恐怖や、憎悪などを与える存在
ではないらしい。
◇
そんな話はさて置き、3時間ほどで馬車は、アルセダイン王国
(エルフ)とカザード国(ドワーフ)の間にある、聖クリスタル
国北支部(教会と冒険者ギルド北支部がある)通称北支部に到着
した。
\ガチャ/
馬車を降りると……。
「おお、無事だったか!」
とトムさんの声。
見ると、トムさんをはじめ、カイゼルさん、シェリーさん、タミー
さんだけでなく、ケンタウロスのレツさん、ダイさんまで出迎えて
くれた。
「ご心配かけました」
≪かけました≫
俺に続き、
「いったいどうなったの?」
と少し語気を強めに言うシェリーさんに、
≪「わかりません」≫
と、口をそろえて言う俺と
「まぁ、無事だったからいいじゃないか」
とカイゼルさんがシェリーさんに言う。
「まぁ、そうだけど……」
と押し黙ってしまったシェリーさん。
それを見て、
「今日はもう遅い、みんなロッヂで休もう」
と声を掛けるトムさん。
トムさんに促され、ロッヂに向かおうとしたした時だった。
側にいたシスタームーンさんにトムさんが振り向き言う。
「明日、クエスト代金を払うって事でいいか?」
その言葉に、シスタームーンさんが、
「クエスト代?……ああ、テンタ君達の捜索クエストの件か!」
と思い出したように言うが、続けて、
「いや、今回はクエスト前に精霊様からのご依頼で向かっただ
けだから、いいわw」
と手でいらない、いらないって感じで振りながら言う。
そんなシスタームーンさんに、
「いや、そんな訳に行くか!、これは冒険者のルールだからな」
と食い下がるトムさんに、
「何でバルジャン《トム》の所(チーム)が、払うのさ~」
とシスタームーンさんに言い返され、
「何言ってんだ、テンタもオトアもうちのチームのメンバーだから
だろうが!」
と語気を強めて言うトムさんに、少し笑いながら言う。
「ふふ、確かにルールではそうだけど……もらうなら、教会
(クリスタル教会)からもらうわw」
と言い返すシスタームーンさん。
「教会から貰うって……」
とトムさんが言いかけるが、それを制して、
「だって、あの子ら囮だろう?」
のシスタームーンさんの言葉に絶句するトムさん。
「……」
「バルジャン《トム》のチームのメンバーだけど、教会が囮にして
るんだったら、そっちが払うのが筋ってもんでしょw」
「いや、しかし……」
と、トムさんが反論を言いかけるが、すかさず、シスタームーンさん
が言う。
「じゃ、どうしてもって言うなら、今回は貸にしておく……ならい
いでしょw」
と俯くトムさんの顔を見て言うシスタームーンさんに、
「わかった、そこまで言うなら今回は借りにしておく」
と不服そうだが、無理に納得した感じで言うトムさんだった。
そんなトムさんにシスタームーンさんが付け加える。
「っんな、ことより、明日必ずテンタ君とオトアちゃんを光の精霊の
神殿につれて行きなさいよ~」
と念を押し、他の仲間と共に去っていくのだった。
◇
ここ聖クリスタル国北支部は、半径2キロで、約13キロ
平方メートル、人口は500人ほどの小さな町。
北側をギルド協会(冒険者、商業ギルドなど)関係で、南側
に教会関係の建物が立っていて、それぞれに小規模の商業施設が
等がある町。
今から、トムさん達と向かうところは、冒険者ギルドで、北支部
に登録している冒険者達のチームハウスがある地域。
ここには、96チーム分のチームハウスって言っても、本国
とは違い、殆どが小さなコテージ風の建物ばかりで、本来は96
チーム収容できるコテージ郡が並んではいるが、現在実際使われて
いるのは、60チーム分しか使用しておらず、(しかも現在、シロ
ッコ、アネッロ両チームは行方不明なので実質58チーム)余って
いる状態なので、その一つを我がガンブレイブが使わせてもらえる
よう、俺と
ルド北支部と交渉していたらしい。
本来北支部に登録していないチームが、ここを訪れた場合、冒険
者ギルド北支部指定のホテルを利用するのが常なんだとか。
北支部町の北東部にあるチームハウス郡(コテージ郡)に着いた。
チームハウス(コテージ)の入り口前に馬車置き場があり、入り口に
入る通路を挟んで反対側に馬小屋(ケンタウロス部屋)が並んでいる。
「お休み~w」×2
「おう、お休み~」
レツさんとダイさんに挨拶され、トムさんがそれに答える。
他のみんなと俺と
する。
「おやすみなさい」
≪おやすみなさい≫
ここで、レツさんとダイさん達と別れみんなに続き、入り口前の通
路から、入り口へと向かう。
玄関先左手には木製のテラスがり、玄関から中に入ると、右に2階
に上がる階段、左手に3畳ほどの台所、奥に9畳くらいのリビングが
ある。
階段手前右のドアを開けると、トイレとシャワー室が1つずつある
って感じかな。
階段を上がり2階には、狭い踊り場と、9畳ぐらいの部屋にロフト
が付いており、それ以外のスペースは1階からの吹き抜けになってい
た。
9畳の部屋には、普通のベッド3つ、ロフトには天井が低いので、
足のついていないローベッドが3つ設置してあった。
≪なんか、キャンプに来たみたい~w≫
と、はしゃぐ
(いやいや、キャンプってよりも休暇を楽しむ貸別荘って感じゃな
いか?)
って、心では思ったが、あえて
俺。
「明日は早いからみんな早く寝ろ」
と言うトムさんに言葉に、
「は~い、おやすみなさいw」×3
≪は~い、おやすみなさいw≫
とシェリーさん、タミーさんに俺、
トムさんとガイゼルさんより先に2階に上がる。
ロフトのベッドには、シェリーさんとタミーさんが寝て、俺は9畳
の方の通常ベッドの一番奥のベッドを使わせてもらった。
因みに
「おやすみオトア」
≪おやすみテンタ君≫
"Zzzzz……"
疲れがたまっていたのか、俺と
深い眠りに着くのだった。
◇
生暖かい……ザラとしたものが頬をつたう。
何度も何度も。
「んっ!」
(い・い痛い!)
ハッとして目が覚める。
”ニャー”
目の前に猫……三毛猫。
≪テンタ君おはよう~≫
「あっ、あ・おはようオトア」
寝ぼけた頭が、ようやく動き出した俺。
ベッドから起き上がる。
昨日は、ゆっくり寝れたようだ。
朝は、オートミールの朝食をとり、足早に出発の準備をし、
馬車(ケンタウロス車)で出発する。
高さ4mの城壁に囲まれた北支部の町の北門から出て、
エルフの国、アルセダイン王国を目指した。
◇
途中、2回ほど休憩を取りながら進むこと約5時間。
目的の国、アルセダイン王国に着いた。
高さ5mの城壁で、国をぐるりと囲んでいて、俺達は
その城壁の南門へと進み、アルセダイン王国へと入国す
る。
入国手続きは、例によって代表者のトムさんが、小槌を
門の係の人に提示し、所属や目的を告げると、すんなり通
された。
(やっぱ精霊様のお呼び出しだからかな?)
なーんて、あまりにも簡単に入国手続きができたんで、
俺はそう思ったんだけどね。
この南門から、この国の中央部にある王都エンドールを
目指す。
因みに、この国の人口は、1万400人で、主な都市は
王都エンドールの他に、漁師、農民が多く住む北の村、
ツム村や、ダークエルフの村、モルドール村や、先ほど
通った南門付近にアンノン村などがある。
そして、今から目指す王都エンドールは、中心に王家の
すむお城があり、その周りを囲むように標高200mくらい
のなだらかな丘が8つある。
この8つの丘の上にそれぞれ、光の精霊エードラム、
闇の精霊ドラハダス、火の精霊チニャ、風の精霊ギィー、
水の精霊イシュカ、冷気の精霊シュナーフタ、土の精霊
イハル、雷の精霊トールナッハの神殿があるらしい。
もちろん俺達が目指すのは、光の精霊エードラムの
神殿。
ここは、王城の北にある丘にあるので、そこを目指す
のだが、ただ、真ん中に王城があるので、まっすぐ進む
……っと言う訳に行かず、西に大きくお城を回り込みな
がら、目指している所なんだ。
◇
門からこの国に入って、大回りしながらも光の精霊
エードラムの神殿がある丘の麓に着いた。
馬車を降りて、その光の精霊の神殿の見上げ、
「な・なんじゃこれ!」
≪あれって、神殿なの?≫
俺と
それを、クスクス笑うトムさんと、カイゼルさん。
シェリーさんとタミーさんは意味が分からず、俺達
4人のリアクションを不思議そうな目で見る。
「何で神殿を見て、テンタ君やオトアちゃんが驚くの
?……それに、何でお父さん達がくすくす笑うのよ」
とシェリーさんが聞いてきた。
「いや、そのう……」
≪似てると言うか……≫
と俺と
さんが、
「てことは、テンタ君達やお父さんが居た元の世界に
精霊様の神殿があったって事よねぇ~」
と重ねて聞いてくるので、
「いや~神殿と言うよりは……」
≪王様のお墓?……かなり前の……≫
俺と
「「え―――っ、なんて罰当たりな!!」」
とシェリーさんとタミーさんが驚いた。
そう、精霊神殿の形は、あのピラミッドそっくりだっ
たのだ。
「いやいや、俺達のもとの世界では、古代の王のお墓だが、
その古代には、王は神と同一の存在だったから罰当たりで
はないと思うぞ」
とガイゼルさんが、フォローしてくれた。
「ふーん」
「そうなんだ」
ガイゼルさんの言葉に、タミーさんと、シェリーさんは、一応
納得したようだった。
(多分、本心では納得してないだろうな……)
「じゃ、俺とテンタ達は神殿に向かうから、お前達はガイセル
とここで待っていくれ」
とトムさんに言われ、
「「はーい」」
と素直に返事するシェリーさんと、タミーさんだった。
◇
俺は、
の後ろをついて行く。
参道と言っても、1人通れるくらい狭い道だし、舗装もされて
いない道。
緩やかな坂道の参道を歩くこと10分。
丘の上にそびえたつピラミッド(精霊神殿)に着いた。
高さは30m……ぐらいかな?エジプトの大ピラミッドと比べる
と、かなり小さい。
また、エジプトの大ピラミッドと違い、正面に中に入れる入り口が
存在した。
入り口には、古代ギリシャ風の衣装を着た神官?門番のように2人の
男性が立っていた。
その一人にトムさんが言う。
「日向天太と涼風響を連れて来ました」
その言葉に門番らしき人が言う。
「ご苦労様でした、少々お待ちください」
と言って神殿の中に入る。
しばらくして神殿の中から、これもまた古代ギリシャ風の衣装を着た
女性が現れ、
「あなたはしばらくここでお待ちください」
とトムさんに言ってから、俺達に向かって、
「さぁ、お入りください」
と言う。
俺が戸惑ってトムさんの顔を見ると、トムさんは顎をクイっとして
”行ってこい”ってジェスチャーするので、俺は
肩に乗せたまま神殿の中に入った。
案内の女性の後に続きしばらく神殿の中を進むと……。
そこには、ガラス?クリスタル?で出来たタワーが立っていた。
ちょうど、ワイングラスの持つ部分ステムの上にワイングラスの底
プレートが載った感じで、そこに上るための透明な螺旋階段が、巻き
つくようにタワーに着いていた。
そして、タワーの前まで進むとそこには……?お賽銭箱?
の様なものがあり、そこで案内人の女性が、
”コホン”
と咳ばらいをしてから俺に言う。
「決まりですから」
そう言われても訳が分からず、
「はぁ?」
って言って固まっていると、もう一度案内人の女性が、
”コホン”
と咳ばらいをしてから俺に言う。
「決まりですから」
「……」
しばらく、案内人の女性と俺はそのまま固まっていると、
≪お賽銭いれるじゃなぁい?≫
って
≪お賽銭!?≫
と俺が念話で聞き返すと、
≪どう見てもあれお賽銭箱でしょ≫
と言うので、なるほどと思い上着のポケットから、小槌を出す。
「えー、いくら出せば……」
って小声で案内人の女性に言うと、
「お気持ちで……」
と言われたが……。
確か、アルセダイン王国の通貨はタムで、コインではなく俗に
言われる”妖精のタマゴ”と言う形をした通貨で、俺の感覚では、
丁度色付きのうずら卵って感じかな、種類は、1万タム(20万円)
緑色、千タム(2万円)黄色、500タム(1万円)青色、
100タム(2千円)紫色、1タム(20円)赤色
となっている。
(俺の常識でお賽銭と言えば、せいぜい10円とか100円だが、
どうなんだろう?)
と思い小槌から全種類のお金を出してみると……。
その案内人の女性が、ちらりと青色の卵を見たので、青色の500タム
(1万円)を1つお賽銭箱に入れると……。
"コロコロコロ”
”コホン”
と咳ばらいをして指で”もう一つ”ってジェスチャーをするので、もう
一つ青色の卵を入れるのを見て、
「どうぞお進みください」
と言われる。
(んーっ1人1万2人で2万のお賽銭ってたっけーな)
と思いながらも黙って階段を上る俺だった。
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