幕間―瑠華と怜 ※イラストあり

<瑠華と怜のイメージイラスト↓>

https://kakuyomu.jp/users/ogyuogyu/news/16817139558782338111



 ……瑠華とは一緒にしたいことがたくさんあった。

 ノートに書きだしてみれば、そのどれもは他の子たちなら普通にしていること。意識しなくても自然とそうしているのに、私たちにはそれが圧倒的に足りない。


「…………何書いてんの?怜。宿題?」

「っ!しゅ、宿題じゃないわ。……瑠華、もう先生の話は終わったの?」


 私は慌ててノートを隠す。……だって瑠華に見られたら、また友達がいないとか、重い女とか言われるに決まってるもの。


「……なに?慌てちゃって。……せんせの話はいつもとおんなじ」


 瑠華は相変わらず校則を守らないけど、……うん、前よりずっと良い。

 怖い顔も辛い顔も見なくなったし、以前のようにあの子達と一緒にいるけど、瑠華はこうして私に会いに来てくれるようになった。……何より瑠華から私に学校であったことを話してくれる、それが一番嬉しかった。

 私のノートのしたいことも、瑠華のおかげで項目が減っている。


「……な、なに?あんまりこっち見んなよ」

「……あら。……お姉ちゃんにドキドキしちゃうの?」

「ぐっ!…………バカッ。……あんたといる時はいつもだし、そんなの」

「…………ーーっ!!」


 ガタンッと勢い良く立ち上がったせいで、椅子が倒れてしまう。音に驚いた周りのクラスメイトに頭を下げた後、私は瑠華の手を取って教室から連れ出した。


「……ちょっ、ちょっと!怜っ!」


 キョロキョロと人気のない廊下を抜けて、私は非常口がある薄暗い階段下で足を止める。


「……あんな離れ方したら、変に思われるじゃん」

「大丈夫。……瑠華が普通に私に会いに来る時点で思われてるもの」

「なっ!……わ、悪かったな…………」

「ううん。私はとっても嬉しいの。……瑠華とこうして一緒に学校で過ごせるんだもの」


 振り返ると瑠華は照れ臭そうに髪の毛をいじっていた。そして私の視線に気付くと、しばらく見つめ合った後、目を逸らす。


「…………ここ学校なんだけど」

「……知ってるわ」

「っ……怜の考えてること分かって怖い」

「……あら、随分と私に染まったのね?瑠華……嬉しいわ」


 引き寄せるように手を強く引くと、私の腕の中に収まる。相変わらず脱色されて金色の髪を撫でれば、瑠華の手が私の背中に回った。


「……昔なら、髪を染めてほしいと思ったけど、……今は瑠華のこの髪色が好きよ」

「…………っ、……あっそ」


 相変わらずぶっきらぼうな返事だけど、私も瑠華の考えていることが分かるみたい。……顔は見えないけど、きっと口元がにやけてるんだろうなぁって分かるもの。


「……アタシは、あっちの怜の髪、好きだったけど」

「…………卒業したら染めようかしら」

「そっ、そこまでしなくたっていいっ。…………怜は怜だし」


 瑠華の肩を少し押すと、私を見上げる視線と合う。


「……瑠華、……目を閉じて?」

「っ、……リップの色、移る、」

「……それがいいの」


 ぁっ、と小さな声を唇で蓋をした。


「……んっ…………ほら、付いてる」


 唇が離れた後、瑠華の指が私の唇に触れる。


「…………瑠華の、取れちゃったね」

「……別にいい。後で塗り直すし」

「…………そう?……じゃあ、瑠華、」

「……えっ?」


 まだすんの?って顔した瑠華にキスをして、私は思う存分いちゃいちゃなスクールライフを満喫した。



「……リア充ってこういうことをいうのね。……確かに楽しいわ」

「ぐっ、……リア充爆発しろ、なんてもう言えないじゃん……」



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