第94話 八騎士の目論見
【これまでのあらすじ】
濡れ衣を着せられチームBIOを追放されたレジスタンスエージェント バイオは、真実を探すため、グリと共に、Crystal Tower を登る。
最上階で、バイオ、グリ、魔星のふじ、kurokirbyがオニキスストライクを取得し、オニキスシールドを破壊。そして、コントロールポータルは青と化す。
遂に、念願のオニキスシールドを取得し、目的を果たしたと思った瞬間、コントロールポータルにオニキスシールドがセットされ、巨大なCFが作成される。
すべては、八騎士のグリによる陰謀であった。
kurokirbyは、一時間後反転するバックアッププラン発動を目論むも、グリは不可能であると言い放つのであった。
グリの言葉に、眉を顰めるkurokirby。
「アンチウイルスがデプロイされていない以上、一時間後の反転を阻むものは無いと思うが。
お前の意図が分からねえ。」
「Ah.一時間後の反転は確かに可能だ。
バット、元通りにはならんよ。ユーたちの反転後、さらなる再反転により青と化す。
その時にはアンチウイルスもデプロイされ、ワールドは再び、青に、いや、八騎士に覆われる。フォーエバー(永遠にな)。」
恍惚の表情で、天空に向って両手を広げ、宣言するグリ。
グリのいる床に向って、揺れる通路上で、ゆっくりと歩みを進めるふじが尋ねる。
「おいらたちが緑に反転した後、さらに再反転するって?
一体、誰がするさー。
百八の魔星が制圧しているこのCrystal Towerで!」
左手の腕時計を一瞥後、ふじに視線をむけたグリが、眼前に人差し指を突き出し、
「グッドクエスチョンだ。
今から28分後のチェックポイント※1で、ワールドを覆うCFを所有する我々八騎士に世界の富の半分が配分される。
そのマネーで、我々は軍隊を雇い、5時間28分後の次のチェックポイントまでにCrystal Towerを制圧する。
そしてゆっくりと再反転するのさ。
Ah.ユーたちはこう思っているだろう?
”Why、今までそうしなかったのか?”と。
そのアンサーはな。」
※挿絵
https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330654357118637
首を左右に振り、3人の表情を確認しながら、グリが続ける。
「マネーが無かったんだよ。」
「金が?」
kurokirbyの言葉に、大きく肩を竦めるグリ。
「So.マネーさ。
このCrystal Towerを始めとする、エイトタワーズ(八つの塔)を隆起させておくには、莫大なマネーがかかるんだよ。
三年前、ミーたちはワールドを覆う事を前提に、エイトタワーズ(八つの塔)を隆起させた。
バット、アクシデントによりこのCrystal Towerを青にすることが出来ず、ワールドを覆う事が出来なかった。
Crystal Towerを起点に出来ないとな、日本、中国、を含む巨大なアジア圏のMUが手に入らず、エイトタワーズ(八つの塔)を隆起させるだけで、マネーがかつかつだった。
そして、対策を練っている間に、Crystal Towerには緑を堅持するチンピラたちが巣食うようになった。
So.ユーたち、百八の魔星だ。」
グリは、kurokirby、そしてふじに目を配り、微笑む。
「ミーたちは、焦ったよ。
Crystal Towerを担当するミーたちは、セブンタワーズを管轄する他の八騎士からも責められてな。
そこで、最初のアクシデントの責任を取るべく、ミーはCrystal Towerを奪取するミッションにかけることにした。」
※1.チェックポイント:イングレスでは、エージェントが作成したCF(コントロールフィールド)の中のMU(マインドユニット。フィールド内の人口)の数を、レジスタンス(青)とエンライテンド(緑)の両陣営で競うが、計測されるMUは5時間ごとに設定されたチェックポイント時点で存在するCFのMUである。
加えて、この世界では、チェックポイント時点のMUを元に、仮想通貨が自動配分されるシステムが採用されている。
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