第6話

高2の修学旅行で富士山に登った。

その時のバスガイドさん、めっちゃ可愛かった。

バスに乗って

「ああ、めっちゃ可愛いなあ~」

って思った瞬間、運転手さんに

「こう見えて、もう結婚してて、今日は指輪をはずして来たんだよね」

ってバラされていた。

「それは言わない約束でしょーっ」

って、めっちゃ怒っていたけど、それも、また可愛いかった。

どうせなら、修学旅行も終わって、最後の最後にバスを降りる時に、バラしてほしかったなあ~って思った。


5号目からは歩いて登った。

頂上付近に大きな鳥居、立ってて、それをくぐった瞬間に、パーッと白い霧、急に立ちこめてきて、あたりの景色も、まわりの人も、真っ白で、何も見えなくなった。

でも、なんだか、めっちゃ神聖な感じもして、富士山に

「大阪から、よくここまで登って来てくれましたね」

って祝福されてるような感じだった。

富士山に

「こんにちは~」

って、あいさつした。


「あっ!あやめちゃん~」

って、真っ白な霧の中に、高梨さん現れた。

「うわ~」

って言って、霧の中で抱き合った。


しばらくして、霧も晴れて、また景色も人も見えるようになったら、みんなキャーキャー騒ぎながら、富士山を降りていってた。

高梨さんとボクも、2人で手をつないで富士山を降りた。


5号目で、バスに乗った。そしたら、バスは空を飛んだ。

「うわ~!このバス、空を飛んでるで~!」

って高梨さんに言ったら

「何、言ってんの?当たり前やんっ!そりゃ空くらい飛ぶやろ」

って言ってる。

バスガイドさんも

「大阪まで空の旅をお楽しみくださいね」

って言ってる。


ボクらを乗せたバスは空を飛んで、大阪の高校に到着した。


バスを降りる時に、バスガイドさんに

「はいっ!あやめっちに、これあげる!ちゃんと使ってね!」

って言われて、紙袋を手渡された。

何だろう?と思って、中を開けてみたら

可愛いブラとショーツのセットだ。

「うちの愛用してる、いちばん好きな下着、あやめっちに、あげるからね」

たしかに、ボクは可愛い下着を集めているけど、なんで、バスガイドさん、知ってるんだろうか?

「可愛い下着、集めてるんでしょ。知ってるんだから」

「あっ、ありがとう」

せっかくだから、お礼を言って、もらっておいた。

家に帰ったら、着けてみようっと。


「バスガイドさん、結婚してなかったら、ぜったい好きになるんやけどな~」

って言ってみたら

「えっ、うち、まだ結婚してへんよ!つきあってる人も、今おらんし」

「えーっ、そうなん?」


「今チャンスやで~」

って運転手さんも言ってる。


「じゃあ、また連絡しますね~」

ってバスガイドさんに言って、別れた。


高校から、いつもみたいに、高梨さんといっしょに自転車に乗って下校した。

坂道を下っていたら、2人の自転車、フワッと浮きあがって、空を飛び出した。

「うわっ、自転車も空、飛んでる!」

って言ったら

「何、言ってんの?そりゃ飛ぶやろ!自転車なんやから」

って言われた。



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