第16話 お土産の天秤が

 ぱたんと召喚したアパートのドア。あっさりと召喚して開けるとそこは僕の1DKのお部屋。後若干のアリエスさんの世界の魔力の残滓。


「すごい……これなら」

 アリエスさんが小さく呟く。思わせぶりな言葉が若干気になったが、口をつぐんでしまい、何も聞こえない。

「とりあえず、眠いから寝かせてください」

 僕はベットにダイブした。

              *


「目覚めなさい。そこの残念顔の男よ」

 と言ってきたのは聞き覚えのあるなんか、舌ったらずなロリ声のアリエスさん(自称19歳)だった。


「失礼な。僕は顔面偏差値はイケメンだぞ。性格はお銚子乗りで早とちり。喋ると残念だね、とか言われるけど。顔は」

「顔も残念だが、喋るともっと残念男。今も何を言っているかが理解はできるが、頭の悪い発言が多すぎるぞ」

「ロリロリローリロリなアリエスさんの癖に、言葉が酷く、ああ、口は悪いよね。アリエスさん。僕の扱いは何時も酷い――じゃなくて、何でこんな22時に僕を上から腕を組んでのぞき込んで。これはロリババアなよ・か・ん」


「まあいいが、この天秤の呪いでも受けてもらおうか」

 とまあ、アリエスさんの雰囲気が違うのは最初から分かっていた。

 おどけるのはやめておいたほうが良さそうだ。


「雅弥。これ、何? さっきまで、旅行がグダグダでアパートに帰ってきて、泥みたいに寝ていたロリっ娘がすごいオーラを出しているんだけど」 

 マオウ。流石に雰囲気を読んでくれよ。


「ハッハッ。そこな獣人よ。なんと不遜なことをいうものだ」

「見た目がロリで、声が尊大。ぺろっ、これはロリババアの味だ。あと、私は猫又だから。そこんとこヨロシク!」


 すいません。うちの飼い猫ねこまたが天丼して申し訳ございません。


「似た者同士といったところか。まあいい。興が冷めたんじゃが」

 見た目は子供で、中身は大人といったところか。(本人は19歳と言い張るが)

 恐らくはそのお土産の天秤とドアのつなげたときの魔力を触媒に過去の天秤の意思か、順当にいけば、ロマーヌか。


「正解。私はロマーヌだ。というか、こんな荒唐無稽なことを予想できるなんてな。わたしとしては驚いたなのう」

「ま、変なことには慣れていますんで。呪いとか、そんなのを師匠に呪いを仕掛けられたり、女の子にもてなかったりと変なことが多くて。後、目を細めると何か僕とあなたの魔力のパスが見えるんで。異界をつないだと気に何かあったかな」


「もてないのは昔からだから。私、よく見てたけど、思い込みが激しかったりして、すごい面白かった」

 僕の人生、悲劇まみれなんです。不幸なんです。何でこんなことばかりなんですかねぇ。マオウとかいう猫又という形をした妖怪に憑りつかれたり。何でこんな波乱万丈なんですかね。


「貴様の都合など知らんが。とりあえずはアリエスが話さないことについてだが、わかるか」

「とりあえず、アリエスが僕を求める理由といったところですよね。子供が生まれないとか、ベタですけど打倒ですか」

「ということだ。君と結ばれれば、子供がまた生まれるということでね。役人になっていろいろと調べた結果たどり着いたらしいが……問題として君の呪いを解かなきゃならない。エルフの師匠は見つかりそうか」


 あれは神出鬼没の化け物。しかも僕よりもDTをこじらせて、森の奥深くでなんかもう隠者ごっこをしそうだから、難しそう。


「その感じだと無理そうだな。なら、オーガが持っている宝珠を借りるようにしないとな。私もそれで顕現ができる。流石にこの状態は子孫に悪すぎる」

「オーガですか。また、怖そうなやつと話をしなくちゃいけない感じですね。でも、それで僕のDTをぬぐいされるなら、やっちゃいましょう!」


「DTはNOなのは賛成だ! これはいい仕事がやれるんじゃないのかにゃ!」

 マオウも応援してくれる。ようし、オーガの宝珠を探すぞい!

 これはやる気の出る仕事。平日の仕事が嫌なわけじゃないから。いつも22時にし帰ってこれないのがつらいわけじゃないから。


「DTと言うのは間抜けすぎないか」

 そんなのは知らん。僕の人生はDTで終わっちゃいけないから!

「あと、こんな空気だからわたしはアリエスに意識を渡せないんじゃが」

 あ、それはごめんなさい。


 

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