第53話 荒事②

 思うことだけど、僕の人形をぶら下げても誰も来ないとは思う。


「情報はそれなりの筋に流したり、普通にアングラなSNSにも動画を流したから」


 それは非常に嫌ですね。

 晒し首みたいなものですね。終わったら速攻で消してくださいね。

 そして、画像は消しましょう。永遠に。


「デジタルタトゥーは残したくないですからね。非常に」

 確実に残してはいけない。社会的に死ぬ。

 そうだ、未だって誰が見ているかは。


【見ました】

 ふとポーンとNINEのメッセージ。

 強制的にリンクされたそれは、先輩好きっ子という謎のアカウント。


【これ、誰がしたんでしょうか。これはなんですかあれですかいじめですか。それであればきちんと落とし前をつけなくてはいけません。先輩は犯人をご存知でしょうか。知らないと困りますよねわからなければ私が見つけてあげましょう。しらないああならば私がきちんとつけて落とし前をつけてあげて血祭りにしてあげましょう仕方ないですね。先輩は私がいないと駄目なんですからね】


 これ、何。すごいやばいメッセージが流れてきたんですが。しかも僕の人形の画像付き。延々と流れている姿はシュールなんだけど、メッセージが非常に不穏。

 あと読みにくくてなんだろう、これ。こわすぎんだけど。


「あ、あの、変なメッセージが」

 すごい震えているのが自分でもわかる。


「あちゃー。別のやばい人を呼び起こした感じか。ええっと、変な後輩とかいない?」

 先輩というか、会社の上司なら、思いつくけど。


 ポーンと今度は赤井主任のNINEから。


「一応通達があったけど、これは酷い――そそるね。流石に茉莉野は引いていたけど。美少女なら助けに行って恩を売りたい。それか、ぱおーんの君ならば」


 うん。主任から来た。社会的に終わる――サラサラ、僕は砂になって、消えてしまいたい。魂が抜けちゃうよ。

 あと、茉莉野さんは相変わらずで安心しつつ、怖いよ。


「一応、オーガの人であれば、まあ黙っておいてくれるでしょう。一応、飛田さんの会社は世界管理機構とコネがありますし」

「なんとぉ。そ、それは助かった。本当に。大変。非常に――うん、まずいことにならずに済んだ。よがったぁ。ずびっ」

 鼻水と涙が大量にこぼれて、冷や汗がこぼれた体が楽になる。

 死ぬかと思った。

 あっ、すごいドキドキしてる。●心がないかな。


「●心は多分私の家にありますから持ってきましょうか。なんとなく激務だと聞いたので買ってから、飲んでませんが」

「早く捨てろ。そんなもの。私の方が欲しいわ」


 黒エルフ(ギャル風少女)とハービィ(ロリ)の会話では無いな。カオスだ。


『来ましたよ。まだ会えませんけどね』


 そして、反響したような不思議な声――どこかで聞いたような声が山にこだました。

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