第22話

 その日、リサ宅でパーティが開かれた。何気ない平凡なパーティで学生生活を謳歌する同じ学校の皆や、旧友などが招かれたのだった。家はにぎやかに彩られ飾り付けやライトで華々しい雰囲気となった。


 音楽や、食事もふるまわれたが、デザと招かれたトールズは、デザが始終おとなしくしている所をみて以外に思った。それを茶化すデザ。

 「やればできるじゃないか、おまえは根がいい奴だから」

 「うっせーな」

 トールズは思い出していた。パーティが始まる少し前、ある要求をされたことを。始まる前にパーティの準備をしていたリサの友人に電話でよびだされてかけつけると玄関前でまたされ、準備をぬけだしてきた友人が玄関にでてきてていった。

 「ねえ、トールズ君、あなたデザ君と昔から仲いいらしいから、デザ君とリサが少し時間をつくれるようにしてよ、だってさこの前色々あったじゃない?幼馴染で家が近いっていっても男女だからさ、色々話しかけづらいんだ」

 そういって、髪の毛をいじりながら、なにかをいいたそうにする友人。そして友人は、何か呪文のようなものをつぶやくと手の中にあった棒のようなものをとりだして命令した。

 「二人の仲介をして!」

 目をつぶる友人。しかし、何も起こらず、ぽかんとするトールズ。

 「何それ、魔法でも習ってんの?」

 「いや、こ、これは趣味で……本当に効くとはおもってないよ、本当だよ!」

 そういって、友人はその棒をジーンズの後ろのポケットに隠したのだった。


 (やっぱり、俺はただのおまけだったか、デザのやつもてるからな、それに今の俺はこんなんじゃ、昔はおとなしくて、リサと色々話たこともあったのに、漫画の話だって、でも……)

 ぼーと飲み物をのんでいると、脇から声がかかる。リサだった。

 「デザ君、ちょっと」

 トールズは空気をよんで、催促する。

 「いけよ、主役は俺じゃない、お前らしいから」


 リサがキッチンのカウンターでまっているのでデザがかけつけていくと、リサは呪文をはきながらこういった。

 「私と仲良くなって!!」

 「は?」

 (あ、あれ?聞かない?)

 リサは一人で困惑していた。まさか、トールズに聞いたと思っていた呪文も、呪文が利いていたわけじゃなかったのだと悟ったような顔をする。今度はデザがリサの不可解な様子を尋ねた。

 「そ、それ、魔法のホウキの残骸、つい最近カルナさんに怒られたんですよ。勝手に盗むなって、まさかそれ……」

 「ま、まいいよ、あのその、知り合いだからさ、知り合いにいるのよ、魔法使いが」

 「それより、魔法災害のこと、大変だったわね」

 そういってトールズのことを正面からみつめるデザ。その美麗な顔立ちにデザは、少し目をそらしてしまった。クラスも違うし、そんなきれいな幼馴染と久々に話す恥ずかしさからか緊張して、こんな事を口走る。

 「い、いやあ、護衛魔女さんに助けられたから大丈夫、この街はそういう街さ」

 「そうね、“ウィーカ特別区”は魔女に守られている、当然魔法災害が起こる前にそのことをしらされていたのよね……」

 「けど……」

 デザはカウンターにあった椅子に腰かけ、少し落ち込んだ顔を見せた。踊ったりうたったりしている、周囲の音が静かになったかと思えた。

 「けど、魔女さんと仲良くなったと思ったんだ、手助けをしたり、魔法災害に対して一緒に何か手立てを考えていると」

 「うん?」

 「実際は違った、本当の事は隠されていたし、むしろ、魔女さんたちからは、俺が手助けしたり、護衛の仕事に手を貸すのは邪魔だと思われていたみたいで」

 落ち込んでいるデザをみて、リサは自分の目論見が少しはずれたけれど、それでもなんとかこの人を助ける言葉を見つけようと考えた。

 「デザ君はすごいよ、直接目にしたわけでもないのに、突風に吹き飛ばされたって聞いたし、それでもいきてたし、自分の命より、魔女さんやその歴史の事についてしろうとする、わ、私、そんな目にあったこともないし、何もいえないかもしれないけど、でもデザ君は昔から誰かを助けようとするとき、だれよりも真剣で、だれよりも優しい気がして、やさしさは時に間違うこともあるけれど、真剣なやさしさなら、きっと間違いを正すことができる、私、デザ君のそんな所が……」

 「ところが?」

 デザは座りながら、リサをみあげた。

 「す、いや、かっこいいなって」

 「なるほど……」

 デザはアゴにてをあててしばらく考えこんでいたが、立ち上がると、のびをしてこういった。

 「ありがとう、僕を元気づける言葉をかけてくれて、それにパーティ、君が小さいころ転校してきてからご近所さんで、幼馴染みたいなものだったけどなかなか話せる機会もなかったしさ、ひさびさにはなせてよかったよ」

 そういうと、デザはトールズのところにもどっていった。その様子をみて、リサは皆に背を向けカウンターからキッチン側をむいてガッツポーズをしてうれしそうにくちをきゅっと縛ったのだった。

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