第58話 対ドローン戦第2ラウンド

【これまでのあらすじ】

 鉄壁の男vahohoとともに、海底トンネルを通ってCrystal Tower地下ドックに到着した和田美咲。

 直通エレベーターで到達した部屋では、8つのポータルを巡り武装ドローンがイングレスをプレイしていた。

 次のフロアへの直通エレベーターに通じる扉を開く条件を満たし、エレベーターに乗り込む2人。

 エレベーター内では、vahohoより自分が複あか使いになったことを知らされ、意気消沈する美咲であった。




 美咲とvahohoを乗せたエレベーターが静かに停止し、扉が開いた。


 降りた先が、一見すると先刻と同じ広さ、形状の部屋であることに気付いた美咲が、呟く。

「さっきと同じ部屋じゃね?」


「スキャナを開いて見てみろ」


 vahohoの言葉に従い、確認する美咲。

「あ、扉のポータル名がさっきと違う。

 今度のは、12時、1時半、3時、4時半、6時、7時半、9時、10時半になってる。

 で、今出てきたのが10時半の扉」


 ※挿絵

https://kakuyomu.jp/users/dobby_boy/news/16817330648714869756


 そして、スキャナから上に目を転じ、

「それに、、


 ドローンの数がさっきより多い。

 5、6、7、8。。8台だ。

 てことは、ここは、人数×4の部屋!?」


「そういうことだ。

 さっきより、1台多い分、破壊のペースを上げなくちゃくならねえ。

 やれるか?」


「。。うーん。。

 ちょっと自信ねえんだよなあ。

 さっきもドローン3台でギリだったから。。」

 珍しく美咲がうつむき気味に、語気を弱める。


 下を向く美咲に、vahohoが声をかける。

「上を向け。

 こっちを見て、俺がやることを真似してやってみろ」


 言いながらvahohoは、右手を開き、左手は閉じた状態で、美咲の前に両腕を突き出した。


 美咲が見つめる中、右手の親指を折ると同時に左手の小指を立てる。

 次に、右手の人差し指を折ると同時に左手の薬指を立てる。

 次に、右手の中指を折ると同時に左手の中指を立てる。

 次に、右手の薬指を折ると同時に左手の人差し指を立てる。

 次に、右手の小指を折ると同時に左手の親指を立てる。


 一連の流れを淀みなく実行すると、最初とは逆に、右手は閉じ、左手が開いた状態になった。


 そこから、右手の小指を立てると同時に左手の親指を折る。

 次に、右手の薬指を立てると同時に左手の人差し指を折る。

 次に、右手の中指を立てると同時に左手の中指を折る。

 次に、右手の人差し指を立てると同時に左手の薬指を折る。

 次に、右手の親指を立てると同時に左手の小指を折る。


 これも淀みなく実行し、最初の状態に戻る。

 この一連の動きを、速度を上げながら10回繰り返した。


「右手と左手で、逆の順で指を開いたり閉じたりするんだな」

 美咲は、vahohoのやったように、右手を開き、左手は閉じた状態で、腕を伸ばした。

 最初は、ぎこちなくvahohoのように上手くできなかったが、

 3回目には、vahohoの1回目と同じ速度で出来るようになり、そこから連続10回vahohoと同じ速度で正確に同じ動きをなぞれるようになった。


 それを見たvahohoは目を細め、

「ほほお、やはり出来るか。

 初見でそれが出来るのなら、2台のスキャナーを同時に扱うことが出来るはずだ。

 それなら、廃人重ね撃ちの威力がさらに上がり、相手が4台でも対処できるだろうさ」


「まぢかあ。

 こんな早く複あかデビューさせられるとは、思ってなかったあ」

 美咲は頭を抱えた。

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