Aria
@rurosan
第1話
陽の光が眩しい
雲ひとつない快晴の中、寝転がり陽の光を浴びる。少し暖かい気温でとても過ごしやすい日だった。こんな日は日向ぼっこに限る。
最高の気分だ
「ルナぁー…」
最悪だ
視界の横から幼馴染、ラピスの顔が映る。
寝転がってる俺を覗き込むように見てくる。
俺は少し体を起こしラピスに問いかける
「どうかしたのか」
「お父さんが狩りに行こうって言ってるよ」
「あぁ……分かった」
そういえば昨日母が食材が無くなってきた と言っていたな。森へ取りに行くのか。
俺も父には憧れていたから父の狩りを見るのは好きだった。父が放つルビーの様に輝く矢は惹かれるものがあった。
ラピスを放って父の元へ行こうとするとラピスから声が上がった。
「私も行きたい!」
「駄目だ、狩りは男の仕事。危ないから女は家で家事をするんだよ。」
「赤い矢……見たい……」
「駄目だ」
森にはウルフやオーガなど、危ない生物が沢山いる。そんな場所に女を連れていく訳にはいかない。そのため狩りはいつも男達だけで行っていた。
「とにかくラピスは自分の家にいろよ」
「……ちぇ」
残念そうなラピスの表情が見えた。
俺はラピスを放って父の元へ駆け出した。
「来たか」
森の入口で父が待っていてくれた。
「今日は何を狩るんですか」
「そうだな……鹿が見つかれば1番いいのだが、いなければ鳥でも兎でも。」
正直獲物は何でも良かった。
赤く輝く矢……それを番える父の姿……
それを見れると思うと興奮した。
森の中へ足を踏み入れ耳を澄ます。
鳥のさえずりが森中に響く。
森の中では川や険しい場所が沢山あり、俺と父はその場所を越えながら獲物を探した。
森に入ってから暫くした頃、父が小声で
「いたぞ」
と言った。目線の先には白い兎がいた。
食べ物を探している様で、まだ茂みの中にいる俺と父には気付いていない。
父が懐から魔力が込められたルビーを取り出し口の中に入れ噛んだ。完全には噛み砕かず、歯でルビーを落ちないようにしていた。
そして思いっきり力を入れルビーを噛み砕く
その瞬間、父は立ち上がり赤く燃える弓を取り出し、ルビーの様に輝く矢を番える。
兎に照準を合わせ、矢を放つ。
放った矢は兎の体に刺さり兎は倒れた。
興奮した、とても心惹かれ、憧れた。
父は茂みから出て射抜いた兎を持ち上げた。
「取り敢えず今日はこれでいいだろう、帰ろう。」
「うん」
来て良かった、俺はその感情でいっぱいだった。
帰り道、安定しない地面を進む。
石や木の根っこでボコボコしている。
そんな道を進んでいると父が急に手を横に伸ばし
「待て!」
と小声で言った。
獲物は取れた、何か異変でもあったのだろうか。父の目線の先、遠く木の葉が邪魔でよく見えないが何かが動いている。
灰色の生き物が何かを食べてる様な動きだった。父が目を凝らし見た瞬間、
「生き物じゃない」
何を言ってるのか分からなかった。ここは森の中、あんな動きをしていて生き物じゃないとなると何なんだ。
俺と父はもう少し近付く事にして、静かにその何かへ距離を縮める。
近くで見てわかった事がある。
確かにあれは生き物じゃなかった。
それは鋼鉄の身を持ち青い光を放つ、四足歩行の生き物の形をしていた。
Aria @rurosan
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