第9話
大阪の服飾専門学校に行くために、自転車に乗って空を飛んでいたら
「あーっ、あやめっち」
って声、聴こえてきて、見たら、修学旅行の時のバスガイドさんだ。
空を飛んでるバスの窓から顔を出して、手を振っている。
「仕事中やから、またね~」
バスは、ビューンと空のかなたに消えていった。
「あーっ、あやめっち」
って、また声、聴こえてきたから、見たら、前から空を自転車に乗って、こっちに向かってきてる高梨さんだ。
「ね~、高梨さん。高梨さんって、何歳くらいから、自転車で空、飛んでんの?」
「幼稚園くらいやなあ。なんで?」
「いや、うちは、高校の修学旅行で富士山に行って、その帰り道からやから...」
「あれ?そうやったっけ?高校からなんや」
「富士山の頂上付近で、白い霧の中にいた時から、異世界に行ったような感じやわ」
「たしかに、幻想的な真っ白い霧やったもんなあ」
「それまで、自転車で空を飛んだことなんて、なかったから...」
「自転車も、慣れやから」
「いや、そういうことでなく...」
「あっ、じゃあ、またね~」
高梨さんは、空を自転車でピューと、飛んでいってしまった。
まあ、高梨さんの言うとおり、自転車は慣れかもしれない。
ボクも自転車で空を飛ぶのにも、慣れてきた。
海にいる人魚たちのために、妹は、水泳を教えはじめた。
ボクは人魚たちのための服をつくりはじめた。
ボクは、人魚の女の子に恋をした。
その女の子は女優さん。
その子の舞台衣裳も作る。
空香ちゃんは、沖縄に、人魚の女の子たちによるミュージカル劇場を作った。
世界中から沖縄に、人魚のミュージカルを観ようと、集まって来る。
高梨さんはミュージカル劇場の美術を作っている。
ボクは、人魚の女の子と結婚した。
ボクと人魚の女の子との、可愛い娘も誕生した。
女子みたいなボク、あやめっち ヤッキムン @yakkimn
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