第14話 新しい世界にて
広大な空を見上げる。切り立った峻険な山々が広がる山地。周りを見渡すと断崖絶壁も広がり、そこには凶暴なモンスターもちらほらと見える。そんなところにだれが住むのだろう。おそらくは敵を向か討つための出城があるような。
「私の生まれた場所はこんな土地です。あと、ハービィですから、自衛のために山地の場所を好みました。一応、住居も崖にある感じですが、わりと崖の近くに森があって、そこはきちんと歩きやすいように整地をしていますし、崖は整備をして崩れないようにしています。道も整備しつつあるかな」
いやまあ、色々説明されましても。
確かに、ハービィが崖とかに住居を作るのはよく知られていますが、僕はびっくりしたわけですよ。
世界を飛ぶポータルのターミナルに行って、やってきたら風光明媚な石造りのストーンサークル(ポータルターミナル)に出てくる。
なんか風光明媚な場所だからこそ、モノローグでもしたくなります。けなしているわけでないです。
まあ、スマホの電波はきちんと届くし、カメラをとりまくる観光客もそれなりにいるし。少し前ならモンスターだぁといわれていた羽の生えた女性(ハービィは女性のみ)が観光客相手に商売をしているとね。
「世界がつながったのだから商売しないと」
「それよりもさ、異世界勇者とかではやった数年前が嘘みたいだね。猫耳、犬耳。人間。まあ、色々だね。猫又の私も目立たない」
いい世の中になったよね。ホント。でも、僕は不幸です。
下の話は異世界に行かなけりゃ、大丈夫だったんだから。
というか、ケイのせいなんだけどさ。
「アリエスさん、呪いを解くのはドコデスカ? 早く教えてください。僕の生活がかかっているんです。いや、普通に人生ですね。心を満たすための人生がとってもとってもとってもですね。すごいすごいすごいすごいかかっているんです。わかりますから、どうしてもどうしてもどうしてもですね」
「目が怖い怖いタスケテ。こ、壊れた人形みたいに言われましても。こんなのが世界を救う人だなんて。ああ、世界というのは本当に気まぐれですね。なんというか、どうしようもない」
涙目になっても僕は誤魔化されないぞ。ケイというエルフは見た目が人畜無害そうなロリショタなのに、鬼畜の所業を繰り返したクソエルフなんだから。許すまじ。
「あきらめなよアリエス。草食系の男よりは絶対にましだから」
「マオウさん、言い方がひどいというか、敵を絶対に作りますよ」
「ダイジョーブ。ダイジョーブ。草食系男子はこの異世界ブームに乗って、減りつつあるから。雅弥みたいなアホ男子は増えていくだろうけど」
だからって、僕をディスるのは間違っておりませんか。
あ、美女の石像。これはハービィの英雄とかそういうのかな。
「なんというか、変わり身の早い。あと、女の人には簡単に発情するのですね。残念です」
「まあナイスバディの女の子には反応しますよ僕は」
と言いつつ、アリエスさんの貧乳を見るわけですが。
貧乳はステータスだというのもまあ、いいかなと思った時期もありましたが、原点回帰というか、青春を忘れないというか。
「クソガキ……飛田雅弥」
アリエスさんの視線が痛い。何でわかるんですかね。
「そりゃあ、雅弥って正直だから。行動が。それよりも私の体のほうが」
まあ、体の好みはマオウのほうがいいけど。ちょうどいいからさ。でも、性格がね。ちょっとじゃじゃ馬なのはいただけないかもね。
「はいはい、時間がないので目的地に行きますね」
アリエスさん、冷たいですよ。
ぺちゃぱいでも需要はありますよ。
「崖から突き落としますよ」
なんでぇ~。
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