1話 小さな石像
俺と
何かを見つけたのか、俺を呼んだ。
「ねぇ、ねぇ
俺が手招きする
しゃがんだ状態で小さな白い石像を指さし、
「これ、何だろう?」
「どれどれ……」
「神様かな?」
台座を入れても70Cmくらいの小さな白い石像。
(んっ?)
「女神像かな?」
と俺が言うと、
「なんか親しみがある顔立ちw」
と、
見つめ……。
「なんか、オトアに似てるよなこの像」
と俺が言うと、俺の言葉に
「え~じゃ、私女神様w」
と、
\ピカッ/
白い石像の目が光った。
(なんだ!)
俺は、一瞬驚いたが、その後何事も起こらない。
(なんなんだこの石像……)
と思い、その場を離れようと、
「
「……」
しかし、
(んっ?どうした)
「
「……」
俺が、しゃがんでいる
掛けるが……返事はない。
(んっ!?どうしたんだろう……)
俺は、そう思い、
見ると……。
「
俺は
「
\バシ/
すると
「ワ・ガ・ナ・ハ・ダ・リ・ウ・ス!」
(オトアの声じゃない!)
\\\ビリビリ~///
\\\バリバリ~///
そして、
「おっ!―」
丸裸になる
と同時に体が倍の大きさになり、腕や下半身には黒い鱗状のものが覆う。
そして背中に蝙蝠のような羽が生え、白目は黒く、瞳は金色に輝く。
おもむろに、空中にふわっと浮き上がると、
「オ・カシイ~」
「こいつの魂が……ない」
そう言いながら、あたりを見渡す
「どうしたんだ!
と、空中に浮かぶ
に目をやり、
「……まぁ、こいつの魂でも……ないよりましか」
と言いながら”カー”っと目を見開き俺を見た。
すると、俺は全身が脱力と言うか、力が抜けてその場にへたり込んだ。
すーと、
掴もう……。
その時だった!
急に俺の前に三毛猫が現れる。
”シャー!”
尻尾を立て、全身の毛を逆立てて思い切り
(なんだ!?この猫……どっから来たんだ?)
一瞬、俺が心でそう呟いた時だった。
急に
止まると言うより……固まった?
「何だ!何が起こった!」
困惑する
必死に動こうともがくが、動けない。
「えっえーぃ!」
何か癇癪を起したような言い方をし、一瞬目を瞑った。
すると、
一見、執事風の姿だが、
奴が現れた。
そして、そいつは
「ダリウス様、ご復活 心よりお喜び申し上げます」
その言葉に、
「おお、大儀、そなたは……」
と固まったまま言う。
「はい、バンバ男爵様配下、デケムにございます」
とまた丁寧に頭を下げる。
「そうか、バンバのな……」
と
「して……ダリウス様、何をなさろうと……」
その執事風の奴が聞く。
「この小僧の……いや、とにかく体が動かせん、何とかいたせ」
と、
「ははっ……で、あの者は…… 」
と執事風の奴が、
「ぬっ……始末いたせ!」
「畏まりました」
「無の具現たる深淵よ、我が意のままに 万物創成
ウニベルソアセール!」
頭を上げると同時に、呪文を唱え、右手で指を鳴らした。
\パチン/
すると、光の柱が俺の後方に現れる。
「えっ!」
俺は振り向き驚いた。
そこには、金貨や宝石…剣や槍など、どれも”ピカピカ”
光っていた。
「お前は、魔物に喰われるがいい」
そう執事風の奴が、俺に言うと、
「無の具現たる深淵よ 我を彼の地に連れて行けトラスラダモス」
と言いながら、
\パチン/と指を鳴らすと、”ボワッ”と黒い煙が現れ、
2人を包んだかと思ったら、煙と共に消えた。
と同時に俺を襲う全身の脱力消えた。
「えっ、なになに」
驚く俺。
そして、必死に空に消えた
「オトア~!!」
が、
むなしく俺の叫び声があたりに木霊する。
◇
「何でだよ!」
俺は頭に拳をぶつけ叫ぶ。
「なんで、せっかく……やっとつきあえたのに……」
口惜しさと、寂しさが入り乱れ、涙が止まらない。
俺は、その場で蹲り、泣き続けるだけだった。
そんな俺の側に、さっきの三毛猫が俺の顔を覗き込むように
近寄ってくる。
”ニャー、ニャー”
(今俺はお前の相手してるどころじゃないんだ)
近寄る三毛猫に俺は、蹲ったまま”シッツ、シー”と手で追いやるが、
三毛猫は、俺の側を離れようとしない。
”ニャー、ニャー”
「なんだよ!この猫」
俺は顔を上げ、大きな声でそう言うと、再び手で”シッツ、シー”
と追いやるが、猫は俺から一瞬離れるも、再び俺の側によって来る。
”ニャー、ニャー”
「うるさいな!」
俺は立ち上がり、そう叫んだ。
猫は一瞬たじろぐものの、”ニャー、ニャー”と泣きながら、前足で
地面を指した。
「んっ!?」
三毛猫の妙なしぐさに俺は困惑する。
「地面がどうしたんだ?」
疑問を口にし、三毛猫にそっと近寄り、彼が指し示す地面を見た。
そこには……
”オトア”と書かれていた。
「えっ、何でお前がオトアの名前知ってんだよ」
と三毛猫に聞き返すが、”ニャー、ニャー”鳴くだけである。
「ああ、さっき俺がオトアと叫んでいたから書いたのか……」
と納得しかけたが、ものすごい違和感に頭を振る。
「いやいや、猫が人間の言葉を……って、それよか、何で文字書ける、
それもカタカナでぇ~」
驚く俺に、三毛猫は地面に書いた”オトア”と言う文字を前足で指し、
次いでその前足を自分の顔に宛がう。
「んっ?オトアは自分ってことか?」
と言う俺の問いかけに、頷く三毛猫。
「っんな、バカな~」
と言う俺の言葉に、三毛猫は再び地面に前足を使って何かを書き出
した。
”私は涼風
今度は、漢字で字を書く三毛猫。
「猫が漢字書いてる~!何で、何でだよ~!」
驚く俺に、三毛猫は続けて地面に文字を書く。
”僕も
てください”
(確かに……あの時俺が言った……言わされたセリフだ)
「えっ、えぇ―――――!」
俺の叫び声が再びあたりに木霊するのだった。
◇
”ギル”
”ギル、ギル”
”ギル、ギル、ギル”
変な鳴き声?と共に、それは現れた。
身長が1.4mほどで肌の色が土色。
しかも、手に持っている武器が錆びだらけのボロボロ。
「ゴブリン……か?」
ゲームでよく見る雑魚キャラのゴブリンぽい奴等が、\ピカピカ/
光るお宝のの前にいる俺と
「ナニ、何、なに!」
”シャー”
ゴブリンを見て、体の毛を逆立て、威嚇する
前に出て、俺は、
”ギル”
”ギル、ギル”
”ギル、ギル、ギル”
俺たちに対して、ゴブリンらしき奴らが、威嚇するように鳴いて
いる。
6体の化け物は、今にも俺達を襲おうと武器を構えた。
そこで、執事が作った宝物がある所から剣を拾い、応戦の構え
を見せる。
(自慢じゃないけど、剣なんて持ったの初めてだ)
"シュッ”と一体のゴブリンが俺の前に来て、槍を突き出した。
\バシン/
かろうじて、剣でそれを掃うことができた。
しかし、次の瞬間、剣で切り込んでくる別のゴブリン。
俺は持っている剣で掃ったが、
\バキッ/
何故か剣が折れた。
「え――――っ!」
剣が折れたことに驚き、持っていた剣を見ると……。
剣だと思っていたのは、ただの木の枝だった。
「お―――!」
再び驚き叫ぶ俺。
(ヤバイ!!)
と俺が思った瞬間、
”ニャー”
”シャッ”
と顔をひっかいた。
\\グギャー//
剣を持ったゴブリンが悲鳴を上げ、後ろにのけ反り後退すると同時に、
周りのゴブリンが、たじろぎ、少し後ろに下がった。
”ふう”
と俺は一息ついた。
しかし、状況はかなり切羽詰まっている。
(どうする俺)
◇
俺は折れた木の枝を持ったまま構える。
あの執事が出した\ピカピカ/は、いつの間にか枯れ木の枝や石に
変わっていた。
しばらく、にらみ合いが続く。
”ジリッ、ジリッ”と詰め寄ってくるゴブリン。
(後1歩踏み込まれたら……)
と心で思ったその時だった。
「チョー!!」
「「ヤー!」」
突然、俺を囲むゴブリン達の後方から、銀と黄と紫の人が現れた。
「なんだ!」
”ニャー”
”ギル!、ギル!、ギル!”
驚く俺と
「シルバーバスター!」
「イエローバスター!」
「パープルバスター!」
\\\ビシュー///、\\\ビシュー///、\\\ビシュー///、
銀と黄と紫の人がそれぞれ光線銃の様なものから光線を放つ。
\ズキュン/、\ズキュン/、\ズキュン/
\\\グギャー///
光線銃で撃たれた3体のゴブリン達は、一瞬で砂になって消えた。
”ギル!、ギル!、ギル!”
それを見た残りのゴブリン達は慌てて逃げ出す。
「ふぅ~」
俺は安堵感からため息をつく。
しかし、ゴブリンが去った後、銀と黄と紫の人はすかさず、俺に
光線銃を向ける。
「♯$%*@$%♯<¥!」
(んっ何言ってるんだろこの人達)
銃口を向けられた俺は思わず、持っていた折れた木の枝槍を捨て、
両手を上げる。
”シャー”
俺の後ろで、体の毛を逆立て、威嚇する
「た・たす・けてくれてありがとうございます」
ホールドアップ状態で、恐る恐る言う俺。
それを聞いた3人のうちの銀の人が言う。
「お・お前……日本人か!」
その言葉に俺も思わず、
「はい!?」
と素っ頓狂な声で返事をするのだった。
◇
銀の人は、左手を上げ、後ろにいた黄の人と紫の人に銃口を下げるよう
合図を送る。
銀の人と黄色の人は銃口を降ろした下したが、
「♯<¥♯$%*@$%!」
紫の人が銃口を下げずに銀の人に向かい何かいた。
「$%*@<¥♯!」
それを聞いた銀の人も何か紫の人に言い返す……と、紫の人が渋々銃口
を下した。
「リバース!」
銀の人がそう叫ぶと、銀のバトルスーツの姿から、キャメル色の
革ジャン、白いズボンにキャメル色のブーツ姿の金髪の中年の
おじさんへと姿が変わる。
「俺はトム・ガーフィールド……こっちに転生してきた転生者だ」
「転生前は、岩崎 剛≪いわさきたけし≫、日本人だ」
「えっ、転生!? 日本人!ですか……」
どう見ても、白人の中年男性にしか見えない男の人に目を丸くする俺。
「名前は……?」
と聞いてくるので、慌てて答える俺。
「あっ、はい、僕は
「ほう、日向君か……」
「で、何でここに?」
と聞き返してくる白人男性。
「信じてもらえるかわからないですが、実は……。」
と今までの経緯を俺は話し出した。
「なるほどな」
銀の人改め、ガーフィールドさんが俺の話を聞いて、頷くよう
に言う。
「しっ……信じてもらえますか?」
と恐る恐る聞く俺に、
「まぁ、いきなり全部とはいかんが……」
と答えるガーフィールドさんに、俺は力なく言う。
「ですか……」
俺の落胆している様子に気づいたガーフィールドさんは、
「いや、ダリウスってのは、確かにこの世界に居たとされる
悪魔の名前だ」
と言う。
その言葉に、俺は、前のめりで、
「そうなんですか!」
一瞬、喜んだように言うが、
「でもな……その猫が君の彼女ってのはなぁ……」
ガーフィールドさんのその言葉を聞いて、
三毛猫≪オトア≫が、ガーフィールドさんの前に進み出て、
地面に字を書いた。
"私は涼風
それを見たガーフィールドさんが、目を丸くする。
「ねっ、ね、日本語でしかも漢字でですよ!」
と詰め寄る俺に、
「あっ、まぁ、日本語で、しかも漢字で文字を書く猫……
ってのは、こっちの世界でも前の世界でもいねぇよな~」
と、訝≪いぶか≫しそうな目で俺に言うガーフィールド
さんだった。
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