第67話 私はゲスを集めしもの

やっぱり魔王様をトップに一枚岩と言われる魔国にも、反乱分子がいるらしい。


魔国にあるデビル冒険者ギルドの副ギルマス、ジュライと約束通り魔国に向かうふりをして7日目。あと1日でブライト王国の国境だが、ちょっと寄り道をしている。


今日が10日に1度だけ許されたゲルダとの逢瀬の日。湖がある方へ走っていた。

沼ラボで治療中の彼女が外に出られるのは4時間。時間を有効に生かすため、裕福層向けのリゾート宿を取り、名物のトラウト料理を用意するつもりだ。


そして、準備したあとにゲルダを沼の底から出す。


お腹から下のゲル太のために、まだ見せたことがない白いムチムチボディースーツに着替えて、粗末なローブを羽織ってきた。


ルンルン気分で走っていたら、何人かの人間が追ってきた。


「人間が12人。ジュライの関係者と思われたかな。スピードを倍加させたら撒けるけど、ご飯食べてるときに押し掛けられたくない。片付けるか」


逃げると決めたから、襲撃者の痕跡を消す。


方向性を変えたら、こんな便利なスキルもないのだ。


森があったから、徹底的に殺ってもいいように、300メートルほど奥に入り30メートルほどの丸い草地で待った。




自分の低い探知力に今さらショックは受けないが、人間12人ではなく魔族14人だった。


「ふうっ。サーシャさんですね。ちょっとお話を聞いてもらえないでしょうか」

「私に話すことはないわ」


「強気ですね。ジュライと何を話したか聞きたいんですよ。足は速いですが、感じる魔力ではレベル30前後ですよね。ここには50越えも5人いますよ。分が悪いと思いますよ」

「ジュライ本人に聞きなさい。人を呼ぶわよ」

「好都合なことに誰もいません。少なくとも5キロ圏内に人はいないようです」


ジュライの監視もなし。約束は守っているようだ。


「何者かは聞かない。追ってきたから敵と見なした。だけどサービスで1分以内に去るなら殺さない」


「押さえつけるか」

「粗末なローブを着ているが、なんか見てるとムラムラするんだよな」

「連れて帰る前に遊んでいいよな」



「殺し合いで承ったわ。1メートル沼」


ぽちょん。ローブを脱いで、ムチムチスーツになった。


沼様の意思だろうか。私のとこにはどんな敵でも人格者が来ない。世界有数の理知的民族「魔族」ですら、こんなのだ。


クズ、ゲス、スケベの中から、「沼」に導かれし精鋭がやってくる。


魔国に行かないから、魔族を殺してもいい。


「そういや沼レベル6の「沼5メートル」は放棄したけど、沼の底は幾らか操作できるようになったって言ってたな」


それに、「沼」自体も吸い込む力というか、何か変化を感じる。


思いつきで沼の底を実戦に投入することきした。





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