第96話 逆転の目

【これまでのあらすじ】

 濡れ衣を着せられチームBIOを追放されたレジスタンスエージェント バイオは、真実を探すため、グリと共に、Crystal Tower を登る。

 最上階で、バイオ、グリ、魔星のふじ、kurokirbyがオニキスストライクを取得し、オニキスシールドを破壊。そして、コントロールポータルは青と化す。

 遂に、念願のオニキスシールドを取得し、目的を果たしたと思った瞬間、コントロールポータルにオニキスシールドがセットされ、巨大なCFが作成される。

 すべては、八騎士のグリによる陰謀であった。

 八騎士の目的は八つの塔による世界を沈めるCFの作成。

 そして、目的を果たすために八騎士の一人のクローンとして産まれたのがバイオであるという事実が発覚するのであった。



 グリの言葉に呆然自失のバイオが、声を震わせる。

「俺が、クローン?

 家族が、、親父と、おふくろが八騎士の配下?


 馬鹿な。。」


「ありえんか?バット、確認することはできまい。

 ユーのファミリーは失踪しているからな。


 KuKuKu。実際は失踪ではなく、ユーのファミリーというロールを終えた彼らが、組織の指示でユーの前から消えただけだがな。」


 口を開き反論しようとするも、言葉が出ないバイオは、動揺し、下半身の力が抜けたように蹲る。


「それくらいにしておくんだな。


 貴様らのやり口は、聞いていて胸糞が悪くなるんだよ。」

 通路から床に上陸したkurokirbyは、グリの眼前に迫りながら語気を強めた。


「まったくさー。」

 もう一つの通路からふじが、腕をぶしながら2人の元に近づく。


「ここまでは、貴様らの勝ちだ。そいつは、認めよう。

 だがな、俺たちにも逆転の目はある。」


「Ho--。

 インタレスティング!まだギブアップせんか。

 どういうメソッドを使う?」


 グリに向って、真っ直ぐに右手人差し指を突き出したkurokirbyが、静かに、はっきりと言葉を紡いだ。

「貴様だよ、グリ。

 種明かしを聞いている途中から、貴様は八騎士の極東エリアとやらで、高い地位にあるのでは無いかと思ってきた。


 クローンのくだりを聞いて確信したよ。

 それは、八騎士”日の閣下”だったか、そいつにとって、そうは知られたくない話のはず。

 それを知っていて、さらに、ここを奪還する作戦を任される時点で、貴様は八騎士に準ずる立場にあるのではないか?」


 両手を叩くグリ。

「ご名答だよ。

 ミーの本当の名を教えようか。”日の閣下”を補佐する”月の者”それがミーだ。

 つまり、極東エリアのナンバー2。」


 グリの言葉に、無機質な表情で、腰を落とし半身となったkurokirbyが冷えた声色で宣言した。

「貴様を拘束し、人質とすることで、八騎士と交渉する。

 ここに向かっている軍隊も撤退させるさ。」


 対するグリは、体勢、表情、声色を一切変えず返答する。

「やれるか。ユーたちに」


 その瞬間、グリの中の何かが大きく膨れ上がったように、バイオには感じた。



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