暴走1
「こそこそしないで出ておいで!!エージェントをやってしまうよ!!ホラ、怒り面!!おどけ面、彼らをつれてくるんだよ!!」
廃墟の外で、グルトが叫びまくしたてた。おどけた顔をした面をつけた男と怒った顔をした仮面をつけた男が、彼女のいうとおり、バンから男のエージェントグインをひきずりだした。
「私の手下がグインを引きずり出してやったわよ、こいつをいまから順番に痛めつけてやろう」
カルナが叫んだ。
「デザ!!私から離れないで!!彼らは強力な魔術がかかってる、彼らは“魔女の道具”よ!!」
「え、ええ!わかりました」
カルナとデザは廃墟を裏口からでる、その瞬間に廃墟はつむじ風によってなぎたおされていく。
《ゴオオオ》
《ズドーーーン》
「まだこんな力が……デザ、私から離れないで、安全なところで」
ふと、崩れた廃墟のよこから黒い影がのびてきてカルナの前にたち、その薄っぺらさをたもったま人型の形状にたちあがり腕を振り上げ、にやり、とわらった。次の瞬間。
《ズドーン》
カルナは廃棄物の山に吹き飛ばされてしまった。
「な、何が……」
動揺するデザ。カルナが吹き飛ばされたがれきの山から砂埃があがり、がれきが崩れ落ちた。立ち上がるカルナ。
「う、うう……」
そのすぐそばで、おどけた仮面がゆらりとたちあがり、棒切れのようなものをふりかざした。その瞬間、その背後からデザが忍び寄って叫んだ。
「くたばれー!!!」
左腕でカルナにもらった小刀をふりかざし、敵の首を峰内でうった。
「うっ……あっ!!!」
その瞬間、おどけた仮面はぐるりと空中で回転したかとおもうと、デザが腕を振った方向に吹き飛んだ。デザはその衝撃で自分自身も地面にころげた。
「いっ……」
「デザ!!……大丈夫?」
カルナがデザを介抱する。その間にも魔女グルトとその腹部から延びるかげが二人に忍び寄っていた。
「デザ、今のあいつはなんとかなったけど、私からはなれないで、もし離れても絶対に一人であいつらと向き合わないで、あいつらは人間の能力をこえてる、魔女に魔法をかけられ、魔法道具になっている」
「わかってます、でももしもの話もしましょう、彼の、その魔法道具とやらの弱点は何なんですか?」
「基本的に、WIWは、人間の“恨み”を力に変えるもの、恨みの原因がなくなるか、つまり死ぬか、それとも恨みが消えるようなことが起きないとだめね」
カルナはデザの顔いろを窺って一芝居うつことにきめた。トールズがその場にいない、カルナが魔女グルトと戦う間デザが無茶をしないようにしなければならない。
(怒り面はトールズではないけれど)
「デザ君、君の友たちトールズ君も、あの仮面のうちのひとり、あそこに立っている怒り面よ、私がいまから倒すから、まっていて、それで彼の“魔法”は解けるはず、その小刀をかして」
そういってカルナは立ち上がり、怒り面の男にむかって挑発するように掌をつきだしくいくいと指を曲げた。
「ぐしゅうう!!」
怒り面は、息を荒げてカルナの元へ向かう。魔女グルトがそれを制止しようと叫んだ。
「いくな!!命令をきけ!!!」
仮面の男が走ってせまってくる、その間、魔女カルナは何らかの呪文を詠唱して、小刀に魔法を付与しているようだった。そして二人は全力で走りながら、怒り仮面とカルナがぶつかると思われた瞬間。カルナは叫んだ。
「思い出せ!!お前は人間だ!!!」
ズドーン。と勢いよく仮面の男はつきとばされ。崩れた廃墟にうずまり動けなくなった。先ほどまでその仮面の男が立っていた場所、その背後に、泣き顔の面をした男がおり、魔女カルナをみてクスリとわらった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます