二十四話ー悪い子、いい子?
「……るか、……待って、瑠華!」
「……もうアタシのことに構うなって言ってるのに」
「……そんなこと私に出来るわけないって分かってるでしょ?」
「………………はぁっ……ウザッ」
どんなにうんざりした顔されても、手を振り払われても。
私との思い出も……たとえ子どもの頃、瑠華が言ったこと忘れてたとしても。私は、……お姉ちゃんはずっと瑠華のそばにいるって決めたんだもの。
瑠華が毎日笑顔で過ごしてくれているなら、どんな無茶してても私はそれをそばで見ているだけで幸せだったかもしれない。……でも、
「……瑠華の寂しそうな顔見たら……ほっとけないよ……」
瑠華が私に何も言わずに離れた。
……あの日のことは今でも夢に見るぐらい、私の心を苦しめる。
何があったのか全部話してくれたら良かったのに、瑠華は何も言ってくれなくて……。そこからだった。私が瑠華を追いかけるようになったのは。
何度も仲直りしようって頑張ったけど、瑠華はそれをみんなの前で嫌がるから、いつの間にか”瑠華が悪い子”、私は”瑠華を可哀想に思って声を掛ける優しい子”、そんな関係として見られるようになった。
……いくら違うって言っても、瑠華が何も話してくれないからどうしようもない。私は別に優しい子だなんて言われたいわけじゃない。
……ただ瑠華と仲直りしたかった。
瑠華と同じように悪い子になればいいのかなって考えたこともあったけど、私には出来なくて結局ただ瑠華を追い回していただけ。瑠華はそんな私を嫌がって余計離れていくし、自分でもどうしようもなく焦っていた。このまま瑠華との繋がりを無くしたくなくて、親にも無理を言って。それなのに私は瑠華とちゃんと話すことも出来ていない…………本当にどうすればいいのか、わからなくなってきた。
……そんなある日。
いつものように瑠華に声を掛けると、いつものように口喧嘩になって、瑠華は嫌な顔して去って行く。私がそんな瑠華を見送った後、どこから見ていたのかわからないけど、他のクラスの女子生徒に声を掛けられた。
『……ねぇ、笠松さんってあの子の何なの?あの子嫌がってるんだし、笠松さんだって相手することないのに』
「…………私がそうしたいからそうしてるだけよ?気にしないで」
『っ、でも、あの子笠松さんにひどいこと言ってるのに!』
『そうだよっ、先生に言おうよ』
「……違うの。先生にも話してあるから大丈夫。……なんて言うのかしら、一種のコミュニケーションみたいなものよ」
『………………?』
首を傾げるクラスメイトに私は微笑み返すと二人は去って行く。それを見送ってからため息をついていると、先生に声を掛けられた。
『……あら笠松さん。その顔だとまた伊崎とやり合ったのね?まったく懲りずによくやるわね』
「……真中先生」
瑠華の担任の真中先生は私の話を周りの子達と同じように深刻に捉えるんじゃなく、私たちの関係を面白がって聞いてくれた。今までそんな風に聞いてくれる人なんていなかったから、嬉しくて瑠華のことをたくさん話したのを覚えてる。
……先生まで周りと同じように、私が可哀想だ、と思う人だったら、きっと心が折れていたかもしれない。
……本当は違うの。私が瑠華を悩ませる悪い子。私が瑠華に見てほしくて構ってほしくて悩ませるようなことしてる悪い子なのに。……みんなは全然分かってない。
瑠華は私が悪い子だって何となく気付いてるのかもしれないけど、あの子はそんなこと言わない。……私はもっと瑠華と同じになりたいのに……。瑠華はどうしても私を受け入れたくないみたいだから。
……だから私はどんどん瑠華を困らせる悪い子になっていく。
「……今日も瑠華ったらひどいんです。ちょっとリボンが曲がってたから直そうとした時に、メイクが濃いって言ったら怒りだしちゃって」
『いやいやいや伊崎にそれ言ったら怒るでしょーよ。ほんと笠松も学習しないわね。…………かまってちゃんは嫌われるわよ?』
「……もう嫌われてるからいいんです」
『……重症ね、笠松』
真中先生は唯一、私のことを"瑠華を困らせる悪い子"だって分かってくれている。……だから他の子たちには言えないことも、先生には相談することが出来た。
「……だって今の瑠華のメイク、無理してるようにしか見えなくて……」
『……まぁ伊崎にとっては精一杯の反抗の表れでしょ?メイク濃い分、反抗してます!って伊崎なりの気持ちの現れなんじゃないかしら』
「…………うん……確かに、そうですね」
『それにしても笠松って伊崎にはズバズバ言うわよねぇ~。普段おっとりしてて物静かで真面目なイメージしかないのに』
「そうですか?……まぁ……私、瑠華のこと以外あんまり興味なくて口に出さないだけなんですけど」
『…………あなたも相当よね』
「……?どういう意味ですか?先生」
『……頭の良い子ってどこかしらか変態だなって思っただけ』
「…………変態……?」
『ほら、またこんな所でぼーっと突っ立ってると、笠松さんが伊崎にいじめられてたって噂立てられるよ?』
「っ!……そうですね、それでは失礼します」
ハッとして教室に戻ろうとすると、先生は笑って手を振ってそのまま職員室へと戻っていった。
変態……私って変態なのかしら。だから瑠華も私のこと避けるの?
「…………んー……わからない」
……どんなに難しい問題でも解く答えはあるのに、瑠華のことだけは何も分からない。分かりたくても、分かってあげられない。この苦しみをいつまで続けなくちゃならないのかしら……。
私は見えない答えを探しながら、闇雲に瑠華にぶつかることしか出来なかった。
+++
『……あー笠松、ちょっといい?』
委員会の集まりが終わった後、教室に戻ろうと廊下を歩いていると反対側から歩いてきた先生に呼び止められる。すぐに瑠華のことだと分かった私はそのまま先生に付いていった。
『……ってな、感じで。伊崎のやつ、課題は出さないわ、テストは赤点だわ。……最近よくイライラしてるみたいだし、何とかしてあげてくんないかな』
「何とかしてあげたいと思ってるのは山々なんですけど」
『……うーん……そうだよねぇ……でもこのままじゃあいつ進級出来なくなるけど……?』
「っ!進級出来ない……それって瑠華と私が一緒に居られないってことですよね……?」
『……ほんとにねぇ。一年違ったら周りの生徒も変わるし、伊崎のやつ学校辞めるとか言わないといいけど』
「っ!?…………私、やります」
『……おぉっ!笠松ならそう言ってくれると思ったよ!頼んだからね?』
「はいっ」
職員室を飛び出した後、私はその足で瑠華の元へと向かっていた。
放課後、まだ帰っていないことにホッとしながら、教室でメイクを直してた瑠華の机の前に立つ。
「…………また来たの?懲りないやつ」
「……瑠華、また提出物出さなかったの?今日その分の課題も出たはずよね?私、今日は何も用は無いから、瑠華の家に行くわ」
聞こえてきたため息。鏡を離そうとしない瑠華の顔を覗き込むとやっと鏡を閉じてこっちを見てくれた。
「……来なくていい。今日、美穂たちと遊ぶから」
「ダメ。それは断って。いいわね?瑠華」
「……はぁ!?なんであんたにそんなこと言われなくちゃっ……!」
キッと瑠華が私を睨んで立ち上がる。その時に勢い良く机を叩いた音が教室に響いて教室の中に残っていた瑠華のクラスメイトがざわついた。瑠華も気まずそうな顔をして目を逸らす。
「……えっと、何でもないの。大丈夫。……瑠華、外に行きましょ?」
「っ、行かない!アタシ帰るし」
「……瑠華っ!」
「っ、付いてくんなよっ!」
私の手を振り切って瑠華が教室を出て行く。もちろんその後を慌てて追った。
「……怜、いつまで付いてくるつもりなんだよ」
廊下を歩く瑠華の後ろを歩いていると話しかけてくる。
……本当に嫌いなら話しかけないでさっさと帰っちゃえばいいのに。瑠華がそうしないから、私はもっとしつこくなってしまう。うっとおしそうに私を見つめる瑠華の瞳には寂しそうな”私の妹”がいて、放っておけなくなってしまうのに。
「私、瑠華と一緒に帰るから」
「……はぁ!?勝手に決めんな!」
「……瑠華がこの学校を辞めることになったら……私が辛いの」
そして先生が言っていたことを瑠華にも伝えると、小さく、あっそ、と声が聞こえてきた。
「……それ、だけ?……瑠華がいなくなったら私も学校行かない」
「……何言ってんの?進級出来ないかもってだけでしょ?」
「っ、……そうだけど」
……瑠華はそれだけかもしれないけど、私はこれ以上瑠華が離れていくのが辛い……。もう抑えていられない感情が溢れだしているのが分かる。ここで言いたいこと言わなかったら、きっと瑠華はもう聞いてくれない。
「……私、瑠華と一緒に卒業したい。ねぇ、今ならまだ間に合うわ。だから、」
「……あんた、いつまでアタシにお節介焼くつもり?もうほっといて」
瑠華の制服を掴んだ手を剥がされる。さっき教室の中で何をしていたのかと思えば、瑠華の爪は似合わない濃い色をしていた。
マニキュアももうやめてって言ったのに。瑠華は結局私の言葉を一つも聞いてくれない。……昔の瑠華だったら、きっと私の……お姉ちゃんの言葉を聞いてくれたはずだわ。……どうして?なんで?そんな想いが膨らんでいつもは我慢して言わない言葉もつい口に出してしまう。……瑠華にもっと嫌われるって分かってて。
「っ、……怜のことはおば様にも先生にも言われているわ。その髪も服装も……メイクだって。瑠華はそんなことする子じゃなかった。ねぇ……一体何があったの?私に教えてくれたら、考える」
逃げようとする瑠華の制服をぎゅっと手で掴んで、ずっと聞きたかった答えを瑠華に問う。大きく見開いた瞳に私が映った後、瑠華は辛そうな顔を見せた。
「っ…………お願い」
私に、チャンスが欲しい。瑠華の心を取り戻すチャンスが、欲しいの。その為だったら私は……!
そう願った後だった。……瑠華の表情が変わったのは。
「………………瑠華?」
急にぶつぶつ何かを言いながら辺りをキョロキョロと見渡した後、真顔で私を見つめる瑠華。ぷつっと糸が切れたように、さっきまでの瑠華のピリピリしていた雰囲気が無くなっていた。
「…………なにこれ」
……それはこっちの台詞なんだけど。
あの瑠華がきょとんとした顔で私の顔を見つめていた。一体何が起こったのか分からないけど、瑠華が落ち着いてくれたならいいと思っていたけど、さっきまでとまるで別人のようで私が戸惑ってしまう。
……だってあの瑠華が、私を睨むでもなく、こうして見つめてくれるなんて……。そして私の顔をしばらく見つめた後、瑠華はフッと勝ち誇ったように笑った。
「…………戻ってるじゃん」
そしてぶつぶつ文句を言いながら頭を抱える瑠華をしばらく見ていると、ひとり言をずっと呟いていた。
「あぁ、もぉ、ほんと意味わかんないな……!」
「…………?」
またその視線が私に戻ってくる。……何を言ってくれるのか、何を考えてるのか私には何も分からないけど、いつもと全く違う瑠華を目の前にして心臓がドキドキして緊張して手が震えてしまった。
……私、瑠華に見つめられてる……。いつも見ても嫌な顔されるか、睨まれたことしかないのに。私の心は、今の瑠華の変化に対応出来ていない。すぐにオーバーヒートしてしまいそう。
瑠華は何も言えなくなった私を見た後、今度は近くにあった窓ガラスを覗いていた。
「…………瑠華?」
「……確かにこのメイク似合ってないわ。……落としてこよ」
「…………え……?」
「……じゃ、アタシメイク落としに行くから。バイバイ」
「……え?……えっ?」
「……っていうか覚えてないの?……絶対忘れないとか言ってたのに、ウケる」
「なっ、何のこと?……瑠華、どうしたの?」
私には分からないことだらけでどう返したらいいのかも分からない。……だって瑠華が普通に私に話しかけてくれるだけでも驚くことなのに……。瑠華がそんな私を見て笑い出すから、本当におかしくなってしまったんじゃないかっておでこに手を当てれば眉をひそめてこっちをじーっと見ていた。
やっぱり……睨まれてない。嫌われてない。瑠華の瞳はまっすぐ私を見ていた。
……しばらくそんな幸せな時間を過ごした後、瑠華がふいっと視線を外す。
「……もう怜には落とされないから。んじゃ」
「……落とす?……ほんとに瑠華どうしたの?」
話にも感情にも、何もかも瑠華に置いていかれて、ぼーっと立ち尽くしているうちに瑠華が廊下の先の女子トイレに入っていくのが見えて慌てて追いかける。廊下から中を覗くと、洗面台の前で化粧を落としている瑠華が見えた。
「…………何してるの?」
「うわっ!……何?怜、まだいたの?」
「……まだいたの?って……あの、瑠華、私たちがさっき話してた事覚えてる?」
「はぁ?……あー、また怜が世話焼きおばさん発揮した話?」
「せ!……世話焼きおばさんって……せめてお姉ちゃんにしてよ」
「気にすんのそこ?」
……瑠華が私と普通に話してくれてる。それもあんなに嫌がってたのに、メイクも落としてくれるなんて……一体何が起きたのかわからないけど、瑠華が自分からそうしたいって思ってくれたなら私も嬉しい。
「やっぱりそっちの瑠華の方が可愛いわ。……ずっとそのままでいいのに」
「……はぁ?自分の顔が良いからっていつもそういうこと言うのやめてよ。こっちは努力してんの」
「……え?……私、瑠華にそんな風に思われてたの?」
「……これだから天然物は……はぁ」
「私は瑠華の顔好きだけど。……猫みたいな目とか白い肌とか……」
「っ!きもいこと言うなっ。……怜はアタシならなんでも良いだけでしょーが」
顔をメイクを落とした後、軽く水で顔を洗いながら瑠華に言われてドキッとする。……今までそんな言い方したこと無かったのに。でもその言葉はとても私の心にすっと馴染んだ。
……瑠華ならなんでも良い、私、本当にその通りだった。
「……ふふっ」
「……なに?急に笑い出して」
「ううん。……それよりまたメイクするの?」
「……は?当たり前だけど。……またやめろとか言ったって、」
「……瑠華、ちょっと貸して?私にやらせてほしいんだけど」
せっかくすっぴんの可愛い瑠華になったと思ったら、やっぱりしてないと落ち着かないのか、またメイクを始めようとする瑠華の手を止める。
「……え?怜ってメイクとか出来るの?」
「……失礼ね」
瑠華みたいになろうとした時だってあったもの。……すぐ挫折したけど。
それに今までの瑠華より、私は瑠華の顔を活かす自信がある。……ずっと瑠華の顔を眺めていただけじゃないわ。
「……ふぅん……。じゃあ、どっか空き教室行く?ここじゃやりづらいし」
瑠華にメイクすることも許されて嬉しさと驚きに震えていると、入ってきた女の子に大丈夫?と声を掛けられて瑠華が私を見る。私はすぐに瑠華の腕を取って、何も無かったとアピールした。それにその子は疑うような視線を向けてきたけど、私は瑠華の手を引いてすぐに女子トイレを出る。
「ちょっ、なに?」
「い、いいからっ……」
そしてその後、瑠華は自分のとっておきのサボり場所があるから、としばらく使われていなそうな資料室へと私を招き入れた。……近くに隠してあった鍵を使って。……これ先生にも言っておいた方がいいかしら……。
資料室に入るなり、瑠華はテーブルの上に化粧道具を並べて椅子を向かい合わせに置いて、さぁどうぞとメイクを落とした顔を私に向ける。
「っ…………ふぅ」
私は深呼吸をして気持ちを整えた。
正直、緊張して手が震えたけど、念願だった瑠華のメイクを変えることが出来てこれ程嬉しいことはない。ずっと無理してるメイクを落としたかったし、瑠華が可愛いって示したかった。
……でも仕上がっていくうち、こんなに可愛い瑠華、誰にも見せたくない、私だけのものにしたい、なんて気持ちも湧き上がってきてしまう。……瑠華は私の所有物じゃない。何度も瑠華にそう言われてきたし、自分でも分かってる。
……そう分かっているのに、この感情は何なのかしら……。
「…………怜、手が止まってる」
「っ、ぁ……ごめんなさい。……瑠華が可愛くて、つい」
「だからそれは知ってるって言ったじゃん。……って、笑うな。早く鏡見たい」
「っ、うん…………楽しみにしてて?」
……一体何があったのか、聞きたくてもどう聞いて良いのかわからない。
どうしたの?何で?何があったの?
私の中で大きく膨らむ疑問。……でも私に気を許してくれる瑠華を見ていると、思ってても言えなかった。また瑠華に他人を見るような冷めた目で見られるのは辛かったから。
「……どう、かしら。……気に入らなかった?」
メイクが終わり、瑠華に鏡を渡すと食い入るように見ていた。……不安になりながら返事を待っていると、少し照れたような表情の瑠華がいた。
「……むしろ良すぎて驚いてる」
「ふふっ。ありがと。…………瑠華の為に練習したかいがあったわ」
「…………アタシの為?」
嬉しくてつい色々な角度から瑠華の顔を眺めていたら顔を押し返される。っ、もぉ……メイクをしたのは私なのに……。その特権を主張したら余計瑠華は顔を見せてくれなくなった。
「……もぉいいわ。……じゃあ、行きましょうか」
「は?どこへ?……怜との約束なんかあった?」
「瑠華の家に行くって言ったじゃない。……課題手伝ってあげるって言ったでしょ?」
「……あぁ……確かそんなようなこと言ってたような……」
………………?いつもならすぐ、何言ってんの?知らないし、なんて言葉が返ってくるのに、瑠華は考え込むような仕草をしながらそう答えた。
……それにさっきから思ってたけど、瑠華が少し大人っぽくなったように思える。別人とまでは言わないけど、それでもやっぱり瑠華じゃない瑠華のよう。
「……やっぱり今日の瑠華変だわ」
「……まぁ、それは認めるけど。怜に言われたくない」
「……熱は無いみたいだけど心配だわ」
「はいはい。また世話焼きおば……お姉さんね。……っていうか、課題ここでやってくから怜は帰れば?」
「……え?」
瑠華の言葉に驚かされるのは、この数時間で何度目かしら。
……物わかり良くちゃんと話を聞いてくれる瑠華、というだけで私にとっては青天の霹靂だというのに。驚きすぎて思考が追い付かない。鞄の中から丸めたプリントを取り出したと思ったら伸ばし始めて、教科書が無いからって教室まで取りに戻ろうとした瑠華に私は持っていた教科書を差し出した。
「……貸して、くれんの?」
「……いいわよ。その代わり私もここにいるけど」
「げっ」
瑠華の急な変化に戸惑いながらも、その変化が嬉しくてつい顔が緩んでしまうと
嫌そうな顔して私を見ていた。
「……何で嬉しそうな顔してんの?」
「だって瑠華が……ううん、何でもない。分からないことがあったら聞いて?」
「……はいはい…………っていうか、やった?こんな授業」
「それは……教科書だとこのページかしらね」
「……ふぅ~ん…………」
……夢にまで見た、瑠華と一緒にしたかったこと。その現実が今、私の目の前にある。しばらくプリントと格闘する姿を微笑ましく思って見ていたら、ふと目が合って瑠華は気まずそうに目を逸らした。
「……瑠華に何があったのかわからないけど、……とても良いことがあったのね」
「……そーかな。……でも誰かさんは忘れてるみたいだけど」
私を見る瑠華の目が何かを訴えかけてるって分かって首を傾げる。……私のこと……?でも身に覚えが無い。
「え?…………ねぇ、それってどういう意味?」
「知らない。っていうか、ここわかんないから教えて」
「っ…………うん、わかった」
聞き返すと、ムッと不機嫌になった瑠華。私はそれ以上聞けずに、瑠華に聞かれるまま問題の解き方を教えた。
……前は聞くこともしなかったけど、瑠華は教科書を見ながら問題を解いていくのを見ると、勉強が嫌いなようには見えない。
私、……今、知らない瑠華を見ているようだわ。
「……やっぱ怜って教え方上手」
「……そうかしら。瑠華の理解が早いのよ。……勉強、嫌いなわけじゃなくて良かった」
「……まぁ、嫌いじゃ、……なくなった、って感じかな」
「…………瑠華、何かあっ」
「ねぇ、こっちは?……って何か言った?」
目が合った瞬間、思い直す。……今は瑠華がこうしてプリントに向かってくれているだけでいいわ。……うん、贅沢言ったらダメね、私ったら。
「……ううん、何でもない。これの解き方は……」
”瑠華の隣”は私がずっと思い描いていた願い。また気が変わらないよう願いながら、久しぶりに交わす瑠華との会話を楽しんだ。
+++
「…………はぁ……終わった~」
テーブルの上に顔を擦りつけて、もうやりたくない、と体を預ける瑠華。私はそんな瑠華にお疲れ様、と言って髪を撫でた。
ちょっと癖のある瑠華の髪は脱色しすぎて少し痛んでる。しばらく突っ伏したまま動かないのを良いことに、私は瑠華の髪に指を絡めて梳いた。
「……くすぐったい」
「……ごめんね。瑠華の髪ふわふわなんだもん」
「猫っ毛だから。……って、もう触るの禁止」
もう少し触っていたかったのに、瑠華にもうダメ、と手を離される。私は仕方なく手を離した。その後、瑠華のプリントを改めて見直すと、一生懸命解いた後が良く見れた。
「やっぱり瑠華はやれば出来る子ね」
「……ふふん、まぁね。……さて帰ろ」
「ダメよ。せっかくだし先生に出してから帰りましょ?」
「……はぁ!?……提出明日で良いって言ってたし」
「……お願い瑠華。……私のお願い聞いてくれたらご褒美あげる」
「……ごほうび……?」
「そうよ」
「ごほうび……」
そんな子供騙しに引っ掛かってくれるはずない、と思ったけど、案外咄嗟に出たその言葉に瑠華が反応を示してくれる。そんな所は昔と変わってなくて可愛いと思いながら、瑠華が嫌だって言い出さないうちに手を引いた。
「ふんふふ~……~♪」
「……上機嫌」
「それはそうよ。……私、瑠華のこともっと大好きになったわ」
「っ……もうこれ以上好きにならなくていいんだけど」
いつもなら何かあっても先生の所に一人で行くことが多い。そんな私が瑠華と一緒に顔を出したらどんな顔をするかしら。それに早く瑠華の変化を先生に見せたいし、瑠華の頑張りも見てほしい。つい足が早くなってしまって、ぐいぐいと瑠華を引っ張ってしまうと、急に後ろに引っ張られた。
「……ねぇ、やっぱ帰る。絶対面白がられるし」
「大丈夫。お姉ちゃんも一緒にいるわ」
「っ、またお姉ちゃんって。あんたとは血の繋がり無いから」
「……本当に?」
「どう見たって似ても似つかないでしょ」
「ふふっ」
「…………はぁ?なに?急に笑っちゃって」
瑠華はそう言うけど、先生にはいつも”姉妹喧嘩学校に持ち込むな”って言われてることを知ったら、瑠華はどんな顔するかしら。
職員室に入ると、いつもの場所に先生の後ろ姿が見える。
「先生、ちょっといいですか?」
『……ん?笠松さんどう…………』
先生が振り向きながら驚いた表情で私と瑠華を交互に見る。そして私にだけ耳打ちした。
『ついに薬でも使ったの?笠松さん』
「先生!……変な事言わないでください」
「…………ちょっと、何で二人仲良いわけ?」
二人で話していると瑠華が不機嫌な顔になる。先生はこほんと咳をして仕切り直した後、改めて名前を呼んだ。
『…………どうしたの?伊崎さんに笠松さんも。……って、あら可愛いじゃない。やっぱり伊崎さんはそれぐらいの方が似合うわ』
先生が瑠華の変化に気付いてジッと見つめると、その視線を嫌がった瑠華が私の背中に隠れる。
「ふふっ……えぇ、私もそう思います。……後は制服だけかしら……」
そう言いながら、瑠華のスカートの短さが気になってスカートの裾を引っ張るとすぐに手を叩かれた。
『……どういう心境の変化かしら、気になるわぁ』
「…………気分変わっただけだし」
『あら、好きな人でも出来たの?』
先生の言葉にぴくっと反応してしまう。……私にそんな考えなかったから、改めて瑠華を見ると先生の言葉に顔を赤くしていた。
……瑠華に好きな人……?最近の瑠華は漫画に夢中でそんな気配無かったはずだけど、また誰か気になる人が出来たとか……?ううん、そんなはず……。
「はぁ!?……ちっ、違うから!」
『あらあら、まぁまぁ~』
「それより課題終わったんで!」
………………私、そんなこと聞いてない。
先生と楽しそうなやり取りをして瑠華がプリントを渡す。……私への態度が変わったのも、そんなに楽しそうなのも、好きな人の影響?何か言われたから?
聞きたくても聞けずに見ていると、瑠華が私の視線に気付いた。
「……なに?」
「……好きな人って誰?同じクラス?それとも先輩?……いえ、それとも学校外……?」
「…………はぁ?知らない」
「……私には言ってくれないの?」
「はぁ?だから知らないし」
『……これ、笠松さんが手伝ったんじゃなく、伊崎さん一人で?』
瑠華と話していると、プリントを見終わった先生にそう聞かれて、私たちはうんと頷く。
「えぇ。……先生はご存知ですよね?瑠華は手伝いたくても手伝わせてもくれないって」
『…………うん、うん…………本当に伊崎さんが……すごいわ』
採点が終わったプリントを受け取ると、瑠華はすごく嬉しそうな顔をしていた。私も隣で嬉しくなっていると先生に良かったわね、と腕を叩かれる。
『……ふふっ。これからの伊崎さんが楽しみね』
「…………それ、どういう意味で?」
『さぁ、どういう意味かしら。……笠松さんもいつもありがとうね。”伊崎さんのことになると笠松さんはいつも熱心になってくれて”助かるわ』
「っ……やめてください、先生」
「いやいやいや、照れないでよ。今、遠回しに”何でこいつ伊崎のことになると顔突っ込んでくんの?”って言われたから」
そうなんですか?と先生に視線を送ると、私たちを見て笑い出す。
『……ふふっ、”随分と伊崎さんは笠松さんに大事にされてるのねぇ~?二人はどんな関係なのかしら~”ってずっと気になっていたから含みを持たせただけよ?』
「……先生……変なこと言わないでくれる?」
瑠華の解釈もわかるけど、先生の疑問もその通りだと頷く。いつも先生には瑠華の話を聞いてもらっているけど、こうして二人で話してる姿を見るのは初めてだと思うし。……でも改めて聞かれると困る。だって私たち話し合ったわけでもないし……。今でも瑠華の変化に喜びつつも、その理由が分かっていない私は何も分からないままだから。
「……え?えっと……私と瑠華はずっと幼なじみで……」
顔を見合わせると、瑠華はうんうんと頷いた。
「そーそー。腐れ縁ってやつだし」
『あら、それだけとは思えないわ。……でも、まぁ、あなたたちが仲良くなってくれて良かったわ。……笠松さんは大丈夫って言っていたけれど、よくあなたたちのこと心配する声は届いていたから』
先生がそう言うと、瑠華は気まずそうに私を見た。私はその視線に大丈夫、と頷いて先生に返す。
「……ご心配お掛けしています。でも私は、」
「ごめん、怜。……いつも怜に嫌な思いさせて」
「…………え……?」
瑠華がごめん?……信じられずに瑠華を見ると、それは先生も同じだったらしく同じ表情で瑠華を見ていた。
「これからは……気を付ける」
『…………あら、伊崎さん今日は熱でもあるの?』
「……瑠華本当にどうしたの?やっぱり保健室に行って熱を計ってもらいましょ?だっておかしいもの」
「ちょっと二人ともその言い方どうかと思う」
どんどん不機嫌になる瑠華がもう帰る、と言い出して私の制服を引っ張る。それを見て先生が、じゃあ帰っていいわよ、と笑いながら瑠華に伝えた。
『ふふっ。……じゃあ、二人とも気を付けて帰ってね。後で笠松さん、先生とお話しましょうね?伊崎さんのことでゆっくりと』
「……?は、はい?」
「なっ!?……先生、怜から話聞き出そうとしないでくれる!?」
瑠華に手を引っ張られて、職員室を出る。真中先生はそんな私たちを微笑ましそうに見ていた。
「……はぁ……ったく、怜もあの先生の話真面目に聞かなくていいのに」
「……そうかしら。いつも瑠華のこと気にしてくれていたわ。私にとっては良い先生よ」
「っ…………もぉ」
そうは言いながらも嬉しそうな瑠華の横顔。……こんなに嬉しい日は無い。このまま今日が終わってほしくない、とさえ思ってしまう。そんなことを考えながら瑠華と廊下を歩いていると、急に瑠華が慌てて私の手を離した。
そして辺りをキョロキョロ見渡した後、瑠華がごめんと謝る。
……また周りを気にしてる。そんな瑠華を見ていると、髪を掻きながらまた歩きだした。
……いつも頑なに私は悪くないってスタンスだった瑠華が謝るなんて。私は未だにそんな瑠華の態度の変化に付いていけず戸惑うばかり。
「……やっぱり変だわ、瑠華」
……誰かに何か言われたの?私以外の誰かの言葉で瑠華が考え方を変えたのだとしたら、……ちょっと悔しい。ううん、かなり悔しい。
「うっさいな。アタシだって反省する時ぐらいあるんだよ」
「………………やっぱり好きな人が出来たの?」
そう言った瞬間、瑠華の表情が変わる。……私を見る目が、何故か苦しそうで、その理由が知りたくて瑠華の顔を見つめると、何か言いたそうに口を開いたと思ったら、違う、とそれだけ言ってまた閉じてしまった。
……やっぱり私には話してくれないのね……。
……一体何があったの?何が瑠華を変えたの?どうして……どうして私じゃないんだろう。
もし他に瑠華の為に力になってくれた人がいるならお礼を言いたいと思う気持ちもあるけれど、……それ以上に自分以上の瑠華の理解者が現れたことに激しく嫉妬している私も居る。……でもそんな感情を瑠華にぶつけることなんて出来るはずもなく、私は瑠華の後ろを歩くしかなかった。
「……ねぇ……ごほーびまだなんだけど」
「……え?」
聞こえてきた声に顔を上げる。聞きたくても聞けない言葉をグッと胸に詰まらせていると、瑠華が足を止めた私に近付いてきて頭をポンと叩く。
「アタシ怜のお願い聞いたじゃん」
「…………うん」
そして私の顔を覗き込む心配そうな瑠華と目が合った。私が一人落ち込んでいると、ムッとした顔を見せて離れていく。
「……はぁ……無いならいい。帰る」
「!っ、ちょっと待って。……その、……瑠華、何か食べたいものある?お腹、空いたでしょ?」
慌てて私は瑠華の前に立っていた。
……もしかしたら明日は今日の瑠華じゃないかもしれない、……もう私とこんな風に話してくれないかも。そんな不安に襲われる。
……そして瑠華は私をめんどくさそうな顔で見つめた後、はぁ、と小さくため息をついた。
「…………らーめん一択」
「っ……うん、わかったわ」
これでまだ瑠華と一緒にいられる。自然と頬が緩んでしまうと、瑠華は少し驚いた顔で私を見つめていた。
「……どうかした?」
「……あー……もぉ……」
私に背中を向けた後、ぼそっと聞こえてくる声。でも今までのような私を嫌う声じゃない。
「……瑠華?何か言った?」
「……別に。……今日はニンニクマシマシが良いって言ったの」
「……え……明日大丈夫なの?」
「……そんなに嫌なら近付かなければいいじゃん」
「もぉ……そういう問題じゃ……。じゃ、じゃあ私も、食べ」
「やっぱ食べない!」
「……え?」
「駅前のラーメン屋のしょうゆ」
「…………うんっ」
先を歩く瑠華に追い付いて、私は隣に並んで歩く。
瑠華は随分と周りの目を気にしていたけど、私はむしろもっと見てほしい。瑠華と私が仲直りしたことが広まれば、瑠華を悪く言う人もいなくなるはずだもの。
案の定、瑠華の雰囲気が変わったことに気付いた生徒が通りすがりに驚いた顔をしていた。
『……笠松と伊崎仲良く話してんだけど』
『……え?今の伊崎?メイクちがくね?』
『可愛いじゃん』
「………………」
「…………は?なに?何見てんの?」
「………………瑠華が可愛いのは昔からだもの」
「っ…………いきなり何言ってんの?そんなの知ってるってば」
「……~~~~~~~~っ、もぉっ」
「ちょっ、今度はなに?」
自分の中で、何かの感情が暴れ出している。
……瑠華とこうして話せるだけで十分だって思ってたのに。どんどん知らない感情が溢れてくる。
「………………何でもない」
そう言いながらも、胸の中のモヤモヤは余計大きくなるばかりだった。
周りの瑠華への視線が変わったら今度は違う心配事が増えそう。だってこんなに優しい瑠華、……周りの子たちがほっとくわけないもの。
「……ねぇ、怜ってさ、ほんと周り気にしないよね。アタシと居たら変な目で見られるのとか気にしないわけ?……みんなに好かれる優等生なんだしさ」
校舎を出て学校の門までの道を歩いていると、瑠華が周りの目を気にしながら私に聞いてくる。
みんなに好かれる優等生……、私はそんな人になりたくて過ごしてきたわけじゃない。私は瑠華の言葉に首を横に振る。
「……別にいいじゃない。私は誰かの為じゃなく、自分の為に瑠華と一緒に居るんだから」
「っ…………ふーん」
「それに……そんな誰かの目を気にするぐらいなら、私のこと見てほしい……」
「………………」
……思わず本心がこぼれてしまった後、ハッとして口を押さえる。瑠華を見ると、真面目な顔で私を見つめていた。
「な、……なーんて!ふふっ……だから気にしないで?瑠華。あと、もし何かあったら私に言ってね」
「……ぁー…………うん」
……急にこんなこと言って嫌がられたかな……。それ以上瑠華の顔も見られず、私は明るく振る舞った後、顔を見られないように先を歩いた。
ラーメン屋さんまでの道のりを不安に思っていると、瑠華が私の隣を歩いて見上げてくる。
「……怜って不器用って言われない?」
「……え?……どこが?」
「………………はぁ……ソウデスカ」
呆れたようにつぶやいた瑠華。私がその横顔を見ていると頬を膨らませる。
「……可愛い」
「……………………怜だって可愛いでしょ?」
「……え?」
「……怜は可愛いし、綺麗だし……勉強も出来て周りのみんなに認められる人じゃん」
「………………」
……そんな言葉嬉しくない。それは私の外側だけしか見ていない周りのみんなと同じ……。瑠華の口からそんな言葉聞きたくなかった。
……その言葉に少しショックを受けていると瑠華が言葉を続ける。
「……なのに、アタシにだけ特別甘いやつ」
「っ、」
まるで心の中を覗かれたようでドキッとした。
……瑠華がそんな風に思ってるなんて知らなかった。そしてそれを知られていることに今更気付いて顔が熱くなる。
「怜の頭の中バグってんの?……ほんとアタシのことばっかだし、自分のことなんか後回しだし」
「…………そうなのかな?……真中先生にもそう言われる。シスコンだって」
「シス……妹じゃないし。っていうかアタシの知らない所で真中ちゃんと仲良くしてないでよ」
「……そういう瑠華は私の知らないうちに好きな人作ってたじゃない」
「なっ……!?だから違うって言ってるじゃん。……あーもぉっ、忘れないっていったくせに……っていうか実は全部アタシの妄想だった?何なの、この記憶っ」
頭を抱える瑠華にそっと手を添えると、我に返った瑠華がこほんと咳をした後、髪を整えた。
「…………何でもない。今の忘れて」
「……瑠華の態度が急に変わったのも、そのことが関係してるの?」
「………………知らない。わかんない。……でも、アタシの態度が変わったのは、誰かさんのおかげだよ」
そう言って私を見つめる瑠華。やっぱり私のことだ。それだけは分かるけど……。
っ……なんだろう、この気持ち……。瑠華を見つめてると胸が苦しくて熱い。
……今まで瑠華とちゃんと話していなかったせいなんだろうって思ってたけど、違う気がする。
「私にも分からないけど、それって、」
「……ごめん。アタシもよく整理出来てないから、落ち着いたら話す」
「…………うん。わかった」
その話はそれでおしまい、とばかりに、瑠華とはそこから違う話ばかりしていた。
……瑠華の話を聞いたら、私のこの気持ちも分かるのかしら……。
「……怜、ボーっとしてないで早く」
「っ、わ、わかってる!待ってよ、瑠華っ」
「……ったく、どっちがほっとけないやつなんだか」
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