第17話 ハービィの宝珠
「本当に驚きですっ。なんてこと……なんてこと……」
1DKのアパートのベットに座り、眼鏡の蔓をせわしく触り、何やらブツブツつぶやいている。仕方ないけど、ほんと、メンタル弱い人だなあ。
「魔物っ娘なんだから、ちょっとは強いところとか見せてくださいよ」
「私はとてもとても平和を愛するハービィです。なんか、こっちの世界では凶暴にみられていますが、そんなのどこにもないです。チキンハートです。鳥ですからしょうがないでしょ!」
と言いながら泣きそうな顔になっているアリエスさん。流石に幼女をいじめているようなので、バツが悪い。
「それよりもさ、子供が生まれないとかそっちの方が問題だと思うけど。あと、オーガとか」
「ばれちゃいましたか。まあ、実家に行けばわかると思うので、遅かれ早かれといったところだったのですけどね」
「オーガに天秤に使われた秘宝である宝珠を貸したのですが、なくしたといって返してくれないのです。で、それから、どうもハービィが草食系になってしまったというか、何というか覇気が無くなり、子供もこの1年は生まれなくなっているのです。どうやら、宝珠自体が魔力を放っており、割と力の源や呪いから守れる宝具だったのです。まあ、私は公僕になって、離れていたので、あまり影響は無かったのですが」
だから、僕に襲い掛かって性的に食べてもらおうとしたと。ロリコンの権化では無いので僕はノーセンキューです。それくらい選ぶ権利は僕にはある。
あと、Tバックの色気の無さを思い出すとたまらなく萎えてしまう。でも、特殊な性癖を持つ男の人なら襲い掛かっていいかもしれません。
ロリコンになれば、僕だって。
「今は嫌です。この残念男だったら無理です。あと、ロクなことを考えていない目が語っています」
「扱いが酷い」
僕、泣いてもいいですか。
「まあ、一時期はかっこいいとか言われていたのに、会えば会うほど残念になっていくなんてひどいです。見せ場があってもいいところなのに」
「そんなのはいつあるんだろうね」
おい、聞こえているぞ。二人とも。
「コホン。オーガが返さない宝珠についてはどうしたらいいか、ということで色々と村長と話してはいるのですが、どうにも上手くいかなくて。相談に乗ってもらおうとも思っていいんですけどね」
「じゃ、とりあえず、オーガのところに行こう。マオウ的に焼き払ってもいいよ」
ニコニコしながら何を言っているんだこいつは。猫又妖怪、おそるべし。
「いやいやいやいや、それは駄目ですってば!」
泣きながら、アリエスさんはマオウに抱き着く。
「行くの。さあ、準備する。夜の22時。これから、オールナイトで頑張るの! そして、私の性的欲求不満を満たすのにゃん! さ、ご先祖様を再度降ろせ」
「無理ッ、無理です!」
「できるにゃん。猫又妖怪の私の目を見て。うなじを見て」
チラッと見せるうなじが何か僕の何かを目覚めさせようとしている。
僕はうなじフェチじゃないのにさ!
「次は目を見て。ほーら、あなたは眠くなーる」
僕が眠くなーる。バタンと眠る僕でした。
30歳、体力持たない。オカシイデス。
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