第4話 遊園地デート珍道中

ここで言っておこう私はノーマルだ。

特に女の子が好きとかそういうものだってない、普通にイケメン俳優が好きだし高校時代にはちゃんと彼氏もいた。3週間で別れたけど、つまり断じて百合では無い

まあなんでこんなに私がノーマルを主張してるのかというと


「ほいクレープ」

「あっありがとうございます、ちなみに次は何に乗る予定ですか?」

「ジェットコースター」

「嫌です」

「なんでだよ」

「私絶叫系無理なんですよ」

「いいからいいから」

「やだ!やだ!やだ!」


駄々をこねる私を連兎が無理矢理引っ張ていく、そう傍から見ればデートである。いや実際デートなんだけどね、なんでこうなったのか話はまるまる3日前に遡る...


まるまる3日前


今私は天女を初めて見た。


「すいませーん、虹風連兎さんっていますかー?」


連兎がちょうど買い出しに行ってるタイミングにこの天女は来た。銀髪のサラサラした髪に整った顔立ち細身で華奢な体からはこの天女が今までどれだげ大切に育てられたのか分かる...

きっと人間国宝でも来たのだろう。そう考えた私はとりあえずお茶を出すことにする。


「まあ立ち話もアレだし1回腰を下ろして」

「はい...」

「それで先程言ってた虹風連兎はたった今買い出しに言ったばかりでして...私で良ければ話を聞きますが」

「あっいやいいですよ申し訳ないです、これは連兎が来たらちゃんと話します」


天女は本当に申し訳なさそうに頭を下げる。ほんとに可愛い、健気か!健気ちゃんなのか!そんなに可愛いとおじちゃんが食べちゃうぞ!

行けない行けない、心の中のおじさんを発症してしまったわ


「あのーすいません、今こんなことを聞くのは少し忍びないんですけど」


天女ちゃんは本当に申し訳なさそうな顔してこちらを見てるくる、やめてくれ天女ちゃんその術は私に効く


「何?なんでも聞いていいよ?」

「あなたは誰ですか?」

「え?」

「連兎は2人で探偵をやってるって言ってました。だとしたら連兎とルミアの筈、だとしたらあなたは誰ですか?」


あーめんどくさいことになっているなこれ

多分前々から連兎は私と2人でやってることを言ってたけどだれとまでは言ってなかったんだろうな、それにバイトで入ったルミアちゃんが入った話が混ざりあってこうなったと...ってなんで私が推理してんだ


「それで...あなたは誰なんですか?」

「えっと連兎の助手です」

「でも僕は探偵事務所にいるのは2人って聞きましたそれって連兎とルミアの事じゃないんですか?」

「いやそれはね」

「怪しい」


完全に怪しまれてる...さてどうしたものかなんかこのままだと通報されそうだな...そう悩んでいると


「ただいまーってなしな!?」

「あっ連兎姉ちゃん!」

「姉ちゃん!?」


連兎達が買い出しから帰ってくる。

てか今はそんなこと重要ではない、今確かに天女ちゃんはお姉ちゃんって...そんなはずは無い確か連兎の下は4人でその内2人は胡桃とルミアちゃん、そしてもう1人は連兎の双子だったはず、だから双子もないだとすると、いやそれこそあるわけがない...


「ねっねえ連兎、もしかしてこの子って」

「ああこいつは虹風なしな、私の"弟"だよ」

「え...」


嫌な予感はしたが...まさか弟だったとは...あの美貌で?あの華奢さで?あの可愛らしさで?あの尊さで?嘘だろ?

私は...泡を吹いて倒れた。


「やっぱりこの人怖い」


なしなちゃんのその一言で私は完全にノックアウトされた



閑話休題



「いや〜失敬失敬まさか気絶してしまうとは...」

「連姉ちゃんあの人変態?」

「うーんまだ違うかな」


なかなか警戒が解かれない、悲しい


「それでなしな今日はなんで来たの?」

「あっそうだ依頼があって」

「依頼?」


見た目は完全女の子なんなら言動も女の子みのある可愛いDKなしなちゃんの依頼か...とか考えてるこの姿勢がもう気持ち悪いんだろうな

自己反省を欠かさない。


「そう、最近ストーカーに合うんだよ!」

「「ストーカー!?」」


ストーカー、あの嫌な1件が私たち2人の脳裏をよぎる...


「もう深夜まで着いてこれてて正直限界で...犯人が分からない以上こちらからもどうすることも出来ないし...だからお願い!」


涙目で懇願するように私達2人を見る


「わかった!その依頼受けるよ!早速明日の夜から張り込むね」

「うん!お願い!」


あとは具体的な金額の相談(とはいえあのなしなちゃん相手なので適正価格よりもさらに安くされている)をしたらそのままなしなちゃんは帰って行った。


「また...ストーカー事件ですね...」

「確かにね...」

「まあ今度は私も油断しません!可愛い可愛いなしなちゃんの平和は私達で守りましょう!」

「イリス...」

「はい?」

「なしなに手出したらダメだよ」

「出しませんよ!?」


あくまで私は可愛い子がlikeの意味で好きなだけでLoveの意味で好きな訳では無い。

だから黒髪清楚巨乳美少女の前でカッコつけようが白髪美人男の娘の前で同様しようがあくまでそれはガチ恋の意味は含んでいない。

含んでいないのに〜



現在



「モウヤダジェットコースターコワイコワイ」

「はははははは」

「笑いどこじゃないですよそこ」

「ごめんごめん次どこ行く?」

「うーんお化け屋敷とかどうです?」

「お化け屋敷?はははははやめておこ?」

「行きますか」

「やだ!」

「行きますよ」

「ヤダー!」


抵抗する連兎を無理やり引きずって行く...その姿を見てるとどんどんなんか罪悪感が湧いてくるがさっき私の事をジェットコースターに連れて行ったのでお互いさまとする。


〜***〜


「ふふぁあやっぱ互いに気になり始めてるだけの百合からしか得られない栄養がありますなぁ〜」

「なんだかんだ連姉もイリスさんも楽しそうだな」

「確かにあんなにいやいや言ってた割にはだよね」


連姉とイリスさんが仲良く遊園地デートしてる姿を私達は見ていた...いやほんとなんでこうなったんだろ...

いやまあ私のせいなんだけどさ...ごめん連姉、イリスさん


だいたい1日前


バイトに来ても連姉もイリスさんもなにか隠してるな〜って思ってたから個人的に2人の動作とか会話内容なんかを色々見聞きして自分なりの結論を出してみた


「とりあえず私の予想だとこの時間辺りに2人はストーカーを捕まえるためになしなの尾行を始めてるはずなんだけど...」


そう思って辺りを見渡すとなんか恐ろしいオーラをまとった女がなしなのことをストーキングしていた。


「フー!フー!フー!フー!」


なんかやべえのがいるなにあいつなんか本当にヤバいやついるんだけど!アレ捕まえた方がいいよね、連姉とイリスさんの言ってたストーカーでまじであいつだろてかあいつ以外だったら誰なんだよ!


「捕まえなきゃ...早く捕まえなきゃ!」


よく考えたら危険にさらされている兄を助ける妹の図ってなんなんだろう。普通逆では?妹の危機を救うのが兄ではなんで妹である私がなしなのことを必死に助けようとしてるんだ。よく分からない変なことを考えながら私はなしなをストーキングしてたストーカーを捕まえる!


「ゴルルルファ!捕まえたぞド変態!」

「ふふぁあああああああ!?お助け!お助けをー!」

「「ルミアが捕まえた!?」」

「えっルミア!?」


私が変態を捕まえるとどこからともなく2人が顔を出したついでになしなも振り返った。


「はーなーせー!」

「大人しくしてろ変態!」

「2人とも酷いよ!私だけ仲間外れにするなんて!」

「いや前に色々あってね?」

「そうそう危険だからさ...」

「むー」


私は2人にむーっと遺憾の意を表明する。


「えっルミアだ!久しぶり!」

「久しぶりなしな」

「お兄ちゃんつけて欲しいな...」

「今そんなことどうでもいい!」

「はい...」


一応被害者にしては危機感無さすぎないかうちの兄は...まあもう捕まえた後だし、こんくらいがちょうどいいのか


「さてさてストーカーさんの顔を確認しますか」

「そうですね警察に引き渡す準備もしておきます?」

「うんよろしく」


連姉とイリスさんは淡々を仕事をこなす、流石本業。

そして連姉がついに犯人の被っていたサングラスとマスクを剥がす...すると

真っ先に反応したのはなしなだった。


「え?さとこさん!?」

「「「まさかの知り合い!?」」」


3人まとめて衝撃の展開に驚きを隠せない...


「くっバレてしまっては仕方ない」

「嘘だ!最悪うちのクラスの誰かかもとは思ったことあるけど君だけは君だけはないと思ってたのに!だって君は百合ヲタじゃないか!僕は君の趣味に何の関係も無いはずだ!」


えらい説明口調だぁ〜


「だからだよ!百合ヲタだから!お前のことが許せなかったッッッ!そうあれはまだ寒さが残る3月のこと...」


これもしかして回想入る感じだろうか...



〜***〜



「は〜まだ3月は寒さが残るな〜まあこれから暖かくなるんだろうけど」


私は新学期に向けて文房具などを買い揃えに商店街に来ていた...しかしただ買い揃えに来ていたわけではない。


「新学期に新クラス!一体どんな百合が私を待っているんだろう」


私は生まれながらの百合ヲタ、まだ見ぬ百合の花に希望を乗せて歩いていた。


目の前をいかにもなギャルと大人しそうな子が仲良さげに通り過ぎる


「あのふたりは...良いね一見ギャルの方が攻めに見えるけど実際は大人しめの方がガンガンクールに攻めていくタイプと王道系百合と見受けた」


こうして私は妄想を欠かさない、こうすることで常に百合センサーの感度を磨いているのだ。


「おや?あれはッッッ!」


私の目は確かに捉えた銀髪で華奢でこの世のものとは思えない美少女とダボダボジャージ萌え袖の高身長巨乳美少女がイチャイチャしているところを!


「なんだ...体が震えて...感動で...動けない...!」


突如私の体は金縛りにあったように動けなくなるあまりの尊さに身体が追いついていないのだ....それでも、それでも何とか私はその2人の会話に耳を傾ける。


「あははははは」

「もう!笑わないでよ!」

「だってwだってwまさか女性雑誌のモデルのスカウトが来るとはw」

「そんなツボるとこでもないでしょ」

「だってもう最後の方なんで?なんでそんな可愛いのに...って絶望してたんだよ?」

「全く僕は全然可愛くないんだから酷い風評被害だよ全く...」

「いやぁ〜大変面白かった...」

「はぁ〜せっかく新クラスになるんだからかっこよくしないと!僕は宝来一カッコイイ奴になるんだ!」

「無理だよぉーなしなは可愛いんだからそれは不可能なんだよ?」

「やって見なきゃわからない!」


何!?この未知数の尊さ達が同じ学校是非学校でもお目にかかりたい!

私はそんなことを考えながら這いずり回って買い物をした

そしてあっという間に新学年新クラス自己紹介の日が来たそして自己紹介も...


「傘谷さとこ、趣味は絵を描くことです中学ではバスケ高校からは漫研で漫画を書いています。」


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拍手に包まれ私は自己紹介を終える...完璧だ絵を描いてることを伝えることでスケッチと称して百合を眺めることができる。もう一度言おう完璧だ。



「手塚蘭子です。気軽に蘭々と呼んでください、趣味は花のスケッチと占い、得意なことは裁縫です。」


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一見ヤンキー見えるが中は気弱系クールお嬢様と相性がいいな


「次の人どうぞー」


委員長がそういうとあの子が教壇に立つ。


「あっえっと虹風なしな...です、趣味は運動と怪獣映画にカードゲーム...です。」


可愛ええなぁ、何だこの子可愛いが過ぎないか?意外と内弁慶な子なんだねぇ緊張してるかなぁ可愛いなぁ

なんて思ってたのに、その後の一言が衝撃的すぎた、


「あっあと見たらわかると思いますが僕男です。」

「「「「「「「「「え」」」」」」」」」


脳が...脳が破壊された...月までぶっ飛ぶこの衝撃、気づいた時には私は保健室にいた...


〜***〜


「っていうことがあったんだよ!だから隙を見て捕まえて"オンナノコ"にしようかなって」

「僕完全な八つ当たりじゃん!てかなんだよそれ怖!?」


絶句もんだよ...少なくとも連姉とイリスさんとは意見が一致したようだ。


「とにかく!被害届でもなんでも出してみろ!私は一途に追いかけ続けるしこの写真をばらまくからな。」

「それ僕の裸の写真!?それにこれは変身べルトで変身してる奴!」

「さらにこの動画を見ろ、あーあこんなに玩具出し入れして恍惚な表情を浮かべるなんて」

「ただベルトに変身アイテム差し込んでるだけだろ!?変な言い方するな!」

「ふふっこれらを見てもまだ私に抵抗する気かな?」

「コイツッッッ」


相手の方が1枚上手だったか、ともかくこのままじゃ埒が明かない...どうすれば...あ!


「ねえさとこちゃん、あなたはなしなが百合じゃなかったことにショックを受けたんでしょ?」

「うん」

「だったらさ百合カップルの遊園地デート近くで楽しめるとしたらどう?」

「うーんそこまでするならひと通り満足するかな?」


やっぱりこれしかない


「じゃあ私が百合カップルの遊園地デート見れるようにしてあげるから...データ消してもうストーカーやめてくれる?こっちも通報しないから」

「まあそれなら...」

「待って待ってルミアちゃんそれ誰がやる想定?」


私はニヤッとしながら連姉とイリスさんの方見る。


「そりゃあ一緒に暮らしてて仕事ではコンビを組んでる公私共に完璧な百合カップルにだよ」

「それってもしかして...」


すごく嫌そうな顔をする連姉に笑顔を言い放つ


「頑張ってね?連姉とイリスさん♪」

「「えー!?」」



現在


という感じでここまで遊園地デートを見てきた訳だが...


「ま〜た別の人達撮ったね?さとこちゃん」

「いやこれはその...」

「言い訳無用!このデータは削除するよ!」

「いやァー!」


いかんせんさとこちゃんの目移りが酷い!

も〜勝手に知らんとこ行くわ変な人たちの写真撮るわで

てんやわんやこの盗撮魔ガチで手馴れてやがる。


「この盗撮技術どうやって磨いたのよほんと」

「実の姉2人が百合してるからそれで磨いた」

「思ったよりも深いな〜業」

「あっあそこのお姉さん方すっごく可愛い姉妹かな姉妹かな尊いな!」

「あっ言われたそばから!」



〜***〜



「ね〜さ〜ん、今撮られたの感じた?」

「まあ少しわね」


ちょっとした休憩の昼下がり、とある姉妹はティータイムを楽しんでいた。しかしこの姉妹は写真を撮られること極端に嫌っていた、何故なら1度撮られた証拠を消すのはなかなかめんどくさいからだ。彼女たちは妖精を自称している。存在を記録されるのは妖精としてあってはならないことだ。彼女たちの拘りは過剰だった。妹は口を開く


「面倒臭いしやっちゃおっか☆」

「程々にね」


姉も冗談を受け流すように答える。しかし姉は知っている。妹の軽口は冗談なんかじゃないことは、それでも必死に止めないのはどうでもいいからなのだ。

彼女たちは店員にお代を払うと、遊園地の数少ない路地裏に姿を消した。姉妹が連兎に出会うのもそう遠くない...



〜***〜



「ピザ美味しいですか?」

「美味しくない」

「たかがお化け屋敷ぐらいでそんないじけないでくださいよいい大人がいらないなら食べますよ」

「あっ」


そういうと私は連兎の昼食のピザを1切れ食べる


「う〜んおいし〜」

「やったなこの!」

「あっ私のステーキ!」


連兎はお返しとばかりに私のサイコロステーキをひとつ食べる


「あ〜私は楽しみしてたのに〜」

「私もピザ楽しみしてたもん」

「でもさっき美味しくないって言ってたじゃないですか」

「あれ嘘!」

「んなめちゃくちゃな」


私たちは顔を向けあって笑い合う、その時の連兎の笑顔はなんだかいつもより五割増しで可愛く見えた...っていかんいかんこれではほんとに百合になってしまう。これはあくまで演技演技あっちだってそうやっておもってるんだから!


「とりあえず食べ終わったら何する?」

「午前中に遊べそうなとこは遊べましたからね〜あと行ってないところ...」


私は少しの時間考えると...


「あ!観覧車」


ひとつの妙案を思いついた


「観覧車ねぇ〜良いね乗りますか!」

「じゃっ会計済ませてきま...割り勘でいいですか?連兎」

「しゃーないなー」


なんかうまくしまらないなぁー私


〜***〜


「うお!うぉぉ!うおおおおお!すげえ!」


観覧車!?観覧車っつったら恋愛ものにおいて確実にキスシーンが行われる(偏見)と言われるあの観覧車のこと!?


「さとこちゃんなんかまた変なこと考えてる...」

「ルミア...ここまで来たらそんなこと言ってられんのよ」

「よし!2人とも!観覧車に行くよ!先に乗って2人のキスシーンを先回りして撮るんだ!」

「「え!?」」

「青春が待ってる!」


私はかけ出すしかしその直後自分の身長ぐらいはある鉄の箱にぶつかる。ちなみに重さは90キロらしい、いやなんで入口塞ぐようにあるんだよ



〜***〜


「それでは気をつけて乗ってくださーい」


私達は観覧車にのりバランスをとるために互いに向かい合わせに乗る。


「うわあああどんどん上がって行く」

「こう見ると結構風情があるもんなんですね〜」


私達はドンドン上がっていく観覧車の中で景色を眺めながらくだらない雑談をする。


「そういえばイリスって誕生日いつだっけ?」

「8月16日ですね...今年だとお盆の最終日です。」

「へぇ〜、確かイリスっていま19歳なんだからその日から20歳だ。お酒飲めるねお酒」

「確かにそうですね...」

「やっとお酒の世界に入ってこれるのか〜馬鹿に出来なくなるぞ〜飲み始めたら」

「む、そんなに言うなら20歳になった時の最初のお酒!一緒に飲んでくださいね!」

「ふふwなにそれ反論になってないしw」

「むー」

「でもいいよ?右も左も分からないイリスちゃんに大人の世界を味あわせてあげましょう」

「約束ですからね!絶対に守ってくださいよ!」


ここまで来るとなんかムキになるしか無くなった私は念を押して約束させる、もうどうにでもなれ


「いやー面白いねぇイリスは」 

「それは余計なお世話です」

「まあまあそんなことは言わずに」

「はぁ〜」

「イリスはさ、私と一緒に仕事してて楽しい?」

「どうですかねぇ?銃で打たれるし酔っ払いと戦わなきゃいけないしパンツ泥棒と戦わざる負えないしいいこと一つもなかったです。」

「うへぇそこまで言う?」

「でも楽しいですよ案外」

「そうやってあげる?」

「はい、落として上げるタイプなんで私」


くだらない雑談をしながら2人を乗せた観覧車は再び地上へと降りる、すると...


「連兎姉ちゃん!」

「イリスさん!」


後ろから私たちを呼ぶ声がした。なしなとルミアだ。


「どうした?」

「はさっきから探してるんだけどさとこちゃんが居ないの」

「マジで!?」

「なんか手掛かりとかは?」

「私たちが観覧車に乗り終わったあと、2人が降りるのをベンチで待っていたんだけど2人が降りる直前、少し目を離した隙にいなくなっちゃってそっからすぐ探したんだけど全然見つからなかった。」


なしなから情報を聞いた連兎は深呼吸をする、多分推理を始めるのだろう...


「まず目を離した隙に居なくなったならまだ近くにいるはず、今回のデートはさとこちゃんの為に行われているものさとこ自身に行方をくらますメリットはないに等しいこれは間違いなく誘拐、だとしたら何故か...」

「あ!さとこちゃんよく連姉達以外のカップルも撮ってた...もしかして」

「なら間違いない多分その撮ったカップルの中に危ない取引をしてる奴なんかもいたんだろう...あくまで推測だけど、ただだとしたらどうやって誘拐した?すぐ隣にはルミアたち、他にも人は沢山、一見不可能なはず...」


深く目を閉じて連兎は考える、考えろ私にもなにかできることは無いか...あ!


「連兎逆に誘い出したとしたら!おびき出されなくても写真を撮りに行くのがさとこちゃんなら、逆に誘われてお自ら行ったんじゃ」

「そうか!だとしたらあとはそれを含めて...」


よりいっそう目をつぶり考える連兎そして


「わかった!路地裏だ!あそこは監視カメラもない!」

「だとしたら直ぐに行かなきゃ!」


私達は急いで路地裏へ向かった。


〜***〜


路地裏で2人の"妖精"がさとこを縄で縛っていた


「むー!」

「しっ大人しく」

「"グレムリン"、私たちのデータはないわね」

「そうなの"クイーン"?なら良かった。」

「でもこんな姿見られたんだからどの道殺さなきゃ」

「そうね」

「殺す前に壊していい?」

「ダメよ時間もかかるしなによりこんなところで大量失踪事件なんて起こしたらそれこそ本末転倒よ」

「確かに」


彼女たちの言ってることをさとこは一切理解出来なかった。ただ分かることはひとつ、自分はこのままだと殺されること。


「むー!むー!むー!」

「しっだから大人しく!」

「うるさい口ね食べちゃおうかしら」

「もういいやさっさと殺そう」

「そうねそうしましょう 」


"グレムリン"と言われた少女はナイフ掲げ、そしてそれをさとこに刺そうとするその時!彼女たちが来た!


〜***〜


危なかった...連兎の推理に従って急いでここまで来たことが幸をそうした。まだ殺されていない。


「その子を離せ"クイーン"、さもないと...」


連兎は冷徹に冷酷に告げる。まるでそいつは容赦しなくていい相手だと最初から知っているように、因縁の相手だと宿命付けられているかのように...

ただそんなことも意に介さず女は連兎に近づき何かを喋る


「あら連兎お久しぶり、なんだかあなたが来るの...あのへっぽこ探偵さんだと思ったのに、もしかして捨てられちゃった?」


"クイーン"と呼ばれる女が何かを喋った途端急に連兎が殴り掛かる。


「連兎!?」

「ほらほら助手さんが驚いてるわよ?そんな怒りっぽいから愛想つかされたんじゃないの?」

「黙レ!黙レ!黙レェ!元はと言えばあんたのせいダロォ!」


我を忘れたかのようにクイーンに殴り掛かる、その様子は普段の連兎からは想像もできないほど焦り怒っていた。

しかし


グサッ!


「グハッ!」


連兎は血を吐いて倒れる腹部にはナイフが刺さっていた


「ほんと...あなたって隙だらけ」

「連兎!!」


私は思わず近くにあった自分くらいの高さの鉄の箱を持ち上げ豪速球のようにぶん投げる。


ドン!


間一髪で避けられたその箱は壁にヒビを入れた。


「あらあらこれは...グレムリン退散よ」

「殺さなくていいの?」

「ええどうでもよくなっちゃった」

「えー」


ふたりは逃げていく私は追おうとしたのだが急に発熱してたおれた...



後日


ルミアちゃん達が私達を病院まで運んでくれたらしい。

さとこちゃんもあんな目にあってPTSDになっていたりしないか心配だったが


「いいもん見れた」


とむしろなんか笑顔だった。今どきjk怖い。

そして連兎はというと


「また病院かよ〜」

「またですねー」

「ちくしょー」


案外カラッとしていた。ただあの時の話は私たちは2人とも避けている。連兎のあの動揺具合、私の謎の馬鹿力と発熱、お互い気になってはいるが干渉しない。

互いまだそこをつつけるほど信頼を築けていないのだろうか...


「イリス...イリス...」

「はい?」

「退院したらまたどっかデート行こっか」

「はぁ!?」

「冗談冗談」

「なんですかもぉー」

「ごめんごめん、ただ一つ言いたい事があってね」

「え?」

「信頼してるよイリス!」


そうでも無いかもしれない...

もしかしたらそのうち聞けるかもしれない。

連兎の昔話...酒を交わせる時までには打ち明けられるようになると良いな...

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