第83話 エアロック
【これまでのあらすじ】
濡れ衣を着せられチームBIOを追放されたレジスタンスエージェント バイオは、真実を探すため、グリと共に、Crystal Tower を登る。
Crystal Towerを守護する百八の魔星の頭領ドージェが行方不明であることが判明し、ドージェ捜索の協力を申し出る。
捜索中、バイオとグリはふじと同盟を組む。
最上階で、コントロールポータルを警護するしろとkurokirbyの元にふじが現れ、しろと警護の交代を申し出、しろは階下に。
入れ違いでバイオと共に現れたグリはCrystal Towerに迫る危機をkurokirbyに訴え、kurokirbyはしろと協議し、2人をコントロールポータルに案内するのであった。
コンソールのロックを解除し、気密扉※1のハンドルを右に回すkurokirby。
それを、後方からふじ、バイオ、グリの3人が見守っていた。
回し終わったkurokirbyが重厚な扉を、腰を入れ引き開け、3人に付いてくるように促す。
扉の向こう側は、30m程の直線の通路となっており、行き止まりにもう一つ気密扉が見える。3人が通路に入ったことを確認し、kurokirbyは、通ってきた気密扉を閉じ、ハンドルを右に回して施錠した。
疑問を感じたバイオが尋ねる。
「なぜ、扉を閉じるんだ?」
「奥の気密扉が見えるか。あれを開けると、コントロールポータルがある屋外に出る」
kurokirbyの言葉に、グリが驚き、
「What? 屋外だと!コントロールポータルはCrystal Towerのインナーにあるのではないのか! 」
kurokirbyは首を左右に振り、
「元々は、屋内にあったものを外に移動したんだ。防衛面を考慮してな。
そして、扉の外は、高度2,000mだ。気圧は、屋内の80% 0.8気圧。この通路で、減圧して外と同じ気圧に調整しねえと、開けた瞬間、気圧差で発生する台風並みの突風で2,000m下の奈落に吹っ飛ばされちまうのさ」
「つまり、この通路はエアロック※2になっているというわけか」
「そういうことだ。減圧が終わるまでに、こいつを付けるんだ。」
通路の左端に固定された手摺にひっかけてあるフックを指さすkurokirby。
フックに繋がるロープ、そしてその先にあるもう一つのフックが接続されたベルトのようなものを手に取ったバイオ、
「こいつは何だ?」
先に手に取ったkurokirbyは、ベルトのようなものを自分の胴に巻き付け、腰から分岐したベルトを股間に通した。
「安全帯※3だ。さっきも言ったが、外は高度2,000m。こいつをつけずに、外に出ることは安全上、許されねえ」
kurokirbyの言葉にバイオとグリは、頷き、見よう見まねで安全帯を装着した。
「そろそろ、減圧が終わったころだ。外への扉を開ける」
高度2,000mの屋外に通じる気密扉のハンドルを右に回しながらkurokirbyは呟いた。
※挿絵
https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330651942247232
※1.気密扉:空気の流出入を防止する気密性を備えた扉。
※2.エアロック:圧力容器内の気圧低下と空気の損失を最小限にしつつ、人間や物体などを圧力容器の内外に通過させる装置である。エアロックは2枚の気密扉が順に並ぶ構造となる。
※3.安全帯:高所作業の際の墜落防止用のための個人用保護具。フルハーネス型安全帯と胴ベルト型安全帯がある。
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