第8話

ボクは大阪の服飾専門学校に進学した。

みんなの体の採寸を行うため、教室で服を脱いで下着になった。ボクの体は、柔らかくて曲線的で女の子みたいなので、みんな、ちょっとびっくりして興味津々で見てた。でも、すぐ、みんなと仲良くなった。

スカート、パンツ、シャツ、ワンピースと作っていった。ショーで作品を発表する時も、全部自分で着た。女の子みたいな体なのも活かされてる。


2年後、妹は東大に合格した。

「あやめっち、泳ぎに行こう!」

妹に誘われて、近くの温水プールに行った。

「背泳ぎ対決やで!真剣に泳ぐから」

「よしっ!背泳ぎなら負けへんで」


タッチの差で妹に負けた。

「あやめっち、背泳ぎだけは凄い。力を抜くと負けてまう」

「今まで、力、抜いてたのか」

「うん。あやめっちは、腕の動きは良いから、あとは脚やな」

でも、妹のほんまの、どや顔見れた。


京都駅に妹を見送りに行った。

妹のいない晩御飯を想像したら寂しくなった。

「夏休みに、はよ帰って来てや。背泳ぎ鍛えとくから」

「東大で水泳部に入ろかな」


京都駅から妹を乗せた新幹線、出発した。


妹のTwitter見たら

「あやめっちは、ちっちゃい頃から面白くて好きや」


「京大でも良いんちゃう」

ってリプしてもうた。


たぶんタッチの差...かどうかは、わからへんけども、家に妹いなくて寂しいのはボクのほうやなあ。


妹に

「部屋を使って勉強してもいい?」

って送ったら

「いいよ」

って返ってきた。

たまには妹の部屋で勉強してみよう!めっちゃ賢くなりそうやわ。


妹の部屋で、専門学校の、服装史の本を読んだら、めっちゃ理解できる。

作図やパターンの教科書を見ても、襟や袖の作図など、めっちゃクリアにわかる。

妹の部屋に裁断机を持ち込んで、そこで作図やパターンをひくことにした。めっちゃきれいな線、ひける。

「ここは、こうやなあ~」

って1人で妹としゃべりながら、いつも製作している。


夏休みに妹、家に自転車で帰ってきた。

久しぶりの妹のいる晩御飯めっちゃ美味しい。


プールに行った。

背泳ぎ対決。

「よ~い、ドン!」


同時やった。

2人で、顔を見合せた。

2人とも、どや顔やった。

2人の、どや顔なんて、珍しいなあ。


「じゃあ、またね~」

妹は、自転車に乗って、空を飛んでいた。







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