番外編
第1.1話 「裕介と夢と本当の黒幕」
「やばっ警察‼」
皮肉にも俺のあげた大声によってばれてしまった。畜生なんで俺が逃げる羽目に‼まだ‼まだ捕まるわけにはいかないのに‼兎に角今は何とか逃げ切らないと...
「取り敢えずここまでくれば大丈夫か...」
俺は辺りを見渡して周りに警察がいないことを確認してから胸をなでおろし仮眠をとる、きっとここもすぐバレる、どうせ眠れる時間も 1 時間もないのだろう。
俺の意識がもうろうとしてくる...夢を見た...昔の夢だまるで現実のような感覚でこれを明晰夢というのだろうかそれとも走馬灯か?そんなアホみたいなことを考えながら夢の世界に浸る。俺は昔から主体性のない適当な奴だった何となくスリリングな体験をしたい戦場カメラマンになった理由だってそんなもんだった。でもそんな考えは一瞬で捨て去さることになる。必死だった空襲あたりが燃えて火の海になっている、何となくスリリングな体験ができるなんて馬鹿げた理由でこの地獄に来た自分が恥ずかしい、俺は周囲にいる子供たちを連れ死体の山に隠れてひたすら空襲が終わるのを待っているつんと鼻の奥を指す腐った腐敗臭があたり一帯に蔓延する、子供達もこの強烈な匂いに吐きそうになりながらも必死に抑えている。空襲は 2 時間ほどで終わり、俺たちは無事避難所に着いたその避難所の生活の中で俺は一人の少女と仲良くなったアンリというらしい、金髪で弱々しい体付きをしてるしかし彼女はよく笑ってよくいろんな人を慰めて、自分が戦争の渦中にいることなんて忘れさせてくれるくらい明るく気丈にふるまってくれた、ある日私が一人テントの外から出て星空を取りに行くと...アンリが大声で泣いていたその時私は悟ったアンリは決して明るい子じゃないことを、両親を失って本当はもっと泣きたくて仕方がないのに、それでも誰かのために明るくふるまおうとするとってもか弱くてとっても強い子なのだと言うことを、そう思うと俺は今にもバラバラに壊れてしまいそうな儚さを彼女から感じずにはいられなかった。私はアンリの隣に座って下手な現地語で彼女を慰める、そうしていくうちにこの子が生きていた証を残そうと考えがまとまって言った。そう考えると同時におれは思わず写真をとっていた。アンリは恥ずかしそうにカメラから顔を隠すので顔が写った写真は撮れなかったほんの数日間の幸せな時間だった。また空襲が来た、今度は俺たちも逃げられなかった。逃げる余裕もなかったのだ、目の前で次々と打たれていく子供達、その中にアンリはいた、なんで俺だけ生き残ってしまったのだろうあたり一帯が爆撃された後生き残ってしまった俺はアンリの死体にカメラを向けて写真を撮っていた、当時はとにかくアンリがここにいた生きていた証拠を何か残さないといけないと勝手に手が動いていた。恥ずかしやでいっつも顔を隠していたアンリの素顔を撮った唯一の写真だった。
俺はこの写真と他数枚の写真を何とか日本に持ち帰った。俺の写真は世間から素晴らしいと評価された特にアンリを写した“黄金色の死に証人“は大ヒットし俺はテレビや新聞に引っ張りだこ俺のプロマイドまで作られた。そしていつしか俺自身にもファンが沢山付いていた。だがそんなことどうでもいい何よりアンリがアンリが生きてそして死んでいったという事をこの世界に刻み込めたのが本当に嬉しかった、彼女やほかの子供たちの死に何か意味ができた気がしてとても嬉しかった。
しかし時がたつにつれこんなことをいうやつが出てきた。
「黄金色の死に証人はただの合成写真だ、完全なデマだデタラメだ」
世間は都合のいいものですぐ刺激的な方へと移り変わっていく...
マスコミや各メディアは俺のことをもてはやしていたの事はまるで噓のように叩き始めた。俺個人への批判なんてどうでもよかった、何より“黄金色の死に証人”を偽物と断定しののしられたのが許せなかった。俺は最初にこんなこと言ったやつは誰なのかを探した。
白石恭平という男だった、こいつが憎い必ず殺してやる、そう殺意を覚えたのもこれが初めてだった。この頃だイカれた小太りの男から脅されあの殺人事件の方具を担がされたのは俺は死ぬわけには行かなかっただからそいつに協力した。結局その件で今指名手配されてるのだから目も当てられないしかし、拳銃を盗めたのは不幸中の幸いだった。これで奴に復讐出来る。ついに長い夢から目が醒める。腹が猛烈に痛いし身体に力が入らない、これでは逃げれないそう思い下を向くと、俺の腹部から思いっきり血が流れていたあ、さっきまでのは走馬灯か...俺はなぜか冷静に判断できたきっと誰かが俺が寝ている間に懐の拳銃で俺のことを打ったのだろう俺の懐に拳銃はもうない。あの小太りの男の仲間が証拠隠滅の為にこんなことをしたのだろう。悔しいなあ結局アンリが生きていたこと死んでしまったことこの世に存在していたこと全て伝えられなかった...今死ねばアンリに会えるのだろうか、いやきっと無理だと俺は決めつけるだって俺は地獄に行くから...俺の視界が真っ暗に染まり意識を失う俺は本当に死んだ...
オレが1課からの要請で現場に向かったころにはもう裕介は死んでいた安らかともいえるしまだ生きているともとれる不思議な顔で...結局こいつが持って行ったとされる拳銃二丁はどこにもなかった。裕介は明らかな他殺しかし、逆にそれしかわからないぐらいに指紋も匂いも靴跡もなにもないまるで透明人間に殺されているみたいだ。
「今回の事件まだまだ調べる必要があるな...」
オレは警察として必ず犯人を捕まえると誓い再度調査を開始した
「ふん~ふふ~~♪」
私は荷物をまとめながら鼻歌を歌う...ここは 10 階建てのマンションの屋上誰からもこんな鼻歌聞こえない。
私は一人の刑事が何度もカメラマンの死体を調査しているのを上から見ていた。
「警察特命特殊特化課通称 T3 (まだ非正規)所属、警察の狂犬連城紅蓮噂通りの熱血漢で面白い子」
私は荷物をまとめ終わると立ち上がりある方向を見つめるそこには 1 件の探偵事務所がある。
「私のお気に入りだったストーカーちゃんを倒しちゃうなんてねえ」
ストーカー花蕗慎太郎はお気に入りだった、自分は何にも努力しないくせにいっちょ前に他人を恨んだり好きな人が自分に興味を持たないことに苛立ちを覚えるその姿は実に愚かでかわいらしかったのに、拳銃だって久しぶりに用意した。
取り敢えず 1 丁は回収されちゃったけど問題ない、偽のルートをあらかじめ用意してある
からそれにまんまとひっかるだろしストーカー君本人は絶対しゃべらないだろう、故なら、彼はしゃべれば殺されることを十分に理解しているから。
しかし、彼を捕まえた探偵事務所にがぜん興味が湧いてきた、きっとまたそのうち会えるだろう...そんな気がする。
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