第2話 暴露される何か
「家出娘かね。そこな猫耳」
「反応薄いねえ。しかも、家出娘って」
僕は驚いてみたものの外見は尻尾以外、違和感がない。
どうにもこうにも、数十年前に異世界の入り口が発見され、国交やらなにやらの問題が解決はし始めている。
そんな中であぶれたケモミミさんたちが日本にやってきて、子供を産み始め、人口の減少がそれなりに解消をし始めた。だからこそ、猫耳少女は割とありふれているのだ。学生バイトにケモミミ少女はよくいる。運送の仕事などの力仕事に男獣人もちょこちょこいるわけ。
「猫耳はあふれているから、家出してきたとか思っちゃうんだけどさ」
「猫耳ばっかり見てるけどさ、尻尾のことはわかんないかな。あと、耳の茶トラとか、尻尾とか、何か思い出さないかにゃ」
「尻尾、二股。うーん、なんだろうか」
腕を組み、少し僕は考える。
「ヒント、雅弥の実家」
「あー猫は飼ってた。茶トラ。最後は21歳と長生きしてたなあとと思った気がする。メスだったな。結構かわいかった記憶があるが。僕に甘えてくる。でも、最近脱走して、そのままいないとか母さんから連絡があったような。マオウとか、すげえ名前だったな。それが何か?」
自分でつけた名前なのはもう忘れたい。マオウとか。
猫耳少女の顔がどうも、微妙な顔になっている。何か変なものを食べたような面。
なんというか、勘が悪い何かを見たような蔑む目。
「そこまでわかるなら、なんかわかんないかにゃ」
「わかんないかなって、さ、マオウの生まれ変わりだとか、わけのわからんことを言うんじゃないか」
「うーん、異世界があるなら、それもありかなって思うけど、ちょっと違う。というか、猫のしっぽが分かれているなら、なんかわかるじゃん! オタク君! 知っているんだよ。実家のパソコンに哲学って名前で、保存してたり。あと、えっちなサイトで購入した猫耳とかのコスプレキャラの画像とか。今ならASMR、猫耳天使とか、猫又とかそういうキャラ設定のASMRとか持っていそう!」
「うわああああっ、なんでそんなことをしっぽ? 猫又? マオウ?」
「そうだよ! マオウの猫又とか想像しろよ! 察しが悪いにゃん!」
そんなのわかるわけがないわ。しかも、なんで恥ずかしいことを暴露されにゃならんのだ。
っていうか、マオウはなんで僕のそんな性癖を知っているのか。問い詰めたい。
ああっ、何か泣きたくなってきたよ。
暴露された秘密はASMRとかだっせえ。まじでだっせえよ。最悪だよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます