VOICE
醍醐潤
VOICE
目の前に真っ黒な世界が広がっている。
どこを見渡しても同じ黒色一色の景色。どのぐらいの広さで、どこまで続いているのか、全く分かるわけがない。
君はさまよっている。自分がどこへ向かえばいいのか、どうすればいいのか……不安になって頭を抱えてしまった。
※
そっちじゃない。
君が歩いて行った所には何もない。
そう、何度も何度も、声をかけているけれど、君には届かない。泣きながら、何度も何度も、同じ場所をさまよっている。
早く抜け出したいと思っているのに、また、最初の地点に戻ってしまう。その度に、君の心は壊れていってしまう。
やがて、疲れ切って倒れた君は、心の底から、自分の感じる痛みを声にして叫ぶことすら、止めた。
※
誰も傷つけないよう、口を縫い、言葉を捨てた。
自分が傷つかないように、目と耳を隠して、痛みを感じるところを潰した。
こうすれば、もう生きることが辛くなくなる気がした。
それでも、
それでも、君は自分を責め続けた。
※
生きる意味が分からなくなって。
自分の存在すら見えなくなって。
人を信じることも怖くなって。
何もかも嫌になって、全てに絶望して。
それでも、君は、少しずつ、
自分のペースで歩いている。
※
辛くて苦しくても、必死に耐えて、身体をボロボロにしても、精一杯生きていることも、全部知っている。その痛みを僕は知っている。
君の声が僕には届いている。それが、何のために君が生きているかの証明になる。
あなたの代わりなどいない。誰もなれない。必要ない。
VOICE 醍醐潤 @Daigozyun
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