第6話 道づれ

ラテルの前世

ニナオイスⅢ世終焉の話しが終わったのだが

はぁん?

さっきから隣でルクトが

五月蠅く鼻をすするてると思ったら

おいルクト!なんでお前まで泣いてんだよ?

しかもその泣き方どっかのオッサンかよ⁉


「なぁラテル、その強い思いで転生できたのか?」

おっ、ルクトいい質問だ

私も気になる大いに気になる

ラテルも呪術が使えるのかぁ?


「それは、ウーシア様のご加護だ」

ウーシアって・・・誰⁈ 誰⁈ 誰ですか⁈


「死の直前に王の守護神ウーシア様に

 弟と民を守る力をお与えくださいと祈り願った

 そして次に目を開けた時には

 産声をあげていたんだ」


えっ⁉自力じゃないの?

他力なの?そんな手もありかよぉ⁉


「なるほど神に願ってかぁ。

 フォーラも神の力で転生したのか?」

「いや違う、違うぞルクト」


フッフッフッ、聞いて驚くなよ

「私は自らの力で転生したのだ」

「そんなことが出来るのか⁉」

「できる!聞いて驚くなよ

 我は史上最強の陰陽師・安倍晴明が

 最後の弟子兎良蝉丸なのだからぁ!」


どうだぁビックリしたろっ

ビックリしちゃっただろぉ~


「アべノセイメイ?って誰??」

ラ、ラテル・・・

「地球と呼ばれる星に昔いた占い師みたいなものだ」

ル、ルクトなんと間違った事を言う!

「なるほど」 

納得するなラテル!


「ちっがーう!晴明様は占い師ではなーい!

 呪力をもって呪術を操り

 悪霊とか鬼を退治したり

 結界を張って都を守ったりするんです!」

「ふーん魔法使いみたいだね」

「う~ん、ちょっと違ぁう」


そうだよなぁ・・・ここは地球じゃ無いんだから

ラテルが陰陽師を知らないのも当然だよな

・・・でも悲しいです


「それで陰陽師のフォーラはなぜ自ら転生したんだ?」

おっ、ルクト又もやいい質問をするねぇ~


「それはですなぁ・・・」


――――――――


私は平安時代に都で起きた

怨霊・朱鷺門領詮封印大作戦について語った


「それじゃあフォーラは千年前から、ここに来たの?」

「いいや、平安時代から千年先を目指し

 転生を繰り返している、今回で22回目の転生だっ」

「22回も⁉」

「そうだ22回目もだ。エッヘン!

 でも・・・

 今までは日本に転生してたのに今回は知らない星に

 だが私は決して諦めはしない!

 民の安寧を護るため

 必ずこの手で領詮を封印してみせる!」


「フォーラ、かっこいいね」

「そっ、そうかぁ」


褒められると嬉しいなぁ

いつも教育係の土階様に怒られてばかりだったからなぁ

褒めて褒めて、もっと褒めてぇ

褒められると伸びるタイプなんです~エッヘッへへ

 

「なあフォー・・・22回も転生してるなら

 戦国時代とか江戸時代とかにも転生してたのか?」


ルクトが目を輝かせながら聞いてくる

仕方ない教えてやろう


「まあなっ」

「じゃっじゃあ織田信長とか・・・」

「見たよ、神々しく奇才を放つお方だったなぁ」


《蝉丸よ他人を思いやって出る噓は良い。

 が、己の見栄から出た噓はいずれその身を滅ぼすぞ》 

って土階様が言ってたけど・・・

馬に乗り走り去る後ろ姿だけど

ほんの2・3秒見ただけだけど

確かに見たから噓じゃない!


「戦もに一緒に・・・?」

「もちろん出たさぁ」


私は足軽でしたけどぉ

槍を振り回してただけですけどぉ

信長公は本陣にいんだから噓じゃない!よねぇ?


「すっ、凄いなぁ!」

「そうでもないさぁ」

エッヘッへへどうだ恐れ入ったか!


「ところでルクトは何が目的で転生したの?」


はっ!ラテルのその言葉で思い出した!


「そうだルクト、お前は何者だ!

 何んの目的で私に付いて来た!」

「何で転生したのかなんて知らない、分からない」

「噓をつくな!」

「本当だ!俺は大学教授だったんだ」

 

へーこいつ頭いいんだぁ

だからいつも上から目線なのかよ


「俺が死んだのは不慮の事故で・・・

 足を滑らせた勢いで

 5階の研究室の窓から落ちて死んだ

 そして目が覚めたらここに生まれてた

 二人とは違い転生なんか望んでないし

 目的なんて何も無い」

 

そんな不思議なことも有るのかー?

 

うーん・・・何か引っ掛かるんだよなぁ?

大学・・・の窓からぁ落ちるぅ・・・

うーん・・・??


あっー!


「なあルクト、お前は晃正大学の教授か?」

「ああそうだ」

「窓から落ちたのは1974年11月23日だろっ?」

「そうだ、そうだ。よくわかったな」


「お・ま・え・かーー!」


「どうしたのフォーラ⁉

 落ち着いて!ルクトの上から降りて!

 胸ぐらを掴んで床に頭を打ちつけたら駄目だよ!」


「うるさーい!

 私は上から落ちて来たルクトに当たり死んだんだ!

 こいつさえ落ちなければ死なずに済んだのに!

 朱鷺門領詮の封印ができたのにーー!!」


「わかった、わかったから手を離して

 そんなに頭を打ちつけたらルクトが死んじゃうよ!」


「離せラテル!殺す、こいつを殺してやるーー!!」


ラテルは私を後ろから羽交い締めし

ルクトから引き離した

私は興奮してハアハアと息が荒くなっている


「不慮の事故なんだから

 ルクトに悪気は無かったんだよ

 そこを分かってあげようよ」


ラテルはよろよろと起き上がり


「フォーラすまなかった、本当にすまなかった」


と土下座して床に額を押し付け泣いている


「俺はなんと酷い事をしたんだ

 罪のない他人を殺してしまった

 取り返しのつかない事をした

 本当に、本当に申し訳ない」


❝こいつのせいで❞

そう思うと悔しくて涙が出そうだ


《人生に偶然は無い。

 己の身に起こるしき出来事は必然と心得よ。

 さすれば他人ひとを恨む浅ましき心は生まれぬ。

 悪しき事は己の力で乗り越え人生の糧とするのだ》

土階様の言葉を思い出した

そうだよなぁ

全てが思い通りになるわけが無いけど・・・


これは必然なのか?なにか意味ある事なか?


どうであれ

他人を恨む浅ましい人間になってはいけない!

なんたって私は安倍晴明の

最後の弟子なのだから~~!!

 

でも何故ルクトが付いて来たんだろう?

う~ん何故だかなぁ・・・?


あの日・・・

ルクト上から落ちてくる

私にぶつかる

私はこりゃダメだ死ぬなと悟る

転生の呪いを唱える

その時ルクトは・・・

私に触れていた・・・

それだっ!それでルクトは・・・


「ルクトもう泣くな

 あれだ、あのぉ・・・そのおぉ・・・

 お前が転生したのは私のせいだ!」

「??」


「私が転生の呪いをかけた時に

 二人の身体は触れていた

 だから一緒に来てしまったんだ

 ごめんなさい!」


「なるほど!謎が解けたね良かった良かった

 これでお相子あいこって事だね」


そうかぁ?

ラテルはそう言うが本当にそうなのかぁ?

此れはお相子レベルなのですかぁ?


「それじゃフォーラはもうルクトを恨んで無い?」

「・・・無い・・・」

「ルクトは?」

「勿論、恨む心など無い!」

「じゃあ二人とも和解の握手だ」


元王子ラテルの音頭で握手をし丸く収まった

収まったぁ⁇


今回の転生は疑問だらけだよ

目に見えない力が働いているようなぁ・・・


しかし、今はフォーラとして生きて行かねば

頑張れ私!

ファイトー!おー!トッホホッ・・・


 

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