出発
昨日はノートにメモをした中間人についての説明を確認し、十時に眠りについた。そして今日は朝五時起床、五時半に朝食を食べてから六時に父上の部屋へ向かう。
いつもより起床時間が一時間早いのは、本日私が十八歳になる日であり初めて王の仕事に触れる日であるためだ。これから父上から仕事の説明を受け、その仕事を八時から開始する。
私は今日の予定を頭の中で流しながら、父上の部屋へと向かった。
私が部屋の前へ着いたのと同時に扉が開いた。ここから見える部屋の時計はしっかり六時を指しており、ベッドに座った父上がこちらを向いていた。
「入りなさい。これからお前が今日すべきことの説明をする」
「はい、父上」
私は部屋の外から一礼、部屋に入って一礼、そして父上に近づいて一礼をした。
「では説明を始める。近年、中間人の怠惰な様子が目立つ」
父上の言葉を一語一句間違えぬよう、私は持ってきたノートに丁寧にメモを始める。
「それは悪魔が関係していると私は考えている。中間人は規則通り、天使と悪魔の中間の立場でなければいけない。少しでも片方に傾くことは許されない。そこでお前の仕事は、天使であることを気づかれぬように変装し、一人で一年間洞窟へ偵察に向かうことだ。悪魔達の、特に洞窟の王の周辺の動きを観察し一年後の夜六時にここへ報告しに戻ってくるように」
そう言い終え、十秒間父上は無言だったので私は
「分かりました。何を持つべきでしょう」と質問した。
すると父上は、
「これを必ず持ちなさい。これが何であるかは学習済みであろう」と、初代空島の王が創った宝刀を執事に出させた。三年前の今日の授業、これが善人を切らず罪人を切る刀だと習ったのを覚えている。
「もし悪魔らが何らかの危ない動きをしたときはこの刀に向かって『何が善で何が悪か』を問い、敵を切れ。分かったらもう行きなさい」
「はい」
父上の前で一礼、扉から出る前に一礼、扉から出て一礼をすると扉が閉まった。そして私は自分の部屋へ戻り身支度を終え、普段は折り畳んで閉まっている羽を出してぴったり八時にこの空島から飛び降りた。
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