第11話 優しく揺れる花
決して売ることのない本『シロツメクサの花』を手にしながら、いろいろな事を思い出していると、後ろからおばあちゃんが声をかけて来た。
「ありがとうね。いつも」
「あ、おばあちゃん」
そしておばあちゃんは愛おしそうな目で私が手にする本『シロツメクサの花』を優しく撫でた。
「あの人はね、とっても策士だったのよ。だけどそれは誰よりも優しい策士だった。だって今になってもこうして本屋の中に決して売ることのない本を私に作らせるんだから。本当にいつもびっくりさせられてばっかりよ。ふふふふ」
「おじいちゃんが逝って5年だね」
「うん。私より先に逝くなんて。でもね、
店の中で万理望といろはおばあちゃんの笑い声がすると、軒先の植木鉢のシロツメクサの花が揺れていた。
『青葉書店開店します。~シロツメクサの花 完』
青葉書店開店します。弐『シロツメクサの花』 こんぎつね @foxdiver
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます