32話 シスタームーン参上!




≪えっ!≫


≪えぇ――――――っ!≫


突然の多くの魔物の出現に驚き叫ぶ俺と三毛猫オトア


の前に、


\パチ/、\パチ/、\パチ/、\パチ/


と、拍手をしながら現れる眼帯をした紳士風の姿の男。


「誰だ!」


と叫ぶ俺に、眼帯をした紳士風の姿の男は、軽く会釈をし、


「我が名はノウェム、悪魔男爵バンバ様の配下である」


と自身の名を名乗った。


そして、


「わたくしが手懐けられなかったヴァジェトを倒すとは


……お見事ですよ、日向 天太 殿」


と落ち着いた様子で言うノウェム。


「これはいったい!」


と言う俺の問いに笑顔で、


「あのデーモンゴブリンジェネラルとデーモンゴブリン


キングや500体のゴブリンも私の仕掛け、そして……


あのダンジョンに飛ばしたのもわたくしの仕業ですよw」


とノウェムの答えに、


「何のために!」


俺は叫ぶように言う。


すると、ノウェムは、まるで子供を見るように


「それはですねぇ~、あなた日向 天太をその猫の目の


前でいたぶり殺し、その猫に絶望を与え……」


と言うノウェムに三毛猫オトアが噛みついた。


≪なんで、テンタ君をそんな目にあわす必要があるのよ!≫


三毛猫オトアの念話での叫びに、ノウェムは、目線を俺から


三毛猫オトアに向け、


「何のため?……それはもちろん、ダリウス様のために決ま


っているじゃないですか」


と笑いながら言う。


すると三毛猫オトアが、”シャー”と威嚇しながら言う。


≪テンタ君は関係ないでしょ!≫


その言葉にノウェムは、


≪関係はありますよ~!あなたの大切な人をあなたの目の前


でいたぶり殺す……≫


ニヤリとノウェム笑い続ける


≪するとどうでしょ、あなたは恐怖し絶望する……その恐怖


と絶望の感情が魂に刻まれるわけですよ、そしてその恐怖と


絶望が刻まれたあなたの魂こそが、偉大なるダリウス様の


完全復活につながる……と言う訳ですw≫


不敵な笑みを浮かべ三毛猫オトアを見つめながら言う。


俺は、その話を聞いて、逆上し、


「レッドバスター!」


”ビシュー”


右の太腿の装甲を開き、ビームガン(光線銃)を取り撃つ。


しかし、ノウェムはそれを予想していたのか、素早く避け、


「おっと、勘違いをなさっては困りますよ日向天太 殿」


と言い、


「あなたの相手はこの者たちですよ」


とノウェムが言うか言わないかのタイミングで、


\ガオー/


と3体のゾンビが俺達を襲ってきた。


「レッドバスター!」


”ビシュー”


\ズキュン/


\グァァァッ/


「レッドバスター!」


”ビシュー”


\ズキュン/


\グァァァッ/


「レッドバスター!」


”ビシュー”


\ズキュン/


\グァァァッ/


俺達を襲ってくる3体のゾンビに俺はビームガン(光線銃)


で撃ち倒すが、それを不敵に見つめるノウェムが言う。


「果たしてこれだけの数相手に、そのスーツのエネルギー


がどこまで持つか……みものですねぇ」


(くっそー!)


ノウェムの言葉に内心悔しがる俺だった。













\シャンシャンシャン/、\シャンシャンシャン/


どこからともなく、鈴の音が聞こえる。


「何だ!」


俺が思わず言ううと、


≪空からじゃない?≫


三毛猫オトアが空を見つめ言う。


俺は、三毛猫オトアの視線を追って、空を見上げると……。


 そこには、ペガサス4頭で引く、白い馬車が飛んでいた。


「何だ?あれ」


俺の叫びに、三毛猫オトアが言う。


≪サンタさんかな?≫


その言葉に俺は思わず、


「いやいや、サンタさんって、馬車じゃないし……第一、


今は5月の末だよオトア」


と俺が突っ込むと、


≪えへw≫


と笑ってごまかす三毛猫オトア


 俺と三毛猫オトアがそんな会話をしていると、


「とー!」


と言う掛け声とともに、空飛ぶ馬車から、地上に降り立つ5人


の女性達。


 見るところ、修道服を着ているのでシスターらしいが……。


 ・一人は、黄色い修道服に三日月のペンダント。


 ・一人は、赤い修道服にルビーのペンダント。


 ・一人は、胸にアクアマリンのペンダント。


 ・一人は、胸にエメラルドのペンダント。


 ・一人は、ピンクサファイアのペンダント。


 すると、その5人の真ん中の修道女らしき人が胸を張て言う。


「ご存知、愛と正義のシスター美少女戦士、シスタームーン!」


「同じくシスターマーズ !」


「同じくシスターマーキュリー!」


「同じくシスタージュピター!」


「同じくシスターヴィーナス!」


とそれぞれ口上を言いながらポーズを決め、最後に再び真ん中


のシスターらしき人が言う。


「いたいけな少年少女をいたぶるとは、許せない!月の精霊に


懺悔なさい!」


と再びキメのポーズをとる……が、


俺と三毛猫オトアをはじめ俺の周りに居るアンデットに、


悪魔のノウェムまで、口をあんぐりして固まった。



”ヒュー彡”


あたり一面、冷たい風が通ったような気がした。


のを察知してか、真ん中の人が、


”コホン”


と咳ばらいを一つして、


「とにかく、光の精霊様のお言いつけで、日向天太と涼風響は、


私達が預かります、そこの悪魔引きなさい!」


とノウェムを指さし言う。


指をさされたノウェムは、あっけにとられていたものの、指を


刺されて、正気に戻ったのか。


「何をほざくか!返り討ちにしてくれるわ!」


と言うと、周りのアンデット達に首をクイっと振って、


”お前らかかれ”と合図した。


 その合図に、呆れて固まっていたアンデット達が再び動き出す。


\ウォ~/


その動きを見たリーダーらしき、シスタームーンさんがすかさず、


「ムーン・クリスタルハーレーション~!」


と叫びながら、両手で胸の三日月のペンダントを囲むようにすると


……。


\\ピッカ~//


 ペンダントからまばゆい光がでて、襲い掛かって来るゾンビ90


体(10体は俺が倒した)を一瞬で消滅させた。


 因みに後で、シスタームーンさんに聞いたら、この時、ブランチ


スキル※『浄化』を合わせて使っていたらしい。


※『浄化』悪魔・死霊などを浄化できる。


 これを併用することで、ムーン・クリスタルハーレーションの


浄化の威力が増加する。


「なっ、ナニ!?」


一瞬でゾンビ90体を消滅させたことに驚くノウェム。


が、それだけではなかった。


続いて、シスターマーズさんのルビーペンダントが、光ったと


思ったら、突然、手には炎の剣を持っていた。


そして、その剣を構え、


「蛇火炎(マーズ・ドラゴン・ファイヤー)!」


と言うと同時に剣を振るうと、


\ゴー/


炎が見る見る大きくなり、炎のドラゴンが飛び出す。


そしてその炎のドラゴンはミイラ30体を一気に飲み込み


これもまた一瞬で消し去った。


これも因みにだが、後で、シスターマーズさん聞いたら、この時、


ブランチスキル※『滅』を合わせて使っていたらしい。


※『滅』悪魔・死霊などを消滅させる。


 これにより、蛇火炎の滅の威力が倍増する。


 だが、アンデットもすぐさま反撃……しようと、3体のスケルトン


ナイトがバスタードソード(長剣)を振り上げ切りかかると同時に、


リッチ2体が魔法攻撃のため呪文を唱えだした時だった。

「マーキュリーシャボン・スプレー!」


とシスターマーキュリーさんが叫ぶと、胸のアクアマリンのペンダント


が光る。


すると、胸のペンダントから、シャボン玉が現れ、スケルトンナイト


3体と、リッチ2体を包み込んだ。


そして、シスターマーキュリーさんが、


「ブランチスキル※『除霊』!」


と言ったとたん、スケルトンナイト3体と、リッチ2体は、体がどん


どん薄く透明になって行き、やがて消えた。



※『除霊』は、悪魔・死霊の魂を取り除く。



あまりの出来事に驚き固まるアンデットのワイトキングと、悪魔の


ノウェム。


それを見た、シスタージュピターさんは、アンデットのワイトキング


と、悪魔のノウェムに向かって、


「ジュピター・サンダー・ドラゴン」


と叫ぶと、胸のエメラルドのペンダントから、


\バキバキバキ/


と稲妻の竜が現れ、まずワイトキングを呑み込み、次に悪魔のノウェム


を飲みこもうとしたその時だった。


ノウェムは、左目眼帯を外し、


「カオスホール!」


と叫ぶと、自身を襲おうとするシスタージュピターさんが、出した


稲妻の竜を飲み込んだ。


\\シュルシュル//


シスタージュピターさんが、出した稲妻の竜を飲み込み、”ふっ”


と笑みを受けべ、ノウェムは言う。


「私には通用しませんよw」


そのノウェムに対し、シスタームーンさんも笑みを浮かべ言い返す。


「なかなか、やるわねぇ~でも、これならどうかしらw」


そして、仲間に向け言う。


「みんな、あれで行くよ~」


「おう!」×4


シスタームーンさんの言葉に他のシスター戦士さん達が声を合わせ、


返事を返すと、全員が、胸のペンダントに手をかざす……と、


それぞれのペンダントが光り、同時にかざした手に光が移ると、


5人一斉に光に包まれた手をノウェムに対し向ける。


「「「「「シスターシャイニングアタック!」」」」」


\\ピッカー//


それを見たノウェムも、左目眼帯を外し、


「カオスホール!」


と叫ぶ。


すると、シスター達5人が放った光は、ノウェムの左の眼の穴に


吸収されてしまった。


「ふふっ、だから言ったでしょw」


と勝ち誇ったように言うノウェムに、シスタームーンさんはニッコリ


笑って、


「それは、どうでしょw」


と言い返すと、他のシスターさん達と目を合わせ、


「「「「「シスターノバ!」」」」」


と叫ぶと、ノウェムの顔が一瞬大きくなった。


「何っ、バカな!」


と次の瞬間。


\\\ドッカーン!!//


とノウェムは爆発四散した。













 空に居たペガサス4頭が引く馬車が、そっと地上に降りてきた。


 俺と三毛猫オトアは、助けてくれたシスタームーンさん達の所に行き


お礼を言う。


「ありがとうございましたw」


≪ありがとうございましたw≫


「どういたしましてw」


と俺達のお礼の言葉にニッコリ笑い言うシスタームーンさん。


「ところで、どうして僕達がここに居るってわかったんですか?」


と俺が尋ねると、


「ああ、光の精霊様に言われてねw」


とさらっと答えるシスタームーンさんに、俺と三毛猫オトアは驚き、


≪「えっ、光の精霊!?」≫


同時に叫ぶと、


「光の精霊様ってねぇw……」


と言いかけるが、横に居たシスターマーズさんが言う。


「話は、馬車に乗ってからでいいんじゃない?」


と俺達とシスタームーンさんに声を掛ける。


「そうねぇ~、とりあえず、馬車に乗って」


「話はそれからねw」


とシスターマーズさんの意見に同意し、笑顔で俺達に言う。


すると、話を聞いていたシスターマーキュリーさんが、馬車の


扉を開け俺達に言う。


「さぁ、乗ってテンタ君、オトアちゃん」


「あっ、はい」


≪はい≫


俺と三毛猫オトアは、シスターマーキュリーさんに促され、


馬車へと乗り込むのだった。












俺と三毛猫オトアが馬車に乗り込むと、


「「「「「リバース!」」」」」


シスタームーンさん達5人は、変身(ブランチ姿を)を解き、元の


姿に戻った。


(あらら、全員猫人だったのねぇ)


猫耳と尻尾が猫で、顔と体が人間の姿をした、クリスタル警察の


ユウジン《コラット》さんに似た姿だった。


 馬車の席は3人ずつの対面式の座席。


 俺の膝に三毛猫オトアを乗せ、隣にシスタームーンさん、その隣に


シスターマーズさん、そして、俺の向かい側の席には、シスター


マーキュリーさん、シスタージュピターさん、そして、シスター


ヴィーナスさんが座る。


 全員が馬車に乗り込むと、御者のタキシードを着た男の人が馬車を


出す。


 一瞬、ふわっと浮いたかと思うと、馬車は滑るように進んだ。


(普通の馬車と違い揺れないな……)


って心で思っていたら、シスタームーンさんが、


「まずは、自己紹介しておくねw」


と言われ、5人が俺と三毛猫オトアに自己紹介をしてくれた。


 まずは、シスタームーンさん。


 本名はミンスさんで、ピンクの髪の猫人現在22歳で、身長


168Cm細身のBカップ。


 転生前は日本人で、岡本真美さんと言う名前で、10代の時、


梁(リャン)先生と同じ神戸の震災で亡くなって、こちらに転生して


きたとのこと、チーム”美少女戦士シスタームーン”のリーダー。


 次に、シスターマーズさん。

 

本名はソマリさんで、オレンジの髪の猫人現在22歳で、身長


167Cm細身のBカップ。


 転生前は日本人で、雛野珠美さんと言う名前で、10代の時、


ある連続殺人事件に巻き込まれ、亡くなって、こちらに転生して


きたと言うことだった。


 そして、その次がシスターマーキュリーさん。


 本名はシュパンさんで、黄色の髪の猫人現在22歳で、身長


164Cm細身のBカップ。


 転生前は日本人で、工藤いずみさんと言う名前で、10代の時、


地下鉄で毒物が撒かれた事件に巻き込まれ、亡くなって、こちら


に転生してきたと言うことだった。


 その次は、シスタージュピターさん。


本名はマフィンさんで、紫の髪の猫人現在22歳で、身長


166Cm細身のBカップ。


 転生前は日本人で、新谷久美さんと言う名前で、10代の時、


両親と海外旅行先の飛行機事故で、亡くなって、こちらに転生


してきたと言うことだった。


最後は、シスタージュピターさん。


本名はバンビーノさんで、赤い髪の猫人現在22歳で、身長


165Cm細身のBカップ。


 転生前は日本人で、有賀美紀さんと言う名前で、小学生の時、


ある市の小学校で集団食中毒事件が起こり、それで亡くなって、


こちらに転生してきたと言うことだった。


 シスタームーンさん達の自己紹介が終わり、俺は改めて聞く。


「どうして僕達がここに居るってわかったんですか?」


の俺の問いかけに ミンスさん(シスタームーン)が答える。


「話は少し長くなるけど……」


と前置きをして話を続けた。


「私達、猫人族は、闇の精霊を信仰しているのね、それで、


あなた方の捜索依頼が来た時に、闇の精霊様が、光の精霊様の


伝言として、私達にお告げをくださったの」


「そのお告げと言うのは、マラフトの森で、悪魔に襲われている


日向 天太と言う少年と、猫になった少女涼風響を救い出し、


光の精霊の所に連れて来なさい……と言うものだったの」


その言葉を聞いた俺は、再びミンスさん(シスタームーン)


に尋ねた。


「闇の精霊様が……なるほど……でもいったい光の精霊様が


俺達に何の用があるんでしょか?」


すると即答で、ミンスさん(シスタームーン)が言う。


「しらなぁ~い」


その答えに、


≪「えっ!」≫


と絶句する俺と三毛猫オトアだった。

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