第95話 キー

【これまでのあらすじ】

 濡れ衣を着せられチームBIOを追放されたレジスタンスエージェント バイオは、真実を探すため、グリと共に、Crystal Tower を登る。

 最上階で、バイオ、グリ、魔星のふじ、kurokirbyがオニキスストライクを取得し、オニキスシールドを破壊。そして、コントロールポータルは青と化す。

 遂に、念願のオニキスシールドを取得し、目的を果たしたと思った瞬間、コントロールポータルにオニキスシールドがセットされ、巨大なCFが作成される。

 すべては、八騎士のグリによる陰謀であった。

 八騎士の目論見は八つの塔による世界を沈めるCFの作成。グリは三年前のアクシデント、そして現在の作戦について語り始めるのであった。



 両手を広げ、含めるように3人に語り続けるグリ。

「ミッションを進めるうえで、不可欠なキー。

 こいつは、どうあってもゲットする必要があった。」


 ふじの後ろから、慎重に歩くバイオが、グリの瞳を見つめながら問いかける。

「キーだと?

 予選会で出した、一階ポータルのキーのことか?」


「Ah.あれな。バット、あれは、それほどインポータントなものじゃあない。

 隆起前のキーを、特殊なカプセルにセーブ(保存)していただけのものだ。


 キーとは。」


 言葉を飲み込み、バイオに視線を向け、楽し気に続きを発するグリ。

「キーとは、他ならぬユーのことだよ!バイオ!」


「バイオがキー(鍵)だと。」

 怪訝なkurokirbyの呟きに重なるように、呆然としたバイオの声が響く。

「俺が。。何を言っているんだ、グリさん、あんたは。。」


「実はな、この話をするのがこれがファーストでは無い。

 セカンド(二回目)だ。


 ユーは覚えていないだろうが。

 当然だ、3年前、ユーの記憶を消したのはミーだからな。


 あの時、2人でここを隆起させた直後にな。」


「3年前、俺がここに?

 あんたが、俺の記憶を消した?

 何のために?」


「ユーがキーだからだよ。


 八騎士は、その名の通りワールドに八人しかいない。

 文字通りVIPである八騎士が、リスクのある現場に出張る訳にはいかない。

 一方でだ、世界の富を八騎士に集中させるためには、八つの塔のポータルのオーナーは八騎士である必要がある。

 スキャナーはDNA認証故に、現場に出向かないとポータルのオーナーにはなれない。


 つまりだ、八つの塔に出向くことが出来ない八騎士が、八つの塔のポータルのオーナーになる必要がある。

 このパラドックスを解決するにはどうするか?

 八騎士たちは、自分たちのクローンを用意したんだよ。」


「クローンだと?」

 kurokirbyは眉間に皺を寄せる。


「イエーース。クローンだ。

 DNAレベルで八騎士と同じということは、八騎士のスキャナーを使える。

 つまり、八騎士が現場に出向かなくても、八つのポータルのオーナーになれるということだ。」


「そして、日本を含む極東エリアの八騎士である”日の閣下”のクローンとして生を受け、

 ”日の閣下”の配下の者のファミリーとして生きてきたガイ。


 もっとも、そのガイは自分の素性を知らずに成長したがな。

 よくある、命を狙われた貴人の息子が部下の息子として育てられるストーリーがあるだろ。あれと同じだよ。


 そのガイこそが、ユーだ。バイオ。」

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