第7話 アパートと人類存亡の危機について
欲望度測定器、そんなのをwhy? 僕の家にそんなものを置かれましてもどうしようもないのでは?
「それが運命」
「なんかかっこいいこと言えばいいってわけじゃない」
「やれやれだ。雰囲気とか、流れとか。日本人だから理解しろよ」
一生理解したくありません。
「ええっと、話いいですか」
アリエスさんは羽を申し訳なくキュッとさせながら、恐縮気味に割って入ってきて、話を続けようとする。健気だ。
「あー雅弥ってこういう子が好きなのかな」
口元を猫口にさせながら、マオウが茶々を入れてくる。とりあえず、無視をして。
「欲望測定器って、どういうことでしょうか」
「あなたが30歳まで童貞を守ると子供にすごい力が宿る話は聞いていますか」
「さっき、聞きましたけど」
「あ、そうなんですか。30歳まで童貞を男が守ると魔法使いになるみたいな迷信が日本にはあるようなのですが、そのような迷信とは違う話なんですが信じられますか」
言葉は丁寧だが、何かとげがあるのはなぜだろう。泣きたくなるな。
じゃなくて、信じられないというのが僕の答えである。まあ、異世界とつながって、結婚する人が増えてきているうえに、魔法使いが出ている世の中だから、迷信じゃなくなりそうなのが怖い世の中。
それでも、僕は。
「信じられませんよ。童貞なんて割といるんですから。あと、異世界帰りの男性なんて、世の中に入るわけですし」
「そうですよね。でも、あの欲望度測定器を雅弥さんが見ると、です」
そう言われて、アリエスさんのつけた測定器というか、パトライトを僕が見ると何かふんふん回り始める。何か、青い。
「あなたが欲望をほとんど出していない場合、あなたの魔力に充てられた測定器は青い光を淡く放ちます。でも、ですね。チラッ」
と、アリエスさんが修道服の下の部分をずらして、太ももを見せてきた。あと、胸もチラリと見せてきて。
「あっ、割とちっぱいもいけるかも。太ももも華奢な感じがなんか、そそる」
アリエスさんが顔を真っ赤にしながら、僕をにらみつける。大変失礼いたしました。でも、ごちそうさまでした。
『ぶーっぶーっ! えっちです。ちょっとエッチです。注意してください。破廉恥です。子供が魔王になります』
欲望測定器が何か変なことをのたまいながら、黄色になって、パトライトを回し始める。僕に喧嘩売っているのかこれ。それか、どっきりな何かですか。
「なるほど、頭の悪い奴でもわかるように説明をするために説明が具体的かつ、馬鹿にしているみたいになっているんだね」
マオウの解説が非常に僕の眉間にしわを寄せるようになっている。
僕は猿か何かか?
「気分を害したのはわかるのですが、仕方ないのです。あなたの子供はこれからの人類の存亡をかけたものになるからです」
なんかスケールでかくなってない?
僕はただのアパート暮らしの童貞ですよ。
なんか自分で言って、胸が痛む。せつねえよ。
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