80.夜刻任務!?
さてさて、コスドーリア王国は常に、様々な敵と戦っている。モンスターや魔王軍はもちろん、時に盗賊や魔物や幻獣とも戦ったりもする。
その全ては、魔法鉱石を狙ってやって来るのだ。
王都や東西南北の領地の城壁都市など、人が住んでいる場所は広大な魔法陣で守られている。それ以外の場所ではモンスターや敵が出没し、主に魔法鉱石を運ぶ荷パ車を襲ったりと。
たまに旅人や乗り合いパ車を襲うことがあるようで、その為に領地間を移動する乗り合いパ車は、必ず冒険者を用心棒として雇っていた。
敵の出没はいつ何処で、どの位の規模で現れるか全く分からない。明るいうちに活動するモンスターや、夜刻に現れる魔物。もちろん、盗賊にも警戒が必要。
こうした敵の脅威に備え、王都や各地の城壁都市では朝刻・夕刻・夜刻に分けて、任務にあたっているのだった。
◇◆◇サンコウタイ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ガンバルヨ◇◆◇
という事で、夜刻任務。
私たち十七番隊と八十番隊は三日間、日付が変わる時刻からの任務となる。とはいえ、朝刻や昼刻とやる事は大して変わらない。
東西南北四つの門に立つ衛兵先輩の見張りの補助や、夜間に到着する、魔法鉱石を載せた荷パ車の積荷の確認。ギルドの依頼で夜中に討伐に出るパーティの、出入りの確認と。
その忙しさは夜刻だろうと、何ら変わらない。違いがあるとすれば、夜刻は露店の営業を禁止されていることくらい。
だから、露店街である場所は一切のお店が開かれてなく、静まり返ってる。
賑わっているのは、王都南側の正門近くにある、ギルドや飲み屋さんくらいなもので。たまに荒くれ者の冒険者が、路上で喧嘩をしたり寝ていたり。
稀に、衛兵先輩方の手に余る相手の対応に、兵士が加わったりすることがある。順番で宮殿周りの警備をする事もあるけど、城壁内での任務はそれくらい。
後は交代で外回りの警備が主な仕事となっていた。
◇◆◇ヨルコクニンム◇◆◇◆◇◆◇カイシダヨ◇◆◇
「ふわぁぁぁ! この時間になると、さすがに冷えますねぇ」
「そうねぇ。王都は大陸の北寄りにあるから、太陽が沈むと冷え込むわよね」
「ホントだな。王都がもう少し南側にありぁ、寒くなくって済むのによぉ」
「でも、どうして王都は大陸の中心じゃなく、北寄りに造られてるんですかぁ?」
「確か、北の領地に近くする為なんじゃなかったかしら?」
「あぁ。この国で魔法鉱石が最初に発掘されたのが、北の領地らしいからな。輸送しやすくする為に、北寄りにらなったらしいぜ」
そんな会話をしながら、私とアシュリン先輩とリオナ先輩は寮を出た。
宿舎のある街角のあちこちには、魔法鉱石で照らされた街灯が無数に備わっている為に、防犯対策は万全。年頃の女の子が歩いてても、全く危険は感じない。
とはいえ、こんな時間に歩く年頃の女の子って兵士だけだから、襲い掛かられても撃退できちゃうのが現状で。
それでもたまにいるんですよねぇ、襲いかかってくる荒くれ者が。そんな
「オゥオゥオゥ! こんなところで、若い娘がプラプラ歩いてると危ねぇぜぇ。アァン!」
「おいおい、まだ子供もいるじゃねぇか。こんな夜中に外を出歩いてちゃあぶないでちゅよぉ。へっへっへぇ!」
「どれ、せっかくだから、俺たちが遊んでやんぜぇ。朝まで、しっぽりとなぁ。ギャアッハッハァ!」
――おやおや? おやおやおやおや? あれあれあれあれ?
言ったそばから変なのが出てきちゃいましたけど、今なんて言いました? 子供がいる? どこに?
私の認識では、この場所には冒険者風のゴロツキ三人と、成人女性の三人しか居ないんですけどねぇ。ひょっとして、私達じゃ見えない子供でも見えてるのかな?
「おいおい、お子ちゃまが何か言ってんぜぇ!」
「まぁまぁ、いいじゃねぇか。背伸びしたくなる年頃なんだろうぜ。なっ、お嬢ちゃん!」
「あのな、俺たちの目は節穴じゃねぇんだぜ。出るとこも出てねぇ娘っ子じゃ、楽しめねぇんだよ。五年後に出くわしたら、そん時はタップリ遊んでやんぜ。ハッハァッ!」
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