第2話「娘」
私は
学校は夏休みを過ぎ、長い長い授業を受けている。
最近の悩みはもっぱら家のこと。
今私は親戚の家に暮らしていて、おじさんやおばさんはとっても優しくていい人。
でも、そこに一緒に住んでいるレンは私のことを邪険にする。別に無視する訳でもイジメめてくる訳でもないけどね。
昨日だって怖いホラー映画を見て寝れなくなったから、レンの布団に潜り込んだら怒られた。
背中を流してあげようとお風呂に後から入ったら、シャンプーを投げられた。
でも、物を投げたことは謝ってくれたから、本当に嫌ってる訳でもないのかな?
家族なんだから普通だと思うけど、私がおかしいのかな……?
学校は結構楽しい。授業で習ってる因数分解? 化学式? とかはよく分からないけど先生も優しいし、体育の授業は特に好き。
放課後に友達と遊んだり買い物に行くのはもっと好き。ってそれは学校生活ではないか。
よく遊ぶ友達は
私が『空』だから、運命を感じて話かけたら意気投合! だから休み時間もそうだし、放課後もよく遊んでる。
あとね、恵はレンが好きなんだって!
そんなこんなで楽しい高校生活を過ごしていた私だったけど、最近、
この町で殺人事件が頻発しているそうなんだ。
犯行は全て同じ犯人の可能性が高く、女性を狙った事件だからと、私たちも気をつけるように先生が言ってた。
──と言われてもそんなことはよく分からない。
それよりも宿題をなんとかしてほしい。
「ダメ、自分でやらないと意味がないでしょ」
「手伝ってあげるから、ほら」
うぅ、手厳しい。宿題なんて嫌いだよ。私がこの世で唯一嫌いな物かもしれない。
ファミレスで分からない所を聞きながら、なんとか課題を終わらせる。
気がつけばもう、夕日が落ちかけている。
夏も終わって日が短くなったなー。
それから七海は塾があると先に帰り、私は恵と一緒に帰った。
「ねぇ、レンのこと……空は好きなの?」
「うん、好きだよ!」
「そっか……」
レンは大事な家族だ。
もしも恵とレンが結婚したら恵も家族になる!?
大変だ……そしたら恵はお姉ちゃん? 妹?
そんなことをボーっと考えて歩いていたら、すぐに家についた。
帰宅するとテーブルの上に美味しそうな唐揚げがあった。残念ながら、私は先に食べてしまったせいで食べれなかった。
明日の朝は唐揚げの残りを食べようと決めた私はリビングから自室に戻ると、何故かそこにはレンの姿が。
「よ、よぉ。おかえり」
「ただいま、何してるの?」
なんでもない。とレンは急いで部屋から出ていった……なんだったんだろう?
「あれ? ココに何か置いていたような?」
私は机の上に何かを置いていた……気がする。
確か誰かとの写真? だったような…………。
なんだったかな? まあいっか!
「おはよう、空……」
異変に気がついた私に話しかけてきたのは恵。
その表情は暗く、明らかに落ち込んでいた。
話を聞くにうちの生徒が殺されたらしい。
酷く苦しめられた形跡があり、あからさまに復讐や快楽目的の犯行。遺体は昨晩見つかった。
でも、重要なことがひとつ。
殺されたのは──────『七海』だった。
その話を私が知った後、先生に一人ずつ生徒が呼ばれ始め、警察官と一緒に事件発生時の状況など様々なことを聞かれていった。
それからしばらくして学校から帰った私は、死んだようにベットにうつ伏せになって寝た。
本当なら今日は七海と一緒に宿題を出して、一緒に授業を受けて、放課後はまた遊んでいるはずだったのに……なんか疲れた。
……眠ろう。
横たわっていた私は布団を頭に被った。
けど、昨日のことがどうしても思い浮かぶ。
「うーん、よく分かんない」
「だからココはこの公式つかって────」
七海は私のことをとても大事にしてくれていた。
だから私も七海のことが大好きだった。嫌だよ、明日も会いたいよ。いっぱいお話がしたいよ……。
……? 他にもお話したい人がいたような……。
私は混乱しながらも現実を徐々に受け入れはじめ、ベットをポタポタと濡らしてしまった。
「入るぞ」
そんな時にレンが部屋に入ってきた。
私たちはお互いにノックはしない、そして大抵は入った後に声をかけている。
声が聞こえて急いで泣き声を止めた。けどたぶんバレてる。
「あのさ、七海のことだけど……」
「うん……」
結局、お互いがまた涙を流して目を腫らす。
それから翌日の学校休み、そのまま冬休みに入る。
七海のことはまだ引きずってるけど、クヨクヨしてたらまた怒られちゃうな……。
そんな私は気晴らしに散歩をしていた。
少し歩くと公園の前に立っている電柱に白髪のおじいさんがポツンっと一人で立っていた。
「おじいちゃんどうしたの?」
「…………」
そのおじいさんは私に声をかけられ、コッチを見た。 そしてそのままジーッと私を見つめている。
「?」
あれ? 私じゃない?
なんか遠くを見てる?
そういえば恵もあの恋愛話の後、私のことを黙ってジッと見ていた。
「お前さん、家族はおるか?」
「?、うんいるよ」
「そうか……」
おじいさんは何かを悟ったような顔をして消えていった。なんだったんだろう、少し心配だな。
あれ? 恵?……あんなとこで何してるんだろ?
「おーい恵〜?」
「なっ、なんでアンタが……ッ」
「ん? どうしたの?」
なんでアンタが────────
「生きてるの!?」
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