逃亡。
デザとカルナは、正面からみて、廃墟の左の廃墟の中にはいった。さすがにまるまる廃墟を吹き飛ばすほどの魔力は、相手方に残ってないと思えた。そういってカルナはデザを落ち着かせて、話をした。
「デザ君、ここは戦場よ、あなたはもう何度も危険な目にあっているのになぜ!!」
「……いや、その……あなたがカルナさんという事はわかるけど」
(そうか、しまった、記憶を奪ってしまったんだ)
カルナは、デザが手にしたカルナの短刀を握り、こういった。
「この短刀には魔力がこめられている、けれど使えてせいぜいあと1回くらい、あれ?ちょっとまって、そのペンダント……」
カルナがデザのペンダントに手をのばす、薄く光り輝いていたことに目を引かれたのだ。
(今まで気づかなかったけど、これは魔力を蓄積できるのか……)
「デザ君、危ないときはそのペンダントを手に握って、あなたを守る結界を張るように、魔法をかけておくわ」
「ありがとう……じゃあ、僕はちょっと用事が……」
「!?用事って何?どこへ行くつもりなの」
「友人を助けにいく、この事件に巻き込まれたトールズ、根はいい奴なんだけど、彼はきっと魔女にだまされている、俺は彼があんなふうになる前に、彼を止めるべきだった、彼に気を使いすぎて本音で話す事が今までできていなかったばかりにこんな事に」
「うーん」
カルナは頭を抱えて悩みこんでしまった。
その頃結界の外では、15分ほどが経過しており、ロズ刑事とカルナが焦りつつも、結界が解けた時の事を話しあう。
「もしものときは、撃つぞ」
「……ええ」
「それが人間であれ、魔女であれ、他者を害するような時には撃つしかない」
「仕方ないわ、カルナには気の毒だけど」
ロズ刑事は複雑な顔をして笑った。
「じゃあ、わかった」
カルナはデザの肩をたたいた。
「私から離れないで、私がいいといったらあなたにチャンスをあげるから」
「ええ、あなたは必ず僕を守ってくれるんでしょう?」
「……それは」
「違うの?」
カルナはデザに正直に話した。人間を守るという盟約は、実際の運用上は魔女が祖立場や自分たちを守るために使われていること、魔女には人間と同じような感情や情緒を共有する強い力がないこと。
「じゃあ、あなたは僕を守ってくれないの?」
カルナは少しうつむいて、数秒そうしたあとまた肩をたたきにこりとわらった。
「必ず守る、命に代えても」
「けれど、どうやってそれを信じれば?」
デザが記憶について言っているのだと悟ったカルナはこう付け加えた。
「私はかつて人間から無償の信頼や愛を受け取った、まだ駆け出しの“護衛魔女”だけど、それを必ず人間に返すことに決めている、今度こそあなたを絶対に守るから」
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