第31話 中間考査とその後で その二

 皆様、明けましておめでとうございます。

本年初投稿です。


―――――


 俺、山神柚希。今日から中間考査が始まる。準備はして来たつもりだが、どうなるか分からない所だ。


 いつもの様に俺、亮、詩織、梨音で教室に入るといつもの賑やかさは無く数人を除いては机に向って必死に勉強をしていた。まあ当たり前か。


 予鈴が鳴り祥子先生が入って来て連絡事項を伝えた後、教室を出て行くと入れ替わりに問題用紙を抱えた別の先生が入って来た。


…………。


今日の分の三教科の考査が終わり、バッグに筆記用具を仕舞っていた時、

「柚希、今日は図書館で勉強するんだよね」

「ああ、そのつもりだ」


 えっ、神崎さんと山神君今日は午後から一緒に勉強するの?だったら私も入れて貰えないかな。二人は恋人同士でも無いんだから問題ないと思うんだけど聞いてみようかな。


でも明日の考査分の教科書持ってないしどうしようか…。そうかそれを理由に山神君の教科書を一緒にみるという事も出来るか、ここは声を掛けてみよ。


「ねえ、山神君。今日は神崎さんとこの後一緒に勉強するの?」

「渡辺さん、そのつもりだけど何か?」

「その勉強会私も一緒じゃ駄目かな?」


 えっ、なんで渡辺さんがこんな事言って来るの?せっかく柚希と二人に慣れるはずだったのに。最近渡辺さんが柚希に言い寄っている感じがする。小林の件だってそうだし。柚希断ってよ。


「うーん、梨音が良いって言うなら別に構わないけど」

 

 柚希、私に振って来るの。断りたいけど、断るとなんか渡辺さんとぎくしゃくしそうだし。せっかく隣で色々話出来る様になったのにここで断るとやっぱり不味いし仕方ないか。でもなあ。



「柚希、私はいいよ」

「神崎さん、ありがとう。じゃあ山神君一緒でいいよね。それで何だけど明日の考査の分の教科書持ってないんだ。山神君見せてくれる」

「そんな事構わないけど」

「渡辺さん、私が教科書見せてあげる」

「神崎さん、ありがとう」

 本当は山神君と一緒にした簡単だけど、こう言われたら仕方ない。まあいいわ。取敢えず神崎さんと山神君を二人きりにする事は避けられるし、彼と一緒にいれる。




 私、上坂瞳。今日柚希は神崎さんと一緒に勉強すると言っていた。まさか彼女の部屋じゃないと思うけど。とにかく神崎さんと柚希を二人きりにする訳には行かない。

柚希が彼女の部屋でやらないなら図書館。それならチャンスはある。取敢えず下駄箱で待っていて様子見てみるか。



 あっ、柚希が来た。あれ、神崎さんだけじゃない渡辺さんもいる。どういう事?まあいいわ。

もし渡辺さんも一緒なら神崎さんの部屋でやる事はない。図書館なら偶然を装えるし。



 三人の後を少し離れてついて行くとやはり図書館に入って行った。三人だから個別の席では無い筈。これはいいわ。


 案の定、オープンテーブルを利用して勉強をする様だ。私はこのまま柚希達に近付くと

「柚希、奇遇ね。こんな所で会うなんて」

「あっ、瞳さん。どうしたんですか?」

「私も明日の準備をしようと思ってここに来たのよ。一緒にここに座らせて貰うわね」

「まあ、ここはオープンテーブルですから良いんじゃないですか」



 私、神崎梨音。本当は私の部屋で柚希と二人きりで明日の準備をするつもりだった。でも彼が図書館なら良いと言うからここにしたのに。


 渡辺さんが教科書も持っていないのに割込ん出来て、挙句上坂先輩まで。この人は私達の後を付けてきたはず。出なければこんなに都合よく現れる事は出来ない。

 これじゃあ、全然目的と違う。


 あっ、柚希の手が止まった。


「柚希どこか分からないの。私が教えてあげるわ」

「上坂先輩、一年の教科なので私が教えます」

「要らないわよ。神崎さんは渡辺さんと一緒に勉強していて。一つの教科書使っているんだから同期取らないといけないでしょ。さっ、柚希何処が分からないの?」


 俺、山神柚希。参った。まさか瞳さんまで参加するとは。昨日、また明日ねと言ったのはこういう事か。全く、明日しっかり言っておかないと。


 しかし、梨音が凄く嫌そうな顔をしている。でもここは確かに瞳さんの言にも一理ある。どうしたものか。



「瞳さん、大丈夫です。ちょっと考え事していただけなんで」

「えっ、そうなの。それなら良いんだけど…」

 神崎さんが横槍いれなければ私が教えていたのに。いいわどうせ明日は柚希と二人。私の部屋でするんだから。ここは静かにしておくか。



 一時間半程して俺達はファミレスに移動した。流石にお腹が空いて来た。瞳さんと俺が横に並び向いに梨音と渡辺さんが並ぶ席順だ。


 注文は俺がカルボナーラスパ、瞳さんがボンゴレスパ、梨音がラザニア、渡辺さんがドリアと四者四様だ。四人共ドリンクバーを付けている。


 注文が終わった後、四人でドリンクバーに行こうとすると

「柚希はここにいて。私が柚希の分を持ってきてあげる」

「えっ、でも」

「良いのよ。荷物見ていて欲しいし」

 なるほどそういう事か。


「分かりました。じゃあコークで」


 梨音が不満な顔をしているが無視を決めた。三人が戻って来ると先ほどの図書館での続きを始めた。


 私、神崎梨音。面白くない。なんで上坂先輩がここに居るの。渡辺さんだけだって邪魔なのに。それにさっきから上坂先輩の柚希への密着率が高い。あんなにくっ付かなくたっていいのに。


 柚希がまだ上坂先輩を本当に受け入れていないのは見ていて分かる。柚希は一途な所がある。私と付き合っていた時は余所見なんかしなかった。本当に彼女を好きならもっとはっきりと私や渡辺さんを拒絶するはず。

 だからまだ十分チャンスは有るけど、上坂先輩は柚希にべったりだ。見ていて良く分かる。


―――――


 柚希が優柔不断とは思えないし。うーん、どうなるんだ?


次回をお楽しみに

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面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

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