第13話 特別講演
今年の1月30日は、陸前高田市の財当仮設住宅で、65回目の誕生日を妻と迎えることができた。
正月に弘前で老後の生活について語り合ったとき、これから何回迎えられるか分からない誕生日を2人そろって楽しもうと約束したのだ。
弘前の自宅と陸前高田の仮設住宅に離れて生活していると、お互いに老後の独り生活を予行演習しているみたい。
これではいけないと、夫婦共通の健康寿命期間をできるだけ楽しめるよう、今年からは妻も仮設住宅で生活してくれている。
それまでは近所からおかずを貰うだけだったが、最近では妻の手料理をお返しできるのも楽しみ。
世の中には「日本愛妻家協会」という組織があって、1(アイ)、31(サイ)の語呂にちなんで、1月31日が「愛妻の日」に設定されている。
そこで今回、亭主のワガママを支えてくれた妻への恩返しにと、仕事がてら長距離バス旅行にでかけてきた。
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2月9・10日に山形県の天童温泉で、日本禁煙推進医師歯科医師連盟(略称:禁煙医師連盟)の第22回総会・学術集会が開催された。
この組織は、「医師および歯科医師の広範な連携によって、国民の健康をたばこの害からまもること」を目的として活動している。
特別講演の演者として、当初は陸前高田の戸羽太市長に依頼したそうだが、スケジュールが無理だということで私にお鉢が回ってきたらしい。
もとより、戸羽市長の話術を真似るべくもないので、最初のスライドには戸羽市長に登場していただいた。
「震災で助かった命をタバコで無駄にしてはいけません!」という言葉は、聴衆から非常に重く受け止められたようだった。
講演のテーマは「医療で震災復興:タバコフリー・イン・陸前高田」とし、11ヶ月間にわたる「医療で震災復興」の活動をもとに、「タバコフリー・イン・陸前高田」プロジェクトの経過を紹介した。
天童で講演する最大の目的は、今後の活動について広くアドバイスや支援を受けることにしていたので、その点では上出来だったと思う。
タバコフリー産業として、タバコフリー漁業(天洋丸)やタバコフリー飲食業(七福・かもん)をスライドで紹介した。
安全で美味しい魚を提供するという付加価値で勝負する話や、全席禁煙のラーメン屋で客回転率を上げている話など、受動喫煙予防の話題でも聴衆の反応は上々だった。
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北京の大気汚染で話題のPM2.5というのは、微小粒子状物質のうち直径が2.5μm以下のものを意味する。
この表面には発癌性のある有害物質が付着していることも多いので、2005年にWHOは、環境基準(年間基準10μg/m3、24時間基準25μg/m3)を定めた。
ちなみに我が国では、2009年9月に環境省が同等の基準を制定している。
実はタバコの害としても注目されていて、屋内の微小粒子の健康影響に関する関心が高まり、屋内禁煙化が必要であることが明確にされてきている。
ちなみに、北京に1日滞在すれば「たばこを21本吸ったのと同じ計算」と言われており、北京では「N95」の表示がある業務用マスクが品薄状態なのだそうだ。
PM2.5値を測定してファストフード店の受動喫煙発生状況を調査した報告がある。
これによると、喫煙室でのPM2.5値は非常に危険な値を示しており、分煙キャンペーンは健康を害する間違った考えであると言われている。
さらに、すべての完全禁煙店でのPM2.5値は安全域であったことから、人体への影響を考えると明らかに完全禁煙が必要であると結論付けられた。
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特別講演のあとで座長から、「是非みんなで陸前高田に集まってタバコフリー・イン・陸前高田を盛り上げましょう」とエールをいただき、勇気づけられて戻った。
(20130221)
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