第12話 モルモットかよ⁉

あれから一年・・・

忘れていません学力向上・・・


レアヒカリ学園には

国中の貴族や上流階級の子供たちが入学する

私たちの学年の入学予者は60名ほどらしい

そのうち王宮特別学問所へ進めるのは

一割の6名だけ狭き門だ


ラテルは学問も武術も難なくこなす

そりゃそうだ前世で経験済みなんだから

ルクトは学力がずば抜けて良い

そりゃそうだ前世で教授なんだから

私だけスタートから不利じゃん


厳しいと言えばルクトの勉強特訓も一年になる


当初は優しかったのに

この頃は怖い

少しよそ見をしたり

ボーっとしたりすると

机をドンドンと叩く

何回やられてもその度にビクッとしてしまう


そして

「俺はこんなに出来の悪い生徒は初めてだ

 もう教育者としての自信がなくなった」

と頭を抱え込むのが毎度のお決まりだ


武術の稽古より勉強の方がどっと疲れるよ


私は思っていたより学習能力が低いらしい

アハハハッ・・・ハーアァ~


――――――――


忙しい中でも毎日の双子飼育観察は続けている

1号2号も1歳になり

伝い歩きをするまでに成長した


名前もトーキスに1号

スイークに2号と呼べば

「あー」

と返事をする

こんなに幼いのに名前を二つも覚えられるのだ

凄いなぁ、少し感動です。


離乳食を食べさせるのは楽しい

昭和に生きてたころに

〔ふれあい動物園〕で

ウサギやヤギに餌をあげた時と同じくらい

楽しいです!


1号2号に離乳食を食べさせながら

家畜も人から餌をもらって

なつくのだなぁと思った


これをラテルに話せば

又お小言をくらうので黙っていた


双子は最近

私が部屋を出ていく時に追いかけてくる

随分となついてきたようで

少し可愛いなぁと思います


――――――――


今夜もルクトの部屋に集合

 

三つ子も7歳になった

「らいねんの10月で8歳だから

 あと10ヶ月で入学だね」

と自信たっぷりに言ったら


『はっ?なに言ってるの?』

ラテルとルクトの言葉がシンクロしている

これはヤバい時に出るやつだ!


「だって、8歳になったら入学でしょ?」

『違う!数え年の8歳!』


げっまたシンクロした、本当にヤバいぞ!

 

「じゃあ・・・あと4ヶ月しか無いの?」

「正確には3ヶ月半!」

  

ガーーーン!!


「お前はまだ

 2年生の予習が終わつてないんだよ!」


あぁ、だから最近

ルクトの勉強を教える厳しさが

倍増してたのかぁ~

納得で~す~

って、納得してる場合じゃなーい!


「フォーラ

 お前は国語と社会科がまるでダメだ!」


知ってます

自分の事なので、よーく知ってます


「明日からは

 国語と社会科だけ勉強する

 他の教科は入学してから俺が毎日教える」


なんてこったぁ!

入学してからも

地獄のルクト個人授業が続くのかー!


ルクトが私の両肩に手を置き、

「フォーラ、勇者になるためだ」

と言う


そうだ!

ラテルとルクトが勇者になれなくとも

私だけは勇者になってやるのだ!

フッフフフッ・・・


――――――――


武術は短刀から弓矢そして剣へと

ステップアップした

それに合わせて呪術の修行も積んだ

私、偉い!


呪術力を上げても

武術力が未熟では効果は低い

総合的にレベル上げをしなくてはな


ディーゴの指導は的確で解りやすく

お陰で剣を握ったことの無い私もルクトも

随分と上達した

これだけ容易たやすく指導できることは

ディーゴの剣士としての強さを語っている

三つ子は、そんなディーゴを尊敬し慕ってもいる

――― ――― ―――

今日の対戦稽古の相手はラテルだ


「あっ!」

私が足を滑らせよろけた拍子に

ラテルの剣が手の甲に当たり

傷口から血が出ている


皆が駆け寄ってきた


私の傷を見たルクトが

「ちょっと待ってろ」

そう言いうと屋敷向かい走っていった


「ごめん、フォーラ!どうしよう・・・」

「ラテルは悪くない

 よろけながらも剣を合わせなかった私が悪い」

「フォーラ様のおっしゃる通りです

 しかし、お怪我をされたのは全て私の責任」


どうしよう!

キチェスは弓矢の稽古まで知っているが

剣術の稽古は知らない

私が怪我したせいで

剣術稽古をしている事がキチェスに知られたら

ディーゴにどんな罰が下されるか・・・

それは避けたい、なんとしても避けたい!


息を切らしながらルクトが戻ってきた


「ディーゴ、骨は大丈夫かな?」

「骨には達しておりません」

「切り傷だけだね、良かった」


いや、ちっとも良くないよ!

傷があったらキチェスに、ばれちゃうよぉ



「心配するな、これを塗れば直ぐに治る!」


そう言ってルクトは

持ってきた小さな瓶の蓋を開けて

中から青色のスライム状の物を出して

私の傷口に塗った


「見てろよっ」


見ますよ!

凝視しますよ!

いきなり得体の知れない物を塗られたんだよっ

怖くて目が離せませんよ!


青色のスライム状の物は

傷口の上でブクブクと白い泡になったいく


ヒィーー!

なに?なにが起こってるのー⁉


「もう直ぐで治るはずだ」


はず??

はず・・・ですかぁ⁉


さっき自信満々に

〚心配するな〛って言ったよねぇ⁉


どっち?ねぇ!どっちなのー⁉


「ほら、泡が消えてきた」


本当だ、消えてきた・・・そして

傷が、傷がなくなってるー⁉


「成功だな

 どうだ、俺の作った薬はすごいだろ!」


すっ、すごいです!博士!


「いやーこんなに上手くできたてとは

 我ながら天晴れだ!!」


おい!!

もしかして

この薬を使うの初めてだったのか?

私で試したのか⁉

私はモルモットかよ!!


「やったなルクト、大成功だ!」

ラテルも知ってたの?


「おお、上出来だ!」

ラテルとルクトがハイタッチして喜んでるよ


「この薬はルクト様が作られたのですか?」


ディーゴが驚いている

そりゃぁ驚くよなっ


「ああ、俺が作った」

「このような薬は初めて目にしました

 ただ驚くばかりです」


ホッとした私はの口から

「良かった、これでディーゴが父様に怒られない」

と言葉が出て、涙で目がウルウルした

が、グッと堪え涙は見せない

男児たるもの泣きはしないぞ!


「僕もディーゴのことが心配で」

「俺もだ」


お前たちは、もっと私のことを心配しろよ!!


でも三つ子はディーゴを慕っているからな

ディーゴは口数は少なくても

三つ子たちの

無事な成長を願う気持ちは伝わってくる

なんたって外見は7歳でも中身は大人だから


あれっ・・・すすり泣く声?

「お三人共

 ディーゴさんを大切に思ってらっしゃるのですね

 皆様なんとお優しい」


おいおいおい、ビックリだよ、

無表情二号の二モンが泣いてるよ

二モンも優しい男なんだな

でも、その泣き顔はぁ・・・醜い


真面目なディーゴは

私の怪我を

キチェスに報告すると言うので

三つ子で必死に説得して

五人だけの秘密にした


ほんとに、くそ真面目にも困ったもんだ


 





 







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