第50話 世界管理機構 日本管理課 第2支部室
「これはまずいことではないでしょうか。場違いすぎる」
近未来をイメージしたシャープなガラスと頑丈そうなビル。たまに行くお得意先(超一流IT企業っぽい)に見えますね。
「いやまあ、一応IT企業っぽい会社が結構入ってますからね。なんかアジェンダとか、コミットだとかよくわからない言葉をしゃべられるのでびっくりです。一応、翻訳魔法の補助を使っているものの、一応勉強は少ししましたがわからず。普通に別の言葉で喋れとは思いますが」
アリエスさん、本当に世界管理機構に努めているんだなあと思った。内容は残念だけど。
「お、おぅ。僕は一応覚えはしたけど。別の地域の言語の言葉だから、翻訳で覚えればいいのでは?」
それが真っ当だと思うのだけれども。
「何故か、翻訳されないのですっ!」
迫力のある顔で言われましても、というか、人目が多いから恥ずかしいヤメテ。
「はあ……うん。そうですね。早くいきましょう」
「わかったらいいのです」
と残念なことを言い放ちつつ、アリエスさんが偉そうにしながら、歩いた瞬間、
――ゴンっ
「いっ、でぇぶっ」
これまた、女の子が言ったら駄目な声を残念ハービィは上げた。
「何言っているんだアリエス。管理機構に努めているのだから、もう少し勉強をしろと何度も言っているだろうが。常に」
アリエスの頭上に拳骨を向ける女性。
「いってぇええええええええ。頭が悪くなったらどうするんですかぁ」
「すでに頭が悪い発言をしまくっている。その時点で無理だろうな」
と言いつつも、女性の声がはどこか優しい感じがする。
鋼色の髪を後ろでまとめ、デニムにシンプルなブラウスをつけているだけなのだが、スタイルがいいのでなんというか、似合っている。
センスもいいのだろう。
美人というか、顔が幼い感じで、美少女という感じのメスガキといったところにも見える。だが、耳がとがっていて、肌が黒い。
「黒エルフ?」
「まあ、珍しいよな。あんたには」
よくあるエルフでは、よく悪役にされるのだが、あってみると大体はそういうわけではなく、ただのちゃきちゃきしたエルフって感じがする。年はまあ、うん。
言ったら、ぶっ殺される。
「何が言いたいのかわかるが、顔に出すぎだよアンタ」
「よく言われます。どうして、こんなに出てしまうのか、すごい悩んでる」
「まあ人それぞれだし。仕方ないんじゃないよ」
ハッハッと言いながら、黒エルフの少女はアッハッハッと笑う。貫禄のある姉御。うん、器の大きな女性なんだな。さすが、年の功——
「——それ以上思うと殴るよ」
ハイワカリマシタ。
「ローズ室長がこんなところにいるなんて。なんでぇ」
アリエスが復活したらしい。で、最後に言った言葉は予想通りのように思う。
まあ、性格が姉御で黒エルフ。
何かあるだろうとは思ったけど、まあ、考えた通りだった。
「紹介が遅れたね。あたしは世界管理機構の日本管理課、第2支部室長ローズ=シュヴァリエ」
「よ、よろしく」
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