第55話 幼児化
「猫又娘よ。この状況どうしてくれんだ」
一人の餓鬼(多分人化)の大工のおっさんが僕のシュールな人形を指す。
『ぎゃああっ助けて』
どうにかしてくれ。
僕もそろそろ、幼児化でもしそうで怖いよ。
「私もどうにかしたいんだけど、これまたカオス。しかも、アイツが暴走か。まあ、ヤンデレだからね」
マオウの言葉に僕は想起する。恐怖ふふふふあああああああばばばばばぶぅ。
「ば、ばぶぅ」
「おーよちよち。そろそろ、幼児化でもしたいとか思っていそうだったけど、その通りだったね。ASMR、バブみ集とかあるからよくわかっているよ」
「ババブウウ! ブーブブブブブ! ハァハァハァ――ぼくはしょうきにもどった!」
PCの中でも相当奥にあるURLや見れないサイトに隠しておいたのに、どうして、恥ずかしいものがどこまでもわかってしまうんだ。
「そんなの、知りたい? ね、知りたいよねえ。うん、教えてあげようか。よく教えてあげて、絶望の中に落とし込んであげようか」
ド、ドSめ。マオウの名前らしい、ことをしないでくれ。死んじゃうよ。恥ずかしめからの恐怖のコンボ。終わる。色々と終わる。
「絶望した! 絶望した! 絶望したーッ!」
咆哮を繰り返す。魂の慟哭。血の涙を出しそうな気分。声がかれそうなほど叫びたくなる。僕は声優じゃないけど、声優っぽく大音声で叫ぶよ。
「ああ、哀れ。無残な。知らない人や知り合いに知られたくない性癖を暴露されるというのは……非常に辛いことですよ。マオウさん」
「まだ人間を知るようになってから、そんなに経っていないからね。わかんないにゃん」
こぶしを握って、にゃんにゃん誤魔化すのはやめていただこう。可愛いのに、少し前の内容が残酷すぎる。
「メイドとかしてほしかった? 本当の猫耳メイドにゃん」
「いやメイド喫茶に行ったら、それなりに働いている人いるから、余り価値はないんだけど……。ああ、でも、裏に回ればタバコ吸っていそうだからリアルはね。うん、リアルは現実だから。2次元なら裏切らない」
妄想の闇は深い。
「色々と火遊びになりそうだからやめようね。多分、そろそろバブみとかほしい。おっぱいはまあ、駄目か。でも、包み込むくらいの包容力なら、私にもあるからね」
「うん。わかった。ばぶぅ」
「天丼はやめないか。ああ、そうだ。ビジネスの話をしよう。殴り合うのもいいぜ」
ローズさん。僕はそろそろ限界なんですよ。殴り合いもいいけど、休息が欲しいのです。
「うーんまあ、そうだね。殴り合う――とまあ行きたいけど、人形撤去してくれたら、双方引いてほしいんだよね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます